10歳になってから暫く時が経つ
今日も産まれ無いのかな〜とたまごを眺めている。
何か経過を見れたら良いんだが…
あ、そういえば加護で貰ったアナライズってのが有ったな。
よし、たまごをアナライズしてみよう。
『たまご (ピチュー♂ 特性:せいでんき):なかから おとが きこえてくる! もうすぐ うまれそう!』
経過を見たかっただけなのに唐突にネタバレまでしてきた。
ピチューか!
やっぱりサトシと言えばピカチュウだよな!
産まれてくるのが楽しみだ!
そうして眺めていると、たまごに変化が訪れる。
ピキッ! パキッ!
と、たまごに罅が入って行く。
「母さん! たまごからポケモンが産まれるよ!」
そう叫び、母さんを迎える。
「あら、本当ね! 楽しみだわぁ! さぁ、サトシ! 孵化装置から慎重にたまごを出してあげて!」
孵化装置から慎重にたまごを出して、2人でたまごを見つめる。
パキッ! パキリッ!
『ピチュッ! ピチューッ!』
たまごの中からピチューが元気良く飛び出してきた!
ピチューにアナライズをしてみる。
『ピチュー♂(とくせい:せいでんき せいかく:おくびょう) HP:31 こうげき:31 ぼうぎょ:31 とくこう:31 とくぼう:31 すばやさ:31 わざ:ボルテッカー てだすけ いばる いたみわけ』
6V個体か!
嬉しい誤算だ!
それにこのピチューの特徴的な耳!
俗に言うギザみみピチューじゃん!
くっそ可愛い!!
それに本来覚えない筈の、いたみわけまで覚えている!
そして、ギザみみピチューと言えば、このきのみが大好物だろう!
さぁこのウブのみを食べなさい!
そう思いながらウブのみを差し出すと、ピチューはきのみと俺の顔を交互に見て、掴み取り
『ピチュ! ピッチュー!!』
美味しそうに食べてるピチューに俺も母さんもニッコリだ。
可愛過ぎんかこのピチュー!
ピチューの行動に俺も母さんもメロメロだ!
だが可愛いだけじゃないのがポケモンも人間の赤ちゃんも変わらない所だろうか。
俺も母さんもピチューにヘトヘト
色んな物を壊したり、急に放電したり、ちょっと姿が見えなくなると大泣きしたり、寝かしつけた後やっと落ち着いたと思えば夜泣きで何度も起きたりetc.
母さんは慣れてるかと思えば
「サトシの時はこんなに苦労しなかったわよ…」
との事である。
転生者が初の子供だからかな〜
まだ産まれたばかりのピチューをボールに入れるのも可哀想だしな〜
どうしようか。
そう考えていると来客が来た事を告げる呼び鈴の音が聞こえる。
玄関に向かうと、ナナミさんが来ていたので、家に招き入れる。
「こんにちは、サトシ君。 ハナコちゃんも疲れてそうね。 その子が新しく産まれたピチューね? ふふっ 可愛いわね。」
そう言ってナナミさんは、手をピチューの前に出すだけで止める。
撫でないのか?
そう思っているとピチューはナナミさんの手と顔を交互に見て、おずおずと手のひらに頭を擦りつける。
ナナミさんはピチューが行動した事で初めて撫で回す。
優しく丁寧にゆっくりと
そうするとピチューも安心したのか、されるがままになり、遂にはナナミさんの膝の上に乗って寝てしまった。
その後もナナミさんはゆっくりゆっくり撫で続け、完全に寝入った事を確認してから、ピチューのベッドにゆっくりと乗せ、寝かしつけを終わらせた。
手際が良すぎないか!?
俺達があんなに苦労したのに!?
ナナミさんは振り返り小声で話し出す。
「ピチューは産まれたばかりだから、安心と興味を持って欲しいの。 サトシ君達も頑張ってたのはわかるわ。 けど、ピチューに安心を与えられてる? 疲労で興味が疎かになってない? ピチューもそういう感情がわかるのよ? もう少し接し方を変えてみると良いわね?」
そう言ってナナミさんは微笑む。
女神なのか?聖女なのか?
「じゃあハナコちゃん、今日は私もこの家に泊まって良いかしら? ピチューの事、私も手伝ってあげるわ。」
天使の微笑みでナナミさんは言う。
「あ、こちらからお願いしたいくらいです。 どうぞ泊まって下さい。」
こうしてナナミさんが初めて家に泊まる事が決まった。