Side ショウ
他の分身達は今頃キネ達を抱いている所だろう。
ユラは…どうなったかは後でわかるだろう。
今俺はショウとデート中だ。
屋台を巡り、色んな催し物を2人で楽しむ。
定番の射的で全ての景品をかっさらったり(勿論ほぼ全て返却した)、屋台でヒスイゾロアークのお面を買ってショウに着けてお面デートしてみたり、ムベさんのイモモチを2人で食べ合いっこしたりとかなり楽しんでいた。
「サトシさん! 私、今とっても幸せです!」
「俺も幸せだぞ。 ショウみたいな可愛い娘とデートしているんだしな。」
「可愛いなんて…♡ ありがとうございます♡ サトシさんもカッコいいですよ♡」
ショウは嬉しそうに俺の腕に抱き着いて紅潮した顔ではにかむ。
そんなショウと楽しくデートしていると、聞き慣れた音が夜空に浮かび上がる。
ヒュー ドーン
「お、花火が上がったな。」
「綺麗…」
周りの人達も花火に注目し、感嘆の声を上げる。
俺はショウを伴い、屋根の上へと上がる。
周囲に隔たりの無い屋根から望む花火は、とても綺麗で見惚れてしまう。
そんな中、俺はショウの表情を覗き込むと、ショウは感動に打ち震えた表情で花火を見上げていて、とても可愛らしく、綺麗だった。
「ショウ…」 「サトシさん…」
どちらともなく声をかけ、お互いの顔が近付く。
そして、お互いを求め合うようにキスをした。
花火の音をBGМに、お互いを求め合う。
ねっとりと、しっとりとお互いに唾液を交換し合い、舌を絡ませ合う。
「サトシさん…♡」
「俺の子を産んでくれるか?」
「勿論です♡ …と言いたい所ですけど… サトシさん… サトシは元の時代に帰るんですよね…?」
潤んだ目をしたショウが、そう問いかけて来る。
俺もいつまでもこの時代に居る事は出来ない。
勿論この時代の女性達の事も愛している。
だが、俺が居るべき場所は、此処じゃ…無い…。
「ショウ達には悲しい事だと思う…だがな、俺は必ず元の時代に帰る。 俺を待っててくれている人達が居るから… ごめんな…。」
母さん、リーフ達、皆の顔を思い出す。
早く皆に会いたい。
なるべく考えないようにはしていたが、俺もホームシックに陥りかけているらしい。
この時代のカントーやジョウトに行っても会えないしな…。
ショウは俯いて涙を流している。
ショウ達としても、俺との別れの時が来るのが嫌なのだろう。
今日まで色々とお世話になったからな。
もうすぐでこの時代に来て1年が経つ。
まだこの時代で成すべき事は沢山有るが、アルセウス様との決戦を経れば、俺は元の時代に帰る事になるだろう。
残った人達にどうすべきなのか、考えないといけない。
俯いて泣きじゃくるショウの肩を抱き、俺も思案する。
未だ泣いているショウを連れて、ショウの家へと向かう。
ショウには家族が居ない。
ショウが小さい頃に、ご両親は既に他界しているらしい。
修行中にそんな事を聞かされた。
ショウからしたら、育ててくれたコトブキ村の人達の事も好きだろうが、俺の事もそれ以上に好きなんだろう。
泣きじゃくるショウを優しく抱き締め、頭を撫でる。
「サトシさん…サトシさん…うぅ…ひぐっ…ぐすっ…」
「ショウ…ごめんな…。」
「行っちゃ嫌です…ずっと側に居て欲しいです… 他の女性達が居ても良いですから…私から離れないで下さい… もう家族が居なくなるのは嫌なんです…」
心に重くのしかかる気持ち。
俺も本当ならショウ達と共に在りたい。
ショウ達と家族になる契りを交わし、死ぬまで一緒に居たい。
でも…俺には…
出来ない
「ショウ、俺は未来で待っているから… ずっとずっと待っているから… ショウも俺の時代に来て欲しい…」
「ひぐっ…うぅ… ふぇ…?」
「俺からアルセウス様にお願いしてみるよ。 ショウの子孫にショウ自身が転生するように。 だからショウには俺との子供を宿して欲しい。 未来で必ず会えるように。 未来で俺達と添い遂げられるように。 …まぁ、ショウがお婆ちゃんになって死ぬ時までに俺への気持ちが無くなったらダメだけどな。」
「大丈夫です…! わかりました…! 必ず…未来でまた会いましょうね!」
ショウは泣き腫らした顔で笑ってくれた。
やっぱりショウには泣き顔よりも笑顔の方が似合う。
「ショウ、俺との間に子供、作ってくれるか?」
「はい! サトシさん…お願いします♡」
Side コギト
「綺麗じゃの〜…」
「未来の技術で作り出した花火ってやつだ。 綺麗なもんだろ?」
「あぁ、そうじゃったな。 此処より遥か未来か… 見てみたいもんじゃな。」
コギトと2人でコトブキ村から離れ、木の根元で座りながら花火を見上げる。
先程まで酒に酔い、コギトらしからぬ言動をしていたが、花火を見た事で正気に戻ったらしい。
「ハハハッ! さっきまで「サトシと離れるのは嫌じゃ〜」だの「もう歩きたく無い〜 おんぶしてくれぇ〜」だの言ってたのにな!」
「わ、忘れるのじゃ! 久方ぶりの酒と賑わいに酔っただけじゃ! それにこの草履、足が痛くて敵わん!」
確かにコギトの両足の親指と人差し指の間が、草履によって傷付いている。
そんなコギトの両足に波導を流し込みながら治療する。
すると徐々に回復して来たのか、コギトは心地良さそうな笑みを浮かべる。
「はぁ〜…気持ち良いな…。 あ、そうじゃ! サトシのポケモンの事、言うの忘れておった!」
俺のポケモンの事?
…あぁ〜、ガチグマとイワークの事か?
「ガチグマとイワークの事について、何か知っているのか?」
「すまんが、あのイワーク? …いや、あれはイワークなのか? あれについては妾にもわからんが… そうじゃ、ガチグマの事は教えられる。 あれは
へぇ~…
あれはアカツキのガチグマというのか。
俺が喚べば来てくれるガチグマと出し比べてみても一回り大きな巨体。
それに通常種のガチグマよりも粗野な印象を受け、より狂暴そうな風貌。
そして…
「通常種のガチグマは物理攻撃に長けているが、アカツキは特殊攻撃に長けている…違うか?」
「あぁ、確かにそうじゃな。 あのディアルガに放った攻撃は『ブラッドムーン』じゃ。 威力が強力過ぎて、連続使用には向かんじゃろうな。 …知らんがの。」
「最後に投げやりかよ! …まぁ、そうだろうな。 『ブラッドムーン』か…。 気に入った!」
「まぁ赫月に会えただけでも僥倖じゃ! その調子じゃと、ヒスイに住まう伝説やらも、いとも容易く捕獲しそうじゃな。」
此処ヒスイにはまだ俺が捕まえていない伝説や、通常種達がかなり居る。
明日から本気で行こうかね。