※この作品はR-18です。

AIのべりすと短編集   作:itosan

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冒険者シルファの敗北の代償

 

 

 夕暮れ迫る冒険者ギルドの一画。

 掲示板の依頼票を一枚一枚確認するシルファの横顔には、

 銀髪を結い上げた涼しげな佇まいが宿っていた。

 紺碧の制服が禁欲的な曲線を強調し、

 革ブーツに包まれたむっちりとした太腿が落ち着き払って床を踏む。

 まさに“凛とした職業女性”──少なくとも、周囲の誰一人疑わなかった。

 

 その肌の下に潜む熾火を除いては。

 

 カウンター越しに書類を書き込むペン先が微かに震えた。

(今日も……来たのね)

 紙面のインクが滲む。吸血鬼の腕の中で悶え狂った記憶が蘇る。

 棘付きの異形を深く埋め込まれ、膣襞をずたずたに掻きむしられる快感。

 吸血鬼の牙が首筋に食い込む疼痛さえも、

 今では胎内の奥がきゅうっと収縮する合図に変わる。

 

「おいシルファさん? 顔色悪いぜ?」

 粗野な傭兵の声が現実に引き戻した。

 慌てて顔を上げると、小麦色の肌をした巨漢がこちらを覗き込んでいる。

 逞しい胸板のせいでシャツのボタンが千切れそうになっていた。

 

「問題ありません」

 声は平静だった。

 だが視界の端で確認した自分の手首に赤紫の痣──

 あの日彼の手が巻き付いた痕跡がくっきり残っているのに気づき、

 思わず制服の袖を引っ張り上げた。

 

(馬鹿……何をしてるのよ私は!)

 羞恥で頬が火照る。

 しかしそれ以上に奇妙な感覚があった。

 衆目の面前で「所有印」を晒すことへの背徳的な昂揚感。

 制服の生地が肌に擦れるたび、吸血鬼の指紋の感触を思い出す。

 

 そのときホールの奥で笑い声が上がった。

 若手の冒険者グループが

 ギルド所有のワイン樽を開けて祝杯を挙げている。

 賑やかな喧噪がギルド全体を覆い、

 シルファは自然と人々から死角になる柱の陰へ歩を進めた。

 

 背中を預けた瞬間、内腿を伝う冷たい感覚が襲った。

(あ……もうこんなに濡れて……)

 理性が警告を発する。

 ここは仕事場であり、仲間たちもいる。

 なのに下腹部の熱は消えるどころかさらに広がり始めていた。

 

 柱の冷たさに身を預けつつ、

 スカート越しにそっと鼠径部に手を添える。

 すると布越しにわかるほど脈打つ塊の輪郭。

 まるで膣内を抉る無数の棘が、

 幻影となって子宮を責め立てるようだった。

 

(本当に……呆れるほど淫らになったわね)

 自己嫌悪と同時におぞましい充足感が込み上げる。

 鏡があれば今の表情を確かめたかった。

 銀の睫毛を伏せた穏やかな笑み──

 その奥で瞳孔は飢えた獣のように窄まっていないか? 

 

 ふいに遠くから声がかかった。

「シルファさん! 第四街区の捜索依頼引き受けてくれる?」

 若い受付嬢の朗らかな声。

 制服の裾を握りしめる拳に力が籠る。

 断ったら不審がられる──それだけではない。

 身体が疼く。 (働けば気を紛らわせる)という言い訳ができる。

 

「ええ、受けましょう」

 踵を返してカウンターへ戻る途中、

 不意に首筋に視線を感じた。

 反射的に右手を伸ばすと、指先に湿った汗が触れる。

(あ……)

 吸血鬼の牙跡が熱を持っていた。 忌まわしい刻印が脈打っている。

 それでも不思議と恐怖より安堵が勝る自分に愕然とする。

 

「じゃあ契約完了ね! 期限は三日後だから急いでね♪」

 書類を受け取り、にこやかに別れた。

 再び柱の陰に戻り依頼内容を読み込む。

 街の地下迷宮での盗品回収。

 難易度D級──簡単すぎる任務。

 

 だがページを繰る指先が震えていた。

(ああ……早く独りになりたい……)

 汗と興奮で背中のブラ紐がずり下がる。

 制服の隙間から覗く谷間には赤い鬱血痕。

(誰か気づいたら……私どうなるの?)

 想像するだけで腰の奥が疼く。

 

 廊下へ続く扉を開けた途端、

 石畳のひんやりとした空気が頬を撫でた。

 周囲に人影はない。

 瞬間、解放感が波のように押し寄せた。

 壁に凭れながら片手でスカートの裾をたくし上げる。

 白いパンティに透けたクロッチ部が

 驚くほど濡れ光っていた。

 

「……はぁ……」

 熱っぽい吐息が漏れる。

 指先がクロッチに触れた瞬間、

 

 じゅぷ……

 

 淫猥な水音が地下室の静寂を裂いた。

(こんな……こんな場所で……)

 頭では咎める。

 でも指は止まらなかった。

 人差し指と中指でクロッチを横にずらすと、

 溢れ出す蜜が糸を引いて足元に垂れた。

 

「んっ……ダメ……我慢しなきゃ……」

 

 

 それでも指が二本滑り込む。

 待ち侘びた膣壁が喜び勇んで吸い付いてきた。

「くふぅ……っ……!」

 声を押し殺しながら指を奥へ進める。

 内壁をこするたび甘い電流が背筋を走る。

(ここ……ここをアイツが……)

 

 ごくり、と生唾を飲む音が妙に大きく響いた。

 壁に額を押し付け必死に自制する。

 ──依頼を終えなければいけない。

 ──仕事を遂行することが私の誇り。

 

 なのに

 

「はぁっ……ああ……欲しい……」

 無意識のうちに出た言葉が自分を追い詰める。

 指はさらに激しく律動し始めた。

 ぐちゅっ ぬちゅっ……

 

 擬似的な抽送に合わせて太腿がガクガク震える。

 腰が自然と前後に揺れて壁を押し返す。

 スカート越しに壁と密着した臀部が潰れ、

 

「ぷちゅ」

 と淫らな音を立てた。

 

(だめ……これ以上したらバレる……)

 理性的な考えとは裏腹に身体は悦びに浸る。

 指が膣内をえぐるたび脳裏でフラッシュバックする。

 吸血鬼の凶悪な瘤と棘。

 暴力的なまでの快感。

 

「んあ゙っ!?」

 

 一瞬の絶頂の兆し。

 反射的に指を抜こうとしたその時──

 

 カツ……カツ……

 

 石畳を打ち鳴らす靴音が遠くから迫ってきた。

 

(終わった……見つかる)

 全身が冷水を浴びたように強張る。

 慌てて指を抜き、スカートを整えようとするも、

 股間に絡みついた蜜糸が指先から垂れ下がる。

 

「ひっ……」

 拭おうとする手が震えて思うように動かない。

 焦燥と恐怖と、さらなる興奮が入り混じる。

 

 そのときだった。

 足音の主が角を曲がった。

 しかし──それは屈強な衛兵でも嫉妬深い同僚でもなかった。

 

 ギルドの厨房担当らしい老婆だった。

 皺だらけの顔に穏やかな笑みを浮かべながら、

 

「シルファちゃん? 体調悪いの?」

 と声をかけてくる。

 

 一瞬の沈黙。

 老婆が気づいたのは、

 彼女の顔色の悪さと乱れた衣服だけだった。

 

「……いえ」

 辛うじて平常心を取り戻し答える。

「少し疲れが出ただけです」

 

 そう言ってそそくさと歩き出す。

 老婆の視線が背中に刺さるのを感じながら、

 心臓が早鐘を打っていた。

 

(危なかった……見つかったら終わりだったわ……)

 しかし安堵のすぐ後から、歪んだ愉悦が胸中に芽生える。

 もし見つかっていたら? 

 もし犯された過去を白日の下に曝されていたら? 

 

 想像すると子宮がまた熱を帯びる。

(ほら……やっぱり私……変わってしまった)

 

 ギルドの大扉を開けると夕陽が目に飛び込んだ。

 街灯が一つ二つと灯り始めている。

 行き交う人々の活気ある話し声。

 商人の叫ぶ商品宣伝。

 子供たちの駆け回る足音。

 

 平凡な日常の景色だった。

 でもその中に身を置く自分が異様に感じる。

 清浄な空気の中で自分だけが腐った果実のように爛れている。

 

 娼婦の化粧臭い香水が風に乗って鼻腔をくすぐった。

「ん……?」

 ふと横を見ると市場の一角で娼館の案内娘が看板を磨いている。

 派手な朱色のドレスと露出度の高い肩口。

 

 なぜか惹かれるように立ち止まってしまう。

(あの娘と比べたら私も……)

 自嘲的な思いが過ぎる一方で、ある種の憧れもあった。

 堂々と肌を晒し金のために快楽を売る存在。

 それに比べて自分はどうか? 

 

 隠し続けるこの汚辱。

 

「──ふふ」

 

 思わず零れた笑声に通行人が不審げな視線を向けた。

 慌てて帽子のつばを下げながら歩を速める。

 胸ポケットにしまい損ねた依頼書が風に煽られ翻る。

 それが指先を掠めた瞬間、

 

「ぴちゅ……」

 

 クロッチの湿り具合を思い出した。

 帰還まであと十二時間。

 街の暗がりで何度こんな妄執に苛まれることか。

 

(いいじゃない……耐えてみせるわ……)

 諦念とも覚悟ともつかぬ決意が胸中で固まる。

 夕陽に照らされた銀髪が妖しく揺れた。

 吸血鬼の刻印がまた熱を帯びる。

 

 人目につかぬ路地の角を折れる寸前、

 ちらりと振り向くと通りを行き交う無垢な市民たちの群像が見えた。

 その中心で一人、

 罪深い悦びに耽る女騎士の影が薄闇に溶けていく。

 

 ◆◆◆

 

 

 昼下がりの冒険者ギルドは閑散としていた。

 午後の討伐隊が王都西門から出立したせいだろう。

 石造りのホールには煤けた煙が漂い、

 バーカウンターの奥で老酒亭主がグラスを磨いているだけだった。

 

 シルファは中央テーブルに座り、

 次の依頼を探すふりをしながら頬杖をついていた。

 制服の胸元には黒百合の徽章──

 七英雄の血統を示す印が金糸で刺繍されている。

 涼しげな青灰色の瞳と銀の長髪。

 普段ならば男性冒険者が羨望と憧憬を込めて眺める完璧な横顔。

 

 だが今日は違った。

 

 彼女の首筋からほのかに立ち上る匂いに気づいた者は、

 皆一様に眉を寄せたり、咳払いしたりと

 不自然な態度を取っていた。

 

(また……匂ってる)

 自分でもわかるほど濃厚なフェロモンが滲み出ていた。

 吸血鬼に膣内射精されてから十日。

 周期的には排卵が近い。

 しかも胎内には魔王種の胤が育とうとしている。

 通常の人間よりも強い発情期になっていることは明白だった。

 

「おいシルファさん」

 突然の声に我に返る。

 カウンター越しに立っていたのは重鎧のベテラン冒険者。

 名前は──思い出せない。

 いつも食堂でくだを巻いている髭面の男だった。

 

「ちょっと話があるんだけどよ」

 男はニヤつきながら近づいてくる。

 歩幅の乱れと荒い呼吸から相当酒に酔っているのが見て取れた。

 

「何でしょうか」

 淡々と応じるシルファに構わず、

 男は彼女の椅子の背もたれに肘をかけた。

 腕が鎖骨のあたりに触れ、

 

「ひゅう……」

 という低いうめきを漏らす。

 

「なんか最近よぉ……アンタ変だぜ? 

