※この作品はR-18です。

タツミ無双   作:聖獅

125 / 136
悪党が斬る!(十四)※(裏)

帝都の一角にそびえる大きな屋敷の中に並みの兵士よりも数段装備の良い兵隊が所々に配置され、その周辺は黒服の男達が巡回していた。

 

フードを被った少年の側を離れずに帝具の上からマントを纏った男が内心を悟られぬように僅かに舌打ちを鳴らした。

 

『大臣め・・・陛下をかような所に・・・』

 

時間は数日前に遡る。

 

「陛下、国王たるもの民の暮らしぶりを見ておく必要があります」

 

宮殿の食事の間で大臣のオネストと皇帝陛下のカライが今後の政治などについて話す中で突如その話と成った。

 

「そういうものなのか?大臣」

 

「はい、下々の生活の中に溶け込み、善政を行った為政者がおります。陛下も是非今後の国政にお役に立てて頂きたく・・・」

 

後はオネストの話に感化され、彼の斡旋で孤児を養っている施設に行幸する事と相成り、カライが喜んでいる様子とは裏腹にオネストは邪悪な笑みを僅かに浮かべていた。その話の前日に

 

「私の側近が是非にもと言うので心優しい私はわざわざ多忙の合間を縫って会ってあげたのですよ?それ相応のお土産が・・・この程度の金貨ですか?」

 

宮殿の余り使用されていない薄暗い客間で、オネストは椅子に腰かけ肉を頬ぼりながら尊大な態度で相対し、バックは立ったまま頭を下げていた。

提出された金貨は庶民の生活3年は楽々暮らせる程の大金だった。

 

「いえ、これはほんのご挨拶代わりです・・・付きましては小耳に挟んだのですがオネスト大臣は皇帝陛下に御隠居して頂きたいと願われているのではと・・・」

 

その際に、客間の裏側に隠れているオネスト配下の暗殺者が身体を動かすが、それには合図を出さずに話を続けさせた。

 

「滅多な事を言うものではありませんよ?バックさんでしたか、私は“陛下の為に身命を賭して働いているのです。そこに野心など一切ありませんよ?”」

 

「これは大変失礼いたしました。“訂正いたします・・・ですがお言葉ながら陛下もまだお若い、同じ年頃の子供達と時には遊ばれるのも宜しいかと”」

 

二人はそれから婉曲表現を用いた密談を交わした後、互いに笑いながら別れた。

 

宮殿から出て行く姿を部屋から眺めるオネストに先の暗殺者がどうするか問い掛け

る。

 

「まぁ良いでしょう・・・野心家の若造は私も嫌いではありません・・・ですが、生き残るかどうかは別ですがね、ふふふ」

 

宮殿を後にするバックは黒服達を従え、帰路の途中呟く。

 

「狸爺め、皇帝を暗殺して自分が頂点に君臨してぇくせに・・・まぁいいよ。僕がそれ手伝ってやるよ・・・くくく」

 

 

そして、バックが居を構える“孤児院と思われる”その大部屋に通されその主が来るのを待っていた。少し間が有った後、頑強な両扉を配下の黒服達が開け放ち、登場した彼は深々と頭を下げ

 

「お待たせして大変申し訳ありません。皇帝陛下並びにブドー大将軍、このような所にわざわざお越しいただき誠に恐れ多く・・・」

 

ブドーは一睨みをし、

 

「挨拶はその辺で良い、だがな陛下並びに我々の名はみだりに呼ぶな!」

 

「失礼致しました・・・では早速、さぁみんな、見学に来たお兄さんと一緒にここを案内しなさい」

 

控えていた男女それぞれ数人の10歳前後の子達がカライに前に集まり、わぁわぁ騒ぎ始める。

 

『うむ・・・身なりも悪くは無い、小奇麗にもしている。孤児だと聞いていたがそれなりに福祉は行き届いているか・・・?大臣の言葉を信用してよいな』

 

カライは彼なりに子供達を観察していると、その内の元気な子が彼の袖をひっぱり施設内を回り行こうと喋りながら連れて行った。

 

ブドーは配下の1人に目で合図を送り、影ながら護衛を促した。

 

「・・・大将軍、ご安心下さい。ここは僕の仲間(黒服)も居りますので。この帝都にも子供をさらって売買する奴隷商人が居ますから、そんな者達から守る為にボディガードも居るんです」

 

それに対しブドーは無言でバックを睨み返した。

 

「差しでがましかったですか?失礼致しました・・・将軍の部隊は精鋭を聞いておりますから・・・あはは、その方がご安心ですね・・・」

 

ちっ・・・扱いづらい奴だ・・・とバックは内心の思いとは裏腹ににこやかに愛想笑いを浮かべた。

 

ブドーは宙を見据えながら、以前某本を購入した後に自室へ侵入した相手との話を思い出していた。

 

「貴様・・・、大臣のオネストが陛下の御命を狙っているだと・・・狂言で私を誑かすつもりなら許さんぞ!」

 

「それだけじゃない。先代の皇帝の命を奪ったのも奴だ・・・俺の言う事を信じるかどうかはあんた次第だ」

 

確かにオネストには不審な行動も散見される。彼からの帝都民の生活状況報告も改竄や捏造が多いと文官からの訴えもある。だがブドー自身、余り政治経済には明るくない・・・、だからこそ政務は文官達に任せ、その立場は守る後見人的役割は果た

