私も停電を味わい同じ道民の1人として、今回の地震を教訓に今後の備えにしたいと考えております。他、その地震の報道で関西の災害報道が霞んだり、他地域の方の被害が治まった訳でなく、忘れずに向きあいたいと思います。
男が一人、吹き飛ばされ壁を壊し向こう側へと叩きつけられる。
「げほっ・・・ごほっ・・・てめぇ・・・」
人気の無い廃墟で殴った方の男は瓦礫の上に座り、相手が向かってくるのを待っている。
衣服が所々破け、血も流れているが殺気丸出しで立ちあがり拳に力を込め
「そこ動くんじゃねぇぞ」
瞬時に足で屑物を蹴りあげ、相手に無数にぶつけ視界を遮る。
「死ねやぁ!!」
だが、殴る相手を見失いその後ろに
「なっ・・・!?」
思いきり脇腹に肘撃ちを喰らい、数メートル転がっていく。胃の残留物が逆流し嘔吐し苦悶の声を挙げている。
「よぉ、楽しいなこの世は?暴力と恐怖に支配されてな・・・」
「げほがほ・・・ぐ」
ダメージで思うように喋れていないが、もし言語化したなら「意味も無く殴ってきやがって、ぜってぇぶっ殺してやる・・・」
その意味を理解した相手は、
「追加だ、理不尽にも支配されてな」
そう言って抵抗出来なくなったその男を放置し、その場を去っていった。
数日後、再び彼らは廃屋で接触した。
「てめぇ・・・こないだはよくも上等決めてくれたな?死ぬ覚悟は出来てるだろうな」
男は意に介さず、商売女を前に連れてきている。
「その女、お前のこれか?面白ぇてめぇ殺してお前の女の具合を見てやるぜ」
下卑た笑いを浮かべ、挑発するが・・・
「勘違いするな、今から俺の前でこの女を抱け」
「あ?・・・何訳わかんねぇ事言ってんだお前」
「頭の悪い単細胞だ、俺はお前がやりたい事を叶えようとしているんだ、優しいだろ?」
「なに・・・?」
「さぁ俺の前でこの女を犯しながら殺して見ろ、具合も良い筈だ・・・お前はそれがしたくて溜まらない筈だ・・・さぁやってみろ?」
「あ・・・?」
確かにその通りだが、男は相手の真意を掴みかねていた・・・一体何が目的なのかと、
「なんだ?獣のお前が交尾を見られるのが恥ずかしいのか?」
「ああ、判った・・・てめぇを殺してからその女も八つ裂きにしてやるぜ!」
数秒後、
「ち・・・ちきぎぎしょ・・・」
地面に顔を相手の手で半分めり込まされ、呻き抵抗しようともがくがどうにもならない。
「屑な父親の影響から未だ抜け切れてねぇお前が俺に勝とうなんざ、100転生位早ぇんだよ・・・もっともお前は転生なんざ出来ないがな・・・んな事ぁどうでもいい!今度レイプ殺人が有った時は真っ先にお前を疑うからな?それでお前じゃねぇと言うなら犯人を連れて来い、連れてこれねぇ時はてめぇを・・・言わなくてもお前の足りない脳でも判るよな?」
大人になってから初めての悔し涙に、他の色々な感情を蠢くが・・・それも向かうは只一つ、
「タツミィ!!てめぇ今日こそ殺す!!!」
拳が宙を空振り、その男、シュラが目を覚ます。
「たくっ・・・、昔の胸糞わりぃ事を思い出しちまったろうが・・・あの野郎」
シュラは時折寝起きに戻るアジトで朝を迎え、身支度を整えると外に出かけようとした。そこに、
「おいシュラ、お前うるせぇんだよ。寝ながらぶっ殺すとか、寝言は上品に大人しく言いやがれ!」
「けっ・・・お前が上品ってツラかよ?ところであの下衆野郎何処に行った?今日こそ命日にしてやろうと思ったのによ、・・・さては逃げやがったな?」
「・・・タツミの奴か?知らねぇな・・・だがあいつ殺す時は俺も一緒にやらせろ」
「あ?お前の力なんざ借りねぇよ、殺してぇならお前一人でやれ!」
「んだと?あいつに半殺し喰らって、手貸してやった恩忘れたのか?」
「あ・・・あれはお前が勝手にやった事だ、俺は知られねぇぞ」
エンシンが話しかけて来、そのまま二人は罵りあいながら帝都繁華街へと足を伸ばした。
「あの時お前が俺の足を引っ張りやがった、俺一人なら奴をぶち殺せたぞ」
「抜かしやがる、俺のサポートが有ったから、あの程度の怪我で済んだんだろ?」
(よぉ、クロメ。あのナイトレイド、アカメの妹だってな?)
