※この作品はR-18です。

サトシの野望   作:イマクニ

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第70話

 

 

 

 俺は慌てて父さんに駆け寄る。

 

 「父さん! 父さん!!」

 

 揺すってみるも、父さんは目を開けない。

 

 胸から血を大量に流し、大きな血溜まりを作っていた。

 

 止血をと思い胸に手を当てると、心臓の鼓動が無い。

 

 慌てて心臓マッサージをするが、父さんは目覚めない。

 

 

 

 

 「フッフッフ 無駄ですよ。 レッドは確実に死んでますよ。」

 

 「黙れ!腐れ仮面! 父さん! 目を覚ませよ!」

 

 「フッフッフ 無駄な足掻きを。 貴方もすぐにレッドと同じ所へ送ってあげますよ。」

 

 「サトシ! 逃げて!」

 

 母さんの悲痛な叫びが耳に入る。

 

 でも父さんが…!

 

 

 

 「死になさい!」

 

 「サトシッ!」

 

 「少年!」

 

 

 

 パンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は死んだのか…?

 

 痛みは無い

 

 そう思っていると、俺の背中にズシリと重みを感じる。

 

 

 「大丈夫…か…?」

 

 「え…?」

 

 「私の部下が…すまない…。」

 

 

 サカキが俺を庇って、撃たれた…?

 

 

 

 「フッフッフ ハーッハッハッハッ! サカキもこの手で始末した! これで俺は世界を征する男だ!」

 

 

 

 サトシは目の前が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「覚醒せよ。 サトシ。」

 

 「此処は…?」

 

 「ようやく目覚めたな。 中々の修羅場だな。 見ていたぞ。」

 

 そうだ…父さんは…? サカキは…? どうなった…?

 

 「サトシの父、レッドは死の淵にいる。 サカキはまだ処置すれば助かる。」

 

 そうなのか… 俺がもっと周りを気にしていたら…

 

 「あの仮面の男、ビシャスといったな。 アヤツはずっと機会を窺っていたぞ。 サトシが気にしても、レッドが気にしても結果は変わらなかっただろう。」

 

 くそっ! どうにかならなかったのか…!

 

 「あの状況ではどうにもならない。 だが、どうにかは出来る。」

 

 アルセウス様。 お願いします。 父さんの命を、庇ってくれたサカキの命を救って下さい…。

 

 「出来る。 だが、お前の加護を1つ返してもらう。 良いな?」

 

 1つでも2つでも持っていって良いですから! お願いします…!

 

 「良いだろう。 ではさらばだ。」

 

 

 

 俺の視界は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の目の前には父さんが変わらず血を出しながら倒れている。

 背中にはサカキの重みを感じる。

 さっきと同じ状況だ。

 

 「さぁ、あのガキも女も殺したら、後は仕上げだ。 さっさと終わらすとしましょうか!」

 

 

 わかる。

 

 この力の使い方が。

 

 溢れる波導を父さんに送り込む。

 

 死の瀬戸際に居た父さんは、息を吹き返した。

 

 胸に空いた穴も塞がっていく。

 

 父さんの鼓動を感じる。

 

 未だ予断を許さない状況だが、波導の半分をサカキにも送り込む。

 

 「ぐっ…!」

 

 サカキも致命傷から少し回復した。

 

 重症程度まで父さんとサカキを回復させる。

 

 「んっ…サトシ…?」

 

 父さんも目を覚ました。

 

 一先ず安心した。

 

 「父さん、サカキ、待っててくれ。 仇は討つ。」

 

 俺は背中に乗る体勢のサカキを父さんの横に寝かせ、立ち上がる。

 

 「おや、死ぬ覚悟は出来ましたか? じゃあ死ね!」

 

 パンッ!

 

 「遅い。」

 

 弾丸は見て回避した。

 

 「むっ 狙いが外れましたか。 運が良いですね。」

 

 パンッ!

 

 「当たらねぇよ。」

 

 「何をっ!?」

 

 パンッパンッパンッ!

