※この作品はR-18です。

タツミ無双   作:聖獅

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悪党が斬る!(九)

墨で塗られたかのような空間に一瞬、一筋の光を反射した。

ラバックの帝具クローステールが針の如く細長く、タツミの喉目掛けて飛ばされた。

 

次の瞬間、飛ばされたのはラバックだった。

 

「ぐ・・・が・・・」

 

飛ばされながら反転し、何度かその衝撃を反転で緩和した後、強打を受けた顎に手をやり、タツミを警戒し始める。

 

『何て奴だ・・・最速で打ったはずが、かわされた上に一撃当ててきやがった・・・もう少し俺が首を反らすのが遅かったなら・・・』

 

タツミは何も言わずに、離れたラバックを見ているだけだった。

 

『ちっ・・・楽に倒せる相手じゃないか・・・』

 

ラバックは手を素早く何度も交差させる。

 

『話に聞いてた以上だな、本気でいくしかねぇな・・・』

 

槍状に変えたそれで突進してくる相手を標的者はいぶかしむ。

突かれたそれを90度反転、一重の身でかわすと同時に一撃入れようと、

 

「おらぁ!!」

 

「!?」

 

周囲に張り巡らしたクローステールがタツミを襲い、標的を縛り上げるように絡め取る。

 

「・・・へっ・・・」

 

そこに有ったのは白外套のみ。

 

『今のは決まったと思ったのによぉ・・・接近戦は避けた方が良いな』

 

タツミはラバックの背後に回っていて、互いに膠着状態が続く。

 

「・・・どうした??あ?俺は背中ガラ空きなんだぜ、何故こねぇ?」

 

「仕掛けて来たのはそっちだぜ?」

 

「あんた、さっき俺を殺すって言って無かったか?・・・まさか、俺に惚れてか?生憎そっちの趣味は無いぜ?」

 

「殺す前に聞いておく、お前ら何故俺を狙ってやがる?」

 

「そんな事言うと思ったか?」

 

「・・・大方、最近失踪した少女達が惨い目に遭って・・・だのと与太話か?」

 

タツミは敢えて探りを入れてみた。

 

「・・・、しらねぇな。俺はあんまり話し好きじゃねぇんだよ」

 

やはりな・・・ラバックの緊張具合や間で十中八九その件だろうと彼は考えた。

そしてその間、落ちた白外套に手をやった。

 

「『舐めやがって・・・』 おらぁああああ!!」

 

ラバックは地中に潜ませたそのテールでタツミを空中に跳ね飛ばす。

身動きが取れないであろう、その相手にラバックは渾身の槍と化したそれを無数に穿つ。

それを外套で包むように払いのけ、

 

「!?」

 

滑るようにラバックに肉薄し、手を鋭利にさせ、脇腹から突き差し肋骨をも外すような一撃を加える。

 

「ぐがぁああああ」

 

だが、その一撃はラバックを後方に反らせたが、致命傷までには至らない。

 

「・・・・・・」

 

やはりテールで防御していたか・・・ならば、とタツミは一気に間合いを詰め、手をラバックの心臓に当て

 

「零式・・・」

 

鎧のようにクローステールで覆っていようとも、タツミ体内の動き及び体幹を用いた全身からの発動により、内部振動を相手に与え・・・骨にヒビが入り、内臓系統も大

きな損傷が起き、目眩と吐き気にも襲われ、立っている事もままならない。

 

「ぐぅ・・・が・・・」

 

ラバックは膝を付き、精神力でギリギリ持ち堪えている。

タツミは背を向け、去ろうとする。

 

「て・・・てめぇ・・・逃げるんじゃねぇ・・・俺を殺すん・・・じゃなかっ・・・ぐは・・・」

 

その場で胃の物を吐いてします。

 

「逃げる・・・?アホは相手が逃げているかどうかの区別もつかねぇようだな?・・・まぁいい。・・・気が変わった、もうお前なんざ殺す必要もねぇ」

 

「・・・なんだ?情けでも掛けたつもりか?へ・・・へへっ、お前のその甘さ必ず命取りになるぜ?」

 

「・・・使い古された負け惜しみは聞き飽きた・・・次はもっとマシな負け惜しみを考えときな・・・」

 

