イージスガンダムの改造機だが…
白と水色のツートンカラーで、額のアンテナが無く、肩アーマーがカラミティガンダムの肩アーマーになっていて、背中にはSDEXシナンジュのバックパックが付いていた。
額のアンテナが無いため、ガンダムっぽく見えないし、肩と背中が改造されているので、変形もできないだろう。
変形できないということは、イージスガンダム最強の武器である580ミリ複相ビーム砲【スキュラ】が使えないから、単純な攻撃力はベースキットを下回っているはずだ。
そこに、つけいる隙があると思ったんだけど…。
右手にビームサーベルを持ったイージスガンダムの改造機は、野崎さんのディランザに襲いかかった。
野崎さんのディランザはビームパルチザンで応戦するも、機動性で上回るイージスガンダムの改造機は、素早く野崎さんのディランザの背後にまわりこんで、斬撃をくらわせた。
僕はなんとか、イージスガンダムの改造機を仕留めようと、ツインバスターライフルの照準をイージスガンダムの改造機に合わせようとするが…
(あいつ…
野崎さんを盾に…!!)
イージスガンダムの改造機は、野崎さんのディランザを盾にするかのような位置取りをする。
だから、撃ちたくても撃てなかった。
もっとも
この試合はバトルロイヤル
なのだから
野崎さんも敵
なんだけど…
でも、野崎さんを犠牲にしてまでして、イージスガンダムの改造機を撃墜したくなかった。
いや
好きな野崎さんに勝ちたくなかった…。
やがて、野崎さんのディランザが両膝をついて、うつ伏せに倒れて爆発した。
これで
僕が勝たなければならない理由ができた。
「よくも野崎さんを…ッ!!」
と、イージスガンダムの改造機にツインバスターライフルを撃つ。
しかし、イージスガンダムの改造機は僕の攻撃をなんなく回避すると、右手にビームサーベルを持って、スラスターを全開にして、僕に斬りかかってきた
「しまっ…!?」
対応が遅れた僕は、左腕のシールドでイージスガンダムの改造機の斬撃を防ぐ。
「このッ!!」
と、ウイングガンダムゼロックスの両肩口にあるマシンキャノンを撃つ僕。
しかし…
(!?)
こんな近距離からの射撃だというのに、イージスガンダムの改造機は左方向に回避した。
そして…
「うわぁッ!?」
素早くウイングガンダムゼロックスの背後にまわりこまれ、ビームサーベルで斬られてしまった―!!
ダメージ表現のため、コクピットルームが揺れ動き、正面モニターには赤文字で『CRITICAL DAMAGE!!』と表示された。
「くそッ!!
このまま負けてたまるかッ!!」
と、僕のウイングガンダムゼロックスはツインバスターライフルを捨てて、右手にビームサーベルを持って、イージスガンダムの改造機に斬りかかるが…
「わあッ!?」
イージスガンダムの改造機は、僕のウイングガンダムゼロックスの斬撃を右手に持つビームサーベルで受け止めると、いつの間にか左手に持っていたビームサーベルで、僕のウイングガンダムゼロックスの胴体を横一閃に斬った。
「そ…そんな…!?」
イージスガンダムの改造機はビームサーベルを2本持っているが、僕のウイングガンダムゼロックスは1本しかない…。
これじゃ、勝てるわけがない。
ツインバスターライフルを使いたくても、ビームサーベルを使うために捨ててしまっている。
拾いに行こうと後退するが、イージスガンダムの改造機が追ってきた!!
