※この作品はR-18です。

タツミ無双   作:聖獅

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再び投稿日が空いてしまいまして・・・。

次話、1日、2日前後に投稿予定です。


悪党が斬る!(六)

 

 

 

 

 

 

ある・・・晴れた昼下がり、帝都へと続く道、

荷馬車がゴトゴト、三人の少女を乗せて行く。

 

「いよいよ帝都だねぇ。旦那様ってどんな人だろうねルナ?」

 

「多分おじさんでしょう、私達の体を獣のように狙っているかもしれません」

 

「はっ!!そうなったらピー潰して逃げるまでよ!」

 

それぞれエア、ルナ、ファルと言う名の10歳過ぎであろう少女達がこれからの帝都に期待と不安が入り混じった話をしており、それを背中で聞いている馬車の運転手…御者は冷めた感情で聞き流していた。

 

「ピー??」

 

「と、とにかく。いいエア?私達はそこらの村娘と違って帝都でのご奉公に選ばれた出世頭よ!」

 

 

それは御者が、親達から子供を売る際になるべく良い言葉で言い含めて欲しいと願われ、親達のせめてもの労わりか、或いは子供達が素直に言う事を聞く為にか、単なる方便にしか過ぎなかった。

帝国はその政府の圧政により重税での貧困、子供を売りに出す地方の村は後を絶たないの現状だった。

 

「頑張って働いて良い男見つけて、夢の帝都暮らしを始めるのよ!」

 

「ファルはポジティブすぎると思うのです・・・」

 

 

馬車は帝都入口の指定の場所まで思ったより早く着いた。

 

「おじさんー、ありがとー!」

 

「・・・ああ、くれぐれも体は大事にな・・・」

 

それ以上少女達の姿を見るに忍びなかった彼は早々に立ち去った。

 

 

 

そこに・・・

裏地が黒の白コートを羽織った男が歩いてきた。

隙だらけで実際はそうは見えない歩き方にぼっーとしているようで、その実、鋭い眼光を放っているようにも見える・・・その彼が少女達の前を通り過ぎようとした。

 

「あ、お兄さんですよね?あたし達の雇い主様は?」

 

エアが愛想よく聞いたに対し、男は一瞥しただけだった。

 

「エ、エア・・・この人、何だか怖そうです・・・」

 

「だ、だめだよルナちゃんそんな事いっちゃ・・・すみません」

 

「怖そう?あたしにはそうは見えないけど、お兄さんがあたし達の雇い主さんでいいの?」

 

男は面倒臭そうに踵を返してその場を離れようとした瞬間、少女の蹴りが男の顔面に届く。

 

「ファルちゃん!!」

 

「なんの挨拶も無しに着いて来いって?それはちょっと、ひどくないですか、雇い主様?」

 

だが、ファルの足を一本指で止め、次の瞬間その指で男は触れたまま円を描き、

 

「きゃああ」

 

ファルは一回転させられて、地面に打ち付けられる。

 

 

「くっ・・・強い・・・」

 

「ファルちゃん!!すみません雇い主様」

 

「ファル、なにやってるんですか!?けど、雇い主様、何も言わずに着いて来いとうのもどうかと思うのです」

 

「お・・・」

 

仕方なく声を掛けようとした時、

 

「兄貴ー!」

 

チャンプが菓子を持って駆け付けてくる。

 

「わっ、なんか他にも怖そうな人きたよ!」

 

エア初め3人は怯え始めた。

 

「チャンプ、お前何しに行ってたんだ?」

 

その男、タツミがしかめっ面で不平を言う。

 

「いや、兄ぃがな、じーっと菓子を眺めてからな、欲しいと思って買って来たんだ

ぜ」

 

「いらん事せんでいい!!」

 

3人は二人のやり取りを唖然として見ているしかなかったが、

 

「あれ、兄貴よぉ、何だこの女の子達は?・・・まさか、兄ぃこの子達を拉致監禁する気じゃ」

 

「お前じゃないんだ!?やる訳ねぇだろ!」

 

「お、おおお俺だってやらねぇょ・・・じゃあいったい?」

 

「ああ、何か知らんがからまれていた所だ」

 

「タツ兄、・・・そういうのつまらないジョークって言うんだぜ?」

 

 

エアが恐る恐る

 

「あの・・・貴方がたはバックさんじゃないんですか?」

 

二人とも何の事だ?と否定し、そこに

 

「ごめん、遅くなって・・・君達だね?僕が旦那様になる。バックだよー!」

 

