今日は依頼品がなくて一日中、趣味としての修理に没頭する日だ。最近はそんな日が続いている。そろそろ生活費が危なくなってきたが、まあどうにかなるだろう。多分。
マキナにジャンク品を見せて直しやすそうな物から取りかかることにした。彼女の力とやらを使えば、機械の状態もすぐに分かるらしい。俺が集めたジャンク品の数々を木箱から漁りながら、マキナはひとつひとつ見ていく。
「どれもこれもボロボロね。まあ、雨ざらしになってたんじゃ仕方ないわ。……うわ、このラジコン火事で燃えてるじゃない。持ち主が気に入ってたのにねー。しかも放火っぽいし。……げっ、こっちのプロジェクターに至っては八つ当たりで壊されてるじゃない。可哀想に」
マキナはブツブツと呟きながらジャンク品達の記憶を見ているようだった。機械の神として思うところがあるのだろう。彼女の口から出るのは嘆く言葉ばかりだ。
「ねえ、ナオ。早く直してあげてよ」
「そのつもりだけどマキナは直せないのか? 神の力使って」
「言ったでしょ。大した力は持っていないのよ。ちょっと故障してるくらいなら直せるけど、機能を失うほどの損傷は直せない。軽い怪我は治療出来るけど、致命傷を治したり死人を復活させることは出来ないって感じ」
「他に出来る事は?」
「んー、あとはそうね。物にもよるけどほぼ万全の状態の子なら機能をアップグレードさせたり、新機能を付与したり出来る」
マキナは俺のズボンのポケットに手を突っ込むとスマホを抜き取った。ガラスのように無色透明なタッチパネルに、輪郭を縁取る黒いライン。この時代に普及してるオーソドックスなスマホだ。マキナがそれに手を翳すと、スマホが光に包まれる。光が落ち着くと彼女はスマホを俺に返した。
「通信速度を上げておいたわ」
「……地味だな」
「ついでに浮遊機能も付けておいた」
「浮遊機能?」
なんだそれ、と首を傾げると、マキナは俺の肩口から画面を覗き込んで勝手に操作する。ホーム画面に俺の知らないアプリアイコンがひとつ増えていて、マキナがそれをタップするとスマホがひとりでに俺の手から離れ、その場で浮遊し始めた。目の前でぷかぷかと浮いているスマホをマキナはそのまま操作して、カメラを起動した。
「いえい」
画面に収まるよう俺とアルラを自分の体に手繰り寄せて、カシャッとシャッターを切る。マキナをセンターにギュッとくっ付くスリーショットが撮られた。驚きの新機能に俺とアルラは同時に呟いた。
「「神様凄い」」
「えっへん」
マキナは両手に腰を当て、得意げに胸を張った。普通に大した能力だろ、これ。
マキナの診断結果を聞いて、比較的簡単に直せそうなプロジェクターから修理に掛かった。手のひらサイズのコンパクトな物で、ネットに繋げばいつでも何処でも映画やドラマが観られる。正直、映像作品を全く観ない俺には無用な物だった。
「そうそう……そこの部品は取り替えてあげて。やっぱり修理屋やってるだけあって手際いいわね」
割れた内部パーツに合いそうな部品を探していると、横で作業を眺めていたマキナが感心していた。自分の技術を神に褒められるのは素直に嬉しい。というか冷静に考えて一生に一度あるかも分からない経験をしている。マキナがあまり神様っぽくないせいでその有り難みを自覚出来ていない。
「もうちょっと神感出してくれよ」
「どういうことよ」
神っぽくない、というのが伝わったのか若干不服そうに眉を曲げるマキナ。こういう表情も含めて年下の女の子にしか見えない。
彼女の服装もその印象を強める要因になっていた。アルラ用に買った物以外に女性服なんてうちに置いてあるはずもなく、マキナはずっと俺のTシャツと短パンを履いていた。ダボついた部屋着でくつろぐ姿に神としての威厳を感じろという方がおかしいのだ。
「どうするかなこのプロジェクター。普段映画とか全く観ないから、直しても倉庫行きになりそうだ」
「またですか」
