※この作品はR-18です。

サトシの野望   作:イマクニ

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第212話

 

 

 

 ワサビの身を清めてあげ、コートに包ませて寝かし付ける。

 「サトシさ〜ん」と寝言を言いながら、ぐっすりと気持ち良さそうに眠るワサビを残し、ウォーグルの下へと向かった。

 ウォーグルの下へと辿り着くと、呆れたような視線を向けられた。

 まるで、俺を置いて盛ってんじゃねぇよ。とでも言いたそうな瞳だった。

 すまんと謝り、俺は何をすれば良いかを訊ねると、自分と戦う事を願った。

 それも、ウォーグル自ら俺のポケモンを指定した。

 ウォーグルが選んだポケモンはリングマだ。

 リングマは自身が入ったボールを気安く突かれ、御立腹のようで、鋭い眼光でウォーグルを睨めつけると、ウォーグルも「やんのかコラ!?」とでも言いたげな鋭い目で、リングマと睨み合う。

 俺はリングマの好きなようにさせようと、その戦いに指図はしない。

 こういう己の意地と意地のぶつかり合いにトレーナーが介入する必要は無いだろう。

 

 ウォーグルはいきなりオーラウィングをリングマの急所に当て、更にオーラウィングの効果で素早さを上げる。

 だが、リングマもタダでヤられるような柔な鍛え方はしていない。

 リングマは羽の一撃を受け、ウォーグルの足を掴んで旋回する。

 ウォーグルも只事じゃない状況に錯乱し羽をバタつかせるも、リングマの力は尋常では無い。

 リングマはウォーグルに目の回るような旋回を体験させ、神殿の柱にウォーグルを叩き付ける。

 背中から柱に強打し、ウォーグルも目を回しながら何とか立ち上がろうとするも、視界が揺れているのか何度も崩れ落ちる。

 その間にリングマはウォーグルに歩み寄り、拳に電気を纏い、振り被る。

 ウォーグルは万事休すの状況に諦め、目をギュッと瞑ったが、リングマはそこでバトルの勝敗が決したと見るやいなや、拳に纏った電気を霧散させ、ウォーグルを立ち上がらせた。

 ウォーグルはリングマの行動に困惑しつつ、立ち上がった。

 そして、ウォーグルもリングマの強さに感服したように一鳴きし、リングマと戯れる。

 どうやらリングマの事を兄貴分として慕っているようで、リングマも満足気にしている。

 そして、そんなリングマを従えている俺にも服従する意思を見せた。

 戦ってくれたリングマと、服従の意を示したウォーグルをあやしていると、ワサビが起きて来たようだ。

 

 「あっ、サトシさん。 もう終わったんだね! サトシさん凄いなぁ〜♡ 全てにおいて、あたしより凄いんだ! それじゃあわかっているとは思うけど、笛を吹いてみよう!」

 

 ワサビの音色に合わせて俺も笛を吹く。

 ウォーグルは俺の旋律を心に刻み込み、おおぞらプレートを俺に渡して来た。

 それをすぐにアルセウスボールに収納した所、セキさんが此方に来た。

 

 「ワサビよ、ありがとうな。」

 

 「ウォーグルもサトシさんとあちこち飛べて楽しいんじゃない?」

 

 「そうか。 それなら良いよな! 人とポケモンが寄り添う世界か。 …なぁ。 どうして時空の裂け目からの雷でキング達は荒ぶる? シンオウ様はお怒りなのか? 試しておられるのか? 何か試練なので有れば、最後のキング、クレベースを鎮めれば、裂け目が開いている必要もねぇよな。 …もっとも、試練を熟しているのはヒスイに住んでいた俺等じゃなく、ギンガ団のアンタだけどな…。」

 

 神妙な表情を浮かべるセキさんを見たワサビはクツクツと笑う。

 

 「何、知恵者の真似事をしてるの? セキさんは考えるの苦手でしょ?」

 

 ワサビの煽りにセキさんは小っ恥ずかしそうに、やいのやいの文句を言う。

 そして、セキさんは俺に付いて行けば、必ずシンオウ様に会えると確信したようだ。

 

 「必ずお会いさせますよ。 俺がシンオウ様をこの地に顕現させてみせます。」

 

 「頼むぜ! それじゃあ大空を羽ばたいて来いよ! 永遠の氷、忘れずにな!」

 

 「サトシさん! あたしも行く!」

 

 「あ〜…ウォーグルは大丈夫か?」

 

 一応ウォーグルに訊ねてみるが、問題無しと一鳴きした。

 急遽、ウォーグルライド用の木枠をクラフトし、ウォーグルに掴ませる。

 そして、ウォーグルの背にワサビが乗り羽ばたいて宙に舞い、俺は木枠に跳躍し捕まる。

 大空を滑空しながら飛び、氷塊へ向けて行った。

 

 

 

 氷塊の上に辿り着き、永遠の氷を入手すると、ハマレンゲさんが自力で登頂したようだ。

 ハマレンゲに永遠の氷を手渡し、準備している間に氷山の戦場に向かう。

 道中で色んなポケモンの捕獲と調査をしつつ、時間を潰した。

 

 

 

 氷山の戦場に辿り着き、ハマレンゲさんシズメダマを作成して貰う。

 そして、遂に始まる雪原キングのクレベース戦。

 …本当、頭おかしくなる位デカいな…。

 オヤブン個体のクレベースが赤ん坊に感じられる程にデカい。

 俺が今まで見てきたどのポケモンよりも格段に大きく、体高や全長も一目でわからない程に大きい。

 俺のホルダーでは先程からクリスタルのイワークがゴロゴロとボールを揺らしている。

 倒すべき好敵手が現れたと歓喜しているのだろう。

 大興奮するイワークを繰り出すも、クレベースと比べたら大きなイワークもミミズのような小ささだ。

 だが、イワークも体のデカさだけが強さの指標では無いとでも言いたげに、ヒスイクレベースの脚を攻撃する。

 俺もシズメダマを何度も投げつけると、こおりのいぶき、ひょうざんおろし、つららばり、れいとうビームを弾幕ゲーもかくやと思わせる程の攻撃を浴びせられるも、俺もついつい楽しくなってアトラクション感覚でクレベース戦に励んだ。

