アルラが来てからというもの、自分の性欲の強さに驚かされる日々が続いている。
完全な一人暮らしの時は自慰行為もそんなにしていなかったのに顔もスタイルもいい女性二人と暮らしているからか、毎日一回は甘い時間を過ごすようになっていた。
しかもその二人が俺から誘わなくても隙を見つけて触れ合いを求めてくるタイプだから、より生活がそっち中心のものに変わっていってしまう。
現に今も朝食を終えたばかりなのに俺は息子を曝け出して、プルンと丸出しにされたお尻にぶつけていた。
「ペチペチしてないで早く挿れてよ」
壁に手をついてお尻を向けるマキナが催促してくる。頬が上気していて下の口からも涎を垂らしていた。
昨日の夜も散々絡み合ったのに、朝起きたらすぐ物欲しそうな顔で見つめてきて、キスひとつで身体を火照らせていた。そういうメスらしい一面を見せられると早く応えてあげたい気持ちと、もっと焦らしたい気持ちとの板挟みになって悩んでいるうちに焦らす結果になってしまう。
俺がそうして動かないでいるとマキナはムスッと頬を膨らませる。
その隙にアルラが背後から抱きついてきて俺の唇を奪った。
「マスター、キス……じゅっ…………んぷっ、ぢゅううぅ……はあ。ベロチュー、もっと……じゅるるっ、んぁ……ぢゅるっ、ぢゅううぅ♡」
口内に舌を入れられ蛇が這いずるような動きで蹂躙される。舌、歯茎、歯の一本いっぽんまで撫でられ、こそばゆい。
体をアップデートしてからアルラもマキナに負けず劣らずの積極性を見せるようになってしまった。少し前は射精し過ぎるのも良くないと言っていたのに昼夜問わず搾り取ってくる。仕事が無い日はずっとくっ付いてキスを要求してくるし、もはや俺の健康状態なんか気にも留めていないと思う。加減してほしいなと思いつつ、彼女にまんまと飲み込まれる俺も悪い。
我慢出来なくなった様子のマキナが自分から尻を突き出して竿に当てがった。
「早く……」
泣きそうな顔になっている彼女に少し焦らし過ぎたと反省して、マキナの中にゆっくりと突き入れる。
信じられないほど濡れている鞘にあっさりと奥まで入って、すぐさま腰を動かした。
「ぁ、あ゙っ♡ や、はげしっ……♡ んん゙っ、ぉ……ナオ、飛ばしすぎぃ……♡ あっ、ん、んっ!」
初っ端から早いテンポで抜き差しする。コンコンとマキナの一番奥深くに俺の性器でノックして、それどころか抉って壊すぐらいの勢いで腰を振った。
マキナのお尻がパンパンっと叩かれたかのような音を立てて悲鳴をあげる。膝を震えさせながら快がる彼女に背中から覆い被さるようにして、胸も揉みしだいた。
「ひぅ♡ だめえ……い、今おっぱいはダメって……お゙、あっ♡ そんなにギュッてされたら、ミルク出ちゃうっ。ん、あぅ! あっ♡」
ピンと張った乳首を抓ると乳白色の液体が飛び出て壁を汚した。母乳で汚れた指を彼女の口に突っ込んで舐めさせる。
「んじゅっ、ぱっ♡ ん、はっ、ぐっ♡ す、すぐイク……もうダメ♡ ご、ごめんっ!」
「まだ我慢。俺より先にイッたら今日の夜、相手しない」
「そんなの、やだっ! ……あっ! だ、ダメっ、無理! ホントにイく……イクイクいくっ♡ ああっ♡♡♡」
一層大きく声を上げてマキナの身体が震えた。立つのも困難なほど力が抜けた彼女は壁にもたれ掛かって短く呼吸した。
「はあ、はあ、はあ……♡ ごめんなさい、イッちゃった……。朝からおちんぽ、好き♡」
「もうちょっと頑張って」
「ま、待って、休憩…………お゙っ、ほ♡」