 なんかこう……発情してるみてぇな匂いプンプンさせやがってよ」

 囁くように言う男の顔が異様に近く迫る。

 アルコール臭に混じって雄の臭いが鼻孔を刺激した。

 

「……酔っていらっしゃいますね」

 冷静を装う努力を嘲笑うように、

 下腹部がじんわりと疼いた。

 

(嘘……この程度で反応するなんて)

 内心で驚愕しながらも表面上は無表情を保つ。

 

 男の指が突然彼女の太腿を撫でた。

 革グローブのざらついた感触が内側へ滑り込む。

「ちょっ……!?」

 抗議の声は喉の奥で凍りついた。

 太腿の内側にある吸血鬼の牙痕──

 赤黒い瘢痕を見つけられたらと思うと恐怖が先立った。

 

「ほう……やっぱビンビンなんだな」

 男の声が一段低くなった。

 スカートの裾がずり上がりそうになるのを必死で抑える。

 指がクロッチに触れた瞬間、

 

「くちゅ……」

 

 抑えきれない淫らな水音が二人の間に響いた。

 

(なんで……こんな場所で……)

 理性が警鐘を鳴らす一方で子宮が熱く滾る。

 吸血鬼によって拡張された膣壁が男の指を迎え入れようと蠢いた。

 

「すげぇ濡れてんな……」

 男の舌舐めずりが聞こえる。

 椅子の脚に体重がかかり軋む音。

 

 

 

「離してっ!」

 

 シルファの怒号とともに男は後方へ吹き飛ばされた。

 テーブルが軋むほどの衝撃。

 酒瓶が床に転がり乾いた音を立てる。

 周囲の冒険者たちが一斉にこちらを見る。

 

「……ふっ」

 

 肺の奥底から絞り出すような吐息。

 肩を上下させながら睨みつけると男は青ざめた顔で床に尻餅をついた。

「す、すいません! 冗談のつもりで……!」

 

 弁明を聞き流しつつスカートの裾を整える。

 だが指先が濡れたショーツに触れた瞬間、

 

「ひくっ……」

 

 不意打ちのような性感が背筋を這い上がる。

(やだ……こんなときに感じちゃうなんて……)

 羞恥と怒りが交錯し耳まで赤くなるのを感じた。

 

 男は這うように立ち上がりながらなおも口を開く。

「いやほんとマジで……つい魔が差して……」

 

 言葉の途中でシルファの眼光がさらに鋭くなる。

 瞳の奥に紅玉のような残光が走る──吸血鬼の刻印が反応していた。

 

「去りなさい。今すぐに」

 氷よりも冷たい声。

 それは命令というより宣告だった。

 

 男は震えながら後ずさりし、

 他の冒険者たちの陰に逃げ込んだ。

 野次馬たちは囁き合いながら好奇の視線を送ってくる。

「おいあれシルファさんだろ?」

「なんかキレてるぜ……」

「やっぱり噂は本当だったのかな……」

 

 噂──その言葉に耳を疑った。

(まさか……誰か気づいてるの?)

 

 不安と焦燥が胸を締め付ける。

 しかし今はそれどころではなかった。

 下腹部の熱が治まらない。

 突き飛ばした勢いで乱れた服装──

 白いブラウスの胸元が大胆に開き、

 漆黒のレースブラジャーが覗いてしまっていることに気づく。

 

(どうして私は……こんなときに)

 理性を総動員して首元までボタンを留める。

 それでも男に触れられた肌が未だに粟立ち、

 下着がじっとりと湿り続けていた。

 

「ふぅ……」

 深呼吸ひとつ。

 肺の中に溜まった淫臭を吐き出すように。

 そして静かに席を立つ。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 夕闇が迫る冒険者ギルドの軒先に立ち、

 シルファは無意識に首筋を指先でなぞった。

 皮膚の下で脈打つ牙痕の疼きが夕陽に炙られてじくじくと痛み出す。

 黒百合の徽章が胸元で冷たく輝いていた。

 

「何故……私を放置するのかしら……」

 

 呟きは誰にも届かない。

 だが風に運ばれて虚空に消える言葉には答えがあった──

 否、答えを与えてくれるはずの怨敵は不在だった。

 吸血鬼カランディーニ。

 あの夜以来姿を見せない漆黒の怪物。

 

 胸元の黒百合徽章が闇に溶け込み、銀髪だけが幽玄に浮かび上がる。

 十六歳の少女とは思えぬ蠱惑的な佇まい──

 肩を抱き寄せるように左手が右の上膊を掴む。

 

「まだ……」

 

 声にならぬ呟き。

 左薬指の爪先が右鎖骨を掻く。

 その瞬間、背筋を駆け上がる悪寒。

 吸血鬼の牙が穿った窪みが熱病のように疼く。

 

(嘘よ……もう10日も前の傷なのに)

 

 掌で首筋を覆う。

 指の隙間から洩れる呼気が異様に熱い。

 夜気が肌を撫でるたび瘡蓋が剥がれそうだ。

 否──

 

 ぺろり。

 

 指先に触れたのは湿った感触。

 舌で舐めたかのような塩気と鉄の香り。

 

(あ……血が滲んでる……)

 

 認識した瞬間全身の血液が逆流した。

 傷口を中心に同心円状に広がる痺れ。

 あの晩の記憶が毒のように体内を巡る。

 棘のあるペニスが子宮口を殴打した衝撃。

 口腔内に放たれた腐臭の液体。

 

「はぁ……っ」

 

 抑えきれず漏れる吐息は媚薬めいていた。

 往来を行き交う人々が振り返るほどの芳香。

 排卵日前後のホルモンバランス異常だと

 自分に言い聞かせる努力も虚しい。

 

 

 

 ギルド前広場から延びるメインストリートは夕市で賑わっていた。

 八百屋の店主が野菜籠を抱え大声で客を呼ぶ。

 古道具商が錆びた短剣を棚に並べる。

 旅芸人一座の笛と太鼓が遠くで奏でられていた。

 喧騒の中シルファの足取りは重い。

 制服のスカートが歩みに合わせてひらめき、

 肉付きのよい太腿が露わになるたび周囲の視線を集める。

 特に青年層の冒険者たちは獲物を狙う獣のように目を光らせていた。

 

 

 

 広場に立ち尽くすシルファの周りを

 男たちが無言の渦となって取り巻いていた。

 鍛冶屋の徒弟が汗臭いハンカチで鼻を押さえながら

「なあ……なんかあの姉ちゃん変な匂いしないか?」と呟き

 荷車を牽く行商人が涎を拭いながら

「すげぇ……あんな美人初めて見たぞ」と嘆息する。

 

 彼女自身は気づいているのかどうか──

 服のスカート丈が僅かに短くなっていた。

 屈んだ拍子に縫い目が破れたのだろう。

 白い太腿の内側が夕陽を浴びて艶めきながら揺れる。

 吸血鬼に刻まれた刻印が

 子宮を焼くような熱で彼女を内側から蝕んでいた。

 

 以前から人目を引く美少女だったシルファだが、

 あの凌辱以降はもはやオスを引き付ける毒華の様な色気に満ち溢れている。

 清楚な制服の奥から滴る淫気は尋常ではなかった。

 排卵期のホルモンと吸血鬼の因子が結合し、

 今や彼女の身体は発情した雌狐そのものだった。

 

「おいそこの……」

 ふいに背後から声がかかる。

 振り向いた先にいたのは粗末な革鎧を着た青年。

 年齢はシルファと同じくらいか少し上──

 金色の巻き毛が汗で額に貼りついている。

 

「お前……シルファってやつか?」

 

 問いかける声が震えている。

 目が泳ぎ唇が歪んでいるのは恐怖ゆえか欲望ゆえか。

 

「だったら……なんだと言うのです?」

 努めて冷ややかに答えるシルファだが

 その声音には微かな震えが混じっていた。

 自分でも制御できない疼きが脊椎を這い上がってくる。

 

 青年は躊躇いなく距離を詰めてきた。

「あんた……最近変だろ」

 唐突な非難に眉をひそめる。

「どういう意味ですか」

 

「匂いだよ」

 青年の顔がさらに近づく。

 鼻腔が彼女の胸元に触れるほど接近し、

 

「このエロい匂い……一体どこから出してんだ?」

 唸るような問いかけに喉が詰まる。

 否定できない事実がそこにある。

 

 彼女の身体から分泌されるフェロモンは

 今や常人の嗅覚で感知できる域を超えている。

 街路樹の影から見つめる少年の股間が

 テントを張っているのが視界に入った瞬間

 

「くっ……」

 

 思わず両膝を閉じてしまう。

 羞恥と憤りが交錯し腰骨が軋むほど力を込めても

 胎内の熱は収まらない。

 下着が湿っていく感触だけが鮮明だった。

 

 

 

(大丈夫……ちゃんと演じられているわよね?)

 

 胸の中でそう呟く。

 しかし白いレースブラウスの奥で

 黒檀のごときコルセットが肋骨を圧迫するたび

 胎内の腫れがズキンと疼いた。

 

 前方から帰宅する労働者たちの波が押し寄せる。

 砂埃を孕んだ風がスカートを煽り上げた刹那、

 

「あ……」

 

 淡い桜色のショーツが剥き出しになる。

 男たちの視線が一斉に集中し──

 

(違うのこれは事故……)

 

 言い訳しようとする思考を遮るように

 吸血鬼の烙印が熱く脈打った。

 膣内に撒かれた精液が排卵に応じて活性化し

 卵管をじっくり焦がしている。

 

「すみません通ります」

 

 毅然と言い放ち足早に通過する。

 だが背中に刺さる視線は消えない。

 背後の喧騒の中から漏れ聞こえる囁き。

 

「おい見たか今の姉ちゃん」

「尻のラインやべぇな……」

「っていうかあの匂いなんなんだよ」

 

 指摘されるまでもなく

 自身のフェロモンが暴走していることを

 シルファは自覚していた。

 吸血鬼の精液には媚毒が含まれており

 胎内で凝固する過程で発情促進成分を放出する。

 さらにシルファ自身の体内時計も排卵期を迎え

 孕ませてもらう準備万端の身体を無自覚にアピールしている。

 

(馬鹿……私ったら何を考えているの)

 

 叱咤しても効果はない。

 それどころか今宵は

 新月前の最後の満月──

 雌の本能が最も高まる一夜となる。

 

 街路灯が次々と灯り始め

 黄昏の青紫に染まりゆく石畳。

 シルファの長い影が地面に伸びる。

 そこに落とされる無数の視線の網。

 

「──―」

 

 振り返らずとも分かる。

 酒場帰りの船乗り

 荷運び夫

 学徒風の青年

 全員が彼女を追っている。

 吸血鬼の牙痕が鼓動するたび

 彼らの目が野生の光を帯びていく。

 

(そう……この感覚)

 忘れていた恐怖。

 だがそれ以上に甘美な疼き。

 支配されることへの恐怖と期待が入り混じった戦慄。

 

 喉の奥から込み上げる吐息。

 鼻梁が熱くなり瞼が重くなる。

 それでも彼女は真っ直ぐ歩く──

 騎士団長の娘として当然のこと。

 なのに身体は嘘をつけない。

 

 夕暮れ時の喧騒が彼女を包む街角で、シルファはゆっくりと視線を落とした。

 石畳には無数の足跡が刻まれている。

 そのどれもが彼女の方へ向かっているようで。

「…………」

 微かに開いた唇から漏れる吐息が白く霞んだ。

 春とはいえまだ肌寒い夕刻の空気。

 しかし彼女の首筋からは湯気のように熱気が立ち上っていた。

 銀色の髪が汗で頬に貼りつく。

 それをそっと指先で掻き上げる仕草があまりに艶めかしくて──

 見知らぬ酒場の主人が思わずジョッキを取り落とした。

 カチン! 

