※この作品はR-18です。

タツミ無双   作:聖獅

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もしもエスデスを仲間にするには~の設定を踏襲しています。
ですのでタツミもエスデスもオリジナルの彼らではありませんので・・・プラス彼の設定が更にぶっとんでいますのでどうか悪しからず。
タツミの回想ですが、彼本人が見ていない話も含まれますのはご愛敬で。

エスデスが仮にタツミと夫婦になってああいう呼び方するかは筆者の想像でしかありません。貴方とかも余りそぐわないでしょうし、たぶんそのままタツミだと思いますがそれだと夫婦以前と後で差別化が図れないので・・・。

これを書いてますと、人が人を裁く事の難しさを考えさせられます。

書き溜め次第、アップしていく予定です。


17/11/26

一応、この話が完結しまして、その記念・・・という程ではありませんが、1話のみ書きなおしてみました。


昔語り

「なあ、ダーリンよ」

 

 

そう呼ばれた彼は何やら顧客名簿とその土地の歴史に関するものや言い伝えを読み比べていた。

 

「なんだ?」

 

エスデスは覗き込むように彼、タツミのしている事を見ているが・・・今はそちらの方に興味を示している訳では無く、

 

 

「帝国で私と共に居た時でも、時折居なくなっていたが何処に行っていたんだ?」

 

 

彼らが住んでいるのは帝国から見て西の地域であり、砂漠が点在する土地でその中でも比較的緑が多い場所の一軒家である。この辺りに人が居ないのは、危険種が強かった為であるが、彼らにとっては敵では無く、そこに居を構えたのは立地条件が良かったからだ。

 

 

「そんな以前の事はどうでもいいだろ?」

 

タツミは、その土地で散見している文献を精査し、そこから全体像を掴んで今後のこの土地に置ける行動に生かそうと考えていた・・・が、片手間に受け答える夫に妻は疑念を抱き・・・。

 

 

「・・・まさか、浮気していたのではないだろうな?」

 

 

「まだその時は所帯を持っていなかったんだ、仮にそうでも関係ないだろう」

 

「うむ・・・、確かにそうだな・・・、例え浮気していたとしても、私は寛容だからな!・・・今、私のタツミになっていれば全く問題は無いな!・・・うむ!」

 

理屈はそうであり、感情でも一応納得しているのだが、話してくれない夫にエスデスは構って欲しい故の怒りの炎を静かにチラチラ燃やしている。それを横目にタツミは気付かぬふりをするつもりであるが・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

中々鬱陶しい・・・なので嘆息しながら、

 

「・・・そうだな、良い機会だから話しても良いか」

 

「うむ♪」

 

エスデスは直ぐに上機嫌になった。

 

 

記憶を辿り、昔を思い出しながらタツミは

 

「・・・三獣士はお前の部下だったよな」

 

「・・・ああ、そうだ。あいつらがどうなったかを知っているのか?」

 

エスデスも意外な話になり、別の興味が湧いてきた。だが、

 

「そうだ・・・それともう一つ思い出したぞ、お前!!どうせオネストの野郎と取引きしやがって殺し屋まがいな事したんだろ!ナイトレイドを嫌ってたお前が三獣士共に似たような暗殺命令たぁどういう事だ!?ああ?俺が知らねぇとでも思ったか!!大体軍人が非軍人を殺すたぁどういう事だ?あ?・・・ま、お前に軍人の格あるべきなんてある訳ないよな?なぁ、エスデス元将軍さんよぉ!」

 

厳密に言えば、軍人は戦闘時軍人しか殺してはならないが、あくまでルールを厳守すればであり、基本色々な言い訳を作って守られていないのが現状である。

 

・・・それはともかく、藪をつついて大龍を出す事になったエスデスは、

 

「うっ・・・タ、タツミ?昔の事は悪かった・・・だから、その、な?話を続けてくれ?」

 

 

 

 

 

タツミ、ブラートは大臣に命を狙われた良識派の文官を人知れず警護する為、巨大客船に乗船していた。

そして、その大臣に文官暗殺依頼をされたエスデスは自軍で最も重宝している三獣士に命令し、首尾よく客船へ侵入、その一人ニャウの帝具の笛の音により全客員が眠らされた。

 