休戦を申し込むマキナを無視して腰を叩きつける。彼女の腰を持って蜜壺を道具のように扱い、息子に快感を与える。達したばかりのマキナはまだ可愛げのあった反応から一変して下品な嬌声まで上げるようになった。
「ぉ、おぉっ♡ んっ、いぐっ♡ っほ……はっ、あお゙っ♡ っふ、ま、また、い゙くっ! んっ、ん゙、っぐ、あぅ……♡」
アルラと唾液を交換しながらマキナに性欲をぶつけてボルテージを一気に高めていく。マキナの中が何度もうねって、あらゆる角度から締め付けてきた。
「じゅるるるっ、んちゅ、はむっ……んんんっ、ぷ! はあ……マスター、そのまま濃いのを出して、次は私に…………ぢゅるるっ♡」
甘い囁きに耳まで刺激され、快感が駆け上がる。
ヒダヒダの一つひとつが纏わりついて、弱いところを容赦なく攻め立ててくる。
男としてこれ以上ないくらいの幸福感を味わいながら、俺は下半身に力を入れて達する直前まで持っていったその時だった。
ガチャリ――。
ドアノブが回る音がして、扉が開いた。
「兄さん。頼みたいことがあるんだけ、ど……」
突然、作業場に妹のシュリが入ってきた。
紺のロングスカートに白のブラウスとシンプルな服装の彼女は、俺と目が合い、信じられない物を見たような顔をした。
その場にいる全員が動きを止めて、誰かが――あるいは誰もが「あ」と声を漏らした。
完全に時が止まった。
息を呑む音さえ聞こえない完璧な静寂が五秒流れて、心底気まずそうに目を伏せたシュリが震えた手でドアノブに手を掛けた。
「し、失礼しました……」
「ち、違うんだシュリこれは……」
「違くない。見なかったことにするから、それじゃ」
「確かに違くないけども! 服着るから待って!」
兄としての尊厳を守ろうと、急いで服を着直す。
多分もう、手遅れだろうけど。
◆
「それでどうしたんだ? 滅多に会いに来ないのに」
椅子に座り直すと何もなかったかのような澄まし顔を貼り付けてシュリに訊ねる。気まずい空気はまるで拭えていないが、無理にでも拭った感を出さないと、一生気まずいままになりそうだった。
シュリもその意図を汲んでくれたのか、知らぬ存ぜぬという態度でアルラの持ってきた椅子に腰を下ろす。
「実家のパソコンが調子悪くて、兄さんに見てほしい」
「そっか。あれも結構年数経ってるしな。それで?」
「それでって、何?」
「他に用は?」
「ないけど」
「……わざわざパソコン直してって伝えに来たのか? スマホで連絡してくれれば済む話なのに」
直接会いに来てまで頼むようなことじゃない。もっと大事な話かと思ったのに拍子抜けだった。
するとそんな俺の顔を見てシュリは言いづらそうにしながら小さく口を開く。
「……父さんが引っ張ってでも連れて来いって。兄さん三年くらい家に帰って来てないでしょ? いい加減顔見せろって言ってた」
「あー……」
もうそんなに帰っていないのか。ここから実家まで遠いのもあって全然顔を出していなかった。
思えばこの前シュリとバッタリ出くわしたのも、かなり久しぶりだった気がする。
「一緒に帰る?」
シュリに聞かれてそうするか、と思うと同時に、他の二人が気になった。
「二人で留守番を「一緒に行きます」「私も行く」……まあ、いいけど」
頼めるかと言い終わる前に返事が来た。実家に付いて行くつもりらしい。
「でも今日は帰れないな。依頼人が修理品を取りに来る予定なんだ。明日なら行けるぞ」
「そう。ならまた明日」
それだけ言ってシュリは立ち上がる。
「もう帰るのか? せっかくここまで来たのに……ていうかこんな朝早くにどうやって来たんだ。実家からここまで電車乗り継いで半日以上かかるだろう?」
