サカキ視点
私は背後に着いて来るマグマ団とアクア団を率いて洞窟から出た。
そして見えてくる超常の戦い。
流石伝説の古代ポケモンというべきか、あの場に割って入っても簡単に勝てるとは思えない。
恐らくは私の手持ちでもミュウツー以外はマトモな戦力とすら数えられんだろう。
だが、それで臆する理由にはならない。
最悪はサトシが来るまでの時間稼ぎに徹すれば事足りる。
私の手持ちの全ポケモンを繰り出す。
ミュウツー、ニドクイン、ニドキング、ガルーラ、ドサイドンを、そしてスピアーをメガシンカさせる。
ミュウツーはグラードンとカイオーガを睨めつけ、サイコパワーで宙へと浮かぶ。
メガスピアーを筆頭に、ドサイドン達も臨戦態勢の構えだ。
『あそこまでの強者… 中々出会える物では無いな。 サカキ、彼等を相手取れば良いんだな?』
「あぁ、だがミュウツーよ。 あのポケモン達はミュウツーでも歯が立たないかもしれない。 持久戦と行こうか。」
『では、そうしよう。』
此処に現代科学の粋を集めて生み出された最強のポケモンと、超古代に生まれ、悠久の時を経て目覚めた最強のポケモン達による三つ巴の戦いの幕が切って落とされた。
ミュウツーのサイコパワーとゲンシグラードン、ゲンシカイオーガによる乱戦の最中、ミュウツーをサポートするようにサカキの手持ち、マグマ団、アクア団の手持ちのポケモンが攻撃を加える。
だが、そんな攻撃にもゲンシグラードンもゲンシカイオーガも意にも介さず、雑魚散らしでもするかのように片手間に向かって来るポケモン達を蹴散らす。
1匹、また1匹と皆のポケモン達が倒れていく。
サカキのポケモンですらニドキング、ニドクイン夫妻とガルーラが地に沈んだ。
残っているポケモンはサカキのミュウツーとメガスピアー、ドサイドン、マツブサのメガバクーダ、アオギリのメガサメハダーくらいのものだ。
その上、残っているポケモンも大小問わず傷を負っている。
…万事休すか…。
そう思っていると、グラードンとカイオーガの攻撃が激しくぶつかり合い、その余波が此方に来た。
ドサイドンがサカキの前に仁王立ちし、攻撃を受け止めるが、マツブサ達の下へ行った攻撃がどうなったかわからない。
マトモに喰らえば人間等、塵のように飛ばされるで有ろう攻撃は、ミュウツーのサイコパワーによって防がれたようだ。
だが、ミュウツーの気がこちらに向いた事により、グラードンとカイオーガの意識がミュウツーへと向く。
「ッ!! ミュウツー!!」
グラードンとカイオーガの攻撃が容赦無くミュウツーへと着弾し、錐揉みしながらミュウツーが吹き飛ばされた。
メガスピアーがミュウツーを受け止めるも、瀕死寸前のようで、目を瞑りじこさいせいに集中している。
邪魔者のミュウツーが消え、グラードンとカイオーガは更に暴れる。
グラードンとカイオーガの攻撃の余波をモロに受けたドサイドンも地に伏した。
メガスピアーもミュウツーを受け止めた事により、ダメージが蓄積している。
頼みの綱であるミュウツーも回復に専念している。
マツブサもアオギリもジリ貧のようだ。
私達の命運も、もはやこれまでか…。
そう諦めかけていた時、援軍が現れた。
「親父!」
「サカキ様!!」
シルバーを筆頭に、ホウエンで活動していた私の部下達が救援に来た。
シルバー達はそれぞれにポケモンを繰り出し、私達の周りを埋め尽くす。
「シルバー、お前達、グラードンとカイオーガが恐ろしく強い。 無理に攻撃を加えようとせず、持久戦を心掛けよ。」
「あぁ! お前達!