 

その船の広場・・・上甲板でも大勢が眠らされている中、その男も寝息を立てて寝ていた。

 

同じくその一人、ダイダラが首を鳴らしながらそこに出て来る。

 

 

「ああー隠れてるのだるかった・・・ん?」

 

 

その男、タツミが布団を敷いて気持ちよさそうに寝ている、それが目に入る。

・・・当然の事だが、誰もが地面の上に倒れるように寝ている中で。

 

「・・・・、全員寝てるんだ、なんの問題もねえよな・・・」

 

ダイダラは気にせず、仕事に取りかかろうとする・・・。

 

 

だが、しかし、やはり、おかしい・・・。

 

 

「・・・・・・・いや、やっぱ気になる。なんだあいつ、なんで布団敷いて寝てんだよ!?」

 

タツミを足で小突いてみる。

 

 

「けっ、やっぱ寝てんのか?紛らわしい寝方しやがって!」

 

だが、その時!

 

 

 

 

 

 

「・・・・・おい」

 

 

 

 

 

 

 

地底から響いて来るような恐怖を感じさせるその声に思わず振り返り・・・

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

ダイダラは少し背中、首に触られたかと思ったら、次に瞬間地面に倒されていた。

 

やった男が仁王立ちで見下ろしてくる。

 

 

「人が気持よく寝てたら、なにするんだあんたは一体?」

 

 

直ぐには起き上がれないものの、かろうじて問いかける。

 

「げほっ、ごほ、だ、誰だお前は!」

 

「人に名を聞くなら、まず自分から名乗れ」

 

「ぐっ・・・とりあえずこの手を離してくれ」

 

 

タツミは、相手が応戦するなら直ぐにでも息の根を止めれるようにその首に刃物の如き気を込めた手刀を押し当てていた。

 

 

 

「ぜぇぜぇ、お、俺はエスデス様直属、三獣士が一人、ダイダラだ」

 

「ご丁寧にどうも。俺はある地方貴族のヒスイ家長男、シグレだ」

 

 

タツミは白スーツに中は黒シャツ、赤ネクタイを・・・しているが、煩わしいのか若干着崩している。とはいえ、足運びは胴に入っているので判る者が見れば判る為、

 

「・・・・・、本当か?」

 

「本当だとも、それにしても軍人さんがなんでこんな所に?」

 

「え、ああ。俺は・・・」

 

 

その様子を同じくリーダー格の一人、リヴァが忌々しげに見ていた。

 

『なにをしているんだ、あの馬鹿は』

 

 

ダイダラはやっと取り繕う理由を思いつき、

 

「ああ・・・、そうだ!ここに乗っている要人警護だ!」

 

「あ、なるほど。・・・ところで皆眠っているのはなんで?」

 

タツミは口元を僅かに歪ませながら聞いている。

 

 

「いや、えーああ、それはだな。全員眠らせれば警護もしやすいからだ。」

 

 

影で見ているリヴァの血圧が上昇し始めていた。医者からも塩分は控えめにと言われている。

 

 

「あーなるほど、なるほどーけど、ボディーガードの人や本人も眠らせたら意味無いんじゃない?」

 

 

「・・・いや、あ、く・・・・」

 

 

「ふぅ・・・本当は判っているよ。お兄さん、あんた本当は怪盗ルパンだろ?この竜船の秘宝を盗みに来たな?」

 

「んな訳あるかぁ!?しかも誰だよそいつ!?俺はここの要人を始末しに来たんだ!」

 

タツミはニヤニヤしながら

 

「・・・あーそー」

 

 

 

ダイダラはこの時、心の中で悔恨の雄叫びおよび、エスデスに懺悔し、祈った。

 

 

 

『あんの馬鹿がががああ!!!!!』

 

この時、リヴァの血圧は過去最高を記録した。

 

 

 

『間抜け!』

 

隠れて見ているニャウも思わず心の中で落胆する。

 

 

 

それでも気にせず、会話を続けるタツミ。

 

「ところでそのエスデス様ってどんな人?」

 

「そりゃあなお前、美人で強くて気高くてドSで最高だぜ」

 

「なるほどーお兄さん、その人に惚れてんだな?」

 

「い、いや俺が恐れ多い。そんな訳無いだろ」

 

「いやいや絶対そうに違」

 

タツミはこの時ニヤリとほくそ笑み、

 

 

ズドン!!