「ああ!?タツミ殺る前にまずてめぇから血祭りに挙げるか?あ?」
「上等だァエンシン様の靴の裏舐めやがれ!」
(売国奴ナイトレイドの身内とあっちゃあ、ちぃと教育しなきゃな)
「お前なんざ秒だ秒!」
「秒だぁ?俺が本気だしゃあその半分だ!!」
(他の奴らには俺達が言いくるめとくからよ、だから判ってるよな?)
「俺はその半分だ・・・ってぇ、うるせねぇな!!誰だ!?」
シュラは大通りからの細い路地から聞こえる話声に怒りをぶつける。
そこには車椅子に座ったクロメと呼ばれた女と帝都警察が二人囲んでいた。
『くっ・・・薬の後遺症さえ無ければこんな奴ら・・・』
「さ、不自由なお前でも出来る事ぁあるよな?」
その1人が体を近付けると、
「てめぇら、うるせぇんだ!!」
エンシンが1人を蹴り飛ばし、先を越された事に腹を立てたシュラがもう1人を殴り飛ばす。
「っつ・・・貴様ら我ら警官を侮辱して只で済むと思うなよ?」
「あ?知らねぇよ。やるんなら俺の居ない所でやれ・・・俺は今機嫌が悪ぃんだ・・・へっ、世の理不尽って奴を親切にお前らに教えてやるぜ」
シュラとエンシンが身構え、警官達も武器を片手に臨戦態勢になる。
「待て!!お前達動くな!」
そこにもう一人の帝都警察官も助勢にやって来る。
「おお、ウェイブ加勢しろ!こいつらを我ら警官に逆らった罪で逮捕しろ!」
シュラとエンシンも横目でウェイブと呼ばれた男の技量を計ると、厄介な相手だと直ぐに見抜いた。
「おい・・・エンシン、雑魚はお前に任せた、俺は後ろの野郎を殺すぜ」
「あ?お前が俺の露払いだろ?お前が雑魚二人やれよ」
「んだと?」「お前から先に殺すぞ!?」
言い合いを始める二人に周りは呆気に取られるが、
「貴様ら~・・・」
警官二人は歯噛みするが、ウェイブは油断出来ない相手だと推察し生きて捕まえるのは困難だと考えた。
「先輩、一体どういう事でこんな事に?」
「ああ?・・・そいつらがこのクロメを襲おうとしたから助けに入ったまでだ」
クロメがそれに反論しようとした時に手で塞がれその後、喉もウェイブに判らないように締める。
「てめぇ・・・決めた、お前ら処刑な・・・」
「ああ・・・人に罪をなすりつけんのは良いが俺がなすりつけられるのは、心底腹立つぜ・・・」
シュラとエンシンは殺気立ち、飛び上がった後両手を1人の警官首筋脇に叩きこみ、
怯んだ所を円月を描くような蹴りを顎に強打させ、相手は宙を舞いあがり肩、顎の骨が折れながら気を失う。続いてシュラは自分も負けじと貫手で連打し、一打ごとに相手の骨にヒビが入り、膝を付いた所に両掌底を叩きこむ・・・鳩尾が骨折し絶する苦しみを味わう。
「面倒だ、殺しておくか?」
「指示なしで殺したら、奴がうるせぇぞ」
「エンシンお前びびってんのか?あ?」
「あいつに半殺し喰らって涙流した奴の台詞じゃねぇな?」
「やっぱお前はここで殺す!」
「上等だ、走馬灯見させてやるぜ!よく見えるようレンズ目に抉り込んでやらぁ!」
「・・・あ、ありがとう・・・」
二人の再び始まった言い争いに水を差したのはクロメだった。
「大丈夫かクロメ」
ウェイブは駆け寄り、彼女の身を気遣う。
「うん・・・ウェイブ、こいつらがお姉ちゃんはナイトレイドだからってあたしに嫌な事しようとしたんだよ・・・だからこの人達は只の通りすがりの人達だよ・・・柄は悪そうだけどね」
クロメの屈託の無い笑みに二人は毒気を抜かれ、とりあえず大人しくなる。
「すまなかった、俺は帝都警察第七地区のウェイブ。この区間を担当している者だ。」
「んな話は良いんだよ。お前のスケか?礼代わりに少し味見・・・ごふっ!」
エンシンの脇腹にシュラの肘鉄が入る。
「てめぇ何しやがる!」
「・・・お前自分の女1人満足に守れねぇのか?そんな警官でこの帝都守れるのか?」
「ぐっ・・・返す言葉も無い」
「・・・ちっ、次こんな事遭った時ぁその女、俺の物にして遊んだ後ボロ屑のように捨ててやるからな、覚悟しておけ・・・行くぞ」
「・・・・・・」
二人を置き去りにシュラとエンシンは再び大通りの雑踏に姿を消した。
「おい、シュラ。どういう風の吹き回しだ?」
「あ?あいつ(タツミ)が怖ぇとか、んなヌルい理由じゃねぇよ・・・だがな、俺はあいつ殺すまで自分を抑える事に決めてんだ・・・あの化け物に勝つには限界の限界を超えなきゃならねぇ・・・あの野郎俺が親父に甘えるしか能がねぇだと・・・?上等だ、親父が居なくたって、とっくの昔に俺が親父を超えている事を証明してやるぜ」
