飲酒描写が有りますが、未成年での飲酒はダメですよ〜
「むっ…サトシか。 ワシ達を待っていたのか?」
振り返ると、タライとタオル等を持ったデンボクさんとムベさんが居た。
「はい、待っていました。 たまには男3人でゆっくりしませんか? あ、温泉に浸かりながら一献やりますか?」
酒を呷る所作をしながらデンボクさん達を見る。
「うむう。 それも良かろう。 お前もイケる口か?」
「そこそこですね。 お酌しますよ。」
「うむう。 では参ろうか!」
デンボクさんとムベさんは少し朗らかな笑みを浮かべ、温泉施設へと入って行った。
俺も続くように入り、衣服を脱いで既に用意しているタライと酒を手に持った。
「前も思ったが、凄まじい体付きよな。 とても14の
「そうじゃな…其奴のような使い手はまず居らんじゃったろうな…。」
「俺もかなりの鍛練を積み重ねましたから。
そう言ってデンボクさんとムベさんの目を見る。
お前達の正体を知っているぞ、とでも言うように。
「ほう…面白い小僧よの。」
デンボクさんとムベさんから闘気が溢れ出す。
中々に濃密な闘気だな。
そこで俺はパンッと柏手を打ち、空気を切り替える。
「さっ、そんな事より早速温泉を堪能しましょう。」
俺は踵を返し、タライと酒の乗ったトレイを持って温泉へと向かう。
そんな俺の行動に虚を突かれたのか、デンボクさん達も苦笑しつつ俺に続いているのが気配でわかる。
「ぶあぁ〜はっはっはあぁ〜!! サトシも中々にイケる口やないか!」
「ほれっ! お主も一献!」
「頂きましょうか。」
デンボクさん達の背中を洗い流し、月見酒と洒落込む。
最初に持ってきた酒は随分と前に空っぽになり、ヨネ達に頼んで持ってきて貰っている。
何度も酒を飲み交わしながら親睦を深める。
デンボクさんも酔いが回って来ているようで、コガネ弁が出ているな。
ムベさんが徳利を俺に差し出して来たので、お猪口で酒を貰う。
並々に入った酒をグイッと一気に飲み干し、俺もムベさんとデンボクさんに徳利を差し出す。
ムベさんとデンボクさんお猪口に酒を入れると、2人も一気に飲み干した。
「して、サトシよ。 お前は実の所、何処から来たんや?」
「信じられないとは思いますが、実は遥か未来からアルセウス様…シンオウ様により此方に来ました。 デンボクさん達は本当は俺が来た事でキング達が荒ぶったと思っているんでしょう? それは違いますよ。 このままキング達が荒ぶる事すら無ければ…人がポケモンと寄り添う事がこの先無いからだと思います。 俺が居た未来では人とポケモンが寄り添い合い、ポケモン同士でバトルし合ったり、家族のように接していました。 そんな未来に比べてこの時代はどうですか? ポケモンの事を知りもせずに魔獣扱いしていませんか? 確かにポケモンは人より強大な力を持つ個体も居るでしょう。 時に怒れるポケモンにより、人死にも出るでしょう。 けれど、それは人同士でも同じでは有りませんか? 人同士が恨みや憎しみ、その場の衝動で他人を殺害する事だって有りますよね? ポケモンにも感情が有るんですよ。 今すぐ何もかもを忘れてポケモン達を受け入れろとは言いません。 ですので、俺が責任を持ってヒスイのポケモン達を調べ尽くします。」
そう言って、酒をグイッと呷る。
デンボクさん達も過去の事を思い返しているんだろう。
先程から沈黙している。
「…まぁ、確かにそうやな…。 だが、ワシは実際に妻を…同胞達を怒れるポケモンによって殺された。 それでもポケモン達と寄り添い合えと?」
やはり、デンボクさんとムベさんの同胞は殺されていたようだ。
俺の周りにポケモンにより殺された人は居ない。
だからそんな俺の言葉では軽くなってしまうが、今のままでは未来のようには成らない事も事実だ。
この過去を未来に繋ぐ為には、時間がかかっても変えなければならない思想だろう。
「時間がかかっても仕方無いです。 確かにポケモンは強い生き物ですし、畏れを抱く気持ちもわかります。 俺はデンボクさん達のようにポケモンから襲われて死んでしまった知人も居ません。 ですが、いつまでもポケモンの事を知ろうとしない事には異を唱えますよ。 ポケモンの事を知り、良きパートナーとして、良き友として関係を築いて行った方が良いと思います。 …シンオウ様だってそう思っている筈です。 その為に俺はシンオウ様の御力で此方の世界に来たんですから。」
デンボクさん達は暫し考え、意を決したのか酒をグイッと呷って決意を込めた瞳を俺に向ける。
「ワシ等も少し意固地になり過ぎた…。 妻を…同胞を殺された故にな…。 確かにポケモンが殺したのは事実だが、サトシの言うように、人とて人を殺す事も有る。 ましてや言葉を交わす事の出来ぬポケモンなら尚更な。 で有るからには、ワシ等ももっとポケモンの事を理解せねばなるまい。 サトシ! お前の力を貸してくれるか?」
「そうじゃの。 デンボクと言う通りじゃ。 何故荒れ狂うのか知りもせずにポケモンの事を悪と決めつけるのは良くないな。 サトシの調査隊としての、未来から来た人間としての力を貸して欲しい。 …分かり合えぬままというのも味気無いしの…。」
「俺に任せて下さい! 皆にも、ポケモンの事を良く知って貰いたいのでね! それじゃあそろそろ上がりましょうか。」
その後、イモヅル亭に3人で向かい、蟠りを無くすように夜遅くなるまで飲み明かした。
その途中、デンボクさんから明日には純白の凍土にいる最後の荒ぶるキング、クレベースを鎮めて欲しいと依頼された。
少し酔いが回って来たので軽く了承し、翌日に持ち越さないように楽しく飲みながらイモモチを食べた。