 

 

 

背後からリヴァが文字通り首を刈る手刀を浴びせに奇襲を掛ける。

だが、タツミへのその強烈な一撃を瞬時に出て来たブラートがいなす。

二人は弾き合って間合いを測る。

 

ブラートはタツミと背中合わせに構えながら、

 

「タツミ、お前さっきから何やってんだ!」

 

隙を作って誘っていたタツミだったが、

 

「あー兄貴すまない。どうもこの人と話が盛り上がっちゃって」

 

「お前は・・・変な所で妙な度胸のある奴だな?」

 

そして、タツミはブラートの怪我に気が付いた。

ニャウの帝具で船全体の者達に無気力化の効果を与えているのだが、どうやら彼は自身で傷付け、それに抗ったのだと確信しタツミは感心の意味で僅かに口角を上げた。

 

ブラートもタツミの様子をそれとなく見たが、

 

『タツミの奴・・・、敵の帝具の影響を受けてないのか?本当にこいつは一体・・・?』

 

 

 

ブラートにいなされたものの、動じた風も無いリヴァは

 

「ダイダラ、お前、なに敵とのんびり話しこんでいる?」

 

「え?こいつ」

 

「こいつらはナイトレイドだ!!」

 

「くっ・・・騙しやがったな・・・」

 

 

緊迫した空気に乗ってタツミも不敵に笑い、、

 

「兄さん、悪い事は言わない。話には聞いているぜ?そんな悪い女に惚れるのやめとけ」

 

「う・・・うるせえ!!」

 

 

オオオオオオオオオオ・・・、

 

辺りは静まり返り、波の音も耳に入らず、空気中の分子の擦れ合う音のみが聞こえてきそうな・・・そんな静けさの中、口火を切ったのは

 

 

「・・・お前・・・やはり、ブラートか?」

 

「・・・!リヴァ将軍、何故貴方がここに?」

 

「知り合いか、兄貴?」

 

タツミの問いかけに答えたのは、

 

「私の部下だった兵士時代、呼ばれ名は100人斬りのブラート・・・、正確には128人斬ったな・・・あの時は特殊工作員相手に大活躍・・・私も鼻が高かった・・・」

 

「へぇ~・・・兄貴も随分斬ってるじゃないか?成程、あんたが兄貴の昔話に出て来た将軍殿か・・・」

 

「ふっ・・・もう将軍ではない・・・エスデス様に救われ、今はあの方のしもべだ」

 

 

 

そこで笑いだしたのは

 

「くはは・・・面白くなってきたな、どうだ、ここは一対一でそれぞれ勝負しない

か?」

 

ダイダラの提案にその場の全員が同意する。

 

「じゃあ、俺がそこの恥ずかしくも無く、若い女好みのおっさんと勝負すっかな?」

 

「・・・小僧が・・・私を挑発するつもりか?」

 

タツミの暴言にギリっと歯噛みするリヴァが睨みつけている所、タツミはブラートに頷く。

 

タツミの言葉に一瞬言い掛けた言葉を呑みこみ、その意を悟ったブラートはインクルシオを出現させ、身に纏い臨戦態勢を取る。

 

 

「あ?なんだよ、別に帝具使う猶予くらいやったぜ?」

 

ダイダラはそう言うが

 

『帝具を使う時間を作った・・・この小僧・・・、まさか只の小僧ではないのか・・・?』

 

 

 

そこでブラートはインクルシオに備わっている武器の槍を振りまわし、

 

「悪いな、タツミ・・・やっぱりこの人とは俺が決着をつけたい・・・。残念だ、味方として再会できたんだったら酒でも共に呑みたかったが・・・、敵なら、攻めて俺の手で斬るのみ・・・そして、任務も完遂する」