 

 波導を目から脚へ移動

 

 ビシャスへ向かって駆ける

 

 脚から腕へ

 

 「吹っ飛べ!」

 

 ビシャスの顔を思いっ切りぶん殴った。

 

 ミュウツーが俺を吹き飛ばした時以上の速さで壁を何枚も貫き、吹き飛んでいくビシャス。

 

 そこへ俺もビシャスを追いかける為、飛んで行く。

 

 途中、ムサシ達とブルーさん達を発見するも、今はビシャスが優先だ。

 

 何部屋か進むと居た。

 

 仮面も壊れ、素顔の晒されたビシャスの姿。

 

 「ぐっ…うぅ…」

 

 ビシャスの胸ぐらを掴み、上体を起こす。

 

 銃はもう手元に無い。

 

 だが一応他に隠し持って無いか探る。

 

 何やら無線機や隠し持っていた武器も有ったが、全て破壊した。

 

 ビシャスをうつ伏せにさせ、そこらに有ったロープで手首と足首を一括りに縛り上げる。

 

 絶対に抜け出せないように、体も固縛する。

 

 そんなビシャスを引き釣りながら元の部屋へと向かうと、前からムサシ達とブルーさん達、ワタルさん達が走って来た。

 

 皆、口々に俺を心配してくれた。

 

 ブルーさん達も無事で良かった。

 

 ムサシ達はビシャスを見て驚いていたが、歩きながら事情を説明すると、ムサシ達も恨みの籠もった目でビシャスを見る。

 

 

 父さん達の居る場所へと戻ると、既にグリーンさん達の突入メンバーが勢揃いしていた。

 

 グリーンさんも父さんやサカキと同じようにビシャスに撃たれたようで、腕を抑えている。

 

 幸い、グリーンさんも貫通したようで、中に銃弾が残って無かったようなので、俺はグリーンさんの腕を波導で回復させた。

 

 その様子に皆驚いて見ているが、今は父さんの治療が先だ。

 

 急場は凌いだが、まだ父さんは完全に目を覚ましていない。

 

 俺が父さんを治療していると、サカキが話しかけて来る。

 

 「サトシと言ったな。 本当にすまなかった。 だが、そのビシャスが言っていた。 もうじき、此処にビシャスの配下が来ると。 また一つの戦いが起こる。 …そして私の部下がしていた事だが、全責任は私に有る! 私達ロケット団の不手際、本当にすまなかった…!」

 

 まだ痛みが有るだろう体で立ち上がり、俺達へと頭を下げるサカキ。

 

 ムサシ達も慌ててサカキの隣に立ち、フラつくサカキを支えつつ、頭を下げる。

 

 「私達ロケット団が本当にすみませんでした! 人としてしてはいけない行為にまで手を染めて、本当にすみませんでした。」

 

 「ビシャスの仕業とはいえ、俺達ロケット団のした事。 人非ざる行為をして、本当にすみませんでした。」

 

 「ニャー等ロケット団の仕出かした罪、何をしても消えないニャ。 でも謝らさせて欲しいニャ。」

 

 ロケット団が俺達へと頭を下げる。

 

 そこへブルーが口を開く。

 

 「サカキ、アンタが私達を強姦するよう指示したって事じゃあ無いのよね?」

 

 「あぁ、それは誓って言うが、していない。 私は私の野望の為、そしてレッドと戦い、勝つ為にイエローを欲した。 だからイエローを探せとは命じたが、非道な行為をしろとは断じて言っていない。」

 

 「拉致については?」

 

 「それは認める。 イエローを捕らえる為、レッドを誘き寄せる為だ。」

 

 「私はもういいわ。 貴方に何かを言っても何にもならない事はわかってるから。」

 

 そう言ってブルーさんは口を閉じる。

 

 「なら私からも一つ良いかしら?」

 

 母さんも口を開く。

 

 「何故私を必要とするの? 先代のロケット団にも狙われたけど、私の癒しの力をどうしたいの?」

 

 「癒しの力とミュウツーさえ有れば、世界一のトレーナーたるレッドすらも凌駕する。 レッド達には先代の野望を阻んだ為、というのも勿論有るが、私自身の野望でもある、世界征服の野望の為だ。」

 

 「仮に私が捕まっても癒しの力を使わなければ?」

 

 「研究するだけだ。 その癒しの力を他の者にも使えるなら、態々イエローじゃなければならない訳でも無いからな。」

 

 「そう…」

 

 母さんがそう言い終わるタイミングで、父さんが目を覚ました。

 

 「んっ…サトシ…?」

 

 「父さん!」

 

 「貴方!」

 

 生き返った!

 

 アルセウス様、本当にありがとうございました。

 

 「力が漲る。 そんな気がする。」

 

 父さんは、さっきまで死の間際に居たというのに、起き上がり、一点を見つめる。

 

 「新手が来るぞ。」

 

 

 

 

 

 

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