※この作品はR-18です。

デイビット・マルティネスに転生したのでルーシーとの幸せを闘争で掴み伝説になる!!   作:基地司令

12 / 14
第十二話 準備

作戦に必要な装備を考え所有装備からいくつかをピックアップしていく。

 

「研究所相手にフル装備で行ったら、それだけで“侵入者です”って名乗ってるようなものだな……」

 

彼はショットガンを手に取り、しばらく眺めたあと、そっと横に除ける

 

「今回は“静かに”が条件だ。

 近距離で撃ち合いになった時だけ、どうにかできればいい」

 

・サプレッサー付き拳銃

・コンバットナイフ

・折りたたみショットガン

・ハッキングデッキ

・追加のハック支援ツール

・小型ジャマー

・防毒マスク

・耐水・耐腐食ケース

・予備マガジン数本

・フラッシュバン、スモークグレネード

 

デイビットは腕を組み、しばらくそれらを眺めていた。

 

「見つからないことが前提だから武器の持ち込みは最小限がいいだろうけど構成がな…小型とはいえショットガンは不向きかもな」

 

端末に着信が入り、ホロ画面にユリの肩から上が映し出される。

 

「準備の様子はどうですか、デイビット」

 

「一応、候補は出したんですが……」

 

カメラの向きを変え、テーブルの上を映す。

 

「正直、これで足りるのか、逆に多すぎるのか、自信がありません」

 

ユリは画面越しに装備を一つひとつ見て、少しだけ目を細めた。

 

「まず、前提をもう一度整理しましょう」

 

「今回は“本格的な潜入任務”ですが――戦闘任務ではありません。

 理想的な結果は、“最後まで発見されないこと”です。

 ですから、装備の優先順位も、

 戦うため”より、“見つからないため・静かに目的を果たすため”を基準に考えた方がいいと思います」

 

「では、仕分けしていきましょう。まず、“必須”です」

 

「今回の主目的は内部データの回収です。

 それを行うための機材が無ければ、潜入しても意味がありません。

 ですから、これらは“絶対に外せない装備”です」

 

「ですね。ここは、自分でもそう思います」

 

ケースのロックを開けて、中にデッキとツールをきちんと収めていく。

 

「次に、“最小限の護身用装備”です。

 サプレッサー付き拳銃と、コンバットナイフ」

 

「フラッシュバンやスモークはどうしますか?」

 

ユリはほんの少しだけ考え込む。

 

「使い方次第では有効ですが、

 使った瞬間に“何かあった”と周囲に知らせることにもなります。

 今回は、“忍び込んで静かに抜ける”が理想形なので……

 フラッシュバンは外してもいいかもしれません」

 

「スモークは?」

 

「撤退時に、“最後の一手”として使う可能性はあります。

 ただし、その場合は既に“非発見前提”が崩れているはずです。

 ……重さとのバランスになりますね」

 

「そうですね……」

少しだけ考えてから、スモークを一本だけ残し、他のグレネード類を箱に戻す。

「“最後の最後、走って逃げる時のカーテン”として、一つだけ持っていきます」

 

「妥当だと思います」

 

装備がだいぶ絞られてきたテーブルを見て、ユリはゆっくりと話し始める。

 

「初めての本格潜入だと、

 “これも必要かもしれない”“あれも持っていれば安心だ”と、どうしても荷物が増えていきます。

 でも、最終的にあなたを守るのは、装備の数ではなく、

 ・状況を読む力

 ・無用なリスクを避ける判断

 ・迷ったときに、一度立ち止まる勇気です」

 

「……それは、正直、耳が痛いです」

 

ユリは柔らかく微笑んだ。

 

「私も、最初の任務のときは同じでした。

 鞄に装備を詰め込みすぎて、上官に『それを全部使うつもりか?』と聞かれたことがあります」

 

「なんて答えたんですか?」

 

「『使わない方がいいと分かっているから、持っていきたくなるんです』と」

 少しだけ照れたように視線を逸らす。

 

「でも、後で気づきました。

 それは、自分の判断への不安を、装備でごまかそうとしていただけだと」

 

デイビットはしばらく黙り、ハードケースのロックを指でなぞった。

 

「……自分も、少しそれに近いかもしれません」

 

デイビットの作戦イメージを、ユリが後押しして整理する

 

「では、改めてあなたの作戦イメージを教えてもらえますか?