「ああ、良かった・・・やっと会えました。はじめまして」

 

少女達がそれぞれ挨拶し、こっそり小さい声で会話する

 

「よかったね、ルナちゃん若いお兄さんで優しそうな人で」

 

「確かに先程の方達と比べれば怖くないですね」

 

「う~ん、あたしはなんとも」

 

 

「ところで、そこの御二方は?」

 

バックはタツミとチャンプを気にかけ、

 

エアが割って入り、

 

「ここ、この人達はバックさんが来るまであたし達のあいてをしてくれてたんです。ありがとうございましたー!」

 

エアは隣の二人にも頭を下げさせる。

 

「・・・そうでしたか、僕の居ない間この子達の面倒を見て下さり、有難う御座います。じゃあ行こうか」

 

「ちょっと待ちな」

 

タツミが呼び止め、バックも少女達も何事かと緊張が走る。

 

「長旅で腹も少し空いてるだろ?後で食いな」

 

タツミは菓子を3人に渡し、彼らは礼もそこそこにバックに連れられ帝都へと入って

いった。

 

それを見送った二人は

 

「なぁ兄貴・・・ありゃ売られてきたんじゃ・・・」

 

タツミは一点を見据え黙として、それに返答しなかった。

 

 

 

少女達は帝都の中に入り、純度の高い透明のガラスに覆われた彼女らの地方では目にした事のない高く豪華な建物に目を奪われた。

 

「ふえええええ、これが帝都、大都会だなぁ・・・」

 

「私達の村、宿屋と道具屋しかないもんね。冒険者に“武器屋もないのかよ”と言われたのウマトラだわ」

 

エアとファルがそれぞれ感嘆しているのに笑ってバックは応える。

 

「どうせなら見て回ろうか?服を買ってあげよう」

 

お洒落に敏感になる年頃であり、エアは直ぐに飛びつく。

 

「い?いいんですか?」

 

「僕は優しい旦那様だからね」

 

 

感激したエアはルナに同意を求め、

 

「は、話しやすくて良い人そうだねっ・・・さっきの人達には悪いけど、あの人達より良い人そう、あたし帝都にはああいう人ばっかりなのかと初め思ったから、びっくりしちゃった」

 

「たしかにそうですね、けど油断はまだ出来ません。男は皆狼というのを忘れたのですか?」

 

「そ・・・そうね、ウルフは危険だよね」

 

「やばかったら逃げよう?いざとなれば任せて!一角ウサギを仕留めたこの武道で・・・って、あたしさっきの人に指一本で返された・・・帝都にはあんな強い人がひょっとして沢山いるんじゃ・・・」

 

 

落ち込むファルにどうフォローしていいか困っているエアに、バックは苦笑しなが

ら、

 

「あのーなんだか警戒しているみたいだけど、正直に言うとね、服を買ってあげるのは僕の使用人が余りにも田舎くさくても・・・さ」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

「というわけで予算を上げるから効率的に衣類を買ってごらん、働く為のトレーニングだよ」

 

少女達は元気よく返事をし、楽しそうに服屋を巡り、それぞれにあった物を何着か購入した。

 

その様子をバックとたまたま居合わせたある調査の為に訪れたナイトレイドの男もニヤケながら見ていた。

 

 

そして、一息つく為に小洒落たレストランへ赴く。

 

「さぁ食べて食べて」

 

「は・・・はい」

 

「これおいしいね!」

 

「ファルお行儀が悪い・・・」

 

ファルが焼き立ての小さく切った肉を頬張り、ルナはそれを窘める。

 

「ははは、楽しそうで何よりだよ」

 

「ありがとうございます!」

 

エアが満面の笑顔で礼を言うと、バックもニッコリほほ笑み頷く。

 

「うん、じゃあメインディッシュといこうか!!」

 

 

いつの間にか現れた黒服に身を包む、男達が彼女らを羽交い絞めにする。

 

「えっ・・・えっ・・・」

 

驚くエアは混乱し、さっきまでの雰囲気と違う事にいち早く気付いたファルは

 

「てめっ、放しやがれ!」

 

掴まれた腕はそのままに後ろ回転し、渾身の蹴りを男にお見舞いする。

だが・・・、

 

「なんだこれ、田舎もんの拳法かよ!」

 

まるで通じず、ファルの腹部に一撃を与え大人しくさせる。

苦しげに呻き、もうどうする事も出来ない。

 

「ファルちゃん!!」

 

 

