俺の女達やデンボクさん達に見送られながら出て行く。
特に身重になったショウ達と最期まで一緒に居られない事に対して後ろ髪を引かれる思いが有るが、俺には未来で待ってくれている人達も居るんだ。
いつまでも此処には居られない。
そして、門に辿り着くとウォロとノボリさんが待っていた。
「待ってましたよ。 さぁ、私と一緒に未来へ向かって、出発、進行!」
ノボリさんは帽子のツバを摘みながら、シンオウ神殿を見据えて指差し呼称をした。
「さぁサトシ君、貴方があのアルセウスを従える勇姿を私に見せて下さい!」
そう言うウォロとノボリさんを連れて、槍の柱へと赴く。
ノボリさんもこれまでの間、伝え聞いた話としてある程度元の時代のノボリさんの事を話した事により記憶が戻って来ているようで、早く帰りたそうにウズウズしている。
戻ってからクダリさんと話したいんだろうな。
ウォロはウォロで、アルセウス様との邂逅を待ち侘びているので、闇堕ちした感がスッカリと晴れているらしく、胡散臭さも無くなっていた。
そうして一行は槍の柱へと辿り着いた。
もうすぐこの時代ともさよならバイバイだ。
色んな人と出会い、色んな経験をさせて貰った。
俺の子孫を残す事もしたし、思い残す事は………無い。
「さぁ、カミナギの笛を吹くのです!」
「未来へ向けて、出発、進行!」
「あぁ、今からやるよ。」
皆の期待を胸に、俺は天界の笛を吹いた。
すると、薄っすらと透明な階段が現れ、俺を導くかのように空へと続いて行く。
俺は階段の一段目に脚を置き、安全性を確認してから振り返る。
「それじゃあ行ってくる。」
「はい! アルセウスの事、頼みますよ!」
「私をあの時代に帰らせて下さい! 色々と話したい事が山積みなのです!」
付いて行きたそうなウォロとノボリさんでは有ったが、階段に触れられないのを確認すると、俺を見送る事にしたらしい。
2人の視線を背中に浴びつつ、俺は階段を登って行った。
「やっと此方に来ましたね。 それでは彼等をお返ししましょう。」
アルセウス様に会うなり、アルセウス様が隔離していたスイクン、ラティオス、デオキシスを返却して貰った。
スイクン達も俺を待ち侘びていたようで、俺に会うなり擦りついて来るスイクンとラティオス、そんな2匹を見守るような表情を浮かべるデオキシスと、反応は様々だ。
そんな彼等を一通りあやし、ボールに戻した。
「お久しぶりです、アルセウス様。 さぁ、言葉は不要でしょう。
「ふふっ お互い、言葉は不要ですね。 さぁ、私に貴方の実力を見せて下さい。」
俺とアルセウス様との決戦は苛烈を極めた。
俺はヒスイで編み出したシズメダマをぶつけ合い跳弾させつつ、波導を纏って高速移動や、分身を使った撹乱をしていたが、それはアルセウス様も同様、アルセウス様も神速で移動しながら分身まで生み出し、四方八方からさばきのつぶてを繰り出す。
明らかにゲーム以上の行動に、俺も冷や汗が垂れる。
押せ押せでアルセウス様と
アルセウス様の表情から、余裕が見受けられる。
だが、確実に何度もシズメダマを投げつけているので、アルセウス様も楽しそうだ。
「ふふっ 貴方の実力は本当に高い。 流石はヒスイの王ですね?」
ぶっ!
アルセウス様まで止めてくれよ。
「貴方の実力はわかりました。 では今度は貴方の育て上げたポケモン達の実力も見せて下さい。」
どうやらアルセウス様は俺のポケモン達とも
ならば、俺の育て上げたポケモン達の力を見せてやる!
「良いでしょう! 久しぶりに頼むぜ! スイクン!」
シロガネ大会以来の共闘だ。
スイクンの実力ならば、アルセウス様といえど…。
そう思っていたが、アルセウス様はタイプを電気に変え、さばきのつぶてをスイクンに撃ち放つ。
効果抜群の技を撃たれ、スイクンは自慢の耐久力の上から磨り潰された。
「お前でも無理だったか…。 なら、ラティオス! ひかりのかべ!」
ラティオスには壁張り要員になって貰う。
これで後続が活きる。
アルセウス様は再度タイプを変え、フェアリータイプのさばきのつぶてを繰り出し、ラティオスは壁の上からダメージを受けるが、ギリギリ耐える。
「ラティオス、戻れ! ガチグマ! ブラッドムーン!!」
ガチグマのブラッドムーンがアルセウスを強かに打ち据え、アルセウス様も少なくないダメージを負った。
そして、再度アルセウス様は氷タイプに変化してさばきのつぶてを放つ。
ガチグマも瀕死寸前にまで削られた。
「ガチグマ、戻れ! バサギリ! がんせきアックス!!」
今の俺の手持ちの最強戦力で有るバサギリを投入する。
ディアルガ達とも渡り合えるその実力、見せつけてやれ!
でんこうせっかでアルセウス様に近付き、渾身のがんせきアックスがアルセウス様を袈裟斬りに斬り捨てる。
アルセウス様も苦悶の表情を浮かべ、態勢を崩した。
流石神とも
ストライクの頃から今に至るまで、只管に努力を続ける歴戦の勇士。
だが、アルセウス様もタダではヤられないとばかりに鋼タイプに変化してさばきのつぶてを繰り出す。
その礫を時に受け流し、回避しながら弾幕を躱して行く。
それでも全ては落とせ無かったようで、バサギリもダメージを負った。
「ふふふっ 貴方のバサギリは素晴らしいですね。 この世でも上澄みに位置するでしょう。 ですが、これで終わりです。」
アルセウス様がそう言った瞬間、凄まじい重力が俺達を襲った。
体が一気に重く感じ、俺も思わず片膝を付き、バサギリも両手の斧を地面に付いて堪える。
そこに、2度目となるさばきのつぶてがバサギリ目掛けて放たれた。
今度はバサギリも全弾ヒットし、立ったまま気絶したようだ。
「ぐぐっ…! 戻れ、バサギリ! デオキシス!」
デオキシスは出て来るなり状況を察知し、反転重力波を展開する。
それでも元には戻せないが、先程までよりだいぶマシだ。
「ふふっ 次は貴方ですか。 楽しませて貰いましょう。」