「お前・・・俺はこう見えても、天才なんだ、く・・・お前の動きは把握した・・・次会った時がお前の命日だかん・・・うぐ・・・げほごほ・・・うぐ・・・」

 

「はっ・・・、ああ、楽しみにしてるぜ。・・・次が有ったらな?」

 

だが、

 

 

 

「そこまでだ、若人達よ!!」

 

 

 

「・・・あ?」

上から声が聞こえ、ラバックは怪訝に声の主を探し

 

「・・・いつ出て来るのか待ちくたびれたぞ・・・」

タツミはニヤリとほくそ笑んだに対し、

 

 

 

「とぉお!!」

 

いつの間にか月が辺りを照らし、複数の人間がそこへ颯爽と降り立つ。

 

 

「ブラート!」ハンサムなポーズを決めている。

 

「アカメだ!」格好悪良いポーズを決める。

 

「シェーレです!」雅なポーズになりかかっている。

 

「レオーネ!」艶なポーズを・・・・・・決めた。

 

 

それぞれがそれぞれに珍妙なポーズを決め、

 

「み」

 

「ん」

 

「な」

 

「揃って」

 

「「「「ナイトレイド特選隊!!」」」」

 

その後、何故か後方で謎のカラフルな爆発が起こる。

そして4人と2人の間を木枯らしのような冷たい風が吹き、木の枝等で丸まったゴミが転がっていった。

 

「「・・・・・・!?・・!?!??」」

 

この時、タツミとラバックの心は敵味方の違いを乗り越え偶然一つになった。

 

 

「フッ・・・決まったな!」

ブラートは満足そうに微笑む。

 

「本番では初めてだから、少し緊張した」

 

「ちゃんと出来てましたよ、アカメ」

 

「あたしもサポートしたから大丈夫っしょ!」

 

3人の女性陣も互いの健闘(?)を称え合う。そこに、

 

 

「おおおおいいいいい!!あんんたらぁあああなにてきのまえでなのってんだああああ!!」

 

謎の体内沈痛ホルモンでも分泌されたのか、ラバックは痛みと具合の悪さを失念し大声でツッコム。

 

 

「ど、どうしたんだラバ?荒ぶっているな・・・」

 

「アカメ、そういう年頃なんですよ」

 

「うんうん判る判る」

 

 

「ち、がーーーう!!」

 

 

 

「勘違いするな、ラバ?この男は強敵と書いて友、と呼ぶ!だから問題ない!・・・それにだ、我々4人がポーズを決めている時に攻撃もせず、見惚れている奴に悪い奴等居ない!!」

 

「ふがふご、がるうううるるるる!」

 

ブラートの粋な返答に筆舌に尽くしがたい怒りを覚えるラバック。

その時、呆れたタツミとブラートの視線が勝ち合い、

 

「上から見させて貰ったぞ、タツミと言ったな?手加減していたのだろう?殺せれば殺せたものを・・・お前も中々熱い男のようだな!」

 

「・・・いや別に」

 

「ああ、判っているぞ!君も我々と共に来たいのだろう?」

 

「いや別に・・・『ナイトレイドに行ったらエスデスが激怒するだろうな』」

 

「全く若人は素直になれないものだな・・・今なら特別に我々特選隊の一員として迎えるぞ」

 

嫌な顔するタツミにお構いなしに

 

「ああ、腕も申し分ない。歓迎するぞ!」

 

「そうですよね、どうやらこの人が依頼された通りの人じゃなさそうですしね」

 

「まぁ、あたし達の仲間になってくれなきゃこの場でタツミは4人相手に闘って貰う

けど、ねぇちょっと可愛いおにいさん?それでもいい?」

 

タツミは可愛いの基準に心の中で首を傾げながらも、4人相手でも闘う気を出していた。

 

「うむ・・・この男はまだ実力を隠している。お前達、油断するなよ・・・だが大したものだな。俺達相手でも怯まないとは・・・」

 

 

「いやぁ~・・・おねえさん、そんな可愛い目で不敵に睨まれたら・・・滾っちゃうぞ!」とレオーネは頬を紅潮させている。

 

タツミはやり難さを感じながら、場の流れに乗ろうとした。このまま戦闘に突入するもよし・・・

 

「おい・・・お前、タツミ・・・忠告してやる。この人達は一人一人がかなり強いからな?」

ラバックの言葉にタツミは一瞥しただけだった。

 