 

リヴァも白手袋を脱ぎ、指輪の帝具を表に出す。

 

「こちらの台詞だ・・・私には感傷等は無い・・・ただ絶対に任務を完遂する、主より授かったこの帝具でな・・・」

 

 

タツミはそれを横で聞きながら、

 

「二人とも、仕事が大好きなんだな~、俺はそこそこにしておくぜ」

 

 

リヴァの帝具が発動し、上甲板の広場に有る酒樽から、重力に逆らって水柱が起き

る。

 

「お前達と闘う場所がここである事が幸運だ!」

 

「水使いか?氷使いの部下らしい帝具だ!」

 

「私は水が無いと無力だが・・・エスデス様は無から氷を生成出来る・・・同格にはするなよ、恐れ多い!」

 

リヴァは無数の水柱を槍状にし、ブラートを襲う。

 

「しゃらくせえぇ!!」

 

ブラートは槍を高速回転させ、それをいなし続ける。

 

 

「あ、なるほど。じゃあ、おっさんの主は、水の無いとこじゃあ役立たずな、そんな欠陥帝具を渡した訳だ、可哀想になー」

 

リヴァは再びタツミを睨みつけるが、気を反らす魂胆かと合点した。

 

 

「おい、お前・・・エスデス様を余り馬鹿にするなよ?さっきは油断したが、今度はそうはいかねぇぜ」

 

ダイダラがタツミと対峙し始める。

 

「なんだ?自分の盲信する相手を馬鹿にされて、そんなに頭に来たか?思想の自立が出来てねぇ、ガキ共が・・・」

 

 

「ああ?お前だってガキだろ?」

 

タツミは気にせず不敵に笑い、さっさと掛かって来いと促す。

 

 

「ほらよ!」

 

ダイダラは地面で寝ている警護の持ち武器であるソードを取り、タツミに投げてよこす。

 

「なんで得物をくれるんだ?」

 

「あ・・・?何となくお前は刀使いに見えたんでな・・・それに、俺は強い奴に勝って経験値を得てえんだ、最強になる為に。ここからなら人がいねぇ、闘いやすいだろ?」

 

「あんた、最低限の武人のプライドは持っているみたいだな」

 

 

 

 

 

タツミはそのソードを後方目掛けて一瞬で飛ばす。

 

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

 

ニャウは絶叫を上げ、その武器は右肺を貫き、壁に縫われる事となった。

 

『がはっ・・・、援護しようと思った矢先に・・・、・・・あいつ・・・何者・・・』

 

 

「なっ、ニャウ・・・!?」

 

「勝負に水を差して来そうな、野暮野郎には大人しくして貰った・・・」

 

「くっ・・・」

 

「そして、俺はあんたの武人魂に敬意を表して、これで闘う!」

 

タツミは首の赤ネクタイをほどく。

 

「へっ・・・俺の好意が無駄になってもしらねぇぜ!!」

 

 

タツミはその辺が水び出しになっている為、そのネクタイに水を含ませる。

 

 

「じゃあ行くぜ!!」

 

ダイダラは帝具の斧を大上段に振りかぶり、タツミの間合いに一気に詰め、

 

 

ドガン!!

 

 

地面は割れ、穴が出来る・・・が、タツミは最小限で半身にかわし、のほほんとしている。その気になればその場でダイダラの首を絞め落とすなり、手刀か、掌底で始末するなり可能であった。

 

「てめぇ・・・」

 

侮られていると感じたダイダラは焦りの色を浮かべ、

 

「お次はどうするんだ?」

 

 

ダイダラは後方に大きく飛びし去り、斧を中心から分離しその片方をタツミへ投げつける。

 

「おお!!」

 

触れる物は切り裂くその円の如く回転するその斧に、思わず感嘆しながらもタツミ

は、

 

「あらよっと!!」

 

「な・・・にぃ・・・!?」

 

何とネクタイで持ち手を絡め取り、タツミ自身がそれに合わせ数度回転して斧の回転力を殺した後、

 

斬!!