「・・・・・・へっ、そういう事にしといてやるぜ」
帝都の中心街から離れた人もまばらな広場の一角に定食屋があり、そこの靴を脱いでの卓に麦飯とスープに南瓜とキャベツを煮込んだ汁物を静かに食べている男が居た。
「いらっしゃ~い、お客さんお1人ですか?はい、じゃあA定食ですね、お婆さん杖こちらで預かります?別に良いですか?ではどうぞそこへ置いて下さい」
その男の後ろの卓に老婆は座り、咳払いを一つすると
「すまんねぇお兄さん・・・あたしは顔ばれしてるからこういう格好なんだよ」
「・・・・・・」
「うふフ・・・そんな怖い顔しないで、取って喰おうとかそんなじゃありませんか
ら」
老婆は見ずとも彼の僅かな挙動や気配の違いで感情を読み取った。
「ごめんなさいねぇ、内の者が早とちりして・・・とりあえず間違った裏を取ったのはあたしの方で処理しましたから・・・ね?」
険しい視線をぶつけると、それも察知したのか
「おや・・・?憐れんでいるんですか?優しいんですね・・・」
漸く男は口を開き、
「よく喋る婆さんだ、誰か別の奴と勘違いしていないか?」
「勘違い・・・?貴方タツミさん・・・でしょ?」
「・・・知らねぇな、そんな奴・・・」
「そんな奴・・・?うふふふふ、あははは、変装すら全くしていないのに・・・うふふ、あはは・・・内のボスの悪い癖に付き合える奇特な人と聞いてましたが、成程、うふふふ」
はい、お待ちどうさま。A定食です・・・お婆さん何か面白い事でもありました?
ああ、この年になると些細な事でも面白くてねぇ、ごめんなさいね。
ふふふ、ごゆっくり~
「あ~おかしい~貴方って本当は面白い人なんだね・・・くくく」
「笑い話がしたいなら、お前の所のボスとでもしてくれ・・・じゃあな」
「悪ふざけが過ぎたのならごめんなさい?・・・本題はここから・・・ああ、名乗りが後になっちゃいましたね、あたしの名は」
「言わなくても判ってらぁ、ジェラシーだろ?」
「そう・・・嫉妬は女を輝かせ・・・って、誰それ!?」
思わず出た大声に周りの客達も注目するが、彼女は笑ってごまかす。
「ェとシ―しか合ってないから、何となく合ってそうで、全然違うから!」
「そうかい、じゃあまた今度な?」
「うん、じゃあ、また・・・って話終わって無いから!あたしこんなキャラじゃ無いのに何やらせるの!!」
タツミはお代を置いて去ろうとすると、
「心臓発作って事で死にたい・・・?」
彼女の仕込み杖の針が伸び、タツミの背中に服一枚に刺さっている。
「チェルシー・・・お前もそう死に急ぐ事は無いだろ・・・」
彼女も気付かなかった間に長めの爪楊枝が髪の間を通り、首の皮膚に僅かに刺さっている。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「ねぇ、あたしと組まない?」
周りの客達は雑談したりと、二人の動向に気付いていない。
「ナジェンダには話を通しているのか?」
「・・・いいえ、ボスには通して無いわ」
「あいつらを裏切るつもりか」
「彼らとは・・・途中まで方向性が同じだろうけど、あたしはこの国の未来を見据えているの・・・うふふ、あのナジェンダさんもとんだ喰わせ者よね?表向きには革命が終わったらあたし達はもう日影を歩かなくて良い・・・なんて言ってるけど、何人かは今までのようなシゴトを続けるよう依頼されると思うよ・・・ええ、そこはあたしも同感なんだけど、あたし達みたいなシゴトはどんなに世の中が変わっても無くならない・・・無くさせはしない!・・・だって、暗殺が無ければ独裁者や絶対的な権力者は図に乗ってやりたい放題するよね・・・だから、抑止力の為にも今後ずっとあたし達みたいなシゴトが必要なんだよ」
「・・・・・・」
「あたし、何かおかしな事言ってる?」
「さぁな・・・・・・」
「貴方は信頼出来そう・・・あたしはナイトレイドの他にこの帝都にも居るでしょう暗殺者達を束ねて秩序ある集団を作りたいの」
「・・・悪いが俺は女とは組まない事にしている・・・他を当たれ」
チェルシーは何か言いかけたが、お勘定ですか?またどうぞ~と、タツミの食事代を受け取りに店員が来た為、話は中断された。
その後ろ姿を見据えながら、
「うふふ・・・手強い相手ほど燃えるタイプなの・・・・絶対に落としてやる・・・」