「超高速タクシー」
「庶民が使えるような値段じゃないぞ?」
スッとシュリが財布から一枚のカードを取り出した。黒地に金の装飾がデザインされた、やたらゴージャスなカード。
「奨学金という名のクレジットカード。学校で一番成績良いから幾ら使っても学校が負担してくれる。返済の必要もない」
なんだそのチートカード。ズルい。俺も欲しい。
「超高速なら一時間ぐらいでここまで来れる」
「そうか。気を付けて帰れよ」
「うん」
「えー、妹ちゃん帰っちゃうの?」
静かに話を聞いていたマキナが名残惜しそうに口を挟む。何故だか知らないがシュリにかなり興味を持っているようで、俺とシュリの会話中、ずっとニコニコと笑って見つめていた。
彼女も妹がいたらしいし、年下が好きなのかもしれない。……今のマキナからすると全人類年下だけども。
「もっとお話ししましょうよ。私とアルラのことも名前ぐらいしか知らないでしょ?」
「そうですけど……」
「さあ座った座った。アルラ、お茶出してあげて」
黙ってその場を離れてアルラが紅茶を汲みにいく。
強引に座り直らされて、シュリは戸惑いながら俺を見た。
「こういう奴なんだ。大目に見てくれ」
「ちょっと。私を無礼者みたい言わないでよ」
「無礼とまでは言わないけど礼儀正しいかと言われたら首肯し難い」
「仕事もあんなに手伝ってるのに、そういうこと言っちゃうんですかそうですか」
「……あの、二人はどういう関係?」
訝しむような目に、俺は返答に困った。
「友達って感じでもないし、同居人としか」
「同居人? 恋人じゃなくて?」
シュリの推測に首を振る。
「違うけど」
「ひどい! 私とは遊びだったのね!」
「だから話をややこしくするな」
大袈裟にショックを受けるマキナの額を指で弾く。痛そうに弾かれた場所を擦るマキナの顔は楽しげだった。人を揶揄ったり、悪ノリするのがとことん好きらしい。可愛いから余計ムカつく。
「マキナさんはなんでこんな所に住んでるんですか?」
「マキナでいい。敬語もいらない。……簡単に言ったら成り行きね。ナオには色々恩があるし、仕事手伝ってるの。私もガジェットとか好きだし、毎日楽しいわ」
「こんな所で修理屋やっても、お金はほとんど入らない。兄さんはともかく、私と同い年ぐらいの女の子がここで暮らしてるなんて信じられない。ご飯も毎日満足に食べられるとは思えないし、他の街に移るのが自然。……怪しい」
マキナがこんな辺鄙な場所で生活している理由が腑に落ちないらしい。眉間に皺を寄せ、険しい表情をするシュリに、俺とマキナは背を向けて小声で話した。
「どうする? 正体バラすか?」
「うーん。バラしたところで特に問題はないんだけど……」
「けど?」
「軽々しくバラすと私の神としての威厳がなくなる」
「もうないんだし大丈夫だ」
「んだと、コラ」
キレるマキナを無視してシュリに向き直り、単刀直入に言った。
「実はな、マキナは神様なんだ」
「……そういうのいいから」
「とりあえず聞くだけ聞いてくれ」
信じる気配が全くない彼女に俺とマキナの出会いについて軽く説明する。
神座を拾ったこと。
神座からマキナが飛び出たこと。
マキナの過去についてはボカしたが、機械の神でありその力で仕事を手伝ってもらっていること。
表情を一ミリも変えず黙って全てを聞いた上でシュリは「で? どこまでが本当の話?」信じてくれなかった。
こうなったら神様らしいことをするしかないと、マキナがシュリの前に手を出す。
「実際見せたほうが早いわね。ちょっとスマホ貸して」