ルナも小刻みに震え、抗う意識も湧かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい兄貴、ちょっとミルク入れ過ぎじゃねぇか?」

 

「お前アホか!?まだ一つしか入れてねぇぞ、ぶっ殺すぞ?そういうお前こそ砂糖4つもいれてんじゃねぇ!」

 

「いや、あ、俺にとってはこれが適量なんだよ!」

 

「だから太り易いんだぞ、お前は!動いてねぇとぜってぇまた直ぐ太るからな!」

 

 

何を騒いでいる?と一同が後ろの席を見やると、二人の男がコーヒーを呑みながら何やら喚いていた。

 

「はぁ・・・まだ追い出して無い客が居たのか?おい」

 

「へい」

 

「ああ、店長あなたはな~んにも見ていない、良いですね?」

 

バックは店長を牽制し、部下に後ろの客の排除に当たらせた。

 

 

「おい、にいちゃん達・・・この店はさっきから貸し切りなんだ、とっとと出てってもらおうか?」

 

男二人は彼らを一瞥し、

 

「おい、チャンプ!このお兄さん、今なんて言った?」

 

「いや、俺には“シャル ウィ― ダンス?”って聞こえたんぜ」

 

「おぉ、成程な・・・じゃあ踊ってあげな」

 

「へ~い」

 

すっくと立ち上がったチャンプ。

 

「てめぇ、やろうってんのか」

 

黒服の男が殴りかかると、それをギリギリで避けて腕を掴み、壁に投げ飛ばした。

他の者達も同じように倒し、殴り、鎮圧していく。

 

タツミはその間、コーヒーを飲み続けている。

 

その強さに他の部下達も手をこまねき、バックも苛立ち始める。

 

「何しているさっさと、取り押さえろ!」

 

そこでエアが気付き、助けを求めた。

 

「さっき帝都の外で会ったお兄さん、お願い、助けて下さい!」

 

 

それと判ったバックも舌打ちを鳴らし、近づいて来る。

 

チャンプもタツミの側に立ち、睨みを利かせている。

 

「おい、貧乏人。とっとと・・・!?・・・まさか、貴方タツミさんじゃないです

か・・・?」

 

それを聞き、黙っているがバックは話し続ける。

 

「いやぁ~・・・やっぱりそうですか、先程は気付かなかったとはいえ、申し訳ありません。ろくに挨拶もせず、すみませんでした・・・けど、なんでこんな安いレストランに居るんですか?」

 

そこでタツミはバックをぞっとさせるような目で見てから

 

「そりゃあ、俺も貧乏人だからだ・・・」

 

「あ、ははは。冗談がお好きで、最近大臣とも懇意で、この帝都の遊所で羽振りのいい貴方が・・・」

 

「・・・・・・で、バックさん。俺はここでゆっくりコーヒー飲んでたんだが一体何の騒ぎなんだ?」

 

「いえいえ、単なる行き違いです。まさかタツミさんがこんな所にいらっしゃたとは知らずに・・・おい、お前ら何やってんだ、お詫びしろ!」

 

部下達一同、頭を下げ始める。

 

「おいおい、イケメンなお兄さんよぉ、こんな事で収まるとでも思ってんのか?ああ?」

 

チャンプが凄むが、

 

「止せ・・・もういい、チャンプ帰るぞ」

 

「いやしかし、あの子達」

 

タツミは彼女らを見て、

 

「おい、バックさんこの子らは親から買ったのか?」

 

「ええ、勿論。ちゃんとしたビジネスでの取引です」

 

「で、奥の方で怯えている御三方に売るって寸法かい?」

 

バックが所属する人身売買の競りで今回の三人の少女を落札した客が何やら遠くから文句を言っている。

 

「ちゃんと契約書だってあります、“お引き取り後、如何様成りとも当方より異議申し立ては行いません”という一文も書いてありますから、親御さんも承諾の上ですよ・・・なんせそれだけの高いお金も払っているんですから、当然ですよね」

 

「そうかい・・・それじゃあ、どうしようもないな・・・」

 

 

それを聞いていた、彼女達は親に捨てられたと呆然とし、絶望に打ちひしがれた。

 

「うそ・・・おとうさんとおかあさんが・・・」

 

「・・・・・・あたし達は、いったいなんのために」

 

「ううっ・・・ちくしょう・・・とうさん・・・しんじてたのに」

 

 

バックは場の空気を仕切り直す為に両手を鳴らし、

 

