異世界侵犯黙示録 作:特迷鬼謀
世間では犯罪者予備軍と呼ばれるだろう
しかしここはそんな性癖が歪んだオタクたちの溜まり場
隣の読者もまた同志である
人の好きを否定する野暮な奴はいない
たぶん
だから声を高らかに誇って見せろ
我はロリが好きである、と
――特迷鬼謀、心の叫び
※タグに「ロリコン」を追加しました
※2025/03/16 06:00 次話投稿するほどでもなかった内容のため「あれ、もしかして自己紹介の仕方を間違えたかしら?」以降の内容を加筆更新しています。
多大な混乱と悲劇を生み出したダンジョンが出現した日から一年余り。
世界は急速な破壊と発展を遂げ、ダンジョンがあることが当たり前の常識を人々は受け入れ適応していた。
『──速報です。冒険者チーム『オトハネ』の横須賀ダンジョン配信活動中に発見された新種の魔物が、ワールドモンスターブックに登録されることが今日の昼13:00から行われた緊急検討会議にて決定されました。発見されたモンスターは二足歩行の人型で──』
ちゃぶ台の上に置いたスマホから流れるニュースをラジオ代わりに、俺は今年度から新しく導入されることになる冒険者試験の参考書を片手にカリカリとペンを走らせる。
時刻は夕方の16:00。天気は曇り。やや湿ったい空気の部屋で、ひたすらに知識を頭に叩き込む作業に没頭していた。
予想倍率250倍。パイの切れ端を奪い合うどころではない超難関試験となることは予想するまでもなかった。
最初期より活動していた冒険者にはその貢献と適正により自動的にダンジョン探索の資格を与えられるが、そうでない者を制限するだけのためのこの制度に、世間は反対の声を上げ続けている。
国としては他国の人間による国有ダンジョン資産の横取りや違法業者、違法行為者への対策としての一手なのだろうが、今のニュースにもあったように、このダンジョン黎明期である今だからこそ挙げられる功績もあるわけで、政府と民間人の意思にすれ違いが起こるのも無理はなかった。
俺も当然反対したい派であるが、デモに参加するよりも試験で合格最低ラインだろう満点を取る方がよっぽど優先度は高いし無駄なことはしない。
普段の学校生活の基礎科目もこのレベルの真剣さで取り組んでいれば優等生だなぁなんて考えて、一息入れようとキッチンへ向かう。
といっても立って二歩もない距離なのだけど。
「冒険者か……」
もし本当になれたのならと想像をしてみる。
「成功すれば、まずはこの安アパートから引越しだな」
冬場が恐ろしい春の涼しい隙間風を、今からどうやって対策しようか思案しながら、コップで水道水を飲む。お金さえあれば、わざわざ水を買って飲むかもしれない……いや、たぶん水道水で足りるからって言い訳して、結局は買わないだろうけど。
「そういえば、冒険者って事務所に所属しないといけないんだったよな……いや、今は考えても意味ないことなんだけど」
とりあえず、金が手に入ったなら高校進学を控えている弟と、女で一つで二人の息子を育ててくれた母さんのために、貯金が優先だろう。所属事務所は、資格さえあればその後に決めればいい。
普通に働いてだと、ほぼ手の届かない一攫千金の機会が、今万人を対象としてこの手に転がり込んでいる。
掴める人間はほんの一握りだけど、これを逃す手はない。
「さて、資格勉強の続きをするか……」
んっ! と固まっていた体をほぐすように腕を上に持ち上げ伸びをする。
脱力した身体に血行が巡る感覚を覚えた俺は再びちゃぶ台に向かって座り直して、その時だった。
「あれ、ここはどこかしら」
「──っ!?」
ばっと警戒体制に移り、片足を膝立てる。
体の向きは声が聞こえた側。ちょうど押入れの、閉じた扉の向こう側から女の声が聞こえた。
耳を癒す可愛らしい声をしているが、今俺が住むこの部屋から聞こえたとなれば警戒心を抱かせる。
決して隣の部屋の声の音量ではなかった。
むしろ隣はつい最近空いたばかりと大家さんも言っていたから、そんなはずはない。
ばくばくと心臓が高鳴る中、待ち構えていたその時はきた。
「これ、壁じゃなくて引き戸なのね」
