明けて翌日
俺達は朝食を食べ、朝の支度をしてから皆にキスをする。
会場へ向かう前に、分体を作った母さん達を変装させてから屋敷を出る。
ナナミさん達マサラタウン組は先にホテルに戻り、母さんの分体達と合流しているので不在だ。
今日はシゲルとの再戦だ。
気持ちが昂る。
カントー、ジョウトの四天王やジムリーダー、他にも色んな美女や可愛い子達を引き連れて歩く俺は、中々に目立っていた。
今日の大会を見に来たファン達が、俺に羨望の眼差しを向けている。
そうやって彼女達を引き連れて歩いていると、グリーンさんに会った。
変装中だが、母さんとブルーは他の人達の影に隠れる。
「おぉ〜おぉ〜。 女を侍らせて大会に来るたぁ、良い御身分だな、おい!」
「おはようございます、グリーンさん。 シゲルとの再戦、楽しみですよ!」
「今のシゲルは強いぜ? そうやって女侍らせて悦に浸ってちゃ〜負けるかもしれねぇぞ?」
「俺も色んなポケモンを捕まえて鍛錬して来ましたからね。 セキエイ大会の時の俺より強いですよ?」
そんな俺の言葉に、グリーンさんはニヤニヤと笑う。
「シゲルもな、あの時の俺以上に鍛え上げてんだよ! ま、今のシゲルの実力を楽しみにしてな! 俺が鍛えてやったんだぜ!」
そうやって話していると、分体の母さん達を引き連れたナナミ達が合流して来た。
「あ、グリーン! 来てたのね。 もし良かったら、私と観戦しないかしら?」
分体のブルーがグリーンさんを試合観戦に誘っている。
その上、グリーンさんの腕を掴んで、自身の胸に押し付けていた。
「へぇ〜… 女を侍らせて云々言ってたのに、お父さんもラブラブじゃない! 娘の前で見せつけてくれますね〜!」
そう言ってリーフがグリーンさんを茶化している。
そんなブルーの行為に、グリーンさんも満更じゃなさそうだ。
「取り敢えず俺は控室に向かいます。 シゲルとの再戦、楽しみにしていますよ。」
「ま、まぁお前も頑張れよ! じゃあな!」
グリーンさんは若干照れながら俺達と別れる。
皆も観客席へと向かい、俺は控室へと向かった。
「サトシ選手、バトルコートへ入場お願いします。」
大会スタッフからお呼びがかかったので、バトルコートへ向かう。
この手持ちならば、シゲルがどれだけ鍛えていようと勝てる。
そう確信出来るメンツを揃えた。
シゲルも見た事無いだろうポケモンを持って来てるから、対策しようが無いだろう。
シゲルとの再戦も、もう間近だ。
逸る気持ちを抑えつつ、入場口へと向かう。
入場口に着くと、多くの歓声が聞こえてくる。
久々の感覚だ。
俺は両頬を叩いて気合いを入れた。
さぁ、楽しいバトルをするか!
入場口を出ると、満員の観客席が見える。
リーフ達は彼処か。
リーフ達の丁度真反対には、グリーンさんとブルーが仲睦まじい様子で此方を見ている。
これからは上手くやってくれよ?
そう心の中でグリーンさんに激を飛ばす。
バトルコートに辿り着いたが、シゲルはまだ来てないようだ。
手持ち無沙汰に観客席を見回してみる。
おぉ〜、彼処に居るのはコハルとゴウか?