 

一気に距離を詰められ、ダイダラは顔の表面のみを斬られる。

 

「くっ・・・」

 

驚き数歩下がってしまう。

 

「惜しいなあ、あんたの技が泣いてるぞ。最強になってなにをやりたいんだ?良い年したおっさんがまるでガキ大将みたいなもんだな」

 

「ぐ・・・俺はまだおっさんじゃねえ」

 

「これ以上闘うなら死んで貰う事になるが、どうする?ここで死んでは最強になれねえぞ」

 

タツミはそれまでのおどけた雰囲気を排し、相手を恐怖させるオーラを放つ。

それはダイダラが畏怖するには十分だった。

 

 

『・・・まさか、こいつエスデス様よりも強い?馬鹿な、そんな人間居る訳ねえ』

だがダイダラは観念し、その場で膝をついた。

 

 

「さてと、向こうはどうかな」

 

タツミが彼らを見やると、

 

リヴァは海上で蛇の如き水柱を作り、その上から自身の優位性を示すべくブラートを見下ろしていた。

 

「水圧で潰れろブラート!!」

 

 

大蛇の如き大水がブラートを襲う。

 

それを気合い声と共に、ブラートは切り裂き貫く!

 

 

『不味いな・・・』

 

タツミは彼らが空中に居る状況に顔を歪める。

 

 

「避けずに蛇を潰しに来ると信じていた・・・船が壊れたら大量の死者が出るから

な・・・だが、船上ならともかく、動きのとれぬ空の上でこれはかわせまい!!」

 

海の中から幾本もの海の槍が大柱となってブラートを穿つ。

 

その時、全ての力を防御に回し、辛くも耐え抜く。

 

 

 

「水を掛けられたぐらいで・・・俺の情熱は消えねぇ!!」

 

 

先に着地したリヴァは

 

「そう・・・あれではまだお前は倒せない・・・判っているつもりだ」

 

ブラートは空中だが再び身構える。

 

 

リヴァはかつてに思いを馳せ、

 

「お前とは数々の戦場を共にして来た、その強さも、勇猛さも、私が一番よく知っている。だからこそ、最大最強の奥義を馳走してやる!!」

 

それまでより更に大きな海の大蛇というべき水の怪物がブラートの息の根を今度こそ止めるべく、喰らう・・・。雄叫びが上がり苦悶の声が聞こえる・・・。

 

 

タツミはその様子も只黙って静かに見据えている。

 

 

「やったか・・・」

勝ちを確信したリヴァに対し、タツミは視線を上に向ける。

 

 

 

「うぉおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

ブラートが叫びと共にリヴァの上から特攻を掛け、彼も驚きを隠せない。

 

 

 

「な・にぃぃぃぃ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにブラート目掛けてソードが飛んでくる。

 

「!?」

 

ブラートが弾こうとする前に、帝具の斧で迎撃される。

 

『タツミ・・・あいつが・・・』

 

「ちっ・・・あの阿呆が・・・」

 

タツミはソードを投げたニャウを静かに睨みつける。

 

「くくく・・・げほごほ・・・残念だったね、折角リヴァを倒すチャンスだったの

に」

 

地面に降り立ったブラートだが、インクルシオは解除されてしまう。

 

「すまなかったな、ブラートさん・・・。勝負に邪魔を許してしまって・・・」

 

「いや・・・本当は礼の一つでも言いたい所なんだが、・・・お前・・・実はとんでもない奴なのか?・・・この闘いが終わったらじっくりその辺も聞かせて貰うぜ」

 

 

 

タツミは二人は互いに満身創痍、そろそろ決着が付くと考えていた時に、リヴァが駆け引きし始めたのを感じた。

 

「一定以上のダメージで解除されるようだな・・・勝負は見えた・・・」

 

「強がるなよ、耳の穴から血が出てるぜリヴァ・・・あれだけの大技を連発したん

だ、体の中はボロボロ。お前も帝具を使える状態じゃねぇだろ」

 

「・・・バレては仕方ない・・・交渉を有利に進めたかったのだが・・・問おう、ブラート。エスデス様の軍に入れ、お前なら副将になれるだろう」

 