「ちくしょうッ!!」
と、イージスガンダムの改造機の斬撃を、僕のウイングガンダムゼロックスは右手に持つビームサーベルで受け止めるが…
「がぁッ!!」
イージスガンダムの改造機は、左手に持つビームサーベルで、僕のウイングガンダムゼロックスの胴体を突いて、吹き飛ばした。
ダメだ…。
あいつ…
強い…。
強すぎる。
僕じゃ勝てない…。
野崎さんの仇をとりたかったけど…。
その後…
イージスガンダムの改造機の
こうして、僕の商店街のガンプラバトル大会中学生の部は、予選敗退となった…。
◇
姉ちゃんが出場する高校生の部は、昼食休憩後の午後1時30分からだった。
僕は、昼食を姉ちゃんと食べるか…
それとも、野崎さんと食べようかと考えたが…
「ゆうく〜ん☆
一緒に、お昼食べよっか☆」
と、姉ちゃんが来た。
「いいよ…。」
と答える僕。
実際、僕の近くに野崎さんの姿は無かった。
たぶん、小学生の部に出場していた知り合いの子と一緒に、昼食を食べに行ったのだろう―。
◇
姉ちゃんと一緒にイートインコーナーに来た僕は、ハンバーガーを注文する。
ちなみに、姉ちゃんはホットケーキを注文した。
注文した昼食を食べながら…
「残念だったね、ゆうくん。」
と言う姉ちゃん。
「見てたの?」
と訊く僕に
「うん。
控室のテレビでね。」
と答える姉ちゃん。
「ねぇ、ゆうくん。
どうして、あの青いガンダムが
ピンクのデブ
と戦っている時に攻撃しなかったの?」
と訊いてくる姉ちゃん。
姉ちゃんの言う青いガンダムというのは、たぶん、イージスガンダムの改造機…
ピンクのデブ
というのは、たぶん、野崎さんのディランザのことだろう。
「あのピンクの
と言う僕。
ちなみに、僕が野崎さんのことが好きだってことは、姉ちゃんにも話してある。
「野崎さんを巻き添えにして、あの青いガンダムを攻撃なんて、僕にはできないよ。」
と言う僕。
「でも、この試合ってバトルロイヤルなんでしょ?
だったら、野崎さんだって、ゆうくんの敵じゃない。」
と、至極当然のことを言う姉ちゃん。
「それは…
そうなんだけど…。」
と、言いよどむ僕。
でも…
僕は野崎さんに勝ちたくなかった。
さっきの試合で、もし、野崎さんがイージスガンダムの改造機に勝ったら
僕は、わざと野崎さんに負けるつもり
だったんだ。
そんなことをしたって、野崎さんは喜ばないということはわかっていても
自分の好きな人に勝ちたくなかった
んだ。
なぜかって?
僕が野崎さんに勝ったりしたら、野崎さんに嫌われてしまうかもしれない
からだ。
僕は、それがこわい
んだ―。
「姉ちゃんは、もし、対戦相手が自分の彼氏だとしたら…
どうする?」
と訊くと
「もちろん、戦うわよ☆」
と、姉ちゃんは即答した。
「何で?
好きな人なのに?」
と訊くと
「そんなの、関係無いわよ。」
と答える姉ちゃん。
「嫌われたら、どうするの?」
と訊くと
「それくらいのことで破局するんだったら、喜んで別れるわ。
私、器の小さい男って、嫌いなのよ。」
と言う姉ちゃん。
器が小さい?
そうかな?
自分の好きな人に負けて怒らない人なんて、いないと思うけど…。
わざとでもいい。
自分の好きな人を勝たせて、花を持たせるのが正しい
と、僕は思う―。
「やばっ★
もう、こんな時間だ★」
と、スマートフォンの画面に表示されている時間を見て、驚く姉ちゃん。
時刻は午後1時20分だった。
高校生の部の試合開始10分前だった。
急いで、イートインコーナーから出ていく、僕と姉ちゃん―。
「ねぇ、姉ちゃん。」
と、前を走る姉ちゃんに呼びかける。
「何?」
と訊いてくる姉ちゃんに
「姉ちゃんの好きな人、出てる?」
と訊く。
「私に彼氏なんていないわ。」
と姉ちゃんは答えて、走り去っていった…。
「澤村君。」
と、立ち止まっていた僕に、野崎さんが呼びかけてきた。
「野崎さん…
どうしたの?」
と訊くと
「お姉さんの試合…
一緒に見ない?」
と言う野崎さん。
「えっ、いいの?」
と驚く僕に
「それとも、私はジャマかしら?」
と言う野崎さん。
「そんなことないよ☆
一緒に、姉ちゃんの試合、見よう☆」
と喜ぶ僕。
野崎さんの方から誘ってもらえるなんて…
すっげぇ嬉しい―☆