リーフは遠くを見つめて話しだす。
「2年前にさ、山岳地帯でサイドンとニドキングが争ってた事が有ったじゃない。 あの時、サトシに助けて貰ったんだけどね。 あのお互いを威嚇し合う鳴き声とか、一つ一つの技の威力とかさ、こんな私の命なんて軽く刈り取ってしまうんじゃないかって程の技のぶつかり合いを見てからさ、私少しポケモンが怖くなったの。」
あ〜あの時の話か。
あの時は確か山岳の主同士がかなり激しく戦ってたっけ。
サイドンの縄張りにしている所の別の個体のサイドンがニドキングが支配する側に行って、ニドクインを傷付けた事にニドキングが怒ってたとかやつか。
それでニドキングが仕返しに向かって喧嘩してる近くにリーフが足腰立たずに座り込んでたな。
トレーニング中にポケモン同士の雄叫びが聞こえて、急いで向かったらそんな事になってたな。
バトルを見てたらリーフが居たから吃驚したわ。
慌てて駆け寄って、お姫様抱っこして脱兎の如く逃げたな〜
「あの時のニドキングとサイドンの戦いを間近で見てたんだよな。 怖くなっても仕方ないか。」
そう言ってリーフの隣に座る。
「ポケモンは怖い生き物です。 シンオウ地方がまだヒスイ地方って呼ばれてた時に生きてたラベン博士って人が言ってた言葉だよ。 あの当時は今よりももっとポケモンは人に慣れてなかったらしくて、敵意剥き出しで人を襲ったりしてたみたいだぞ。 ポケモンにも本能ってのがあるからな。 強くなりたいとか、守りたい相棒が居るとか。 でもそれって人間も同じだと思わない? そんなポケモンを捕まえて仕事を手伝って貰ったり、家族のように接したり、勿論バトルに使うのも俺達人間だぜ? 全く怖がるなとは言わないけど、過度に怖がる必要も無いと俺は思うな。 恐怖心ってのは厄介で、2年前のリーフみたいに体が動かなくなったり、下手したら恐怖心を相手に勘付かれて余計に危害に合う可能性だって有る。 もっとポケモンを知ってどう対応したら良いのか、どう付き合って行くかを考えて行かないといけないと俺は思う。 同じ人間以外なら一番身近なんだしな。」
そう締め括るとリーフも返答する。
「サトシって強いんだね。 私、あの時は怖くて一歩も動けなくて、ああ、もう死んじゃうんだって思っててね。 涙でボヤケてちゃんと見えないし、恥ずかしいんだけどおしっこも漏らしちゃってたし。 けどサトシに助けられて本当に心から救われた。 今でもポケモンの事は少し怖いけど、頑張って乗り越えられるようにするね! ありがとう!」
リーフはそう言って俺を見る。
そして、モジモジしながら続ける。
「あの…それで…あの…私、さっきは子供じゃないとか言ってたけど、私もまだまだ子供だってわかってるつもり。 そんな子供の言う事だって思わないで聞いてね…?……あの時からサトシの事が好きになっちゃったの…! お姫様みたいに抱っこされて必死に逃がしてくれたサトシを見たあの日から…いつもサトシが目に映る度、目で追っちゃうの… サトシを見てると胸がドキドキして堪らないの… サトシ…好き、大好きよ…!」