コハルにもいずれ会いに行かないとな。
お、彼処に居るのは舞妓さん達か。
遠目からでも美人だとわかる。
リーフ達が言っていた演劇も見に行かないとな。
彼処に居るのはマツバさんとミナキさんか。
相変わらず仲のよろしい事で。
そうやって見回していたら、シゲルがやっと来たようだ。
お、白のスーツに黒のシャツか。
中々キマってんじゃん。
おしゃれだな〜と思いながら、シゲルがバトルコートに着くのを待った。
観客席の方では、セキエイ大会では居なかった、シゲル応援団(女性)がシゲルを応援している。
へぇ〜…可愛い娘ばかりじゃん。
「よぉシゲル、お疲れさん。 かなり鍛え上げて来たんだってな? 楽しみにしている。」
「サトシ、僕は1年前に比べて、鍛えに鍛え上げて来た! 今の僕なら、サトシ! 君を倒せる!」
「へぇ〜…。 ま、
俺とシゲルはモンスターボールを手に取り、構えた。
「それでは準決勝第1試合、サトシ対シゲルの試合を始めます! 両者構えて、バトルスタート!!」
「行け、イワーク!」
「行くよ、バンギラス!」
俺のクリスタルイワークに対するは、バンギラスか。
バンギラスの特性により砂嵐になるが、イワークには効果が無い。
砂嵐の中でも目立つクリスタルのイワークに、観客席も大盛り上がりだ。
俺のイワークに、シゲルも驚愕の表情を浮かべる。
「な、何なんだい!? そのイワークは!?」
「恐らく世界に1匹だけの特別なイワークだろうな。 珍しいだけじゃなく強いぜ?」
「イワークは、いわ・じめんタイプだが…恐らくアイツは違うだろう…。」
シゲルは初見のイワークをもう考察し始めているようだ。
取り敢えず的を絞らせない作戦で行くか。
「アイアンローラー!」
「っ!? じしん!」
クリスタルイワークの素早いアイアンローラーで、バンギラスを襲う。
だが、返しのじしんがイワークを打ち据える。
ダメージレースでは互角か。
クリスタルイワークもイワークに比べればこうげき値は高いが、ハガネール程では無い。
それでもこうげき種族値134のバンギラスと拮抗出来るのは良かった。
攻撃自体の威力差を加味してもな。
至近距離まで近付けたのも良い感じだ。
「アイアンヘッド!」
「ほのおのパンチで迎え撃て!」
それはマズい。
「しめつける!」
「え!?」
まさか俺からそんな低威力の弱い技の指示が来るとは思わなかったシゲルが、呆けた表情を浮かべた。
イワークはアイアンヘッドを中止し、バンギラスの横をすり抜ける。
そして、バンギラスの腕を胴体ごと自身の体で締め付けた。
だが熱気に当てれ、イワークも苦しそうだ。
なので、此処で決める。
「アイスハンマー!!」
「何!?」
締め付けている尻尾を凍らせ、熱気を相殺する。
そして、頭を地面にアンカーのように食い込ませ、バンギラスごと尻尾を天高く持ち上げ、地面に叩き付けた。
脳天からなすすべもなく地面に叩き付けられたバンギラスは、目を回して倒れた。
「バンギラス、戦闘不能! イワークの勝ち!」
「…そのイワーク…こおり・はがねタイプかい?」
お〜流石にバレるか。
「さぁ、どうだろうな。」
「ふっ 僕の目は誤魔化せないよ。 ならば、コイツだ!」
シゲルが2匹目に出したポケモンはブーバーンだ。
無駄に突っ張る必要も無いか。
「みがわり!」
「戻れ、イワーク。 行け、スイクン!」
俺が戻している間に交代読みのみがわりを置かれた。
だが、スイクンを出した事にもシゲルは驚く。
ついでにミナキさんも驚いていた。
「確かみずタイプだった筈… 10まんボルト!」
「しろいきり!」
傍目には殆ど意味の無い行為に見えるだろう。
だが、今のフィールドには砂嵐が吹き荒れている。
そこに白い霧を生み出せばどうなるか?
「み、見えないぞ!?」
確かにスイクンに10まんボルトは当たった。
だが、スイクンの特防はタイプ不一致の弱点ダメージ程度、ものともしない。
スイクンは静かに走りだし、ブーバーンとシゲルに位置を悟らせない。
「なみのり!」
「クソッ! 攻撃が来る方に10まんボルト!」
そう。
普通なら面で大波が来ると思うだろう。
だが、俺のスイクンのなみのりは
みがわりなんざ関係無いとばかりに全方位から大波が来て、ブーバーンは大水の中で窒息しながら錐揉み回転する。
大波が消え去り、バトルコートから弾き出されたブーバーンは、白目を剥いて口から泡を出して戦闘不能になっていた。
「ブ、ブーバーン、戦闘不能! スイクンの勝ち!」
「いくら伝説って言っても…此処まで強いとは…!」
普通ならこんな芸当出来る筈も無い。
だが、普通になみのりを使えば回数をこなせる事を、回数を多量に減らして一気に解放しただけだ。
ゲーム風に言えば、15回使えるなみのりを、この技として使えば3回程度しか使えない。
見切られたら対処も出来ない事も無いしな。
そして、フィールドの砂嵐が晴れ、白い霧のみが残った。
「ほら、次を出せよ。」
「くっ…! エレキブル!」
此処で相棒を出すのか。
俺は今回、セキエイ大会で使用したポケモンを1匹も選出していない。
「戻れ、スイクン。 行け、リングマ!」
リングマとエレキブル、重量級の戦いの火蓋が切って落とされた。