シルバーの声に、部下達のやる気の炎に火が灯ったようだ。
サトシ達が来るまで、この戦いを長引かせる。
そう意気込んでいると、私達の先からグラードン達を挟み撃ちするかのような攻撃が飛んで来た。
その余りの威力に、グラードンとカイオーガも怪訝な表情でそちらを見やる。
「彼等は… チャンピオン達か…!」
遠目でハッキリとはしないが、あの容姿とポケモン達は、間違いなく現チャンピオンのミクリが操るミロカロスと、前チャンピオンのダイゴが操るメタグロスだろう。
此方からの攻撃とチャンピオン達による挟撃。
グラードンとカイオーガも両サイドからの攻撃に怯んでいるようだ。
…これならいけるか…?
そう思っていたが、グラードンのふんかがメタグロスを襲う。
カイオーガのかみなりがミロカロスを襲う。
それは異常な威力でチャンピオン達のポケモンといえど、堪らず地に伏したようだ。
これにはチャンピオン達も驚愕したようで、慌てて倒れたポケモンの回収を行い、他のポケモンを繰り出した。
1対1に拘らなくなり、次々とポケモンを繰り出す。
『『グガーーーッッッ!!!』』
グラードンとカイオーガが吠えたと思いきや、グラードンが大地を踏み締めると此方のポケモンの真下から巨大な岩の剣がポケモンを襲う。
カイオーガの周囲に水膜が現れ、ハイドロポンプよりも強力な水のレーザーがチャンピオン達のポケモンを襲う。
私のメガスピアーもシルバー達のポケモンも瀕死になった。
チャンピオン達のポケモンすらも地に伏した。
…終わった…。
此処までホウエンに眠っていたポケモンが強いとは思わなかった。
サトシが来るまで持たせ切れなかった。
願わくば、シルバーだけでも生かして逃がしたい。
私の唯一の血の繋がった家族だ。
だが、そうは問屋が卸さないようで、カイオーガが此方に向けて、先程チャンピオン達を下した水のレーザーを作り始めた。
私はシルバーだけでも守ろうと、シルバーの前に仁王立ちした。
「親父! 何やってんだよ!」
「あの攻撃が来たら本当の意味で全滅する。 シルバー、お前だけでも生きろ。 誇れない親で済まない。 さらばだ。」
私の目の先、カイオーガから水のレーザーが発射された。
私は目を瞑り、衝撃に耐えようとする。
私の人生を思い返しながら命が散るのを待っているが、いつまで待っても衝撃が来ない。
余りの威力に痛みすら感じずに即死でもしたのだろうか?
「サカキ、待たせたな。」
サトシの声が耳を打つ。
私は閉じていた瞼を上げ、目の前を見た。
サトシの周囲が水のレーザーを消し去ったかのように、キラキラと光る。
風にはためくジャケットを着たサトシの大きな後ろ姿。
サトシの頭上に浮かぶ、ミュウツーを小さくしたようなポケモン。
サトシの両隣に居る白いニット帽を被った少年と襤褸のマントを羽織った少女。
そして、サトシ達の正面に居る巨大な龍の姿。
「キリリリリュー!!」
あれがレックウザというポケモンか…!
何と神々しい…!
そう思っていると、ミュウツーも回復が完了したようで、サトシの下へとサイコパワーで浮かび、向かった。
「お前がミュウ…! 話したい事は色々有るが、私はやるべき事が有る。」
ミュウツーがミュウと言ったポケモンに話しかけると、即座にグラードン達の下へと飛んで行った。
その後を追うようにレックウザも飛んで行く。
「お前達はもう休んで居てくれ。 後は俺達が
サトシも異常な速度でグラードン達に向かって駆けて行った。
「親父、助かった。 今の所尊敬はしないけど、感謝はするぜ。」
シルバーがそっぽを向きながらそう言う。
その頭がガシガシと撫で、命が繋がった事に感謝した。