※この作品はR-18です。

サトシの野望   作:イマクニ

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第110話

 

 

 

 父さんとのバトルは5ー6で敗北した。

 それもラストバトルは完敗という形で。

 それでも本当に楽しかった。

 今まで出した事の無い、正真正銘の全力で挑んで敗北したからか、清々しい気持ちで一杯だ。

 そんな気分が良い状態で皆の下へと帰還した。

 四天王から、ジムリーダー達から、マサラタウンの住人達から俺はもみくちゃにされながら盛大に祝われた。

 グリーンさんも、久しぶりに父さんを追い詰めるトレーナーが現れた事に歓喜していた。

 

 「レッドの野郎をあそこまで楽しそうにバトルさせてやれたのは、本当に久しぶりだ! 感謝するぜ! 俺も久しぶりに自己鍛錬に励むかね〜 お前にも、レッドにも勝てるようにな!!」

 

 「お願いしますね! グリーンさんだけじゃない。 リーフもセレナもシゲルもワタルさん達四天王も、ジムリーダー達だってまだまだ強くなれると思う! 皆も頑張って強くなりましょう!」

 

 「うん! 私もサトシに追いついて、並び立てるように頑張るよ! サトシの真のパートナーになる為にね!」

 

 俺の言葉にリーフがいち早くそう口にする。

 

 「僕も君に敗北したままというのは気に入らないんだ。 もっと鍛錬してお父さんも君も、そして先にレッドさんを倒すのはこの僕だよ!」

 

 シゲルも決意を新たにそう口にした。

 

 「私もサトシ達に追いつくには時間がかかるかもしれないけど、サトシのパートナーとして恥ずかしく無いくらいまで頑張る!」

 

 セレナも自信無さげだが、それでも追い縋ろうと決意を口にした。

 

 「我々も若武者が頑張っているのに座視する訳にもいかん! 皆の者! これまで以上に鍛え上げるぞ!」

 

 ワタルさんも四天王を代表し、四天王達に活を入れる。

 

 他の人達も決意を目に宿らせ、己の進むべき道を見据えた目をしていた。

 カントーのトレーナーはこれから今まで以上に強くなる。

 そう俺は確信した。

 

 

 

 「サトシ、ちょっと良いかしら?」

 

 俺達が話していると、何やら珍客が来た。

 声が聞こえた方に視線を向けると、ムサシとコジロウ、ニャースと赤髪の青年が居た。

 あの顔に髪、シルバーか?

 

 「別に良いが… お前達、どうしたんだ? この場に変装もせずに来るなんてお前達らしくないな。 それで、そちらの人は?」

 

 「ありがとうね。 それでこの方は…」

 

 そこで赤髪の青年が前に出て口を開く。

 

 「初めまして、だな。 俺はシルバー。 お前達が倒したロケット団の首領、サカキの息子だ。」

 

 赤髪の青年、シルバーがそう言うと、周りの人達が驚愕する。

 ロケット団が再編して攻めて来たのかと。

 

 「サカキの倅がどうしたんだよ? 俺達に復讐でもしに来たのか?」

 

 グリーンさんがシルバーに詰め寄る。

 

 「いや、そうじゃない。 寧ろ逆だ。 ロケット団の…いや、ビシャスのせいでマサラタウンの多くの住人が被害に遭ったと聞いている。 ロケット団の首領、サカキの息子として、謝罪させて欲しい。 すまなかった!」

 

 そう言うとシルバーは深々と頭を下げる。

 それに続くように、ムサシとコジロウ、ニャースもまた頭を下げる。

 すると、ワタルさんが前に出て口を開く。

 

 「頭を上げてくれ。 罪を犯した奴等は全員処刑した。 お前達に非が有る訳じゃあない。」

 

 その言葉にシルバー達が目を見開いた。

 

 「親父達も殺すのか?」

 

 「サカキ様を処刑するんですか!? 辞めて下さい! お願いします!!」

 

 「今捕まっているサカキ様達は悪い事をしていない! 辞めて下さい!!」

 

 シルバー達の叫びが辺りに響くが、俺はサカキ達の処刑の話しを聞いていない。

 事情を探る為、ワタルさんに聞く事にした。

 

 「サカキが処刑? ワタルさん、何の話ですか? サカキ達が処刑される程の事、何かしましたっけ?」

 

 「いや、今伝え聞いた情報と、俺が直接サカキ達から聞いた情報を精査するに、処刑する程の事はしていない。 処刑されるべき者達は既に処刑した(・・)と言ったぞ? まだ生きてる連中は、そいつ等に有った償いをさせるつもりなだけだが?」