まるで未来の猫型ロボットが入っていると思わせるようにゆっくりと開いた押入れの中で、目をうたがうような可愛らしい美少女は、下半身を埋めて立っていた。
「あれ?」
「…………」
「おかしいなぁ。ここが出口なら、実験室に出るはずだと思ってたんだけど違ったか……」
目と目が合った。
コバルトブルーの綺羅星が浮かんだ宝石のように綺麗な瞳に、目を惹かれた。
彼女は俺を見てきょとんとした顔をして、それから何やら逡巡した顔をしてから「よし」と頷いた。
「質問いいかしら? ここはどこ?」
「……俺が借りている部屋で、おまえがいるのはその物置場所だ」
「時代が違う……ってわけでもなさそうね。とりあえず話をしたいのだけど、出てもいいかしら?」
家主への了解を取るあたり、礼節のある人間? ではあるらしい。
俺は未知の存在たる彼女に対してどうすればいいのかわからず、断る選択は怖くて取れなかったので黙ってこくりと頷いた。
やった後で気づいたが、それをYESと捉える文化圏の相手だったらしい。言葉が通じると分かっているのだから、言葉で返せば間違いはないのに、このいかにも年下のような彼女に対して俺は及び腰になりすぎていた。
「失礼するわね」
赤ん坊のようにハイハイをして、華奢な女の子は穴から這い出てきた。
埋まっていたように見えた下半身は普通の女の子だったらしく、格好はゴスロリっぽい黒のワンピースを着ていて、細く長い脚の先には、明るい茶色のローファーを履いていた。
「やっと外の空気が吸えたわ」
「…………」
立って伸びをする少女を前に、俺はゆっくりと腰を浮かせて彼女を見下ろす。
背は140少しくらいか。胸は膨らみかけなのか、だとすれば見た目通りの思春期の少女なんだろうけど、警戒は解けなかった。
なぜなら彼女が出てきた押入れには、噂に聞くそれと酷似した穴があったからだ。
──ダンジョン。
見つけたらすぐに警察、もしくは政府に連絡をする必要がある未知の世界への入り口。
世界中でその存在は確認されているが、日本だけで見ても現在把握されているのは五つだけと数に限りがあり、他の誰かに秘匿されていない限りでは六つ目となる入口がたまたま俺の住むアパートの部屋に現れたのだとすれば。
当然の義務として、大家さんに知らせないといけないし、何よりも、いまこの瞬間、一つの可能性が浮上してくる。
ダンジョンから自力で出てくる。
彼女がもしモンスターと仮定すれば、すでに氾濫は始まっており、俺の生まれ育った街のように人が住めなくなるくらいの被害がこれから生まれる可能性すらあった。
ごくりと緊張で乾いた喉に唾を届けてから、慎重に言葉を選んで会話を試みる。
「……こっちもひとつ、聞かせてもらってもいいか?」
「あら、もちろんいいわよ。私も聞きたいことが山ほどあるし」
会話をする意思を確認してから俺は直接モンスターか否かの質問を避けて、端的に尋ねた。
「で、おまえはどこの誰なんだよ」
彼女はその問いににやりと笑った。
可愛い顔だが、正体不明の今、心動かすような余裕はない。
彼女は小さく服を押し上げる胸を張って、堂々と人であると名乗りをあげた。
「カルッサ聖皇国筆頭魔法使い、世界五賢人が一人にして人呼んで天才美少女、ミルファ=キディオート。特別にミルファ様と呼ぶことを許可してあげるわ!」
あまりにも高飛車なその自己紹介を前に、俺は真顔の表情を動かすことができなかった。
「あれ、もしかして自己紹介の仕方を間違えたかしら?」
「ごけんじん? が何なのか分からないが、初対面のどこの誰かも知らない相手に様呼びを強要するのは確かに非常識だな」
敢えて触れなかったが、魔法使い、と彼女は言った。
魔法──冒険者の中でも扱う者は希少の技術。
知らない国の、知らない世界の、自他共に認めざるを得ないこの美少女のことを、俺はもう人と認識していた。
「それもそうね。ごめんなさい。ダーリンもたぶんそう言うだろうし、訂正します。こほん……貴方にミルファと呼ぶことを許可してあげるわ!」
「言い方はあんまり変わらないのな……オーケー。了解だミルファ。名乗ってくれたことだし、俺も名乗るが、ただの学生の新井雄真だ。雄真の方が名前だ」
俺も自己紹介を返すと、不思議そうにミルファは首を傾げた。