「もうこの国に使える気はねえよ」

 

「国では無く、エスデス様に仕えるのだ。・・・私もそれで救われた。思うがままに暴れ回れ、他者から恐れられる。そう、いつも汚い政略を撒き散らす官僚たちですら媚を売ってくる力を・・・私と来い。あの方ならお前の罪すら消せるぞ!!」

 

タツミは白けた顔でそれを聞き流している、そしてブラートは、

 

「断る・・・官僚達に絶望したあんたには今の立位置が心地いいかもしれないが、俺はこれでも民の味方のつもりなんだ。大臣と組んでるエスデス軍じゃそれは気取れねえな」

 

 

そこにタツミが嘆息しながら、

「はぁ・・・元将軍、あんたもそのエスデス様に余程執心なんだな」

 

「・・・・・・」

 

「大体あんた、汚い官僚に正義の怒りを覚えている割には良識派の文官殺してナイトレイドに罪着せたり、なにやってんだ?よく人の事を言えるな?」

 

「・・・小僧に何が判る?私にとっては命の恩人であるあの方の命(めい)は絶対。生きるとは尊いお方に忠節を誓う事なのだ!」

 

「もう好い加減面倒だから言うが・・・たかだか数十年しか生きてねぇ癖に。小僧だぁ?その言葉そっくりお前さんに返すぜ!良いか?・・・てめぇみてぇなガキに何が

判る!?」

 

タツミの叱咤に不思議な箇所があるものの、その迫力にリヴァも慄く。

 

「・・・粋がりやがって、お前のは忠節じゃねぇ・・・盲信・・・依存って言うん

だ!判ったか!!」

 

年齢については疑問が残ったが、ブラートはその他のタツミの発言には納得した。そして、普段のタツミの雰囲気に戻り

 

 

「・・・はぁ・・・、本当惚れる相手は選ばないとな、なあ兄貴」

 

「お?・・・おお、そうだな、だから俺は女を好きになるのを我慢する事にしたん

だ」

 

「・・兄貴、それ本当か・・・?」

 

 

リヴァは歯を軋ませしながら、

 

「殺し屋が・・・、判った風な事を・・・」

 

「あんただって殺し屋な事しやがっただろ?昔から政府とつるむような殺し屋は腰抜けだって相場が決まってんだ!」

 

タツミは更なる言葉で追い打ちを掛ける。

 

 

 

「・・・下がってろ、タツミ」

 

「判った!・・・盲信者を説得するには時間が無いしな・・・それに、そいつの言う

通り、どうしてもやるなら力でねじ伏せるしか無さそうだな・・・あんたに媚を売ってくる官僚をねじ伏せたように・・・」

 

タツミは後方に下がり、

 

 

「互いに帝具が使えないなら」

 

「剣で決着をつける・・・」

 

リヴァはドーピングして底力を上げる。

 

そして、互いの命を賭けた一騎打ちが始まる。

何度も撃ち合い、鎬を削っている後ろで

 

 

「ダイダラさん、あんたどうする?」

 

「・・・今の俺じゃあ、悔しいがお前に勝てそうにねえな。」

 

「エスデス軍に戻るなら今ここで死んで貰う。・・・或いは死んだ事にして名を捨てて一市民に戻るならまた再戦を受け付ける。だが帝具は没収だ。それともう二度と人は殺すな。殺しはゲームじゃねえんだ・・・判ってくれるな?・・・」

 

タツミは剣の技量は僅かにリヴァよりブラートの方が上だと見ている。

 

 

斬!!・・・

 

隙を見つけ、一気に間合いを詰めリヴァの胴を斬り裂く!