 

 シルバー達は己の早とちりを恥じた。

 

 「親父達は処刑されないんだな? なら何故親父はあのような顔を…」

 

 「そうですね… ですが良かったです。 サカキ様が処刑されずに済んだようで。」

 

 「そうだな〜。 ホッとしたよ…。」

 

 「ニャー達の早とちりだったニャ。」

 

 そうシルバー達が胸を撫で下ろすが。

 

 「ちょっと待て。 お前達収容所に勝手に入ったのか? それはそれで違う話だな。 お前達は別の罪を犯したようだ。」

 

 ワタルが怪訝な表情でそう言う。

 

 「「「「あ…!」」」」

 

 シルバー達は冷や汗を垂らしながら、ギッギッギッと動きの悪いロボットみたいに首をワタルさんへ向ける。

 

 「お前達も収容所行きだ!」

 

 ワタルさんの号令で俺は即座にムサシを拘束し、シルバー達は呆気なく捕まった。

 

 その間抜けな光景に耐えれなくなり、1人、また1人と笑ってしまう。

 その笑い声が皆へと伝染し、スタジアム前の一角だけ笑い声が絶え間なく続いた。

 

 

 

 

 一頻り皆で笑い合うと、俺は声を出す。

 

 「ワタルさん、サカキ達の処遇をどうするか決めてます?」

 

 「大会が終わったのでな、今からその話を詰めようと思っていた所だが?」

 

 今からか…じゃあ俺の考えを提案しても良いかもな。

 

 「なら俺に考えが有ります。 サカキ達を俺預かりにして貰っても良いですか? 勿論今捕まったシルバー達もです。」

 

 「ほう? それを聞かせて貰っても良いか?」

 

 ワタルさんが乗って来たので、俺は俺の考えを口にする。

 

 

 

 サカキ達ロケット団は裏の人脈が広いので、これから野放しにも出来ないが、上手く使えば全国の悪党を潰す事が出来る事。

 今此処に来ているチャンピオン達、ホウエン、シンオウでも同じように悪党が居るから、先に2つの地方の組織に潜入させれば、中から潰す事が可能になる事。

 悪の組織だったノウハウを表の世界でも通用させれる所は真似していけば、今のカントーでも全体のレベルアップに運用可能な事。

 カントー、ジョウトの悪の組織の根絶やし、ホウエン、シンオウの今ある悪の組織の根絶やしが可能となり、いずれ全国に波及する事が出来る事。

 以上の事が可能で有れば、俺がサカキ達を直轄とし、良好な組織運営をしていく事。

 

 以上を掻い摘んでワタルさんに提案する。

 ワタルさんは少し思案するが、通せたら良いなぁ…

 ホウエンのマグマ団、アクア団が好き勝手したら世界が滅ぶし、シンオウのギンガ団が好き勝手しても世界が滅ぶ。

 後顧の憂いを断つなら、未来を知っている俺が先手を打った方が良い。

 ゲームの主人公みたいに皆が力を持つとは限らないからな。

 俺達のような力を持つ者が居ない場所で勝手に世界が滅びを迎え、俺達が着く頃には終わりの始まりでした、なんて堪った物じゃない。

 だからこそ、サカキ達を配下に置けば、未来に起こり得る災禍を未然に防げる可能性が高まる筈だ。

 

 そこでシルバーが声を上げる。

 

 「俺からも頼む。 サトシの下に付く事に異論は無い。 親父達も説得するから、そうしてくれねぇか?」

 

 「私からもお願いよ! サトシにはこうして捕まっちゃったしね。 サトシ、前に貴方になら捕まえて貰いたいって言ってた事、覚えていたのね?」

 

 ムサシは最後に俺だけに聞こえるように小声でそう言った。

 

 「あぁ、そりゃな。 だからお前は即座に捕まえただろ?」

 

 「ふふふっ ありがとうね。 私達もサトシの配下になる事に異論は無いわよ! そうよね? コジロウ? ニャース?」

 

 「俺も構わないぜ!」

 

 「ニャーも構わニャいニャー!」

 

 シルバー達も俺の配下に付く事に異論は無いようだ。

 そして、ワタルさんが口を開く。

 

 「良いだろう。 だが、これ以上の悪事は絶対に働かない事を念頭に置いてくれ。 サカキ達にもそう伝えて来る。 じゃあ俺は先に収容所へと向かう。 お前達も後から来てくれ。 それじゃあ、またな。」

 

 ワタルさんはカイリューを出して、一足先に飛んで行った。

 

 ワタルさんを見送った後、リーフ達が不安そうに俺に訊ねる。

 

