※この作品はR-18です。

タツミ無双   作:聖獅

129 / 136
お待ち頂いた方、本当に有難う御座います!


悪党が斬る!(十七)※(裏)

「くっ・・・あたしは・・・こんな所で・・・死ぬ訳にはいかないのよおおぉぉおお!!」

 

倒れた状態でマインは絶叫し、レオーネに助勢を求めた。

 

「あと・・・あと一撃で。もうこれっきり・・・あいつを倒すわ・・・手を貸しなさい・・・」

 

触って外部だけでなく内部も出血している匂いを感じ取り、

 

「無茶だ、マイン!ここは一旦引くぞ!」

 

「・・・・・・」

 

ブドーは静かにこちらに近づいてくる。

生け捕りにして、アジトや反乱軍の情報を吐かせようと考えている。

 

この状態じゃ上手く当てられない・・・撃っても避けられる可能性が高い、もっと隙が生じた時に狙わないと・・・撃った瞬間こちらも隙が生じる、外せばブドーはこちら側に決定打を与えてくる・・・逃げるなら今しかない、マインの勘がそれを告げた為考え直し、

 

 

「・・・あたしが・・・あいつを足止めするから・・・先に、行きなさい・・・」

 

渾身の力で上体を起こし、パンプキンの引き金に手を添えるマイン・・・ブドーへの照準が震えて、狙いが定まらない。

 

くっ・・・どうすればいい・・・あたし独りでも逃げるか、ブドーのあの強さ・・・独りで無策に突っ込んでいってもきっと殺られる・・・このまま二人で闘っても・・・

 

「・・・ふふっ、あんたとは色々喧嘩したけど、結構楽しかったわ・・・黙って食べられたプリンは貸しにしてあげるわ・・・さぁ早く」

 

「・・・菓子だけにな、ってな・・・ここで退かないのは、失格かもな。別にあたしは死ぬ気なんか無いさ。煩い奴がいないと退屈するしな」

 

レオーネは両拳を合わせて鳴らし、ブドーと向かい合う。

彼女は殺し屋として一人ででも撤退しない判断が失格だと言い、更に言えば組織を守る為に重傷のマインを殺してから離脱するか・・・もしくは生き延びれないと判断した場合は残った体から相手に情報を与えない為に粉々になる爆死の選択肢もあった。

 

「ふっ・・・」

 

ブドーはその判断に内心苦笑したが、こちらとしては好都合。

 

「お前らのような賊風情でも、仲間意識があったとはな・・・泣かせてくれるなぁ。素直に吐くのならこの場で楽に殺してやっても構わんぞ・・・?」

 

「はっ!?あたしはおっさんに殺されたい趣味は無いんだよ!どうせなら年下の可愛い少年で頼むわ!」

 

「・・・・・・、くくく、貴様らの次の転職先は地獄の道化師だ」

 

多少回復したとはいえ、腹の傷も治りきっていない。万全の状態でも厄介極まりない相手・・・隙を見てマインを担いで逃げる算段は・・・。

 

その守りの姿勢の気配を感じ取ったブドーは

 

「この愚か者!!」

 

「ぐっ!!」

 

一瞬で間合いを詰め、レオーネに肉薄しマインの場所から離れるように、彼女は回転しながら素早く距離を取った。

だが、その回転時の背中を見せた一瞬の隙を見逃さない。肘打ちで強打されてレオーネは嘔吐するも、打たれた反動を利用し横顔面目掛けて蹴りを叩き込む。

それを直ぐ様片手で防御するブドーの次は顎に目掛けて縦回転蹴りを加える。

 

「ほぉ・・・」

 

これは両手で防がれる。

 

「中々の強さだ・・・手が痺れたぞ。ふむ、大したものだな」

 

き・・・効いてない!?怪我してたって本気でいったぞ!?

どんだけ強いんだこいつ!?

 

「筋力は確かに帝具で強化されているが、まるで技がなっていないな・・・ナジェンダはその辺の教授は行っていないか・・・もっともあやつは無意識に出来ていたに過ぎなかったがな・・・」

 

「ちっ・・・!」

 

 

片手を腹に当て、肩で息をしながらレオーネは立ち上がる。

 

「うむ、弄る趣味は無いんでな・・・素直に吐かぬ気が無いのなら、次は少々きつくいくぞ!」

 

「へっ、ご忠告痛み入りや・・・だったっけ・・・ははは」

 

ああ・・・これ駄目だな、あと2,3手で詰みかな・・・マインが何か喚いているけど、うん、まぁいいや・・・

 

 

その時、ブドーの体が宙に浮きそのまま戦いで穴の開いた天井へと引きづられてい

く。

首を掻き毟り、そこには細い輪の針金が絡み更なる締め上げで窒息死を狙う。だがアドラメレクでそれを操る先の天井に目掛け電撃を放つ。

 

「ちっ!?」

 