 

 

「不味い!ブラート後ろへ飛べ!!」

 

 

タツミは叫ぶが、その猶予はもう無い。

リヴァは体の傷口から幾数もの血の伸びた刃を飛ばす。

 

ブラートはそれを数刃撃ち落とすが、何刃かは突き刺さる。

 

「大丈夫か!?」

 

「致命傷は受けてねぇ・・・安心しな」

 

 

 

リヴァは力尽き倒れる中、

 

「命を振り絞った攻撃、対応するとは・・・見事・・・」

 

 

「血飛沫を見た瞬間、これも一種の水だと思ってな」

 

「・・・流石だ・・・」

とは言ったが、言葉とは裏腹にタツミは嫌な予感がしていた。

 

 

リヴァはエスデス軍の証、十字の紋章に手をやりながら、

 

「ブラート、一つだけ言っておく・・・私がエスデス様の軍にいる真の理由は・・・

 

 

ーーーーーーーー

 

牢屋の鍵を開け、牢内のリヴァの前に立つエスデス。

 

「お前はこのまま消えるには勿体無い人材だ。戦上手の副官を探していた、我が軍に入れ」

 

「そうしたくても私は罪人だ、軍には戻れん」

 

「ウジウジするな!」

 

エスデスに頭を踏まれ、

 

「戻れるさ・・・私がそう欲したからだ・・・ということは誰にも反対なぞさせん」

 

「大臣が・・・」

 

エスデスは手を差し伸べ、

 

「私の武力のお陰で大臣も助かっている。武力が増すのならば・・・歓迎すべき事だろう・・・私の元へ来いリヴァ。まだ何か懸念が有ればすべて取り払ってやる」

 

 

ーーーーーーーーー

 

・・・ただ、あのお方を慕っていた・・・それだけだ」

 

ブラートは同情も込めて彼の名を言うが

 

「・・・リヴァ・・・」

 

「はっ・・・馬鹿馬鹿しい・・・お前もエスデスも大馬鹿者共だ」

 

タツミは吐き捨てるように言い捨てる。

 

それをリヴァはほくそ笑みながら

 

「ふん・・・、もう良い・・・私の望みは達した、何とでも好きに言え・・・代わりにエスデス様に仕える者の意地としてお前の命だけは貰って逝く」

 

 

「ブラートさん!」

 

ブラートは膝をつき、タツミは彼を片腕で体を支える。

 

「先程の注射はドーピングだけでなく、猛毒を仕込んでいたのか・・・」

 

「耐性の無いお前には速攻で毒がまわる・・・助かるまい・・・先に逝っている・・・ぞ・・・」

 

リヴァは絶命した。

 

 

 

「流石、俺の元上官だ・・・相討ちかよ・・」

 

「・・・・・・」

 

タツミはブラートはもう持たないと悟っていたが、敢えて何も言わずに居た。

 

「タツミ・・・最期に聞きたい。お前一体何者だ?・・帝具使いを一蹴してたろ・・・今まで力隠してたな・・・」

 

「・・・ブラートさん、もう喋るな。ひょっとしたら助かるかもしれない」

 

「俺の命は持ってあと数分。自分で判っている・・・」

 

「・・・・・・俺はある小国の・・・」

 

 

だがその時、帝具の奥の手で自身の肉体を強化したニャウが襲いかかって来る。それをブラートを担ぎながらかわす。

 

 

「タツミ・・・俺にかまうな・・・生き延びろ・・・」

 

タツミはニャウと対峙し、

 

「リヴァの仇だ、取らせて貰う!!」

 

「仇?互いに納得ずくの一騎打ちに遺恨を持ち出すなんて野暮ってもんだぞ?・・・それに肺の傷はどうした?」

 

「うるさい!」

 

敵に心配されたのも侮辱と受け取った。帝具でニャウのその怪我も一時的には問題なくなる。

タツミはブラートを避難させ、ニャウの攻撃を最小限の力でいなし続ける。

 

 

「な!?帝具無しでこの強さ?なんなんだ一体?」

 

「流石に素手じゃきついさ、それにこっちは一撃貰ったらアウトだ」

 

そして、タツミは大柱に追い詰められ、怯えの色が僅かに見て取れニャウは優勢を感じ取る。

 

 

「死ねぇええええ!!」

 

一撃さえ当たれば自分の勝利!!そう彼の言葉をそのまま信じ込み、渾身の一撃を当てに行った

 

 

・・・が、そこをカウンターでタツミは無表情に首を刈る。

 