 「ロケット団達を配下に置くって本気なの? 正気?」

 

 リーフも母さん達も皆口々に俺にそう訊ねる。

 だが、それはサカキ達に会ってから決まる事だろう。

 

 「今の所はシルバー達だけが配下だよ。 サカキ達は会ってからだから今はまだただの囚人だよ。 それでもこの条件を飲むなら配下にする。 世界はカントーだけじゃないからな。 色んな地方で悪意が渦巻いているだろう。 知らない内に、世界が終焉へ向かっているとかなったら嫌だろう? 未然に防げるなら、その方が全然良い。 悪意の有る者が伝説のポケモンを手中に収めたらそうなってしまう可能性が有るからな。 俺や父さんのような強者が世界に多数存在している訳でも無いだろ? だったらそういう悪の組織に先手を打つ方が得策だと思うんだよ。」

 

 皆は黙って俺の話を聞いてくれた。

 各々、思う事も有るだろう。

 

 「そうかもしれないわ。 でも、私はサトシが被害に遭うような事して欲しく無いわよ。 貴方の親として、看過出来ないわ。」

 

 母さんがそう不安を吐露する。

 自分の愛する息子が危険な目に逢う可能性が有るのは嫌なのだろう。

 一応これでも父さんに次ぐかどうか位の実力は付いたと思うんだがな~…。

 

 「大丈夫だよ、母さん。 ロケット団みたいに強大化する前に叩くようにしたいんだ。 それにロケット団の中にビシャスみたいな悪意が生まれたように、先鋭化した悪の組織は必ず生まれる。 そうなると、他地方の事だからと座視する訳にもいかなくなる。 遅かれ早かれそういう組織とは相対する時が来るよ。 気付いたら世界の終焉の始まりなんて望んで無いからね。」

 

 アルセウス様が折角作ってくれた世界なんだ。

 いざとなったら助けてくれるかもなんてのも考えない方が良いだろう。

 アルセウス様なら世界の終焉すらも人が望んだ事の結果として受け入れそうだ。

 アルセウス様が許しても俺が許せない。

 その為なら世界を統べる事すら吝かじゃねぇぞ。

 

 「そう… わかったわ。 でも絶対にこれだけは約束して。 必ず殺されない事。 絶対にこれだけは守ってよ?」

 

 「あぁ、老衰以外では死ぬ予定無いから大丈夫だよ。 必ず約束は守る。」

 

 「ふふっ そうね。 わかったわ。」

 

 「それじゃあ行ってくるよ。 お前達も行くぞ!」

 

 「ちょっと待った〜ッッ!!」

 

 さぁ今から収容所へ!

 そう思っていた所へかかる声。

 何だ?と思いながらそちらへと視線を向けると、ゴールドさんが走って来た。

 

 「知ってる奴が居ると思えば、やっぱりシルバーじゃねぇか! 何処行ってたんだよテメー!」

 

 「チッ! 喧しい奴が来やがった…!」

 

 昔馴染みに会って喜んでいるゴールドさんに、忌々しそうな態度のシルバー。

 この人達は性格が真逆だな、そう思った。

 

 「ん? 何だ、遂にお前捕まったのか? また誰かのポケモンでも盗んだのか?」

 

 「違う! …いや、違わないが、一々昔の事を掘り起こすな!」

 

 これはゲームと同じようにウツギ博士からジョウト御三家のワニノコでも盗んだのか?

 ゴールドさんはバクフーンを使っているからな。

 恐らくシルバーはオーダイルを持っている筈だ。

 

 「ゴールドさん、すみませんが今から収容所に行くのでそろそろ良いですか?」

 

 「ほら、やっぱり捕まったんじゃねぇか! 今度は何やらかしたんだ? 俺も行くぞ! 面白そうだ!」

 

 「一々着いて来るんじゃねぇ!」

 

 はぁ…

 1名追加だな、これは。

 

 「じゃあさっさと行きますよ。 ゴールドさんは自分でポケモン出して下さいね。」

 

 「おうよ!」

 

 先程、移動用に手持ちの入れ替えを行ったので、シルバーとロケット団は大丈夫だが、ゴールドさんまでは知らん。

 リザードン2匹とカイリュー、トゲキッスを出して飛び乗る。

 ゴールドさんはエアームドに乗って着いて来た。

 皆で収容所へと向かって飛翔する。

 目指すはサカキ達が居る場所だ。

 

 

 




子供がいつの間にか洗濯機に絵本を入れてました。
その状態で洗濯してしまったので、洗濯物も洗濯機も悲惨な事になり、対処に疲れました…。
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