相手はそれをかわし、支点を天井裏に括り地面へとそのまま落下しブドーを吊り上げる。

 

 

 

 

 

「これは・・・きっとそうです!大体の所ですが、ばい菌か何かでみんなを殺そう

と・・・ああ!!」

 

バックの銃弾をチャンプは左肩で受け、ルナを守りきる。

 

「わ、わたしのせいで・・・」

 

「だ・・・大丈夫だこれくらい・・・」

 

左肩を抑えながらチャンプは立ち上がり相手を睨みつける。

 

「てめぇ・・・!」

 

「お前ら、よく此処が判ったな・・・全員生かして返さないよ・・・死んで貰うぜ!」

 

バックが発砲したと同時にチャンプは走り出し、かわしながら拳を顔面に叩きつけ

る。

 

「ぐわあああ!!」

 

相手が悲鳴を上げたかと思ったがそれは自分もだった。

隠し持っていたナイフで先程負傷した左肩に刺されてしまった。

 

「が・・・ぐぅ・・・いってぇなぁ・・・けどお前だってもうお仕舞だぜ・・・」

 

ちっ・・・たった一撃で頭がぐらぐらするぜ・・・なんだこいつ・・・

 

バックは強がってみせたが、回復の為時間稼ぎを試みた。

 

「ぐ・・・くくく、さっきお前が防いだ銃弾はな、わざと調節して体内に残るぐらいの威力にしてんだよ・・・もっとも射程距離も計算しなきゃならねぇから、俺じゃなきゃ難しいがな・・・あはは!何故こんな事言うかってか?さっきそこのガキが・・・冥土の土産に教えてやるぜ。ばい菌・・・細菌兵器さ。最も他に化け物もついでに研究してるんだがな、中々簡単に上手くいかねぇ・・・お前らガキの中で誰も買取つかねぇやつを何処まで耐えれるか実験したりな・・・くっくく、逸れも良い見世物になったぜ、あはは」

 

 

な、なんだ目が霞んできた・・・こ、こんな所で。

 

チャンプは今の痛みだけでは考えれない症状に困惑し始めた。

 

「・・・効いてきたか?俺の銃弾は特別製でな、細菌入りなんだぜ。結構手間掛かるから金も掛かるんだ、感謝しやがれ!」

 

 

ファルとエアは青ざめ、どうしたら良いか戸惑っている。

ルナは必死の形相でチャンプを心配する。

 

「大丈夫ですか!?私のせいで・・・こんなこんな・・・」

 

「だ、大丈夫だ・・・」

 

「あはは・・・大丈夫なわけないだろ?もうそいつは周りもよく見えてないはずだ。なんせ実験済みだからね?そのうち呼吸困難で死に至るよ・・・でもねぇ寂しくないよ?君達も直ぐに後を追わせてあげるから」

 

ルナ達を庇うように、チャンプは最後の力を振り絞り突進していく

 

「!?」

 

まだ回復しきれていない頭がぐらつく中、バックは咄嗟に全弾放ってしまった。

 

バン!

 

バン!バン!バン!

 

バン・・・

 

カチカチ・・・弾切れし、一瞬恐怖を感じバックは作り笑いで取り繕った。

 

「へ・・・へへ、死に損ないが」

 

 

チャンプは眼球が片方飛び、胸にも穴が複数開きそのまま仰向け倒れた。

 

3人の少女達は名を呼んで駆け寄り涙を流した。それでもチャンプは、

 

「は・・・はやく逃げるんだ・・・」

 

言葉にならない声となり、

 

「あたしのせいで・・・あたあた・・・あああ」

 

「まだ何とか・・・ななな・・・あはは・・・チャンプさん連れてはやくこここ・・・」

 

ルナとエアは動転し、

 

「俺の事は・・・もう良い・・・これも俺の罪なんだ・・・きっと・・・」

 

「え・・・?何の事です?チャンプさんは何も悪い事・・・?」

 

「何と無く・・・だ・・・いや、正直に言うと俺だって・・・がふっ・・・あんたらの事をそういう目で見てしまった時が・・・ありがとよ・・・こんな俺をしたってくれて・・・あんたらには良い奴のままでいれて良かった・・・だからはやくに

げ・・・」

 

もう言葉が出なくなり、目から生気は徐々に薄れていった。

 

三人には最後の言葉の意味がはっきりと判らなかったが、今はそれについて考えているときではない。

 

「み・・・みんな、ここはあたしが何とかするから、チャンプさんもひょっとしたらまだ生きてるかも・・・二人で連れて早く行って!!」

 

ファルがどうにか自分を奮いたたし、震える足を抑え、バックと対峙する。

 

 

やっと死んだか、くっ・・・まだ頭がいてえ・・・

 

「お別れは堪能出来たかい?僕って優しいだろ、ちゃんと待ってあげたんだからさ」

 

「おまえぇえええ!!」

 