「お前、まさか信用してないのか?・・・いいか、これは俺の為に言ってるんじゃなくて・・・お前の為に言ってるんだぜ?・・・決して、食事中や人が風呂入ってる時にも熱心にブラートさんが特選隊に加入を勧めてくるからじゃないぜ?」

 

「ハッハッハ、ラバックお前ももう少し経てば自分に素直になれるぞ!」

 

話に割り込んでくるブラートを無視し

 

「良いか?俺があんなダサいガキみたいな真似事したら、俺の美学に反するんだよ!だからお前を生贄に・・・じゃなくて、だな・・・この場を生き延びるには俺達の仲間になるしかないんだよ!・・・良いかこれは絶対、あんたの事を思って言ってるんだからな!さっき止めを差さなかった恩を返す為だからな!間違っても俺の為じゃないからな!だから頼む、おにいさん!同じ本の趣味を持つ心の友だろ?な?だからお願いします!クソ恥ずかしい特選隊になって下さい!」

 

ラバックは土下座してまで頼みだす。

余程、ブラートの勧誘が嫌だったのだろう。

 

「ハッハッハ、ラバも中々言うじゃないか?ところで、同じ本の趣味とはなんだ?俺も聞いてみたいな」

 

「ぐっふっふ、え~なになに?ラバと共通の趣味?なんだろ?おねえさんに教えて?」

 

「趣味か?私も世界の肉図巻が・・・あれは見てるだけで涎が・・・」

 

「アカメ、案外近いかもよ~くっくっく」

 

「なに?ならば二人とも後で語りあえるな!」

 

含みのある笑みのレオーネと純粋なアカメのやり取り・・・

ラバックはその場の潮の流れの変わり目を逃さない・・・目が怪しく光り出す。

 

「そうそう、そーなんだよ、このおにいさんは、そういう本買ってたんだよ、な?」

 

ラバックはタツミの肩に手をやりながら目で暗黙に伝える。

判ってるよな?ばらされたくないよな?

 

タツミはこの時ほどラバックを殺しておけば良かったと思った事は無かった。

 

「そうか!・・・タツミ、済まない・・・ある依頼主がお前の殺しを頼んだのだが、きっと何かの間違いだろう・・・話が所々で食い違っていたからな。ラバには悪かったが、私達も独自に調べていたんだ」

 

「そうなんです、間違った相手を殺したなんてなりましたら、目も当てられませんからね・・・決して暇だったからじゃないですよ」

 

シェーレの本音は不明だが、アカメは喜び

 

「ブラート、やったぞ!共通の趣味と特選隊の仲間が増えて5人になったな!」

 

「おい、待て「正に一石二鳥だな!4人では今一つフォーメーションに盛り上がりが欠けていた・・・だがこれで、あの幻のファイティングポーズを完成させられるぞ!」

 

「ううっ・・・良かったですね」

 

「にゃはは、鍋でこの世は事も無しだったっけ?あはは」

 

タツミの反対意見を無視し、アカメとブラートは燃え上がり、シェーレは涙を流して喜んだ。

固まっているタツミの肩をラバックは頷きながら静かに手を乗せた。

 

(この後、謎の沈痛ホルモンが切れたラバックは痛みを思い出し、1ヶ月以上完治に時間を要した。)

 

そんな彼らを離れた場所から見ていた人影が・・・

 

「へぇ~・・・もし、彼ら(密偵)の下調べがお粗末だったんなら・・・月に代わってオシオキしてあげなくちゃ・・・駄目だよね?」

 

そう言って、自身の唇に二本指を当て、口から出した針を一回転させた。

 








アジトに帰って来たシュラが目にしたものは、それは・・・


「「「「みんな、揃ってワイルド特選隊!!」」」」

大の男1人と少女達3人が互いにどこを改善したら良いかディスカッションしていた。


「てめぇら何やってんだ!!!」

呆れたシュラの説教が始まり、一時間後・・・


「良いかお前ら、そんなクソダサいポーズじゃ今時、ガキどもだって見向きもしねぇからな、おいチャンプ、お前は手の角度は45度だ!視線はもっと2時の方向でだな・・・そしてお前は」

彼らに心強い新しい仲間が加わった。












※本当は10話位でまとめるつつもりだったのですが・・・(苦笑)
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