何に使うんだと怪しみながらもシュリはスマホを差し出した。
透明な画面に青いラインで縁取られた板をマキナが手に取る。
「このなんの変哲もないスマホも私の手にかかれば……ん?」
スマホを受け取ったマキナが何かに引っ掛かったようにキョトンと首を傾げた。
「どうした?」
「……なんでもない。とにかくこれをこうすると」
マキナが力を使うとピカッとスマホが光る。そして俺のスマホと同じようにシュリのスマホがその場に浮いた。
「ね? 神様パワーを使えばこんなもんよ」
ふふんと胸を張るマキナに、目を丸くしてシュリは浮かぶスマホを取った。驚いた表情のまま、何度かスマホとマキナの顔を見る。
「本当に神様?」
「少なくとも力は本物だ」
戸惑いつつも、実際に力を目の当たりにして信じる気になってくれたようで、「凄いね……」とシュリは感心していた。
コンコン――。
不意にドアがノックされた。開けるとお得意様の浮浪者が立っていた。
「よお、兄ちゃん。頼んでたの取り来たぜ……ってなんだあ、こんなに女並べて。邪魔したか」
「そんなことねえよ」
強ち間違いとも言えないのが困る。
「直した物持ってくるから少し待っててくれ」
「あー、待ってくれ。それも大事だけどこっちも見てくれ」
浮浪者が外を指差して言った。何があるんだと指された方を見ると、使い古されたバイクが道路脇にポツンとあった。
「遠出する時使ってたんだけどよ。最近調子悪いんだ」
「見るのはいいけど金払えるんだろうな」
「まあまあ。その話は追々な」
分かりやすく話を誤魔化す男に呆れながら、「ちょっと見てくる」と作業場に三人を残して外へ出た。
そんなに古いタイプじゃなさそうだし、マキナもいる。どうにか直せそうだが、やっぱり問題は修理費か。
◆
外へ出たナオの背中を見送ってシュリは紅茶をひと口飲み込んだ。安物の茶葉のはずだがやけに美味しい。メイドよろしくマキナの背後に佇むアルラを見て、その優秀さに舌を巻く。
こんな優秀なアンドロイドと神様が自分の兄とあんなことを……と先ほどの景色を思い出して、邪念を払うようにシュリは頭を振ってかき消した。
「どうかしましたか?」
「……なんでも」
不審がるアルラに言ってクールな表情でティーカップを下ろす。
興味津々といった様子で前のめりに頬杖をつくマキナが、シュリに訊ねた。
「ナオってあまり家帰ってないの?」
「うん。そのうち帰るって言って全然帰って来ない。母さんと仲良くないから顔合わせたくないのかも」
「そうなのですか?」
アルラがやや驚いた反応を見せると、シュリはコクンと頷いた。
「母さんとは進路の話で結構揉めてたからそれからはドライな関係。仲悪い訳じゃないけど、必要がなかったらお互い話しかけない。父さんとは仲良い」
「へー、なんか意外かも。年に一回ぐらいは帰ったらいいのに。兄が帰って来ないってシュリちゃんも寂しいわよね」
「別に。私は兄さんが居ても居なくてもどうも思わない」
「スマホの写真アルバムに『お兄ちゃん』って専用フォルダ作るぐらい好きなのに?」
「ぶっふ⁉︎ ご、ごほっごほっ……! な、ななんのこと⁉︎」
大きく咳き込みながら取り乱したシュリが震えた声を上げる。表情豊かとは言い難い彼女が分かりやすく動揺する姿に、マキナはニヤニヤと笑みを深めた。
「さっきスマホ触った時、記憶見ちゃった。家族写真からナオだけ切り抜いてコレクションしてるってよっぽどよね」
本人が居ないとはいえ、容赦なく暴露するマキナにシュリはパクパクと口を動かしてどうにか言い訳をしようと頭を必死に回すも、聡明な彼女は無理だと悟り、顔を真っ赤に染めながらマキナに懇願した。