「まっ、タツミさんへのお詫びは後ほどさせて頂きます。私達は契約と法律に乗っ取って取引しているだけなんです、何もやましい事なんてありません。どうかお引き取りを、おい、お帰りだ・・・出口までお送りしろ」

 

姿勢だけは低く、ここから出るよう促す部下達をチャンプは睨みつける。

 

「おい、タツミの兄ぃよぉ、このまま引き下がるのか?あの子達置いて」

 

「しょうがねぇだろ、親も認めた上での取引だ、俺達が口挟むなんて出来る訳無いだろ」

 

「・・・見損なったぜ!!」

 

「・・・へぇ、お前に言われるなんてな・・・」

 

タツミは昔を思い出し、感慨深げであった。

 

 

「くっくっく・・・、とんだ邪魔・・・ああ、余興が起きたが、そこの威勢の良かった娘、バックさんや、もう少し痛めつけてくれんか?」

 

状況に安心し、少女を買った客の一人が彼の所へ近づき、注文し始める。

 

「ああ、その子落札したのスカさんでしたね」

 

「こういう娘を少しずつ刻んでいくのが面白いんですよ。」

 

「了解、それじゃあ両足おっちゃってよ」

 

ファルはもう、抵抗する気力も無く・・・

 

「あ・・・や・・・」

 

命じられた部下は躊躇なく、両足を素手でへし折る。

 

あらん限りの絶叫が店中になり響き、それを聞くスカは悦に入っている。

 

チャンプは立ち止り、部下達に出るように言われても震えだしている。

 

 

「良い悲鳴じゃ、今まで聞いた中で五本の指に入るのう・・・逃げれない子をじわじわと壊す・・・くくく」

 

「スカさんも変わらず良い趣味ですね~いやね、ここにいる人達は所謂帝都のマニア層ってやつでねーもう普通の女の子じゃ満足できないんだって、みんな、最高に幸せな笑顔を見ておいてから壊していくのが好き・・・っていう全く呆れた変態だよ」

 

「その変態のお陰でお前は潤ってんじゃろ。おい、わしはあの子だぞ、あの子!」

 

別の客がルナも指差し、

 

「目をやれ、そういう子をペロペロするのが萌え萌えなんじゃ」

 

 

タツミは出口付近で立ち止まっており、

 

「ペロペロ・・・ねぇ・・・そういやどっかの誰かが似た事言ってやがったと聞いたっけなぁ・・・」

 

 

バックは部下に指示し、アイスピックを片手にルナに詰め寄る。

 

「う・・・嘘でしょ・・・や・・・やめてください!や・・・いや、やめて・・・お・・・お願いやめ・・・いやあああ・・・・・・・ああああああああああ」

 

チャンプは口から血が流れ出すほど口内を噛み潰していた。

 

そして、残った三人目の客が

 

「最後の娘は儂の大事な子供にプレゼントしよう・・・おいっ」

 

バックはその意図に呆れつつも

 

「はいはい、あーあ折角買ったのに勿体ないなぁ」

 

エアを取り押さえた部下がその衣服を破り捨てる。

 

「ほれ紹介するぞ、儂が子供のように可愛がっているドグちゃんじゃ」

 

いかにも獰猛そうな大型犬のオスが鼻息荒く、エアを見ている。

 

「ドグは今発情期じゃからのう・・・おお、そうじゃ!今からその契りを皆に見て貰い祝福して貰うのはどうじゃ!」

 

バックは終始乾いた笑みを絶やさず、エアを少しばかり慰める。

 

「良かったね、ドコモ壊されないで。ま、人間の尊厳は壊れるけどね」

 

「な・・・なんでこんな酷い事を・・・信じてたのに・・・おとうさんもおかあさんも・・・おとなは・・・なんで・・・」

 

「親を怨むかい?気持は判るよ、僕も母さんに奴隷として売られたからね・・・けどね今じゃ母さんに感謝してるよ、母を怨む気持ちのお陰でここまでのし上がれたからね、だからお礼に後で残酷に殺してあげたよ。母さんもきっと僕の事誇りに思ってくれただろうな、親孝行出来て満足だよ」

 

言っている事が支離滅裂であったとしても、エアには何かが判った。

 

「あたしも・・・」

 

「あたしも?何かな?ま、もし生き延びれたらお金貯めると良いよ?けども、君みたいな田舎もんはゴロゴロいるから、今度はそんな人達をカモにすると良いかもね~金持ちになるには貧乏人から少しずつ取るのがコツだよ、あはは」

 

その話の中、客が犬のドグを鎖から外し、勢いよくエアへと迫りつつあった。

 

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