 

 

「ばっ・・・ぐっ・・・」

 

ニャウの首の骨が折れ掛かる所で加減し、かろうじて息が出来るその状態。

 

タツミは殺し屋の事を余り良くは思ってはいない・・・だが、

 

「お前、調査報告に因ると、確か女の顔の皮を剥いでったっけな・・・例えて言うなら人を殺す奴は殺される覚悟も持たないとなあ・・・それと・・・お前、ちょっと深入りし過ぎたようだな・・・深入りした者は消される、殺し屋の掟って奴を親切に教えてやろう・・・」

 

 

 

「・・や、やめ!・・ぎゃあああああああああああああああ・・・ぁぁぁぁ・・・あああああああああ」

 

辺りに断末魔が響き渡る。

 

タツミはダイダラの斧の帝具でニャウの胴と両手を斬り落とし、最後に顔をゆっくりと剥ぐ。

ダイダラはその恐ろしさに僅かに震えが生じた・・・自分も残虐な光景は目にしてきたが、同じ残虐でもタツミのそれはまた違う何かを感じたからだった。

それは、相手がどのタイミングでどうすれば最も恐怖するかのツボを心得ているからだと思われる。

 

 

「何人顔のコレクション集めたか知らねえが、最期は自分自身で決まりだな」

 

 

ブラートもタツミの今まで知らなかったその一面に驚愕し、それと

「・・・今の時点でもうこの強さか・・・俺を超えてやがる・・・大した奴だ・・・・・はは・・・後の事は頼んだ・・・ぜ・・・」

 

安心したのか、ゆっくりと地面に倒れていく。

 

タツミはその名を呼び、側に駆け寄る。

 

 

「・・・・ブラートさん・・・あんた良い殺し屋・・・いや、良い武人だったぜ・・・」

 

そこに海上全体・・・船を覆う雨が静かに降り注ぐ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて、ダイダラあんたどうする?」

 

「負けは負けだ・・・仲間が殺されたって今の俺にはどうしようもねえ・・・」

 

「帝具は没収だが、こいつら二人の死体はあんたに預ける」

 

「俺は必ず強くなってまたお前に勝負を挑みにいく、それまで死ぬんじゃねえぞ」

 

「さぁな・・・」

 

ダイダラは仲間二人の死体を小舟に乗せ、竜船から離れていく。

 

タツミはブラートの死体を荷物に紛れ込ませ、ナイトレイドの基地へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・と、大体こんな所だった訳だが・・・おい、エスデス?」

 

その時の話を一旦語り終えたタツミは、部屋の隅っこでこちらに背を向け、膝小僧抱えて座るエスデスに呼びかける。

 

「・・・・・・」

 

「エスデスお前、何拗ねてるんだ?」

 

「どうせ私は大馬鹿者だ・・・」

 

「ああ、そうだ・・・もう一つ言おうと思った事が有った!!おいお前!!オネストの野郎と自分は同格か、武力が有る分自分の方が少しばかり立場は上だとか思ってなかっただろうな?リヴァの野郎を無罪放免に出来たのも、オネストの野郎が目こぼししたからで、お前がもしオネストと対立してりゃあ、んな事出来なかったぞ?お前政治方面じゃ何もしてねぇだろ・・・お前も処刑されそうになったから判ってんだろうがな、武力よりも時には厄介な力が有るんだ。オネストがその気になりゃあお前は帝都に居場所は無かったぞ・・・最もお前なら帝都民皆殺しにするつもりなら話は別だけどな」

 

エスデスはジト目でタツミを見る。

 

「なんだ?何か文句でもあるのか?・・・それと、奴らの仇討ちならいつでも受けるぞ・・・」

 

「・・・ふっ、私は話が聞きたかっただけだ・・・、ダイダラは来るだろうか?」

 

「さあねぇ、ここを探し当てれたら勝負を受けても良いさ・・・それまで俺が生きてたらな・・・」

 

この時、エスデスは彼のその発言を特に気にして無かったが、後で気に掛けなかった事を大きく後悔する事となる。

 

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