「に、兄さんには絶対……」
「言わないわよ」
ニヤけていた顔とは打って変わり、安心させるような優しい笑みのマキナにシュリは心を撫で下ろす。それでも自身の最大の秘密がバレてしまったことに恥ずかしがって、彼女は両手の指をモジモジと絡ませた。
「マスターのこと好きなんですか?」
アルラが容赦なく掘り下げにくる。シュリはどう答えようか迷って、慎重に言葉を紡いだ。
「好きって言っても普通に家族として、兄として、ね。それ以上でもそれ以下でもないし、ましてや男として見てるとかそんなことは一切ないから。うん、ホントにない」
「ナオ居ないんだし、素直に言っていいわよ」
「……ちゅーしたい」
「なんですかこのシス・ブラコン兄妹」
思わず飛び出た本音にアンドロイドが冷たい目を向けた。
ブラコン。シュリはその単語を反芻した。確かに今の自分を表現するとすればその単語が一番しっくりくるが、他人にハッキリと言われるとそのダメージは大きい。世間一般には認められない症状であることはシュリ自身が一番理解していて、だからこそ第三者の指摘が深く刺さる――いや、そんなことより。
「私がブラコンなのは認めるけど、兄さんはシスコンでもなんでもない」
「いーや。あれは相当なシスコンでしょ」
「そんな風には見えないけど。こっちから連絡しないと全然メッセージくれないし、この前会ったときも『あ、居たんだ』ぐらいの反応しかしてなかったし」
「だって、ねえ?」
マキナがアルラに視線を送ると、アルラはやや呆れたような声色でシュリに告げた。
「時々、銀髪で性処理をやらされます」
「そんなの単純に銀髪が好きなだけ。ていうか性処理って……」
「お兄ちゃんと呼ばされたことも何度か」
「えー、きも。終わってる」
「顔、ニヤけてるわよ」
マキナに言われてシュリはハッと表情を元に戻した。
そんなシュリを見て、マキナとアルラはアイコンタクトで会話する。
「(この子……)」
「(かなり末期ですね……)」
シュリのフォルダ以上にハードなシスコンエピソードにも関わらず満更でもないとなると、その症状の深刻さは相当なものだと言える。
それなのに本人の願望が接吻程度なのが一周回って健全なものに思えて、マキナはシュリが可愛く見えた。
「キスぐらい『あーミスった!』みたいなノリでやればいいのに」
「どんなミス? そもそも普通に生活しててそんなに顔が近づくことない」
「そう? 私、結構顔近いことあるけど」
「マキナ様は顔寄せて修理することも多いですからね。……それを抜きにしても、マスターにじゃれついてる所をよく目にしますが」
不満げに目を細めるアルラに、マキナは「ふふん」と笑って見せた。
「機械いじりとか教えてもらえば? それでナオの顔が近づいたタイミングで、ちゅってやっちゃいなさいよ」
「そ、そこまでしてしたい訳じゃないし……」
そっぽを向いて言うシュリに「そっかあ」「そうですか」と二人は微塵も信じていないような相槌を打つ。
シュリは不愉快そうに眉を顰めて、もう一度紅茶を口にした。
◆
明日、四人で実家に向かうことが決まって、シュリはうちで一泊することになった。本人はお茶を飲んだらすぐ帰ろうとしていたが、マキナにダル絡みされて帰るタイミングを失い、気付けば夜まで居着いて、晩御飯まで食べていた。
実家までは俺のビークルで半日かかる。朝早く起きてすぐ出発すると決めて、俺たちは寝る準備に入った。