 それに合わせて、装備の最終確認をしましょう」

 

「はい」

 

マップを呼び出し、搬入口からのラインとトンネル方向のラインを示す。

 

「侵入は搬入口から。

 内部の捜索が短時間で済めば、業者として自然に出ていく。

 もし時間がかかりそうなら、“業者としての撤収”は諦めて、

 施設内部からメンテナンストンネル側へ抜けて脱出する――こう考えています」

 

「侵入と撤退でルートを分ける。

 合理的だと思います」

 

「“非発見前提”なので、

 できる限り、“誰にも気づかれずに入って、誰にも見られずに出る”形を目指します。

 ただ、内部滞在時間が延びれば延びるほど、搬入口から出るのは不自然になる。

 だから、一定時間を超えた時点で、自動的に“トンネル脱出案”に切り替えるラインを自分の中で決めておくつもりです」

 

「その判断ができる人は、そう多くありません。

 “もう少し大丈夫だろう”と引き延ばしてしまう人の方が多いので」

 

「引き際を見誤ると、非発見どころか、生きて帰れなくなりますから」

 

ユリは小さくうなずいた。

 

「では、その方針を前提に、装備をもう一度整理すると――」

 

・必須(データ回収の核)

 

・ハッキングデッキ

・ハック支援ツール一式

・外部ストレージ

・防毒マスク(トンネルを通る可能性に備え)

・すべて耐水・耐腐食ケースに格納

・護身用(最小限)

 

・サプレッサー付き拳銃(予備マガジンは必要最低限)

・コンバットナイフ

・非常時用(使用=非発見崩壊)

 

スモークグレネード1個

 

「これ以上増やすと、

 ・搬入口ルートでは“業者にしては不自然”なシルエットになり

 ・トンネルルートでは、純粋にあなたの体力と動きが削られます」

 

「……これで、行きましょう。

 “不安を減らすための荷物”は、ここに置いていきます」

 

ユリは、少しだけ表情を和らげる。

 

「初めての本格潜入任務で、“完璧な準備”は存在しません。

 ですが――“何が分かっていて、何が分かっていないのか”をはっきりさせておくことが、

 冷静な判断に繋がります」

 

「分からないことが出てきたら、その場で相談します。

 一人で決めきれないときは、ちゃんと頼ります」

 

「それができるなら、大丈夫です」

 

少しだけ冗談っぽく口元を緩める。

 

「私も、最初の任務のときは、上官にたくさん相談しましたから」

 

「その“上官役”を、今は自分が頼っている、というわけですね」

 

「ええ。

 そして、きっと近いうちに、あなたも誰かにアドバイスをする側になるんだと思います」

 

デイビットは、わずかに目を丸くしてから、ふっと笑った。

 

「その時までに、“生きて学んだこと”を、少しでも増やしておきたいですね」

 

ユリは真剣な表情をわずかに崩し、短くうなずく。

 

「最終確認をしましょう、侵入ルートと脱出ルート、最新の情報を反映したマップです」

 

彼女の操作に合わせて、マップ上に三つのラインが色分けされて表示される。

 

青:正面ゲート(ビジターライン/今回は“参考のみ”)

黄:搬入口ルート

赤:メンテナンストンネルルート

 

「まず、正面ゲートからです。

 本日も一応、“外部ビジター受け入れ枠”は残っていますが……

 日本側視察団の名簿操作は、最終的に不可能と判断されました」

 

 

「つまり、自分が“軍関係者の一員として正面から入る”案は、今回は使えない、ですね」

 

「はい。

 ですので――正面ルートは参考情報としてのみ保持し、実際の選択肢からは外します」

 

「“もしも”に期待して判断を揺らすのは、やめておきます」

 

黄色のラインが強調される。

搬入口から内部の貨物エレベーター、そして一般通路へと伸びるルートだ。

 

「次に、搬入口ルートです。

 今日の警備パターンを、ついさきほど更新しました」

 

新しいアイコンが点滅する。

 

「ここが、警備ドローンの定期巡回ルート。

 そしてここが、人間の警備員が交代するポイントです。

 交代タイミングは、現地時間で二十二時ちょうどと、二十三時三十分」

 

「自分が搬入口に近づく目安としては……?」

 

「二十二時五分〜二十分の間を推奨します。

 交代直後で、まだ“新しい配置に慣れていない時間帯”です。

 カメラの死角も、その時間帯が最も読みやすい」

 

ホロマップ上に、搬入口前の小さな楕円形のゾーンがハイライトされる。

 

「その時間内に、搬入業者か作業員として紛れ込む。

 中に入ったら、一般端末にアクセスして内部状況を確認――ですね」

 

「はい。

 その時点で、

 ・サーバールームの位置

 ・現在の施設内警戒レベル

 を一緒に確認しましょう」

 