 甲高い金属音が石畳に跳ね返る。

 シルファは眉ひとつ動かさない。

 だが視線だけは確かにそこに吸い寄せられていた。

 転がる麦酒の泡が路傍の土に吸われるさまが妙に卑猥に映る。

(そんなものにまで欲情してしまうなんて……)

 内心で己を罵倒しながらも下腹部の熱は増すばかり。

 黒百合の徽章が夕陽に鈍く煌めく胸元。

 その奥で心臓が高鳴るたび制服の生地が僅かに波打つ。

 首筋の皮膚が粟立つ感触。

 吸血鬼に噛まれた窪みがじくじくと痛む。

「……まだ完全に塞がらないのね」

 呟く声はあまりに小さくて周囲の笑い声に掻き消された。

 それでも唇の動きが色っぽすぎて近くの薬屋の弟子が釘付けになる。

 白磁器のような肌に走る紅い亀裂──

 その微かな凹凸が照明を受けて妖しく浮かび上がる。

 街灯のオレンジ色の光が銀髪を燃えるような黄金に変え、

 紅潮した頬にさらなる艶を与えていた。

 通り過ぎる婦人たちが彼女の横顔を見て頬を赤らめる。

「まあ……なんて美しいお方……」

「だけど何か……怖いわね」

 囁き合う声は耳に入る。

 それでもシルファは真っ直ぐ前を見据えたまま歩を進める。

 革ブーツのヒールが硬質な音を立てて石畳を叩く。

 その音色さえ官能的に響くようだった。

「くっ……」

 突然下肢から溢れる愛液を感じて膝が震える。

 吸血鬼の体液に含まれる催淫物質がまだ作用している。

 子宮の奥で何かが蠕動しているのがわかる。

 胎盤形成期特有の痒みと膨満感。

 卵管を通って卵子に向かう精子たちの蠢きが神経を直接刺激する。

「はぁ……っ」

 堪えきれずに漏れた吐息。

 その甘やかさが周囲の男たちの喉仏を上下させた。

 路地裏から飛び出した野良猫が

 彼女の足元に躊躇なく擦り寄ってくる。

「ん……? どうしたの?」

 しゃがみ込んだ瞬間制服のスカートが翻り、

 白い太腿が夕闇に浮かび上がる。

 猫の鳴き声に釣られたのか若い行商人が物陰から姿を現した。

 目が合う。

 青年の頬が見る見るうちに紅潮していく。

「あの……シルファさんですよね? 冒険者の……」

 慌てて立ち上がると膝に掛かったスカートがはらりと落ちた。

 だが完全には隠しきれず薄桃色のショーツがちらりと覗く。

(しまった……!)

 羞恥で耳まで赤くなるシルファに対し青年は更に狼狽えていた。

「す……すみません! そういうつもりじゃなくて!」

 必死に謝罪する青年を前にシルファは努めて冷静を装う。

「かまいませんわ。騎士団育ちですので、慣れております」

 澄ました微笑。

 けれど唇の端が微かに痙攣しているのが自分でもわかった。

「そうですか……良かった……」

 安堵の息を吐く青年の鼻孔が

 花に誘われる蝶のようにシルファの方へ向く。

 匂いを感じ取ったのだ。

 普通の発情した雌とは異なる濃厚で危険な香り。

「あの……」

 言い淀む青年にシルファは首を傾げる。

「何か?」

「いえ……ただ……その匂いが……すごく……」

 そこで言葉を切った彼の視線がゆっくりと下方へ下がっていく。

 腰回り、太腿、そして膝……

 最後に足元に居座る猫の尻尾が

 青年の意図を察したかのように左右に揺れた。

「ふふ……おかしなことを仰る方ですね」

 わざとらしく声を和らげながら

 シルファはそっと身を引いた。

 接触面積を最小限にするための動き。

 しかしそれが却って官能的な距離を作る結果となり

 青年の呼吸がさらに荒くなる。

(いけない……これ以上は……)

 本能的に危機感を覚えつつも身体は正直だった。

 

 

(まただ……)

 

 シルファは無意識に首筋を押さえた。

 掌に触れる皮膚が粟立っている。

 街路を行き交う男たちの視線が針のように刺さる——

 だが物理的な接触は無い。あるのは思念だけ。

 彼らの脳裏で展開される醜悪な劇場の幕が次々と上がっていく。

 

 最初は薬屋の徒弟だった。脂ぎった顔に眼鏡が曇っている。

 彼の妄想ではシルファは既に店の奥の寝台に組み敷かれている。

 衣を剥ぎ取られた彼女の裸体に透明な粘液が滴り落ちる。

 徒弟は試験管で採取した薬草の煮汁を彼女の秘裂に垂らし、

「副作用で子宮が敏感になりますよぉ」と笑いながら膣壁を掻き回している。

 器用に動く指先が乳首を繊細に弄り回し、

「あ〜っ!」という悲鳴と共に噴き出す愛液を布巾で拭う。

 その後は生臭い接吻で唇を蹂躙されながら何度も腰を打ち付けられる。

 

「……!」

 

 悪寒と共に現実へ引き戻される。

 現実の徒弟は眼鏡を掛け直しながら咳払いをしているだけだ。

 しかしその鼻腔は荒く喘いでいる。

 

 続いては港湾労働者の集団だった。

 半裸の肉体から汗と海の塩が滴り落ちる男たちが

 無言で彼女を取り囲んでいる。

 彼らの想像力はもっと原始的で暴力的だ。

 廃倉庫の藁敷きの上で四つん這いにさせられたシルファは

 後ろから男たちに輪姦されている。

 最初の一刺しで貞操を奪われた膣が激しく泣き叫ぶ。

 次々と入れ替わるペニスが子宮口を叩き潰し、

 白濁液が夥しく注ぎ込まれる。

「お願い許して!」と懇願する彼女の涙を舐めとりながら

 別の男が口内を貫く。窒息の淵で繰り返される奉仕——

 胃袋へ流れ込んだ精液が逆流し肛門から噴射する惨劇。

 

「ひっ……」

 

 喉の奥で嗚咽が漏れる。

 咄嗟に口元を覆うシルファの手の甲に鳥肌が立っている。

 視線を上げると男たちの一部は確かにニヤつきながら

 褌の内側を膨らませていた。

 

 さらに後方からは古物商の老人が舌舐めずりしている。

 皺だらけの皮膚の下で血走った瞳が彼女を貫く。

 その脳内では退廃的な儀式が始まっていた。

 黒曜石の祭壇の上で磔にされたシルファ。

 媚薬を染み込ませた荒縄で絞り上げられた乳肉が捏ね回される。

 秘所には黒曜石製の冷たいディルドが挿入され腸壁を抉る。

 老人は禍々しい羊皮紙を読み上げながら

 呪詛に満ちた接吻で彼女の魂を侵す。

「お前はワシの所有物だ」

 嗄れた声が耳朶を震わせると同時に

 老人の萎びた陰茎が膣内に捩じ込まれる。

 枯木のような身体からは想像できない量の精液が放出され、

 シルファの下腹部が妊婦のように膨らんでいく。

 

「うっ……」

 

 眩暈と共に膝が折れかける。

 眼前の風景が蜃気楼のように歪む。

 現実の老人は何事もないように古道具を並べているのに

 その幻影から溢れ出る邪悪な欲望がシルファの体内を汚していく。

 

(やめて……そんなこと考えていないで)

 

 制止したいが声にならない。

 代わりに太腿の内側を温かい液体が伝う感覚。

 ショーツはすでに湿潤の極みに達していた。

 布地が吸収しきれなくなった蜜が膝下まで滴り落ちる。

 石畳に小さな水溜りができ始めるのを彼女は俯瞰的に認識した。

 

「あ……」

 

 咄嗟に右手で裾を引っ張り上げる動作。

 それが却ってスカートの内部を晒すことになり

 露わになった太腿と腿根の白さが男たちの瞳孔を拡大させる。

 薄桃色のレースショーツは中央部が完全に透けてしまっている。

 クロッチの下に潜む秘唇の縦筋までもが

 夕闇の中で燐光を放つように浮かび上がる。

 

 周囲から唾を飲み込む音が多重に響く。

 そして四方から一斉に立ち昇る想念の奔流——

 

 酒場の看板娘に扮したシルファが

 裸体にエプロン一枚で給仕をする様。

 お客様の局部に跨り絶頂するたびにワイングラスを割る痴態。

 夜警の警備隊に囚われ地下牢で鞭責めを受けながら

 乳房を搾られ母乳を啜られる屈辱。

 果ては孤児たちに囲まれ純潔を捧げる背徳的な未来——

 

「はぁ……っ」

 

 喘ぎが抑えられない。

 各々の脳内で演じられるシルファの肢体が

 彼女自身の官能中枢を経由して直接子宮へ到達する。

 本来なら断ち切るべき妄想が淫靡な導火線となり

 胎内で爆ぜる寸前の欲望を加速させていく。

 

(ああ……私の身体……嘘をついていない)

 

 そう思った瞬間スカートの内側で臀丘が痙攣した。

 下着の中で襞が自己慰撫を始める。

 クリトリスが勃起し包皮を突き破る衝撃で腰が抜けそうになる。

「くっ……ぅうう!」

 辛うじて背後に凭れた石柱が彼女を支える。

 黒百合の徽章が胸元で苦悶の吐息に合わせて揺れる。

 しかし周囲には依然として平静を装う必要があった。

 

「シルファさん?」

 背後から声がかかる。

 振り返ればギルドの事務職員が立っていた。

「今日の任務報告をお待ちしておりますが……」

 その穏やかな口調とは裏腹に

 男の視線が胸元からスカートの中へ滑り落ちる。

 同時に彼の妄想画面が開く。

 

 ──騎士団の旗本席に拘束されたシルファ。

 純白の礼装を剥ぎ取られ丸裸となった彼女は

 父の前で男根を受け入れるよう命じられる。

 軍服姿の事務員が最前列に跪き

 恍惚とした表情で肉槍を差し出す。

「娘さんの淫乱ぶりは存じておりますよ」

 冷笑を浮かべる父が娘の口へ別の竿を捻じ込む。

 三方向からの挿入で精神が破滅を迎える刹那

 会場全体の兵士たちが服を脱ぎ捨て

 大規模な公開陵辱が始まる……

 

「うふ……」

 

 思わず漏れた微苦笑。

 それは嫌悪ではなく生理的快感によるものだった。

「少々ご迷惑かもしれませんが……」

 わざと膝を曲げ腰を落とすシルファ。

 ミニスカートが捲れ上がりショーツの内側が白日に曝される。

 クロッチから溢れる蜜が内腿を伝い落ちる光景を

 事務員はじっと凝視している。

 その喉仏が上下するのがはっきり見えた。

 

(もっと見て……私の穢れを……)

 

 理性は警鐘を鳴らすのに

 肉体は反比例して扇情的な動きを止めない。

 踵を返し歩き始めたシルファの背後で

 妄想劇場の幕が一斉に開いた音がした。

 次第に密度を増す淫欲の結晶が彼女の歩みと共に渦を巻く。

 一つひとつの欲望が粘液状に絡みつき

 彼女の皮膚表面をコーティングしていく。

 

「あぁん……っ」

 

 遂に隠しきれない嬌声が漏れた。

 股間で炸裂する電流のような快楽信号。

 疑似精液と本物の愛液が混ざり合った潤滑油が

 ショーツの中で淫靡な音色を奏でる。

 シュッシュッと擦過音が響くたび膣壁が収縮し

 子宮口が新たなる侵入者を求め開閉する。

 

(ダメ……ここで達してしまう……)

 

 脳内で警告が響く。

 しかしそれこそが禁断の扉を開く鍵となる。

 周囲の男たちの思念と彼女自身の肉体反応が共振し

 臨界点に達しようとしていた。

 

 路地裏の暗がりに背中を預け

 スカートの中で蠢く右手の感触を確かめる。

 中指が第二関節まで沈み込む感覚。

 熱く蕩けた肉襞が歓喜に震えながら迎え入れる。

 親指が陰核を捉えた瞬間全身の神経が逆立つ。

 

「あ゛……っ!」

 

 抑えきれない呻き。

 周囲の通行人が一斉に振り返るが

 誰一人として助け起こそうとする者はいない。

 全員が興奮の坩堝の中で観測者となっている。

 その視線の雨が彼女の四肢を麻痺させた。

 

(見てる……みんな見てる……)

 

 その思いが最後の扉を解放する。

 突如として内腿に奔る強烈な痙攣。

 収縮する膣穴が握り拳ほどに窄まり

 大量の蜜が指の隙間から迸り出る。

「んくっ!!」

 喉が締まり目の前が白く霞む。

 下半身が宙に浮くような感覚と共に

 灼熱の潮が噴水のごとく飛び散った。

 

 ザーッ! 