客人用の布団はないため、シュリは仕方なく俺と一緒のベッドに入った。いつも傍に立っているアルラは作業場に残っている。シュリが眠れないからと、何度もゴネてアルラを追い出したのだが、彼女が居るのが当たり前になっているからか、俺はなんだか落ち着かなかった。
「変なことしたら母さん達にチクる」
「しないって」
当然と言えば当然かもしれないが、めちゃくちゃ警戒されている。シュリはベッドから落ちない程度に俺から離れて、背中を向けて横になっていた。
電気を消しておやすみと声を掛け合って、シンと静まり返る。こうして一緒のベッドで寝るのは何年ぶりだろう。ずっと小さい時以来かもしれない。
不意に背中を向けたままのシュリが言った。
「兄さん、いっつもあの二人とエッチなことしてるの?」
「ま、まあ」
「毎日?」
「ああ」
「セックス三昧?」
「う、うん」
「きも。どんだけ溜まってるの」
「やめてくれ。妹の罵倒は中枢神経に効く」
妹にこんなにハッキリ罵られたのは生まれて初めてだ。想像以上にショックが大きい。
「兄さんも大人だし、そういうことしてても構わないけど、でもショックだった」
「……悪い。作業場でやることじゃなかったよな。それも朝から」
「兄さんは受けだと思ってた。女の人を後ろから突いて喘がせるなんて解釈違い」
「そっち?」
思わずベッドから転げ落ちかける。
「たまたまあの時はマキナを責めてただけで、責められることもあるぞ」
「どっちが好き?」
「どっちも好きだけど、マキナはリアクションいいから、こっちが主導権握ってる方が楽しい」
「やっぱり解釈違い……」
この妹は兄の俺をどういう目で見ていたんだろう。昔から自分のことを話したがらないタイプなのもあって、シュリには謎が多い。
「私の前ではああいう事しないでね」
「流石にそこまで倫理観手放してねえよ」
そんな短い会話を交わして俺とシュリはまた口を閉じた。シュリの呼吸の音だけが耳に入って、いつの間にか俺は意識を飛ばした。
ゴソゴソと衣擦れ音のようなものが聞こえてパッと目が覚めた。闇の中に見慣れた天井が浮かんでいて直感的にまだ夜中だと思った。
寝ていた時間がほんの僅かだったのか、ぐっすりと寝た気がしない。何時だろうと思ってスマホを手に取ろうとすると、またガサゴソと何かが蠢く音。それだけでなく、掛け布団に隠れた足元から這いずってくる何者かを感じた。
目をやると布団が不自然なほど盛り上がっている。そしてその盛り上がりは段々と俺の顔に近づいてきて、胸元まで来ると布団の下から顔を覗かせた。
「起こしちゃった?」
暗闇の中でもその笑顔がしっかり見えた。
「マキナ? 何してるんだ」
「何ってそりゃあ、ナニしに来たのよ」
マキナは悪戯心に妖艶さを混ぜた、子供と大人の間のような表情で言った。
「いやいやいや。隣でシュリ寝てるし今日は無理だって」
隣を見ると寝返りを打ったのか仰向けであどけない寝顔を晒しているシュリがスヤスヤと寝息を立てていた。こんな状況で夜這いに来るマキナの大胆さに驚く。
俺が大人しく作業場に戻るよう伝えても、マキナは楽しげな顔を崩さず小声で言う。
「朝はシュリちゃん来て最後までイケてなかったでしょう? 寝る前に搾り出してあげる」
「ダメだって」
「下の口でしてあげたいけど大きく動くとシュリちゃん起きちゃうからフェラで、ね」
俺を無視してマキナはずり下がると強引に俺のズボンとパンツを下ろした。
布団に隠れた空間で自分のが曝け出された感覚がする。そしてふーっと吐息をかけられた。
「やめっ……」
くすぐったさに膝が動く。俺の反応に気分を良くしたのか、柔らかい吐息は色んな方向から強さを変えて飛んできた。