「入ってから、“どれくらいの時間なら業者として自然か”も、見極める必要があります。

 目安を決めておけば、撤退判断がぶれにくくなります」

 

マップの表示が地下視点に切り替わり、赤いラインが強調される。

研究所の基礎部分から、地下インフラへと伸びる複数の細い通路。

 

「次に、メンテナンストンネル側です。これが一番大事な話です。

 現地協力者と、こちらの解析チームが直近のデータをまとめました」

 

いくつかのポイントがアイコンで示される。

 

・「ガス濃度注意」

・「浸水の可能性」

・「老朽化・通行困難」

 

「この“ガス濃度注意”のポイントは、簡易マスクであれば短時間の通過は可能と判断されています。

 一方、この“浸水の可能性”ポイントは、水位が膝下程度との報告です」

 

ハードケースを背負ったままでも、無理ではないレベルですね」

 

「はい。ただし、滑りやすく、足場が不安定とのことです。

 ここを通る場合は、一度に走らず、短いステップで確認しながら進むことを推奨します」

 

「トンネルに入る前に、お前の位置情報をしっかり送れ。

 ビーコンを三つ。必要に応じて使え」

 

「入り口、重要な分岐点、それから脱出口手前……

 ビーコンは、その三カ所に設置します」

 

「それでいいわ。

通信を確実にするために施設周辺には信号増幅装置をいくつか設置してるから問題は起きないはずよ」

 

ユリがマップを俯瞰視点に戻し、全体像を表示する。

 

「では、あなたの行動の流れを、時間順に整理してみましょう。

 私から一度、提案として読み上げます」

 

・① 搬入口周辺に接近(22:05〜22:20の間)

・② 搬入業者/作業員として搬入口から施設内部へ

・③ 一般端末にアクセスし、

・サーバールーム位置

・警戒レベル

・予定されている警備ルートを確認

・④ サーバールームへ移動し、物理アクセスでデータ抽出

・⑤ 内部滞在時間と警戒度を見て、

・搬入口から業者として自然に戻れると判断できるなら、そのまま退出

・不自然になる・時間をかけすぎたと判断した場合は、トンネル側への連絡通路を探索し、地下ルートへ切り替え

・⑥ トンネルルートで脱出し、地上の安全圏まで移動

 

「この流れで、認識は合ってる?」

 

「はい。

 その中で、③と⑤のタイミングで、状況を共有します」

 

「ええ。

過去の作業時間から内部での行動時間は二時間から二時間半とみられるから無理をする必要は無いから」

 

「?無理しなくていいどういうこと?」

 

「一度気づかれずに侵入し帰ってこられれば内部情報を得られるから再侵入も可能になるからな」

 

「だから今回で結果を出そうと無理はしなくていいわ」

 

「その点は考えてなかったな…」

 

「まぁ一度で結果を期待するのは正規の訓練を受けた者を送る時だけだ。

君にそれを期待するのは酷というものだよ。」

 

「大佐もう少し言葉を選んでください!」

 

「気にしなくていいですよ。気持ちはわかります」

 

デイビットは、ホロマップを一周眺めてから、ゆっくりと息を吐いた。

 

「侵入ルート:搬入口。

 理想パターンは、“侵入も撤退も業者として自然に終える”。

 ただし、滞在時間がリミットを超えると判断したら、即座にトンネル脱出案に切り替える」

 

彼は赤いラインを指でなぞる

 

「トンネル脱出時は――

 ・防毒マスク装着

 ・ケースは常に身体から離さない

 ・ビーコン三つで最低限の道筋を残す

 ・走りすぎず、足場を確認しながら進行」

 

「“最初から完璧な地図はない”という前提で、

 あなたの判断と、こちらの情報をその都度すり合わせて進みましょう。

 では、このプランを“最終案”として記録します」

 

ホロマップの隅に、

《OPERATION ROUTE – CONFIRMED》

と小さく表示が追加される。

 

「ルートも装備も固まった。

 あとは、お前がその通りに動くかどうかだけだ」

 

「ちゃんと迷って、ちゃんと怖がって、ちゃんと判断します。

 ――その上で、ちゃんと帰ってきます」

 

ホロ画面がゆっくりとフェードアウトし、

青白い光だけがテーブルの上に残った。

 

デイビットはハードケースを持ち上げ、その重さを確かめるように片手からもう片手へと移した。

 

「道は決まった。

 あとは、歩き方を間違えないだけだ」

 

彼は静かに立ち上がり、部屋の明かりを落とした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。