 

 石畳に広がる粘稠な水たまり。

 そこへ男たちの妄想から抽出された欲望粒子が注ぎ込まれる。

 彼らの思念体が実体化したかのように

 彼女の秘部へ粘液状の手を伸ばす幻影が見える。

「ひゃあっ……!?」

 実際に触れられていないはずなのに

 内臓を鷲掴みにされる感触がある。

 まるで幾十もの舌が粘膜を舐め回すような生々しい感触—

 

「あっ……ああああぁ!!」

 

 二度目の絶頂。

 今度は断続的な痙攣が続く。

 膝から崩れ落ちたシルファの上に妄想の具現化が雪崩れ込む。

 視界いっぱいに広がる男根の幻影。

 それぞれが血管を浮き立たせ脈動している。

 一本一本が彼女の穴を探し求めて蠢く。

 

「止めて……やめてくださ……ぃいっ!」

 

 言葉とは裏腹に肉体は従順だった。

 開脚された股間から新たな蜜が溢れ出す。

 偽りの男根たちが我先にと押し寄せる様が滑稽でありながらも

 限りなく現実的だった。

 

(ああ……犯されている……)

 

 意識が混濁する中で悟る。

 この街全体が巨大な陵辱舞台なのだ。

 彼女という名の主人公を巡る欲望劇の主役は他ならぬ彼女自身。

 

 朦朧とした意識の中で聞こえる男たちの囁き—

「凄ぇ……本当にイッてるぜ」「あのシルファさんがなぁ」

「普段の澄ました態度とは大違いだ」「あんなエロい声出すんだな」

「娼館に入れたいわ」「いや俺は妻として欲しい」「むしろペットにしたい」

 

 あらゆる性的嗜好が混ざり合い彼女へと降り注ぐ。

 その全てが甘美な媚薬として浸透する。

 

「ふ……ふふ……」

 不意に漏れる笑み。

 唇の端から唾液が零れ落ちる。

 恍惚の表情を浮かべるシルファの瞳が虚ろに輝く。

 

 

 石畳に広がった蜜の水溜りは、夕闇の残照を鏡のように反射していた。

 その中心に沈み込むシルファの銀髪が、濡れて鋼鉄のように輝いている。

 群衆の熱い吐息が風となり、彼女の露出した太腿を撫でる。

「おい……動かないぞ」

「マジで失神したか?」

 囁きが耳元で踊る。意識はある。しかし指一本動かせない。

 絶頂の余韻が神経を麻痺させ、代わりに内臓が勝手に痙攣を繰り返している。

 子宮の奥で新しい生命が芽吹こうとしている──

 その確信が鉄の杭のように胎を貫く。

(どうして……どうして私が……)

 自己嫌悪と背徳の蜜が胸を焼く。

 騎士団長の娘。銀の剣姫の称号を持つ少女。

 そのすべてが嘘っぱちに感じられた。

 現実は──吸血鬼の子種を宿した妊娠初期の肉体。

 淫欲に溺れた売春婦同然の醜態。

「くく……やっぱり噂通りだったな」

 低く嗤う声がした。革ブーツの音が近づく。

 視界の端に映るのは港湾労働者の巨躯。

 腰に下げたナイフが街灯を鈍く映す。

「あの高慢なシルファ様が……昼間はツンツンしてる癖に」

 彼の指が無造作にスカートを捲る。

 鼠径部から覗く白いショーツは既に愛液と尿で透け、

 クロッチ部分が股間の谷にぴたりと貼りついていた。

「こんな下着穿いてるとはねぇ」

 嘲笑と共に爪先が布越しに秘裂をなぞる。

「んあぁっ!!」

 悲鳴とともに腰が浮く。しかし逃れる術はない。

 群衆の腕が四方から伸びて彼女の四肢を拘束した。

「やめ……てください……騎士団が……!」

 抗議の声は蚊の鳴くようだった。

「騎士団? ここは無法地帯だぜ?」

 別の男──薬屋の徒弟が眼鏡の奥で目を細める。

「それにねえさん。自分の匂い……自分でわかってるでしょ?」

 彼の指が首筋の噛み跡をこすり上げる。

「ここんところ……朝からずっと匂わせてる。昨日も一昨日も」

 囁きながら襟元を開く。豊満な乳房が窮屈なコルセットから解き放たれる。

「ほら……乳首ビンビンじゃないか」

 言うなり徒弟は唇を尖らせた。

 無数の視線が注がれる中で、彼は躊躇いもなく乳頭に吸いついた。

「ひ……っ!」

 強烈な吸引。

 ゾクゾクと背筋を這い上がる快楽が敗北感を上書きする。

「おや……ちょっと塩っぱい?」

 唾液の糸を引きながら彼が顔を離す。

「潮吹いただけじゃ足りなかったみたいだね?」

 ニタリと笑うと懐から竹筒を取り出した。

 蓋を開けると濃緑色の粘液が滴る。

「特別配合の滋養液だよ」

 冷たい瓶口が無防備な乳首を押し潰す。

 粘っこい薬液が乳腺を満たしていく感覚──

「やめ……んくっ!」

 拒絶の言葉は途中で途切れた。

 膣が熱く痙攣し新たな蜜が床を濡らす。

 徒弟は満足げに立ち上がり仲間へ場所を譲った。

 次に現れたのは炭坑労働者たちの頭領──

 額に深い傷痕のある中年の男だった。

「おいガキども。よく見とけよ」

 野太い声が響く。周囲の子供たちが息を飲む気配。

「これが本当のセックスってやつだ」

 彼はベルトを外し、雄々しく屹立した男根を見せつけた。

「ちょ……待って……!」

 シルファの抗議は耳に入らない。

 重量のある肉体が彼女を押しつぶすように覆いかぶさる。

「安心しな。俺ァ堅気だから処女膜なんて興味ねえよ」

 ズボンを下ろす音が響き渡る。

 剥き出しの剛直が彼女の視界を埋めた。

 黒々とした幹に浮かぶ血管が蛇のように蠢く。

「じゃあ行くぜ……」

 荒々しい息遣いと共に先端が秘唇に押しつけられる。

 抵抗は不可能だった。

 濡れそぼった蜜壺は抵抗なく異物を受け入れた。

「んぐぅぅぅっ!!」

 太い杭が一気に子宮口まで到達する。

「ほう……締まるねぇ」

 炭鉱夫は嘆息すると腰を浅く前後させ始めた。

「ぐ……ああっ!」

 抽送のたびに子宮が圧迫され膣壁が擦られる。

 快楽の火花が脳裏で散り散りに弾ける。

「おい……もう逝ったのか?」

 嗤う声は遠く聞こえた。

 実際には十往復もしない内にシルファは再び極まった。

 しかし炭鉱夫は律動を緩めない。

「駄目だろシルファちゃん。まだまだこれからさ」

「ひゃあっ……!」

 急角度で膣内を抉る腰使い。

 同時に彼の掌が乳房を鷲掴みにして揉みしだく。

「やめ……許して……お願い……っ」

 哀願の言葉も甲高く甘い旋律になる。

 子宮口が開き新たな侵入者を待ち受ける。

「くく……ここがいいらしいな?」

 心得たように炭鉱夫が一点を集中的に突く。

「あ゛ぁ゛~~~っ!!」

 喉から獣のような咆哮が洩れた。

 大量の愛液と少量の尿が滲み出て股間を濡らす。

「まだ序の口だぜ?」

 彼は一度引き抜くと亀頭をクリトリスに擦りつけた。

「んぐぁっ!!」

 鋭敏すぎる突起が虐められる。

「膨らみすぎだ。こりゃ普段から苛めてるな?」

 指先でつまみ上げ軽くひねる。

「ひぎっ……!」

 腰が浮き上がるほどの快感が稲妻となって全身を駆け巡る。

「よしよし……可愛がってやるからな」

 今度は亀頭を使って包皮ごと擦り上げる。

 ヌチャヌチャという音と共に透明な涎が滴り落ちる。

「や……やめ……やめてください……!」

 懇願の言葉は意味を為していない。

「可愛いなお前……」

 炭鉱夫は耳元で囁くと頸椎を甘噛みした。

「ぐあっ……!」

 瞬間的な痙攣が全身を走る。

 その隙を見逃さず再度挿入する男根。

 今度は角度を変えポルチオを狙い撃ちする。

「ひああぁぁぁっ!!」

 子宮口付近の神経結節を容赦なく削られる快感。

 脳内で火花が炸裂し視界が真っ白に染まる。

「こりゃいい具合だ……」

 悦に入った炭鉱夫が抽送の速度を速める。

 パンパンという乾いた音が路地裏に響く。

 そのリズムに合わせて乳房が躍る。

 周囲の男たちが唾を飲む気配がする。

「どうだ? 感じるだろう?」

 問いかけに答えられない。

 絶え間ない快楽波動で言語機能が麻痺している。

 代わりに膣が意思を持って蠕動する。

「最高だ……もう限界か?」

 冒険者が問う。問いではない宣言だった。

 次の瞬間熱い塊が奥深くに放たれる感覚──

 ドクンドクンと脈打つ精液が子宮底を叩く。

「あぁっ……!」

 シルファの全身が弓なりに反り返る。

 その瞬間彼女は理解した。

 これは単なる凌辱ではない。

 肉体的な苦痛を伴わない快楽だけの拷問だ。

 逃げたくても逃げられない。

 むしろ求めてしまう。

(ダメ……これ以上受け入れたら……私は……)