その攻撃が直視できないからか、自分の身体が敏感になっている。
不意にヌメっとした温かいもので息子を撫で上げられた。先端をチロチロと舐められたと思ったら、今度は下から上へと大きくなぞられ、予測できない責め方に快感が脳まで上る。
我慢できず布団を持ち上げると、ムクムクと大きくなってきた竿をマキナがキャンディでも舐めるように舌で遊んでいた。躊躇なく舌で舐め上げるその淫らな姿に、ドクンと脈打つ。
「フェラ顔好き?」
素直に頷いた。
「えっち」
そう笑ってマキナは見せつけるようにくびれをほじくった。より強い刺激に声が出そうになって、咄嗟に口を手で覆った。
シュリの前でそういう事はしないと言ったばかりなのに快感に抗えず、もうマキナを止める気がなくなっていた。
先端から透明な汁が滲み出て、マキナが手で塗り広げるように撫で回した。
「音ヤバい。ぐちゃぐちゃ言ってる……♡」
俺の汁とマキナの唾液で水っぽい音がする。小さい音のはずなのに俺にまで聞こえてくるとなると、シュリにも聞こえるんじゃないかと不安になる。
マキナが先端を覆い隠すように咥えて唇を窄めた。そして吸い付きながらスポンッと引き抜く。
「んんっ、ぷ! 唇、カリに引っ掛かって気持ちいいでしょ? ……ちゅぅぅ、っんぷ! んふっ。腰浮いてるわよ」
「もっと奥まで……」
「まだダメー。ゆ〜っくりお口でして、一番濃厚なの出してもらうから。……んむっ、ちゅぱ。れろぉ……♡」
その言葉通り、柔く、くすぐるような舌使いだった。巻き付いたり、キスをしたり、そんな軽い口淫に息を潜めるので精一杯だ。
溢れ出る先走りを丁寧に味わってマキナは躊躇いなく飲み込む。
「はあ、はあ、はあ……♡ ナオの匂い、どんどん濃くなってる♡ ……ぢゅるるるっ! 我慢汁、吸い出すね……んっ、ぢゅるるるっ、ぢゅうううぅ……♡」
啜る音が小屋に響いた。咄嗟にシュリを見たがまだピクリともしていない。ホッと安心したのも束の間、マキナは一気に根元まで咥え込んで頭を上下させた。
「んっ、んっ、むっ、んぐっ、じゅるっ、はあ……ぢゅるるっ、んむっ、じゅううぅ……、んぐっ、ぉぐっ♡」
「音出しすぎ……!」
「ぐっ、ぷ! ぢゅるるるっ、んぷっ! ……ごめん、もう我慢できない。ぢゅるっ、んぐぉ、ぉ、ぐっ、ぢゅうっ、じゅるるるっ♡」
突然タガが外れたように搾り上げてくるマキナに、俺は身体を動かさないよう耐えるので必死だった。腰が丸ごと持っていかれるような強力なバキュームに込み上がってくる。
布団の中を見ればマキナが頬を凹ませて、品のない顔で俺に喰らい付いていた。俺と目が合うと少し恥ずかしそうに、でも恍惚の笑みを浮かべて「ザーメン、飲ませて♡」とせがんでくる。
「んぐっ、んっ、んぢゅ♡ ぢゅるるるるるっ! んっぷ♡」
彼女の本気の口撃に耐えきれず、身体を震わせながら果てた。
押し寄せる倦怠感。ドクドクとマキナの喉奥目掛けて注ぎ込んで、ゆっくりと全身から力を抜いた。
マキナはそっと竿を口から引き抜いて俺に聞かせるように喉を鳴らした。
「ゴクッ……ふう。凄い量。お腹いっぱいになっちゃった」
モゾモゾと動いて俺にズボンを履かせると、マキナは布団から出て俺の頬にキスをした。
「明日、早起きできる?」
「無理かも。ていうか今、何時なんだよ」
「さあ? 寝坊したら一緒にアルラに怒られましょう。おやすみ」
最後にニコッと笑ってマキナは静かに部屋から出ていった。
シュリはまだ眠っている。起きなくて良かったと俺が心を撫で下ろすと、彼女は寝返りを打った。