していた。・・・それに、例えオネストであろうと、同じ皇帝に仕える者だ、自分懇意の文官達とは単なる意見の相違や誤解の範疇であろうと甘い見立てをしてしまっていた。

ここに来て、彼の心は揺さぶられ始め相手の意見を参考にするか悩んだ。

 

「タツミと言ったな・・・我々の内での同士討ちを狙ってでは無いだろうな?」

 

「そう思うならそう思うが良い・・・後になって取り返しが付かずとも、俺は知らないぞ。俺は革命軍でもナイトレイドでも無いが、オネストは後々この星の住人とって負の遺産を残し過ぎる・・・」

 

「ホシの住人・・・負の遺産だと?」

 

「奴はこの後、戦争の火種を各国に撒き散らして帝具をアレンジした劣化版兵器を売って莫大な富を得る。その余波で自然にも汚染物質を残し数万年消えない事になり、その土地には生物は住めなくなった・・・そして、それを受け継いだ奴らが今度は住めなくなったこの星を離れ、別の星で再び同じ事を繰り返し・・・」

 

ブドーは段々理解の範疇を超え、一旦話を制止した。

 

あ~エスデスとの喧嘩であの技本当に使わなきゃ良かった・・・そうすりゃ救世主な奴がこの星に生まれて・・・俺の仕事が増えずに済んだ・・・はぁ・・・、とタツミは心の中で、後ろ向きな愚痴をこぼし・・・とりあえず、話を締めくくった。

 

「とにかく、今回は俺が直接関与せずにあいつらに方を付けさせたいんだがな・・・だからこういう回りくどい事してんだ」

 

「・・・良く意味が判らん!もっと判り易く述べろ!」

 

後はお前さんで判断しろと言い残し、タツミは姿を消した。

 

ブドーは口の堅い仲間達でオネストの先代皇帝の暗殺関与の証拠を探した。決定的な証拠は無い物の、状況証拠とそれに携わったと思われる人間の不審死・・・この事からもオネストに対する不信感は否応にも増した。

 

 

 

夜霧に混じり月を背に、四つの孤影が地を刺す。

 

ナジェンダ、アカメ、マイン、レオーネのナイトレイドの4人がバックの屋敷向かいの離れた屋根で警護の様子を窺っていた。

 

「どうやら密偵の情報通りだったな、バックを始末するだけならともかく、皇帝やブドーまで来ているとはな・・・配下の数もそういない。千載一遇のチャンスだ!今居る我々の総出で仕留めるぞ」

 

「・・・ブドーか・・・」

 

アカメは元々ブドーと帝国軍時代に面識があり、多少稽古を付けて貰った間柄でもある。

 

「チェルシーの奴あいつ、傷心の旅に出るとか意味不明よ!?あたし達の仕事舐めてんの、本当!」

 

「ま、ブラートもシェーレも残念だよな?地方の仕事競り落としていないしな~ラバはまだ傷完治して無いし、でもさボスの言う通りここであの野郎だけじゃなく、大物二人なんて・・・く~おねーさんゾクゾクして来た!」

 

 

「良いか、お前達!他にも不審な気配が有る。標的はバック、皇帝、ブドーだが他の部下達に顔を見られたら・・・判っているな?困難だがなるべく標的のみを始末しろ!ここであの二人を葬れば我々革命軍は一気に優勢になる!」

 

 

さて、今回はどう忍び込むか思案していた。ブドーの腕はナジェンダもアカメも熟知しており、下手に侵入しても気配に気づかれ皇帝を逃がされる恐れがある・・・その時、

 

「おいエンシン!なんで昼間に乗りこまねぇんだ?面倒くせぇ!」

 

「良いだろう?お前だって知ってんだろ、俺の帝具は」

 

「けっ?何弱い事言ってんだ、だからお前は雑魚なんだ、あ?」

 

屋敷門前に堂々とシュラとエンシンが文句を垂れながら・・・近付き、警護の者達に威嚇される。

 

「あ?うるせぇな、雑魚キャラは引っ込んでろ!!」

 

二人は彼らを叩きのめし、頑丈な扉も蹴飛ばし易々と屋敷内に入り込んで行く。

 

「へっ、主役そのものだな、俺!」

 

「エンシン!てめぇ目立つんじゃねぇよ、主役は俺だ!」

 

 

 

・・・・・・やり取りを見ていたナジェンダ達は

 

「な・・・なんだあいつらは?我々(革命軍)の陽動部隊か?いや・・・本部に支援は要請していない・・・よな?」

 

帝具で獣化しているレオーネは視力も格段に上がり夜目も利き、

 

「ボス、ありゃたぶん大臣の息子だな?・・・何でこんな所居るんだ、殴り込みか・・・ん?」

 

アカメも首を傾げ思案しているがマインの威勢の良い声が発破を掛ける。

 

「どっちにしたって良いわ?あいつらがあたし達の邪魔するなら・・・ね?とにかくこれであたし達も侵入し易くなったわ!」

 

「ああ・・・、そうだな、好機と捉えるぞ!皆ここの屋敷見取り図は頭に入れているな?では行くぞ!!」

 

ナジェンダの声に皆は行動開始した。




※
筆者の考えで
ここからルート裏となります。今までと流れが異なる雰囲気ですのでご注意ください。
それで完結に向かいます。

ルート表は・・・未定です。そちらの方の希望が御座いましたら書かせて頂くかも・・・?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。