 理性の警鐘は耳鳴りのように遠ざかる。

 代わりに子宮の中で胎児が成長する幻想が閃く。

 産気づいた胎内で新しい生命が蠢き出す映像──

「はは……孕んじまったみてえだな」

 冒険者が腰を引きながら呟く。

 秘裂から零れ落ちる白濁液を指で掬い上げて

 彼女の口元へ押し当てる。

「飲みな」

 強制的な口内への注入。

 甘美とも苦いともつかない生臭い粘液が喉を灼く。

 嚥下と共に全身が火照る感覚。

「次はおれだ」

 すぐに別の男が押し寄せる。

 薬屋の徒弟の番だった。

 彼は注射器のような器具を取り出し

 何やら薬液を吸い上げていた。

「鎮静剤と催淫剤の混合液さ」

 にこやかに言うと彼はシルファの左腕を掴む。

 無防備な内肘に注射針が突き立てられる。

「……っ!」

 痛みよりも違和感の方が強い。

 透明な液体が血管へ注入されるにつれ

 肌の温度が一段階跳ね上がるのを感じた。

「これで痛みは感じなくなる」

 徒弟は満足げに告げると白衣の下から硬直した怒張を取り出した。

 冒険者よりも細いが長い男根。

 亀頭が先端を尖らせている。

「君のここ……相当敏感だろう?」

 言うなり彼は挿入せず雁首をクリトリスに当てがった。

「……あっ!」

 刺激だけで腰が浮く。

 徒弟はそのまま円を描くようにクリトリスを擦り始めた。

「ほら……どんどん固くなってきた」

 嘲笑混じりの囁き声。

 神経を直接弾かれるような刺激が脊髄を駆け上がる。

「やめ……て……下さい……っ」

 拒絶の言葉は熱に蕩けた呻きに変わる。

 やがて彼は挿入を開始した。

 細く長い楔が子宮口を目指して進む。

「ここかな?」

 少し浅い位置で前後に小刻みな運動。

 弱点を正確に探り当てる動き。

「ひっ……!」

 咄嗟に声を飲み込む。

 徒弟はニヤリと笑い同じ箇所を執拗に擦り上げる。

「やはりここだね」

 細いながらも芯のある挿入感。

 しかも定点のみを攻め続ける耐久戦。

「ん……あ……ああっ!」

 再び達しそうになる直前で

 徒弟はピタリと動きを止めた。

「まだ早いよ」

 焦らすように抜き取る。

 充血したまま放置された肉襞が空虚を訴える。

「もっと焦らしてあげる」

 再びクリトリスへ戻る彼の矛先。

 延々と続く痒みにも似た飢餓感。

 子宮が疼く。膣壁が震える。

「お願い……早く……!」

 ついに言ってしまった。

 徒弟は満足げに頷くと挿入を再開した。

 今度は深く─ポルチオへ到達するまで―

「ひぐぅっ!!」

 脊髄反射で弓反りになる身体。

 そこへ追い討ちのように徒弟の腰が叩きつけられる。

「もっと高く……もっと深く……」

 独り言のように呟きながら律動を重ねる徒弟。

 結合部から蜜液が大量に溢れ出す。

「ああ……すごい……シルファ様……」

 周囲から羨望と嫉妬の入り混じった囁きが届く。

 徒弟は一旦引き抜くと彼女の上体を抱え起こした。

 背面座位の姿勢で串刺しにする。

「ほら……皆にお披露目しよう」

 両脚をM字に開かせる。

 眼下には密集した男たちの視線。

 結合部から流れる二人分の体液が陽光を受けて煌めく。

「綺麗なピンク色だ……」

 誰かが感嘆の息を吐く。

 徒弟は再びピストンを開始した。

「ひ……んんっ……あっ……!」

 揺れる乳房に吸いつく子供の手。

 腰を掴む老婆の指。

 肩甲骨を舐める男性の舌。

 全身が玩具箱になっている感覚。

「もう……限界です……許して……」

 懇願の言葉は甘く溶ける。

 子宮口が勝手に開き徒弟の亀頭を飲み込もうとする。

「いいよ……一緒に逝こう」

 徒弟の腰使いが早まる。

 突き上げられる度に星が散る。

「ああ……くる……来る……!」

「……逝け!」

 一際強い一突きと共に徒弟の精が注ぎ込まれる。

「ああぁぁぁ───!!」

 絶叫と共に子宮が精液を吸収する錯覚。

 全身を貫く恍惚の波動。

 徒弟が倒れ込むように抱擁する。

 互いの体温が融け合う。

「さあ交代だ」

 薬屋の徒弟が引き抜かれるとすぐさま別の男が現れた。

 肉屋の店主──分厚い指と赤黒い皮膚を持つ中年男。

 彼は既に褌を解いており凶悪な逸物を露出させていた。

「悪いな若造。次は俺様の番だ」

 店主は乱暴にシルファの髪を掴むと無理やり顔を上げさせた。

「ほれ舐めろ」

 唇へ押しつけられる硬直した肉塊。

 独特の牡臭さと脂肪の甘い香りが混ざり合って吐き気を誘う。

「や……そんな汚いものは……」

 拒否するより早く店主の掌が頬を打った。

「口答えすんな!」

 平手打ちで唇が切れる。

 血の味が広がる口腔へ無理矢理剛直が捩じ込まれる。

「んぐっ!?」

 噎せる間も無く店主の腰が前後運動を始める。

「おら……舌を使え」

 命令調の口調。

 反射的に舌先で亀頭を刺激するシルファ。

「そうだ……いいぞ」

 店主は満足げに腰をくねらせる。

 喉奥に押しつけられた肉塊が膨張するのを感じる。

「出る……全部飲めよ……」

 予告なしに熱い迸りが口腔を満たす。

「ん……んんんっ!」

 必死で嚥下するもあまりの量に溢れ出る。

「勿体ねえ」

 店主は彼女の顔を固定したまま

 顔射の体勢に入る。

「や……やめ……っ」

 制止の声は虚しく掠れた。

 勢いよく浴びせられる精液が睫毛を重くする。

「ほらまだ終わりじゃねえぞ」

 店主は未だ萎えぬ剛直を口から抜くと

 仰向けに押し倒した。

 両脚を肩に担ぎ上げ秘裂へ一気に貫く。

「ひっ……!!」

 強すぎる衝撃。

 腰骨が砕ける錯覚。

 店主は一切の気遣いなく己の欲望の赴くまま突き続ける。

「おお……締まる……やっぱり若い娘は違うな……」

 卑猥な呟きと同時に最深部を突き上げる腰使い。

 子宮口が無理やりこじ開けられる圧迫感。

「いや……そこ……ダメ……!」

 シルファの抗議は聞き入れられない。

 むしろ店主はそこに狙いを定めた。

「ここか? ここがいいのか?」

 執拗な一点集中攻撃。

 ポルチオ性感帯を叩き潰すような勢いで抽送される。

「や……やめ……なんかくる……!」

 胎内で何かが目覚める恐怖。未知の絶頂感の予感。

「おぉ……イケよ……」

 店主がラストスパートに入る。

「あ……ああぁぁっ!!」

 シルファの視界が白く染まる刹那

 店主の射精が胎内で炸裂した。

「ふぅ……よかったぜ」

 店主が満足げに引き抜くと

 鮮血混じりの愛液が大量に溢れ出した。

「あ……あぁ……」

 放心状態のシルファを今度は

 

 

(……熱い……)

 胎内に残留した他人の精液が子宮壁を焼く感覚。

 乱暴な輪姦から救い出されたと思いきや、次の手が伸びてくる。

 煤けた作業着の腕がシルファの腰を掴む。

 

「お前みたいな上玉はな……こういう場所こそが似合うのさ」

 屈強な男たちが彼女を担ぎ上げた。粗末な山道を運ばれる。

 夕闇迫る森の向こうに赤錆びた採掘場の輪郭が浮かぶ。

 

 

 

 冷たく湿った岩窟の空気。灯油ランプの灯りが揺れる休憩小屋。

 質素な寝台と壁に打ち付けられた鉄格子が唯一の家具。

「今日からここがお前の住まいだ」

 頭領格の男が鎖付きの手枷を嵌める。

 錠の金属音が鼓膜を刺す。

 

「皆さまのお疲れを癒す……それがお前の仕事だ」

 炭鉱夫たちの視線が肌を這う。期待と欲望が皮膚に染み込む。

 一番手は最も年配のベテラン。

 禿げ上がった頭に刻まれた深い皺が彼の人生の厳しさを物語る。

「儂なんざ若い頃は嫁さんしか知らんかった」

 自嘲気味に呟くとゴツゴツした指が乳房を握り潰す。

 

「だがな……こんな体験できるんなら……」

 皺だらけの唇が乳首を吸い上げる。吸引の強さにシルファが仰け反る。

「もっと早く知りたかったのう」

 荒れた手が下腹部を撫でる。子宮の膨らみを確かめるように。

「おお……ここは既に別の男のもんじゃな」

 嫉妬か憐憫か判然としない声音。

「構わんよ……儂のもんにしてやる」

 剛直が蜜穴へ潜り込む。弛緩した膣壁が易々と侵入を許す。

「ひっ……!」

「おぉ……温かい」

 ゆっくりと腰を揺する初老の炭鉱夫。

 子宮口に先端を押しつけながら低い唸り声を上げる。

「お前さんのなか……昔の嫁さんにそっくりじゃ」

 感傷に浸る言葉とは裏腹に抽送は徐々に激しさを増す。

「あっ……そんな奥まで……!」

「堪忍せえ……もう止まらんわい」

 年齢を感じさせない猛攻。

 太腿を叩く尻肉の衝撃。

 シルファは喘ぎ声を噛み殺す。

「ふぅ……出すぞ」

 予告なく胎内に広がる温もり。

(また……増えてしまった……)

 絶望と諦念が交錯する刹那、頭上で別の男の怒号が響く。

「爺さん! 交代だ!」

 筋肉質の若者がシルファを抱き上げる。

 岩壁に手をつけさせた後背位の姿勢へ。

 

「お前みたいな上品な女……初めて見たぜ」

 興奮に震える声が背中に掛かる。

「でもな……これからはただの道具だ」

 乱暴にスカートを捲り上げると即座に挿入する。

「くあぁっ!」

 貫かれた瞬間膣から先客の残滓が飛び散る。

「なんだよ……前のがまだ残ってんじゃねえか」

 不満げな呟きと共に激しいピストンが始まる。

 岩肌に爪を立てて耐えるシルファ。

「おいおい……もっと感じてもらわねえと」

 背後の男が乳房を鷲掴みにする。

「ひ……やめて……痛い……」

「痛みも快感に変えるのが上玉の証だってな」

 言いながら体重を掛ける若者。

 結合部から血混じりの体液が流れ落ちる。

「あぐっ……!」

 痛みの中に微かな悦びが混ざる矛盾。

(なぜ……こんなときに……)

 無意識に腰が揺れてしまう自分に戦慄する。

「おお……締まる締まる!」

 若者の息遣いが荒くなる。

 子宮口を殴打するような腰使い。

「出してやる……全部受け止めろ!」

 胎内で暴れる熱流。

(助けて……誰か……)

 心の中で祈りつつも口からは淫らな声しか出ない。

「ああぁぁ───っ!」

 絶頂の叫びが洞窟に反響する。

「次は儂の番じゃ」

 再び初老の炭鉱夫が現れる。

 休憩小屋での交代制の凌辱は日暮れ過ぎても終わらない。

 夜明け前に戻ってきた男たちの群れが新鮮な精気を補充する。

「こいつ……完全に慣れてきたな」

 嘲笑混じりの囁きが聞こえる。

 確かに最初の抵抗は消えつつある。

 痛みの中から快楽を拾う術を覚え始めている。

 頭領格の大柄な男が前進する。

 他の男たちが拍手で迎える。

「特別コースといこうや」

 男が指笛を吹くと数人の子供が現れた。

 痩せ細った体躯に垢のついた顔。

(まさか……)

 恐怖でシルファの肢体が硬直する。

「この子たちも頑張ってるんだ」

 頭領がシルファの乳房を子供たちへ差し出す。

「ご褒美……だ」

 言われるまでもなく少年たちがしゃぶりつく。

「ひゃんっ!」

 左右交互に乳首を吸われる感触。

 一方では老人の剛直が体内を掻き回す。

「おい坊主たち……そろそろ教えとくか」

 頭領の指示で小さな手が下腹部へ伸びる。

「や……そこは……!」

 未成熟な指が恥丘を探り、

 クリトリスを見つけた瞬間強く摘み上げる。

「痛っ……離して……!」

 涙ながらの懇願も無視された。

 反対側では幼児が乳房に顔を埋めている。

「お母さんみたい……」

 囁きながら乳頭を甘噛みする。

(違う……私はあなたの母親じゃない……!)