アルラがポツリと呟いた。何度も言っている倉庫の容量問題を解決する気がないのかと、呆れているようだった。母親にため息を吐かれた気分で肩身が狭い。
「使わないなら私に頂戴。この時代の映画、気になるわ」
「プロジェクターで観るとしても金払って映画買わなきゃいけないんだぞ」
「いいじゃない。月に二、三本くらいでいいから作品買ってよー」
後ろからマキナが抱き付いてきて、あざとさを感じる甘い声で強請ってくる。
「ずっと娯楽と無縁の暮らししてたのよ? 四百年ぶりに世界を楽しみたいわ」
「その四百年って数字出されるとクレカのセキュリティコード簡単に打ちそうになるから止めてくれ。それと、くっ付きすぎ……」
「久しぶりに恋愛映画とか観たいー!」
俺の首に手を回して体を揺らしながらマキナは何度も言う。背中に柔らかい感触がした。自分の目で見えないせいで色々想像してしまって余計落ち着かない。密着しているせいでマキナから甘い香りが漂ってくるし、気が気じゃなかった。
「わ、分かった分かった。たまに買ってやるから」
「本当? やったー! やっぱりナオ、胸に弱いわ」
「知ってて当ててたのかよ!」
「当たり前でしょ。無意識でこんなことしてくる無防備な女、創作物でしか出てこないって。ちょろいなー、もう」
あっさり罠に引っかかった俺をマキナはつんつん突いて馬鹿にしてくる。やっぱりこいつただの小娘なのでは。
鬱陶しく絡んでくる女神を手で払いのけると、一連の掛け合いを眺めていたアルラが耳打ちしてきた。
「休憩がてら、抜きましょうか」
「なんでこのタイミング?」
「一度胸を気にしてしまうと作業に集中しにくいでしょう」
「そんなことないって」
「マキナ様の手前、遠慮していますか? 大丈夫ですよ。私の記憶で今までの性処理は見られています。わざわざ気を遣うような相手ではありません」
それも事実なのだろうが、それでも恥ずかしいものなのだ。このタイミングで素直にアルラのお世話になろうとは思えない。とはいえ……作業に集中しにくいというのはその通りで、どうにかしてほしい気持ちもあった。
そんな俺を察したのかマキナは見透かしたように言った。
「そうそう。私は別になんとも思わないし、あなたの家なんだから好きにしなさいな。それに……」
すっと彼女が耳元に近寄ってきた。びくりと体を強張らせた俺に、トドメのひと言が囁かれる。
「他の女の子に見られながら射精するの、すっごい気持ちよさそうじゃない?」
そんなのどう考えても気持ち良いに決まっている。
一瞬想像しただけで背筋を撫でられたような震えが襲う。
少し悩んで俺は自分のズボンに手を掛けた。
マキナもこう言っているのだ。彼女に気を遣う必要も、躊躇う必要もないのかもしれない。そんな風に自分に言い聞かせて、下を脱いだ。
椅子に座って下半身を曝け出すと、アルラは膝の間に割って入って、マキナは興味深そうに俺の肩口から息子を覗き込んだ。まだ抜いてもらう気になったばかりで頭を下げてる俺の息子にマキナが言う。
「おちんちん、久しぶりに生で見た。可愛い見た目してるじゃない。これが今からオスの形になるんでしょ?」
やたら楽しそうなマキナを無視して、早速アルラが舐め始めた。先端から根元へ、大きく顔を動かしながら舐め上げる。視覚的な刺激が強くて彼女の動きをマジマジと見ていると、アルラはもっと効率良く勃たせようと髪を銀髪に変えた。俺の好きな髪色にしたまま、アルラは竿に頬擦りして媚びるように見上げてくる。
女性を完全に物にしたような支配感に満たされて、身体が熱を帯びてくる。
ドクドクと股間が膨らんできて、やがて大きく反り返った。
「うわっ。これがオスちんぽ……女の子屈服させたくてイライラしてるわ」
グロテスクな見た目に変貌した陰茎にマキナは目を丸くした。
自分の、それも興奮して起立している竿をアルラ以外に見られている。それを自覚するたびにピクピクと先端が動いた。
「マキナ様に見られて興奮してますか?」
「……ゾクゾクする」
「変態ですね」
