翌朝、ヨネ達には呉服屋へ向かって貰い、採寸をして貰う。
カイとシマボシは俺と共にギンガ団本部に、ヒナツは理髪店に、ショウはラベン博士の元に、ガラナは群青の海岸に向かう。
シマボシは部屋に入るなり絶叫を上げ、何事かと思えばケムッソが居たようだ。
いつもの凛々しい顔が崩れ、本当に怯えている表情を浮かべている。
そんなシマボシに苦笑しつつ、ケムッソを捕まえてあげた。
そして、改めてデンボクさんの居る部屋へと向かうと、セキさんが居たので挨拶をする。
「おはようございます。 デンボクさん、セキさん。」
「うむう! おはよう! 昨夜はありがとうな。 久方ぶりに胸のつかえが取れた気分だ。」
「おはようさん、サトシ、カイ。 何だ? デンボクの旦那、何か有ったんで?」
「サトシの手によって、このコトブキ村にも温泉が引かれたからな。 それでゆっくりさせて貰ったのだ。 コトブキ村の住人もサトシの事を評価しているぞ!」
「へぇ〜… 温泉ねぇ〜… 楽しみだな!」
「温泉、凄く気持ち良いのよ! 病み付きになっちゃうかもね。」
「コンゴウ団のヨネにも手伝って貰ってるんですよ。 キャプテンとしての仕事もしつつ、温泉宿の女将もして貰う予定です。」
「へぇ〜…中々似合いそうだな! 良いぜ! デンボクの旦那! 後で行きましょうや!」
「うむう! 行こうか!」
デンボクさんからも険が取れたようで何よりだな。
やって良かったよ。
「して、サトシよ! 今日は昨日言っていた通り純白の凍土にて、雪原キングのクレベースを鎮めて貰いたい! オヤブンクレベースよりも遥かに巨大だが…サトシなら出来るな?」
「任せて下さい! ばっちり熟して来ますよ! デンボクさん達は大船に乗った気でいて下さいね! ゆっくり温泉でも入って吉報を待っていて下さい!」
団長室を出て、シマボシに挨拶をしてから早速、純白の凍土へと向かう。
門前に到着すると、ラベン博士とショウが待っていた。
ラベン博士は純白の凍土の雪原キング、クレベースは被害者を出していないので有れば、介入する必要は無いのではと言っているが、俺はそうは思わない。
「博士、例の雷によって荒ぶったクレベースが、苦しんでいないとお思いですか? 俺が行って苦しみから解放させてあげないと、いつまでも雪原キングは苦しみっぱなしですよ。 可哀想じゃあ有りませんか。」
「そうですよ! クレベースは超大型のキングです! 雪崩の可能性だって有りますよ?」
「そうは言ってもですね〜… 雪崩に関しては、他のポケモンだって引き起こせる事ですし、何よりサトシ君がそんな危険な任務を受ける必要が有るのかどうか…。 荒ぶる事が苦しんでいるって事なのか何なのか、時空の裂け目との関係も不明ですしね…。 デンボク団長にとって、キングを鎮める事や、ポケモンの調査とは何なのでしょうか?」
「ご心配ありがとうございます。 ですが、俺はキング達が苦しんでいると確信していますよ。 見ていて、実際に戦ってそう確信しました。 そんなキング達を苦しみから解放するのは、俺にとって使命であると思っています。 そんな彼等を鎮め、ポケモン達の調査を行い、実態を知る。 そして、そんなポケモン達の事を、魔獣ではなく、家族のように思えるようにする事も、俺が此処に来た理由…なんでしょうね。」
「そうであってほしいものです! 僕は誰もがポケモンと仲良くする未来の為に調査をしているのです! おっと! それでは僕達はサトシ君のサポートをしますかね!」
「サトシさん! 行く前に腕試しをお願いします!」
「良いぜ!
ショウはあの時よりかなり強くなっていた。
ポケモン達のレベルも、指示の正確さも、何もかもが高レベルに至っていた。
普通にヒスイのトレーナーでも上澄みくらいにはなっている。
ウォロやデンボクさん、ムベさんとは戦った事が無い為、わからないが、かなり良い線行ってるだろう。
俺からのトレーニングや、女達同士でのトレーニング等もしているのだろう。
ショウの頑張った成果が見れて満足だ。
カイと共に純白の凍土へと辿り着いた。
遅れてセキさんも来たようで、温泉の感想を聞いた。
セキさんも中々気に入ったようなので、此処にも温泉が有る事を伝えると、楽しみにしていた。
カイはいつも通りの服装で見ているだけで寒そうだが、これでも暑いくらいらしい。
どうなってんだ? この体は。
俺も耐えれない訳では無いが、アルセウスボールから漆黒のロングコートを出して羽織る。
カイからもカッコいいと好評らしいので、此処ではこのコートをずっと着ていようかね。
ハマレンゲというカイの先生を紹介して貰うと、質問された。
「私はハマレンゲ! シンジュ団のキャプテンを務めております。 お前さんがギンガ団のサトシさんですね。 お前さんに問いたい。 何故クレベースを鎮めるのです?」
何故鎮めるか、答えは決まっている。
「荒ぶっているからですね。」
「更に問います。 荒ぶる事の何がいけませんか?」
「今まで俺は森キング、峠クイーン、島キング、洞窟キングを鎮めて来ました。 彼等、彼女等は荒ぶっている最中、ずっと苦しんでいましたよ。 その苦しみから解放するのが俺の務めで有ると思っております。」
「雪原キング、クレベースは誰にも、どのポケモンにも迷惑をかけておりませぬぞ!」
そこでカイが口を挟む。
「ハマ先生! 熱くなってるよ! 確かにクレベースは大人しく、何ら問題を起こしておりません。 ですがあの巨体。 いつ暴れるのかという皆の不安を取り除くのも務めでは?」
「有る、有る…一理ある…だが、それなら私達でこの者を確かめねばならん。 能書きはどうでも良い。 ほら、ポケモン出そうや!」
「では、
ハマレンゲさんのユキメノコとオニゴーリを燃やして砕く。
そこそこ強かったが、ショウの方が断然強いな。
「あれだよ、あれ。 お見事だよ! 硬い氷を砕きやがったな!おい! お前さん達、この人は大丈夫だよ!」
「ありがとうハマ先生! そうなの、サトシさんは空から落ちてきて怪しむ人もいるけど、私は信じているの!」
「クレベースを鎮めるなら、永遠の氷を得て、キング場に来ると良いでしょう!」
そこでセキさんが口を開く。
「永遠の氷を集めるならウォーグルの空を飛ぶ力が必要でな、細かい説明は省くが、ワサビって娘を探してくれ。」
セキさん曰く、ワサビは中々トンでいるらしい。
ハマレンゲさんハマレンゲさんで、この巨大な氷塊を後2メートルの所まで自力で登れたんだとか。
俺も後で試してみようかな?
すると、ワサビが俺の背後の氷塊の上に現れた。
「千里眼で見えちゃった! あたしと鬼ごっこだよね! あたしの所まで来れるかな?」
さぁ、楽しい鬼ごっこでもしようかね。