 しかし肉体は正直だった。

 子宮口が母性の疼きに耐えかねて綻んでいく。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 炭鉱専属の精液処理便所兼おしゃぶりに貶められた恥辱。

 毎日毎晩男たちに嬲られる日々。

 昼間は岩窟内で男根を咥えさせられ、

 夜間は地上に連れ出されて輪姦ショーの見世物にされる。

 最初の内は必死で抵抗した。

 しかし頭領の「反抗すれば炭坑の子供たちが飢える」

 という恫喝に屈し、やがて自ら股を開くようになった。

 その日もいつもと変わらぬ惨状だった。

 頭領の指示で作業服を脱ぐシルファ。

 白磁のような肌がランプの灯りに妖しく照らし出される。

「ほれ……いつもの準備だ」

 言われるまま床に四つん這いになり、

 臀部を高く突き上げた姿勢をとると、男たちの哄笑が洞窟に木霊する。

 

 

 

「今日も綺麗な尻だなぁ……シルファ様」

 

 頭領の太い指が尾てい骨から秘裂へと滑り降りる。

 その指先が菊門を弄ぶ。

「んっ……!」反射的に腰が跳ねるが逃れることはできない。

 逆にその反応を楽しむように男は指圧を強める。

 

「おいおい……肛門でも感じるのかい?」

 

 嘲笑混じりの問い掛け。否定する気力も湧かない。

 既に肛門性愛(アナルプレイ)は日常茶飯事となっていた。

 

「まあいいさ……今日は特別サービスしてやる」

 

 頭領が棚から奇妙な器具を取り出す。

 金属製の漏斗状の装置。中央に細い管が通っている。

 

「これでお前の腸内(なか)を綺麗に掃除してやる」

 

 冷たい金属が肛門へ押し当てられる。強引に挿入される異物感。

 管を通じて得体の知れない液体が注入される。

「ひっ……!」腸壁を焼く刺激。

 胃袋が逆流するような感覚に襲われる。

 

「我慢しろよ? まだまだ半分だ」

 

 嘲笑う頭領。シルファは脂汗を流しながら耐える。

 次々と追加される液体。やがて腸管が破裂しそうな程膨らむ。

 

「そろそろか?」

 

 突然管が引き抜かれる。栓を失った肛門から液体が噴出する。

 床一面に広がる茶褐色の排泄物。強烈な臭気が洞窟に立ち込める。

 

「うわぁ……汚ねぇなぁ」

「これが元騎士団長令嬢の成れの果てかよ」

 罵詈雑言が雨霰と降り注ぐ。しかし羞恥心はすでに麻痺していた。

 それどころか妙な解放感さえ感じている自分に愕然とする。

 

「さて……掃除完了だな」

 

 頭領が新品の革鞭を手に取り微笑む。

「お仕置きの時間だ」

 

 最初の一撃が臀部を襲う。鋭い痛みに意識が飛びかける。

 二撃目は背中を横切る。三撃目は右大腿部へ。

 均等に刻まれる鞭痕。肌が破け血が滲む。

 

「あ゛……ぅっ……!」

 呻き声は啜り泣きへ変わり最後は嗚咽へと変貌する。

 

「泣くな……雌犬(メスイヌ)」

 叱責と共にさらに激しい鞭打ちが始まる。

 痛みと恐怖で震える裸体。しかし同時に肉体の奥底で別の何かが蠢く。

 

(熱い……身体の芯が熱い……)

 

 この苦痛こそが与えられた使命なのだと刷り込まれていく感覚。

 苦痛が終わる時こそ至福の瞬間なのだと……

 

「よし……綺麗になったな」

 

 血糊と汗でぐちゃぐちゃになったシルファを満足げに眺める頭領。

 今度は優しく臀部を撫でながら囁く。

 

「ご褒美タイムだ」

 

 男たちが一斉に服を脱ぎ捨て裸体となる。

 数十本の勃起した男根が眼前に並ぶ。

「選べよ」命令に逆らうことなく最も逞しい一物へ口づけする。

 

「ちゅぷ……ん……」

 

 丁寧に舌先でカリ首を舐め上げ竿全体を包み込む。

 他の男たちも順番待ちの列を作る。

 一人が終わりまた次のペニスを咥えるルーティーン。

 

「上手くなったじゃないか」

「ああ……最高のフェラチオマシーンだ」

 

 称賛の言葉を浴びながら次々と射精させ続ける。

 口内だけでなく顔面や乳房へも白濁液が撒き散らされる。

 全身をスペルマでコーティングされる儀式。

 

「そろそろ本番行こうぜ」

 

 誰かの提案で床に敷かれた麻布の上へ転がされる。

 両脚を開かされ露わになった秘部へ潤滑油が垂らされる。

「準備万端だな」頭領の雄茎が入口へ添えられる。

 

「ん……ぁあっ……!」

 

 待ち望んでいたかのように吸い込まれる剛直。

 抵抗なく受け入れる柔肉。逆に膣壁が絡みつき奥へ引き込む。

 

「相変わらず締まるぜ……この身体は最高だ」

 感嘆の声と共に抽送が始まる。単調な動きではない。

 緩急自在にリズムを変え弱点を探る計算されたピストン運動。

 

「ひぁっ……そ……そこは……」

 膣内のGスポットを捉えられ思わず悶絶するシルファ。

「ここか?」頭領はニヤリと笑うと重点的に責め立てる。

 

「やっ……だめぇ……っ!」

 拒絶の言葉とは裏腹に腰は自然と浮き上がり男を受け入れる体勢をとる。

 子宮口が開き侵入者を迎え入れる準備をする。

 

「おお……子宮が下りてきてるな」

 頭領の指摘通り膣深部で子宮口が亀頭を迎え入れようとしていた。

 結合部からは愛液が洪水のように溢れ出す。

 

「いくぞ……」

 最後の一突きで最深部を貫く頭領。

 同時に熱い奔流が胎内で爆発する。

「あ゛っ……あ゛あぁ──────っ!!」

 絶頂の叫びと共に全身が痙攣するシルファ。

 虚空を見つめる瞳には何も映っていない。

 

「まだまだ終わらんよ」

 

 次の男が彼女を担ぎ上げ背面座位の姿勢で挿入する。

 そのまま壁へ押し付けられたシルファ。乳房が岩肌で歪む。

「あうっ……」

 無慈悲な角度からの挿入に子宮が押し潰されそうになる。

「おら動け!」尻肉を叩かれ促されるまま上下運動を始める。

「はぁ……気持ちいい……」

 男の喘ぎ声とシンクロするようにシルファの呼吸も荒くなる。

 意識は朦朧としているのに肉体だけが自動的に動く不条理。

 

 

 暗い岩窟に汗と精液と鉄錆の混ざった異臭が漂う。

 気がつけば、また別の男に犯されている。

 屈強な炭鉱夫の巨体がシルファを押し潰すように覆い被さり、

 掘削された岩壁に背中を預けた彼女は、腰だけを浮かせて貫かれていた。

 

「くく……こんな上等な雌穴があるとはな……」

 頬には汗と涙と精液が混じったものが流れ、

 閉じかけた唇の端からは白濁した唾液が垂れている。

 

「お前みたいな貴族出の女が……

 俺達みたいな底辺の玩具になるなんて……因果なものだな……」

 

 腰の動きを緩めずに男が冷笑する。

 シルファは喘ぎながらもかすかに首を振った。

 認めたくない。こんな場所で自分が蹂躙されることを。

 だが──

 

(この感覚……嫌いじゃない……)

 

「なんだ? 感じてんのか?」

 見透かされたかのように男が低く笑う。

 シルファの羞恥心を煽るように、腰の動きを早める。

 ずぶっ、ぬちゅっという卑猥な水音が響く。

 秘部から溢れた泡立った愛液が男の陰毛を濡らす。

 

「はっ……くっ……!」

 シルファが小さく呻く。

 膣内の痙攣が伝わったかのように、男の肉棒が一段と膨張する。

 

「逝きそうだな? 

 じゃあ俺と一緒に逝ってもらおうか!」

 突然、男が片手を伸ばし、

 シルファのクリトリスを親指で押しつぶすように捏ね回す。

 

「ひっ……やぁぁっ!」

 電流が走ったような快感に腰が跳ね上がる。

 その瞬間を逃さず、男は子宮口を穿つように深々と突き込む。

 

「んんっ!?」

 

 鋭い衝撃と同時に訪れたのは、圧倒的な充足感だった。

 全身が弛緩し、意識が白く霞む。

 同時にお腹の中が熱い奔流で満たされる感覚。

(また……中に出された……)

 薄れゆく意識の中でそう思った。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 夜の帳が落ちた石畳の通りには酒と煙草の匂いが漂い、

 居酒屋から漏れる歌声や酔漢の怒鳴り声が絡み合う。

 月光が照らす街角に佇む「黄金の斧亭」と看板のかかった

 石造りの建物──ここがこの町の冒険者ギルドだ。

 

 シルファは扉を押すと同時に短く息を吸った。

 汗ばんだ胸元にドレスのレースがまとわりつく感覚。

 腰巻きの奥で微かに唸る機械音が聴覚を侵食する。

 

「シルファ様! おかえりなさいませ♪」

 

 受付カウンターから桃色の髪を揺らす若い少女が駆け寄ってきた。

 エレンと名札をつけたこの受付嬢は、

 騎士服姿のシルファを見るたび瞳をキラキラさせる。

 

「お怪我はございませんか? 今回の任務も難関でしたでしょうに……」

 

 憧れの騎士に対する純粋な敬意。

 だが今のシルファにとって、この無邪気な視線は拷問に等しい。

 

「問題ない、ですよ……」

 平静を装い短く答える。

 

 しかし喋った瞬間、

 臍下三寸あたりでモーター音が僅かにボリュームを上げた気がした。

 下腹の奥に埋め込まれた円筒形の物体──

 商人から「試作品」と渡された魔法仕掛けの振動器。

 通常時は静止しているが特定条件下で作動するという。

 

(いけない……感情の起伏に反応してるの?)

 

 慌てて腰を据え直そうとした途端、

 

 ブブブッ……

 

 骨盤の底が震えた。

 粘膜壁をダイレクトに抉る不規則な振動パターン。

 腰巻きの奥でジュワッと熱い分泌物が滲み出す。

 

「あの……シルファ様? お顔が赤いですが……」

 エレンの不安げな声。

 

「いえ……大丈夫……少々暑いだけですから」

 

 嘘ではない。背中に冷や汗が流れているのだ。

 

「そうですよね~最近蒸し暑いですよね♪ 

 でもシルファ様のお顔はいつも涼しげで素敵……」

 

 少女の誉め言葉は天使の囁きであり悪魔の誘惑でもある。

 礼儀正しく依頼書を差し出すエレンの指先が微かに震えて見える。

 

(バレてるわけがない……でも万が一にでも……)

 

 想像しただけで子宮がキュウっと収縮する。

 同時にバイブレーションが強まり──

 

「ぁんっ……!」

 咄嵯に唇を噛んで抑えた嬌声。

 カウンターに突いた両手に力がこもり爪先が床を引っ掻く。

 

「シルファ様!? どこか痛むんですか!?」

 

 心配そうなエレンの声。

 騎士としての尊厳が崩れ落ちそうになる危機感。

 シルファは必死で理性の鎖を巻き直す。

 

(落ち着け……平常心で……)

 

「……大したことはありません。

 ただ少し疲れが出たかもしれませんね……」

 絞り出した返事は掠れていた。

 媚薬塗れの粘膜が機械的な責めに痺れ始めている。

 

「そうでしたか……無理は禁物ですよ!」

 健気に励ますエレン。

 その笑顔の眩しさが残酷な現実を照らし出す。

 

(こんな清らかな娘の前で……私は……)

 

 自己嫌悪と情欲が入り混じった複雑な感情。

 それがバイブレーションの刺激を更に加速させる悪循環。

 花弁がじわりと潤む感触。膝がガクンと震える。

 

「さあこちらが今回の報酬になります」

 金貨袋を差し出すエレンの手。

 その指先が触れた瞬間──

 

 ブゥーンッ!! 

 

 体内で炸裂する強烈な蠕動音。

 前立腺とも異なる深層の性感帯をピンポイントで叩く振動。

 視界が真っ白に染まり、

 

「──―ッ!!」

 

 声にならない悲鳴と共に軽い絶頂を迎えた。

 熱湯が下半身を駆け巡り腰巻きに蜜が滲む。

 

「ありがとうございます……エレン」

 震える唇で感謝を述べつつ袋を受け取る。

 動作だけは優雅に保ったつもりだが

 耳朶が朱に染まるのは止められない。

 

(どうしよう……これ以上は無理かもしれない……)

 

 それでも騎士としての矜持が彼女を踏みとどまらせた。

 背筋を伸ばし颯爽と踵を返すシルファ。

 だが出口へ向かう歩みは内股気味にかすかに揺れている。

 

「お疲れ様でした~また明日も……あっ!」

 

 呼び止めるエレンの声に振り返らず階段を駆け上がるシルファ。

 個室の扉を閉めた途端崩れ落ちるように椅子に腰掛ける。

「はぁっ……はぁっ……」

 

 全身が汗と湯気で曇る。

 子宮奥の機械音が鼓膜を占拠する中、

 シルファは自分の股間に震える指先を添えるのであった。

 

 下腹部を抉る機械的振動は断続的に続き、

 まるで生き物のように彼女の性感帯を翻弄している。

 

「シルファ様~忘れ物ですけど~」

 階段下からエレンの声。

 報酬袋を渡しに来てくれたらしい。

(まずい……今は来ないでほしい……)

 

 慌ててスカートの裾を整え椅子の上で背筋を伸ばすシルファ。

 扉を開けた彼女を見てエレンは驚いたように言った。

 

「あれ? なんかすごく疲れてませんか? 