軽く揶揄しながらアルラがワンピースを脱いだ。全裸になったアルラが暴力的な膨らみの胸で息子を挟んで、先端をちゅるちゅると吸い上げる。
「ちゅ、ちゅるるっ……んちゅっ、ぷ! んん、ちゅぅ……」
「これがパイズリフェラ……えっろ」
ジッとしていられなくなったマキナが周囲を漂いながら眺めている。
アルラが舌先を鈴口にグリグリとねじ込んできて、全身がくすぐられるような感覚が走った。
透明な汁が先端から滲み出てくると、俺は胸から竿を引き抜いて、薄桃色に色付く乳首に当てがった。粘り気のある液体があっという間に乳首を濡らしていく。
「乳首に我慢汁塗り付けるの好きなの?」
「好き。まじでエロい」
「よかったわね相手がアンドロイドで。普通の女の子ならドン引きされてるわ」
「……割と私も引いてますが」
「あははー、言われてる」
ここまでくるとアルラの冷たい反応すら快楽を増幅させる要素でしかなかった。引いてる二人の視線を感じながら俺はアルラの胸を汚しまくった。
もう一度アルラに咥えさせると、アルラがマキナに提案した。
「じゅるるっ。んちゅ、ん……もう少し近くで見てみますか?」
「いいの?」
「見てもらいたいですよね?」
当然答えはイエスだった。頷いて返すとマキナはアルラの隣でしゃがんで、間近から口淫鑑賞を始めた。
吐息が掛かるか、掛からないかの距離感にまで近づいたマキナはわざとらしく鼻を鳴らした。
「すんすんっ。はあ……酷い匂い♡ こんなの口に咥えるなんて考えなれない。……すんっ、すんっ」
男性の匂いを嗅いで恍惚の表情を浮かべるのがあまりにも煽りとして強すぎた。もう十分引かれたし、恥ずかしいところも見られているのだ。これ以上マキナ相手に躊躇することもないと、開き直った俺は彼女に言った。
「マキナも咥えて」
「えー、どうしよっかなー。こんな汚いのに私の口汚されたくないしなー」
「今回だけでいいから」
「絶対次も頼むやつじゃない、それ。ま、映画買ってくれるって約束してくれたしね。チューだけしてあげる。……んちゅ♡」
マキナは俺に見せつけるように竿の真ん中辺りにキスを落とした。アルラが先端を舐めて、マキナが根元や玉に啄むようなキスを繰り返す。
「んっ、んっぷ、じゅるるるっ……おちんぽ、ドクドクしてきましたね。ぢゅうううぅ……んぷっ! れろれろれろ……」
「ちゅっ。んっ、ちゅ♡ ……タマタマすっごい膨らんでる……ちゅっ。神様にこんなことさせないでよねー。ちゅぅ♡」
ずっと妄想の中に居るような光景なのに襲ってくる快楽は本物で頭が混乱していた。
込み上げてくる射精感にまだイキたくないと体に力を入れて抗うも、もう我慢の限界だった。
「イクっ……!」
アルラの頭を持って根元まで差し込むと、思う存分発射した。ピクリとも動かず受け止めたアルラは口から竿を引き抜いて、「あー……」と口の中を見せた。そして大袈裟に喉を鳴らす。
「ごくっ……ん」
飲み込んで味や量を確かめていつも通りの調子で「健康的な精液です」と締め括った。
いつもはこの後、俺の下半身を掃除して終わるのだがその日は違った。
「……はむっ」
マキナがなんの断りもなしにアルラの胸に齧り付いた。
赤ん坊のように乳首を吸うマキナを理解不能、という顔でアルラは見下ろした。俺も意味が分からない。
「何をしているのでしょう?」
「アルラのおっぱい、汚れていたから綺麗にしようと思って。んぢゅっ、ちゅるるっ……ナオの我慢汁でしょっぱいわ」
俺を見ながらマキナは乳を吸う。その絵面にまた血が巡ってきた。
アルラに息子を突き出して頼み込む。
「アルラ。もっかい」
「……変態ばかりで困ります」
死ぬほど面倒くさそうに眉を曲げて、アルラは言った。
この日から俺の性処理にマキナも参加するようになった。眺めて言葉を浴びせたり、軽くキスをして揶揄ってきたりとその働きは大きくなかったが、それでも俺の高まり具合は計り知れないものだった。
女性が増えると性欲が強くなる。男というのはどうしようもなく単純な生き物だった。