「変わった順番の名前ね。個より族という所属に重きを置いている文化なのかしら」
「悪いがそんなこと知らない。というか興味がなかった。他の国だとミルファと同じようにだいたい名前が先行してるし、この国だとそういうもんだって思ってくれ」
「文化の違いね。それなら仕方ないわ! エルフや獣人はおろか、人族同士ですら価値観は大きく変わることもあるものね!」
「おお……なんかすごい情報を突然叩きつけられてるな俺」
世の中がファンタジーに侵食されてから、いわゆる亜人種の登場はかねてよりネット上を中心に噂されてきていた。
しかし、その存在は未だ確認されておらず真偽不明の現状、ダンジョンから出てきたミルファの証言は、この上なく、信憑性が高い──期待がある。
そう、期待だ。
俺は彼女に気がつけば期待していた。
もし彼女がただの厨二ネームを名乗る自称魔法使いの不法侵入者でない場合、俺一人ではどうにもならなかった行動が出来るようになる。
即ち、仲間。
それも、ただ一人で迷宮から抜け出せるほどの実力がありそうな強力な仲間だ。
「それで、ユウマ。さっそくお願いがあるのだけどいいかしら」
「金はないけどできる限り善処する」
「ならお願い。何か食べ物を恵んでくれないかしら。実は私、もう三日も碌なものを食べてなくて、そろそろ、もう、お腹ぺこぺこで限界なの……」
気丈な態度はどこへやらしなしなと崩れ落ち、やがてちゃぶ台にしなだれ掛かって座り込んだミルファのお腹からくぅうっと可愛らしい音が聞こえてきた。
「なら、消化の良さそうなうどんでも出すよ」
見た目年下の彼女だ。打算抜きにしても、弟よりも小さそうなミルファから食べ物を頼まれて、断るような器の小ささはしていない。
とりあえず水道水の水を出して、冷凍庫に保存してあるうどんを取り出し、調理にかかる。
そういえば、今後ミルファはこの狭いアパートで一緒に暮らすことになるのだろうか……?
大家さんは優しいし、別に住む人間は一人しかダメだと言う契約でもなかったので何も問題はなさそうだが。
とりあえず布団は買いに行かなくてはならない気がして、頭の中で今後増えるだろう費用について、ミルファがもたらすであろう恩恵と天秤にかけた。
おまけ
「ところで聞きたいんだが、ミルファ。お前って何歳だ?」
「じょ、女性の歳を尋ねるのは感心しないわよユウマ……ちなみに貴方は何歳なのかしら?」
「15」
「そ、そう! なら私の方が年上ね! 私は16よ!」
「ごめん間違えた。紹介してないけど15の弟がいて俺は17な」
「わ、私も間違えたわ。実は18なの、さっきのはそう、ちょっと若く見られたくてついた嘘なの」
なんとなく、そう、なんとなく年齢マウントをとるだろうこんな展開を想像してちょっと罠を仕掛けたが案の定ミルファは簡単に引っかかった。
こいつ、逆サバ読んでるなとは察したがあえて指摘はせず、とりあえず「相手は成人だと訊いていた」といざという時のための保身のカードを手に入れた。異世界人相手に何がどう通じるのかとんと検討もつかないが。
ダーリンなんて呼び方をする相手がいるのだから向こうじゃ成人なんだろうなと思いつつ、状況的には人妻ロリと一つ屋根の下という特殊な環境になんとも言えない気分になるのだった。
読了感謝!
できた側から投稿スタイル
倍率250は適当 大学の倍率は高くても10は届かないけどひとつの資格を求めて複数の世代の人間で取り合うってなると、2500倍でも全然いいような気もしてる。結局は合格者数何人にするか不確定なままなのでふぃーりんぐの力を借りてます。
さっそくお気に入りとしおりをしてくれて嬉しい限りです。
主人公視点でとりあえず「ぷろろーぐ」追いついた
第1話はあと3回くらいの更新になりそうです
「ぷろろーぐ」の最後に性癖調査アンケートありますので、よければ回答お願いします。今回はヒロインとのシチュエーションを先に考えてそこへ向かって執筆する形式にしているので、需要高めな子がいたらなるべく優先して攻略します。アンケートでは異世界ヒロインが師匠しかいませんが、今後追加でアンケートするときに現代含めて改めて増やしますのでご承知おきください。