 顔色もいつもより火照って……風邪でも引きました?」

 純粋な心配が辛い針となって突き刺さる。

 

「あっ……はいちょっと……

 昨夜の任務で少し無理をしまして……」

 

 苦し紛れの言い訳。

 嘘ではない。昨夜は宿の部屋で商人に徹底的に調教されていたのだ。

 

「あ~そうでしたか! 

 それはお大事に……ところで今日は泊まっていかれます? 

 個室のご用意できますけど……」

 

 善意100%の提案。

 しかしそれは致命的な罠だ。深夜に個室で過ごすということは──

 

(バイブレーションの音が外に漏れる可能性が……)

 

 想像しただけで背筋に冷や汗が流れる。

「ありがたいのですが……明日は朝から別件があるので」

 慎重に断りを入れるシルファ。

 

「そうなんですか~残念だなぁ」

 無念そうなエレンの表情。

 だがその瞳の奥に潜む好奇心を読み取ってしまう。

 

(きっとこの娘は私のことを聖女のように崇拝してる)

(それなのに本当の私は……商人の玩具……)

 

 自己嫌悪と快感が螺旋状に入り混じる。

 腰の奥で蠢く機械音が彼女の思考を蝕んでいく。

 

「ではここで失礼いたします」

 礼儀正しく頭を下げ退出しようとするシルファ。

 エレンは満面の笑みで見送ってくれる。

 

「おやすみなさい! 素敵な夢を見てくださいね♪」

 

 爽やかに響く天使の挨拶。

 それに背を向け廊下を歩き、彼女の視界から逃れると

 シルファは壁に寄りかかるように立ち止まった。

 

「ん……っぅ……」

 

 声を押し殺して身を震わせる。

 バイブレーションが突然激しいリズムで暴れ始めたのだ。

 まるで獲物を捕らえた蛇のように。

 襞壁が機械の腹に擦られて灼けるような快楽が湧き上がる。

 

(ここはギルドの共有廊下……しかも壁一枚隔てて……)

 

 理性と本能の狭間でシルファは葛藤する。

 一方では必死で耐えようとする騎士の精神。

 他方では機械に追い詰められる哀れなメスの本性。

 

「だ……だめ……声が……」

 抑えようとすればするほど反動で大きな音色が出そうになる。

 幸い深夜近くなので人は少ないが決してゼロではない。

 

(もし誰かに聞かれたら……私はおしまい……)

 

 羞恥と背徳の炎に焼かれながら

 シルファはトイレの個室へと駆け込んだ。

 

 鍵を閉める音が鈍く響く。

 その瞬間堰を切ったように

「あぁッ! あぁあぁぁんっ!!」

 獣のような嬌声が室内に反響した。

 

 腰巻きを引き剥がし蜜に濡れた花園を曝け出す。

 指先で触れるとバイブレーションの振動が直接神経を直撃し

「ひぃっ!!」

 背中が弓なりにしなる。

 だがそれだけでは済まない。

 

「んん……んっ……!!」

 指で摘み上げた振動子が敏感な箇所に当たるたび

 目の裏で火花が散る。

 膣内を抉る機械の感触と自らの指使いが合わさり

 まさに天国と地獄を行き来するような感覚。

 

(これが……本当の私……騎士の仮面を脱いだ醜態……)

 

 鏡に映るのは汗だくで髪を振り乱し

 下半身をさらけ出して自慰に耽るひとりの女性。

 普段の凛々しい姿とは似ても似つかぬ姿だ。

 

「だめ……でも……もっと欲しい……」

 矛盾する心の声が重なる。

 腰巻きを噛み締めて声を殺すシルファ。

 左手が乳房に伸び指先で乳頭を転がす。

 右手は花弁の奥のバイブを更に奥へ導く。

 

「くっ……うぅっ……」

 

 絶頂寸前で必死に自制する。

 しかしバイブレーションの振幅は容赦なく広がり

 ついに子宮口を直接刺激し始めた。

 

「だめだめだめッ!! そこだけは……あっ!!」

 

 限界を超えた瞬間、全身を雷撃のような快楽が貫き

 シルファは声もなく果てた。

 

 トイレの壁に額を押し付け荒い呼吸を繰り返すシルファ。

 濡れ滴る花弁の間で止まったバイブレーターが

 微かに脈動しているように見える。

 

「ふぅ……ふぅ……」

 深呼吸を何度か繰り返し、ようやく理性を取り戻す。

 震える指で器具を引き抜き、清潔な布で拭い取る。

 

(こんなことしてる場合じゃない……)

(明日も朝から冒険者活動があるんだ)

 

 乱れた髪を整え騎士の制服の襟元を正す。

 トイレを出る直前もう一度鏡に向かい微笑みを作ってみる。

 

「よし……完璧」

 

 そして何事もなかったかのようにギルドの玄関へ。

 月明かりの中へ姿を消していく。

 

 誰も知らない騎士の裏の顔。

 商人の奴隷として堕ちた事実は

 今日もまた秘められたまま。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 路地裏の廃墟は子供たちの秘密基地だった。

 瓦礫の隙間から差し込む午後の陽光が埃を金色に輝かせている。

 シルファは衣服を剥ぎ取られ、柔らかな絨毯の上に横たわっていた。

 乳房だけがあらわに晒され、乳首が固く尖っている。

 

「やっぱり本当のママだよ! 匂いでわかるもん」

 

 一番幼い少女が鼻を寄せた。

 シルファの胸元から放たれる甘い芳香は、

 確かに母乳特有のものだった。

 彼女自身が気づかぬうちに

 商人の薬によって乳腺が活性化させられていたのだ。

 

「違う……私はあなたたちの……」

 

 反論しようと開いた口を突然の快感が封じる。

 乳頭をくすぐる舌先の感触。

 小さな唇が桜色の突起を含み優しく吸い上げる。

 

「んっ……」

 

 思わず漏れた吐息に周囲の子供たちが歓声を上げた。

「すごい! ママ本当に出るんだね!」

「ぼくにも飲ませて!」

 わらわらと集まってくる小さな頭。

 

「お願いだから……もう……」

 

 抗議の声は虚しく響くだけ。

 次々と子供たちが乳房に群がり代わる代わる吸い始めた。

 柔らかな唇と滑らかな舌が敏感な部分を刺激する。

 乳首の根元から熱いものがじわりと溢れ出す感覚。

 

「あっ……くぅっ……!」

 

 背筋を駆け上がる甘い電流。

 商人に刻まれた体は無意識に反応してしまう。

 子供たちの無邪気な吸引行為が

 残酷なまでに的確な性感刺激となりシルファを苛む。

 

「美味しい! 温かい!」

「ママのおっぱい甘くて美味しいね!」

 

 喜ぶ声と裏腹に彼女の体は昂っていく。

 乳房全体が熱を持ち腫れぼったい感覚。

 乳頭の先端がビリビリと痺れる。

 そして何より致命的なのは—

 

(どうして……こんな時に……)

 

 腰の奥で微かに震える異物感。

 昨日商人から渡された試作品だ。

 通常時は沈黙しているはずの振動機構が、

 母乳を吸われたタイミングで活性化し始めたのだ。

 

「ぁあっ!?」

 

 突如上がった声に子供たちが一斉に視線を向ける。

「ママ? どうしたの?」

 純粋な疑問の眼差しがシルファを貫く。

 

「な……なんでもないの……少し驚いただけ……」

 

 誤魔化す言葉とは裏腹に下腹部の振動は強まり

 蜜壺から愛液が太腿を伝い始めた。

 子供たちが母乳を飲み終えた乳房を撫で回すたび

 バイブレーションの刺激が増幅する悪循環。

 

「もっと飲みたい!」

「こっちのおっぱいも!」

 

 二人がかりで左右の乳房を揉みしだかれる。

 皮膚越しに震える振動子が子宮壁を押し上げる。

「んんっ……やめて……そんなにしたら……」

 

 懇願は聞き入れられない。

 無邪気な掌が執拗に乳首を捻り上げる。

 同時に下腹の機械音が低く唸り始めた。

 

 ブブブ……ブゥーン……

 

「ひっ……!」

 

 絞り出すような嬌声が喉から零れる。

 商人の調教で開発された膣奥が

 人工的な刺激に痙攣し始めたのだ。

 蜜壺から溢れる蜜が腰巻きを濡らす。

 

「ママの顔……赤くなってるよ?」

「おっぱいあげると熱くなるの?」

 

 子供たちの率直な疑問が羞恥心を炙る。

 騎士としての尊厳が粉々に砕け散りそうになる瞬間

 シルファの脳裏を商人の囁きがかすめた。

 

(君の本当の姿を見せてごらん……)

 

 それは甘美な誘惑だった。

 この小さな悪党たちの前で全てを曝け出すことへの忌避感と

 商人に課せられた宿命への従順さがせめぎ合う。

 

「あ……あっ……!」

 

 思考が霧散するほどの強烈な絶頂感。

 子宮奥で炸裂する人工の快楽と

 乳房への母性的愛撫が完璧に同期した瞬間だった。

 背中が弓なりにしなり全身が激しく震える。

 

「ママ? 大丈夫?」

 不安げな声に微かに意識を取り戻すシルファ。

 だがすでに遅い。

 蜜壺から潮が吹き出し腰巻きを濡らすのが見えた。

 

「だ……だめ……見ないで……」

 

 涙ながらの哀願も虚しく

 子供たちの視線は濡れた布地に釘付けになっている。

 一人の少年が興味津々に問いかける。

 

「ママ……おしっこしちゃったの?」

 

 無垢な質問が最大の侮辱となった。

 羞恥と屈辱に震えるシルファを見下ろし

 最年長の少年が不敵に笑う。

 

「よーし皆! 今日はママからご馳走もらえたぞ! 

 これから毎日来いよ……新しい遊び教えてやるからな♪」

 

 彼の言葉が宣告となる。

 今日限りでは終わらない支配。

 吸血鬼の性奴隷としての過去と

 子供たちの玩具としての現在が

 残酷な鎖で結ばれた瞬間だった。

 

 ◆◆◆

 ◆◆◆

 

 瓦礫の山を囲むように座る十数人の子供たち。

 全員が期待に満ちた目でシルファを見つめている。

 その中心に横たわる彼女の姿はあまりにも痛ましい。

 乳房だけを露出した状態で四肢を投げ出し

 汗と蜜に濡れた下半身を隠すことも許されない。

 

「さあみんな~今日も美味しいミルクタイムだよ♪」

 最年長の少年が楽しげに宣言すると

 一斉に歓声が沸き起こる。

 

「待ってたよ~ママのおっぱい大好き!」

「今日もたくさん飲みたいなぁ」

 

 無邪気な要求が刃となってシルファの胸を刺す。

 騎士としての矜持も

 大人としての節制もここでは通用しない。

 あるのはただ商品として扱われる現実だけ。

 

「お願いだから……もうやめて……」

 

 か細い懇願を嘲笑うように

 一人の少女が彼女の乳房に手を伸ばす。

 まだ未発達の指先が柔らかな脂肪を掴み

 親指と人差し指で乳首を挟み込む。

 

「ふあっ……!」

 

 予想以上の鋭敏な反応に

 子供たちの目が輝く。

「わあすごいやママ! びくってした!」

「ここが弱いんだね♪」

 

 即座に群がってくる小さな手の平。

 左の乳房は少女二人に揉みしだかれ

 右の乳房は乳頭を吸い付くために唇が奪い合う。

 そして最も恐ろしいのは腹部に感じ始めた振動だ。

 

(また始まった……あの機械が……)

 

 下腹で蠢く無機質な鼓動が

 蜜壺の奥深くまで共振し始める。

 子宮口を叩く機械的リズムと

 乳頭への刺激が完璧に同期する。

 

「だ……ダメ……っ! そこは一緒にしちゃ……あっ!」

 

 警告する前に全身が硬直した。

 蜜壺から溢れた愛液が太腿を伝い地面に滴る。

 それを目にした最年長の少年が得意げに微笑む。

 

「おや~ママったら感じちゃってる? 

