少女はポツポツと語る
「私のお母さんってこっちには無いと思うんだけど、サイホーンレースのレーサーをしているの。 それでね、私もレーサーになりなさい!ってやらせて来るんだけど…イマイチ私のやりたい事って感じじゃないのよね。 それでも嫌々やってるんだけど、お母さんに比べてそんなに上手じゃないし… 私は私のやりたい事をしたい!って思うんだけどね… そのやりたい事すら見つけられて無い今の状況に悩んでるんだ〜…」
今の言葉で確信する。
やっぱりこの少女はセレナだ。
あの時、サトシは何と言って励ましたんだっけ。
もう記憶もあやふやで思い出せない。
思い出せない事を無理に捻り出す事も無いと諦め、今の俺の言葉で返す。
「そうなんだ。 俺は親がこうだからって自分を蔑ろにしちゃダメだと思うな。 親子だからとか兄弟だからって強制するもんじゃないって思うし、それに従わなきゃいけない訳でも無いって思う。 そりゃ道理に反する事をしてるなら矯正も必要だけどな。 親も子も一人の人間だ。 血の繋がりが有っても、言ってしまえば他人だよ。 君は自分のやりたい事をまず見つけてから、ゆっくりとその道に励むと良いと思うよ?」
そう言って微笑む
「そっか…そうだね! ありがとう! 何か気持ちが軽くなったよ!」
そう少女は言うと、ハッとした表情で何か思いついたように語る。
「あ! そういえば私の名前言って無かったね! 私セレナ! カロス地方アサメタウンのセレナよ! よろしくね! えっと…」
と、セレナは思案顔をしている為、俺も自己紹介をする。
「あぁ、よろしくなセレナ! 俺は此処マサラタウンのサトシって言うんだ! 改めてよろしく!」
そう言って手を差し伸べる
その手を見て、セレナは手を差し伸べ握手をする。
「サトシね! よろしく! 本当にありがとう!」
セレナは吹っ切れたようなので次の話をする。
「セレナはもし旅に出るとしたらどうしたいんだ?」
そう言うと、セレナは う〜ん… と悩み始める。
「ん〜 今は特に何がしたいってのは無いかな? サトシは何かしたい目標とか有るの?」
そう言われた為、俺は俺のしたい事を言う。
「可能な限りのポケモンをゲットして、育てて強くして、色んなジムを攻略して何処かのリーグでチャンピオンを倒す!が当面の目標かな! そしていずれは父さんを倒す!」
そう言って俺は握り拳を天に突き上げる
「アハハハ! 何それ凄いね! チャンピオンを倒すなんて! それにチャンピオンを倒した後にお父さんを倒すなんて順序が逆じゃない?」
そう言って笑うセレナ
「いや、全然逆じゃないぞ? 寧ろ各地方のチャンピオンを倒すなんて通過点だよ。 何せ俺の父さんは世界一強いし。」
そう俺が言うとセレナは絶句する。
「サ、サトシのお父さんって、も、もしかして、あ、あのレッドさんなの!!!????」
そう言ってセレナは今度は絶叫する。
まぁそんな反応になるよな普通。
あの父さんのバトル、普通じゃねぇもんな…
「あぁ、そうだぞ? だから言ったろ? チャンピオンなんて通過点だって。」
「う、うん、そうだね… 私の地元で最強のチャンピオンのカルネさんが、レッドさんのピカチュウ一匹になす術なく全滅させられた時はカロス地方全体がお通夜状態だったもん。 カルネさんもあのバトルから暫くの間、チャンピオン業務にも支障が出たらしいし。」
えげつなかったよな、あのバトル。
カルネさんの自慢のフェアリー軍団が父さんのピカチュウ一匹に手も足も出ないまま、次々と地に伏せて行くのを見せられた時は、実況も観客もドン引きしてたな。
父さんのライバルであるグリーンさんですら、引き攣った笑みを浮かべるしか無かったし。