 クレベースも俺の身体能力とイワークの強さに感銘を受けたようで、荒ぶる中に確かな知性を宿した瞳を俺とイワークに向ける。

 他のキング達と違い、完全には暴走していないらしいな。

 キング達をおかしくさせた雷も、あの巨体には完全な効力を発揮出来なかったのか、年の功?で地面に悪い電気を流してしまったのかはわからないが、確かに他のキング達とは違うようだ。

 だが、それはそれとしてこの闘争を楽しんでいるのは、クレベースの目を見ればわかる。

 それならクレベースの気が済むまで付き合って()ろうじゃないか。

 それはイワークとしても同じらしく、先程から特殊技を一度も出していない。

 堅牢な防御力を真っ向から食い破らんと、物理技で攻め立てている。

 原種イワークよりは高い攻撃力を誇るクリスタルイワークだが、中々クレベースも頑強だ。

 その硬い防御力を中々貫けないらしい。

 それでも無傷とは行かず、先程から足元のイワークを嫌がるようにドシンドシンと足を踏み鳴らしている。

 俺もサポートするべく何度もシズメダマを投げつけ、遂にクレベースが崩れ落ちた。

 好機と見たイワークがクレベースの背中に登り、渾身のアイアンテールをクレベースの脳天に振りかぶる。

 激しい轟音を鳴らし、クレベースが崩れ落ちた。

 勝敗が決した事を悟り、ラスト一個となったシズメダマをクレベースに投げつける。

 黄金のオーラが宙に舞い、溶けていった。

 雪原キングは完全に元通りに戻ったようで、俺につららプレートを差し出した。

 ありがたく頂戴し、アルセウスボールに収納する。

 

 雪原キングは俺とクリスタルイワークに感謝の一鳴きを上げ、此処から立ち去って行った。

 ハマレンゲさんから化け物扱いされたが、カイがそれを否定する。

 そして、カイの新たなる目標を聞く。

 相棒のグレイシアの力をもっと引き出せるようになりたい、もっと広い世界を見てみたいようだ。

 それなら、今まで通りショウと訓練すると良いと伝えていると、セキさんも来た。

 セキさんもお互いの信仰するシンオウ様が違うとはいえ、シンジュ団の事も悪く無いと認め合うようになったようだ。

 困難を乗り越え、心境が変化したようだな。

 シンジュ団もコンゴウ団も良い組織なので、手を取り合えるようになってくれると良いな。

 

 俺がコトブキ村に帰る事を伝えると、カイとワサビも付いて来るようだ。

 セキさんがカイの方を見て、俺を見て苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 そんなセキさんの肩をポンポンと叩き、別れを告げた。

 

 

 

 ギンガ団本部

 

 コトブキ村に帰り、2人を俺の家に送り届けてから本部に赴く。

 デンボクさんに事の詳細を話し、任務完了報告を済ませた。

 

 「そうか! でかしたぞ! 流石、未来からシンオウ様の御力で来た者よな! 一つ、ヒスイに安寧を齎してくれた事、感謝する! ありがとう! そうか…明日からは普通の日々が始まるのか…!」

 

 デンボクさんが楽観視しているので、明日から起こるかもしれない事について、釘を刺す。

 

 「ちょっと待って下さい。 恐らくそうはなりません。」

 

 「む? 何故だ?」

 

 「時空の裂け目からただならぬエネルギーを感じます。 恐らくこの夜を越えた頃には、そのエネルギーが拡散されるでしょうね。 そのエネルギーの余波で、昼も夜も無い空になるでしょう。 そこで、デンボクさんにお願いが有ります。 この事態が起こる事をすぐにコトブキ村の住人に知らせて下さい。 この一夜で多大な混乱が巻き起こるでしょうから。」

 

 「うむう…。 あい、わかった。 して、それを伝えてサトシはどうする?」

 

 「俺はギンガ団の端くれとして、これから起こる事件を解決する為に奔走するだけですよ? 今までと変わりませんね。」

 

 「むむっ!? クッ…! ハッハッハッハーッ! 全く…! お前という奴は! ならばサトシ! 儂等もただ指を咥えて眺めているだけはしたくない。 今までも、これからもサトシに頼り切りになる訳にはいかんからな。 儂等は何をすれば良い?」

 

 ふむ…。

 あまりして欲しい事は特に無いが…。

 

 「なら、一つお願いが有ります。 俺が今まで説いていたように、少しずつでも良い。 ポケモンに対する認識を改めるように、コトブキ村の住人に働きかけて下さい。 勿論デンボクさん、貴方も同じです。 その為に、もっと俺も頑張ってポケモンの調査と捕獲をして、今以上にポケモンの生態を詳しく皆にもわかるようにしますので。」

 

 「それくらいならお安い御用だ! 任せておけ!」

 

 「あ〜後…空に異変が有っても、追放処分とかしないで下さいね?」

 

 「サトシを追放? する必要が無いだろう。 シンオウ様に縁有る者を追放なぞしてしまえば…天罰が下るだろうな。」

 

 デンボクさんが身震いしたように腕を抑えるポーズを取る。

 団長室を出て、家に帰る。

 明日から暫く奔走しないといけないからな。

 今日の夜は女達を可愛がってやらないとな。

 

 

 

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