 おっぱい吸われるの好きなんだね♪」

 

 嘲笑混じりの指摘が更なる屈辱を生む。

 羞恥で真っ赤に染まる耳元に

 別の少女が甘く囁く。

 

「じゃあもっと気持ちよくしてあげる♪」

 

 小さな指が腰巻きの隙間から潜り込み

 濡れた秘唇に触れた刹那—

 内部で暴れる振動子が最も凶悪な振幅を始めた。

 

「ひぃっ……! あぁぁぁあぁぁ!!」

 

 絶叫と共に全身が跳ね上がる。

 子供たちの体重で押さえ込まれているため

 逃げるすべはない。

 むしろ激しく動くほどに乳房への刺激が増す。

 まるで輪姦されているような錯覚。

 

(助けて……もう耐えられない……)

 

 涙で滲む視界の中

 少年たちが彼女の蜜に濡れた指先を見せ合い

 興奮した様子で笑い合っているのが見えた。

 

「これがママのエッチなお汁だよ~」

「おいしそう! 舐めてみようかな」

 

 冗談なのか本気なのか判別できない発言。

 いずれにせよ彼女の人権など一片も尊重されていないのは明らかだ。

 

「んん……っ! やめて……そんなもの汚いから……」

 

 制止の言葉は届かない。

 代わりに最も敏感な部分への攻撃が開始された。

 一人の少年が太い指を使って

 蜜壺の入り口をゆっくりとなぞる。

 同時に振動子の角度が微妙に変わり

 絶妙な位置を押し上げ続けた。

 

「あっ! そこは……やだ……やだぁ……っ!」

 

 哀願も虚しく

 強烈な快感の大波が彼女を飲み込む。

 脳天を貫く閃光と共に

 意識がホワイトアウトする刹那—

 蜜壺が大量の潮を吹き出し

 周囲の子供たちの足元を濡らした。

 

「わあすごぉい♪ 水芸みたい!」

「ママ楽しい~♪」

 

 無垢な喝采が嵐のように渦巻く中

 シルファは完全に気を失った。

 騎士としての人生も吸血鬼の性奴隷としての過去も

 この混沌とした現実の前では意味を成さない。

 ただ一つ確かなことは

 明日もまた同じ日々が続くということ。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「─────────はっ!?」

 シルファはベッドから飛び起き、震える手で胸元を握りしめた。

 肌が粟立つ感触。

 夢の中で味わった快楽の残滓がまだ体内にこびりついている。

 しかし彼女が最も恐れているのは、現実に迫る危険の方だった。

 

「……今は何時?」

 

 窓から差し込む青白い光は黎明を告げていた。

 冒険者ギルドでの集合時間まであと三時間もない。

 冒険者としての日常が始まる。

 しかし昨晩の夢はただの妄想ではなかった。

 あの廃墟での屈辱的な出来事が脳裏に焼き付き、

 腹部には微かに残る振動の記憶すら蘇る。

 

「まさか……現実だったというの?」

 

 恐怖に駆られたシルファは寝台から降りようとして足を挫いた。

 バランスを崩して壁に激突する。

 

「痛っ……!」

 

 額を押さえつつ立ち上がる彼女の前に古びた姿見があった。

 そこに映るのは普段通りの美しい騎士の姿─────────

 だが違和感がある。

 首筋にある赤い痣。

 商人に刻まれた吸血鬼の所有印がくっきりと浮かび上がっていた。

 

「これって……まさか……」

 

 震える指先で痕跡に触れる。

 冷たい炎のような感触。

 夢の中で子供たちに吸われた母乳の記憶と

 商人から受けた陵辱の記憶が交錯する。

 

「あ……あぁ……」

 

 その瞬間、彼女の胸から熱い液体が溢れ始めた。

 白いシルクの寝間着に染みができる。

 甘ったるい匂いが部屋中に充満する。

 母乳が勝手に滲み出てしまったのだ。

 まさか、想像妊娠? 

 

「なぜ……こんな……」

 

 焦燥感に駆られつつもシルファは冷静に対処しようとする。

 予備の衣服を急いで取り出し、湿った寝間着を脱ぎ捨てる。

 肌着を身につける際、固く尖った乳頭が擦れ

 

「ひぅっ!」

 

 思わず呻き声を漏らす。

 ほんの些細な接触でさえ鋭敏に反応してしまう体。

 これは間違いなく夢の影響だ。

 現実の自分はこんな淫らな身体ではない──そう信じたかった。

 冒険者の制服を着込みつつ、シルファは決意を新たにする。

 どんな犠牲を払っても表面上は平静を装わなければ。

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 身体が重い。

 肩当てが胸の頂きに触れるたびに

 ピクンと痙攣する乳首の感触が煩わしかった。

 シルファは冒険者ギルドの門をくぐりながら

 密かに深呼吸を繰り返す。

(大丈夫……あれは夢に過ぎない)

(現実の私はいつもの通り……)

 

「おはようございます! シルファ様!」

 

 受付カウンターから桃色の髪を揺らすエレンが駆け寄ってきた。

「今日も素敵な出で立ちですねぇ♪」

 憧憬に満ちた眼差しがシルファの全身を這うように観察する。

 騎士服の上からでも分かるほどの豊満なバストライン。

 しかし今のシルファにとってはその賞賛こそが拷問だった。

 

(気づかれているのでは……?)

(胸が敏感になりすぎて布地が擦れるだけで疼くなんて……)

 

 内側では乳頭が固く勃起し続けている。

 乳房全体が熱を持ち、時折じわりと湿り気を感じる。

 母乳が滲み出てきているのではないかという恐怖。

「ありがとう……エレンは今日も可愛いですね」

 平静を装って微笑むが

 唇の端がわずかに震えていることに本人は気づいていない。

 

「わぁ嬉しい! 今日の任務は東地区の森ですよね?」

 エレンが依頼書を差し出す。指先がシルファの掌に触れた瞬間—

 

(あっ……)

 

 電流のような感覚が脊椎を駆け抜けた。

 反射的に手を引っ込めるシルファ。

「す……すみません! びっくりさせちゃいましたか?」

 エレンの申し訳なさそうな顔。

「いいえ……少し考え事をしていて」

 早口で言い訳し依頼書を受け取る。

 

(まずい……こんなことで動揺しては)

(完全な演技を続けなければ……)

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 森へ向かう馬車の中。

 木製の車体は街道の凹凸に合わせて揺れ続け

 シルファの身体を上下に弾ませた。

 毅然とした態度を保とうとするが、臀部が座席に叩きつけられるたびに

 腹部で蠢く未知の快楽で子宮が疼く。

「くっ……」

 

 思わず呻き声が漏れる。

 股間で蜜壺がじわりと潤む感触。

 周囲の冒険者たちに悟られまいと背筋を伸ばすが

 乳首が擦れ合う刺激が堪らない。

 

(お願い……止まって……)

(こんな場所で発情するなんて騎士としてあり得ない)

 

 祈りが通じたのか馬車が減速する。

 窓の外を見ると鬱蒼とした樹海の入口が見えてきた。

 目的地に着いたのだ。

 安堵とともに降車しようとしたその時—

 

 胎内がナニかに反応して蠕動する。

 まるで主人に叱咤された犬のように忠実に。

「ひゃっ!?」

 

 バランスを崩し前方へ傾くシルファ。

 隣に座っていた巨漢の戦士が素早く支える。

「おっと危ねぇ! 大丈夫かいお嬢さん?」

 分厚い掌が彼女の腰をしっかりと抱き留める。

(だめ……そんな強く触られたら……!)

 

 筋肉質な腕の体温と力強い脈動が皮膚を通して伝わるたびに

 シルファの体内で危険な化学反応が始まる。

 商人の暗示だろうか。

 男性に触れられること自体が禁断の悦楽へと変換される呪いのよう。

 

「あ……ありがとうございます……」

 蚊の鳴くような声でお礼を言うが

 下半身からは蜜がとめどなく溢れ

 騎士服の内側を濡らしていく。

「随分と具合が悪そうだな。休むか?」

 善意からの申し出だが今は迷惑でしかない。

「いえ結構です……すぐに立てますから」

 毅然と言い放ち距離を取るシルファ。

 その背中を戦士の訝しげな視線が追った。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 森に足を踏み入れると空気が変わる。

 湿った土の匂いと腐葉土の香りが混ざり合う中

 シルファは油断なく周囲を警戒していた。

 彼女単独の偵察任務だ。

 他の隊員たちは数百メートル後方で待機している。

 

(おかしい……静かすぎる)

 

 鳥のさえずりも虫の羽音も聞こえない。

 深い森ならではの生命の気配が完全に欠落していた。

 警戒を強めたその刹那—

 

 背後に微かな気配。

 シルファは振り向きざまに双剣を抜く。

 しかしそこには誰もいない。

「幻覚……?」

 自問する彼女の耳元で

 低い囁きが風に乗って届いた。

 

《探しているのはコレかな?》

 

 次の瞬間シルファは絶句した。

 目の前の樹木の幹に

 赤いインクで文字が刻まれていたのだ。

《お楽しみはこれからだよ……》

 

 

 全身から血の気が引く感覚。

《お楽しみ》という言葉に込められた悪意が骨髄まで浸透する。

 

(まだ諦めてないの?)

(私が冒険者として生きていくことを許さないというの?)

 

 恐怖に震える身体を叱咤し調査を続けるシルファ。

 しかし神経が過敏になっているせいか

 些細な物音にまで過剰に反応してしまう。

 

《この森には珍しい植物が多くあってね》

 吸血鬼の声が記憶の中から甦る。

《特に催淫作用のあるキノコとか……君にお似合いかもね》

 

 彼女が踏みしめる落ち葉の下に何かが潜んでいる予感。

 無意識に足運びを慎重にするシルファだったが

 

 ズボッ! 

 

 突然右足が泥濘に嵌まる。

 バランスを崩し尻餅をつく格好になった。

「きゃっ!」

 

 咄嗟に両手を地面に着くがそれが致命的だった。

 柔らかな掌に奇妙な感触が広がる。

 冷たく湿ったヌメリ。

 毒キノコ特有の粘液かもしれない。

 

(やられた……!)

(またあの男の策略に嵌まった)

 

 引き抜こうとする腕にも力が入らない。

 全身の筋肉が弛緩し始める異様な倦怠感。

 同時に乳房と下腹部から熱が広がる。

 騎士服の内側が蒸れ母乳の甘い匂いが立ち昇る。

 蜜壺からは粘つく愛液が太腿を伝い靴の中に流れ込んだ。

 

(こんな姿……仲間に見られたら)

(騎士シルファの評判は地に墜ちる)

 

 絶望に染まる思考の片隅で微かな希望を拾う。

 カランディーニならば必ず現れるはず。

 ならばこの混乱を利用して一矢報いるチャンスもあるのではないか……? 

 朦朧とする意識の中

 彼女は泥濘に沈みかけた剣柄を握りしめた。

 研ぎ澄まされた神経が密やかな獣臭を捉える。

 背後の冒険者たちに警戒を呼びかけつつ、

 銀の剣姫は闘争の衝動に身を任せ、苦悩を振り切っていった。

 

 

 

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