ファルは姿勢を低く突進していき、バックは弾切れした銃を投げつける。

それをかわし、舌打ちを軽く鳴らした彼はナイフを取り出すが・・・頭の痛みが酷くなり膝を付く。

 

「なぁ・・・なに!?」

 

「うっぉおおおおおお!!!」

 

渾身の力を込め、踵落としをバックの後頭部に叩き込む。

そのまま互いに倒れ付し、ファルは体が震え興奮冷めやらず数秒座り込む。

 

「え・・・?」

 

「や・・・やりましたよ!ファルがあの男を倒しました!」

 

「あ・・・あはは・・・やったの、か・・・な?」

 

 

「とにかく、チャンプさんを!早く担いで行きましょう!」

 

ルナの呼びかけで、既に死んでいようと少女達はエアとルナが彼を両脇から担ぎ、ファルが護衛しようと後ろに付き、進もうとした。

 

「ううっ・・・」

 

「どうしましたファル?」

 

「ファルちゃん・・・?」

 

 

後首に鋭利なナイフが叩き込まれ、ファルは二人に逃げてとも言えずにそのまま絶命する。

それを抜いた後には鮮血が溢れ、地面へと倒れた。

 

「ぐ・・・つ、詰めが甘かったな・・・ちゃんと止めを刺さないと駄目だろ?く・・・効いたぞ・・・今のは効いたぞおおおお!!」

 

バックは怒り狂い、怒鳴りだす。

 

「あ・・・あわわわわ・・・」

 

ルナは震え声も出ない。

 

「ルナちゃんは武器は!?」

 

エアは度重なる仲間の死・・・恐怖に適応し始めたのか、ルナに促す。

それに気付きルナはパチンコに弾を用意するが上手くいかず、エアが手を添えて補助し、勢いよく飛ばす。

だが、片手で受け止められてしまう。

 

「ガキ共が!!ミンチにされてぇのはお前らか!!・・・俺はなぁ、ババアに売られて地獄の底から此処までのし上がった俺様だ!只の優男だと思うなよ!!・・・てめぇらもう、楽に死ねると思うなよ嬲り殺しだ、覚悟しやがれ!」

 

次の瞬間、ルナの視界が閉ざされる。

 

「ル、ルナちゃ・・・ルナちゃん!!」

 

「な、なんですかこれ・・・目が見えな・・・ああああああ!!」

 

ルナの残ったもう片方の目にアイスピックが刺さり、もがきながら痛みとそのショックで倒れてしまう。

 

「あああ・・・ううあああ・・・」

 

ルナは小刻みにゆれ、次第に動かなくなりエアは彼女を揺さぶるがその目から血だけが流れていく。

 

 

「ちぃ・・・何だ、その程度で死んだのか?ショック死かよ?まぁいい・・・お前で憂さ晴らししてやる、直ぐに死ぬなよ?」

 

 

 

「許さない・・・もう許さない・・・」

 

エアは涙を流しながらルナに刺さったそれを抜き取り、バックに向かって両手で持ち身構える。

 

「へぇ・・・初めて会った時より少しはマシになったな。」

 

「あなたは、少しは同情できる人かと思ってました・・・だけど、親に売られたのを恨んで・・・人のせいばかりにした結果、醜くなったんです・・・あなたは!!」

 

「なに、売られたのに親に怒りは無いのかよ?とんだお人好しだな君は・・・はっ、そんな事知るか、力が強くなれば自分が弱かった時の事なんかどうでも良くなるなんだよ、お前だってそのうち判るさ、もっとももう直ぐ死ぬから無理な話なんだけどな・・・」

 

バックはゆっくりと近づいてくるのに、エアは此処だと思った瞬間に全力で飛び込もうと睨みつけている。

頭の中には他の事は一切無い・・・

 

 

 

 

 

 

部下である一人の黒服男がバック目掛けて投げ飛ばされてきた。

 

「!?」

 

それを弾き飛ばし、唾を飛ばす。

 

「なんだ・・・まだ死に損ないがいたのか」

 

「シュ・・・シュラさん!?」

 

エアは彼の存在を認め、呼びかけた。

 

「ああ・・・?何だお前、他の奴らはどうした?」

 

「ルナもファルも・・・チャンプさんも・・・」

 

エアは顔を歪め、涙を堪えた。

 

シュラはそれぞれの物言わなくなった彼らを見据え、

 

「ちっ・・・チャンプの奴帝具使わなかったんか?」

 

「・・・・はい」

 

エアは余り良く判らなかったが、とりあえず返事をしていた。

 

「油断したのか知らねぇが、馬鹿か?まぁ確かにこの程度の雑魚、帝具無しでも本来ならいけるよな?」

 

その言葉にバックは顔を歪ませ、どうするか思案している。

 

「チャンプさんはあたし達を・・・」

 

「うるせぇ!!てめぇらガキども守り切れねェ奴なんざ雑魚で十分だ!・・・こいつは俺がぶっ殺す、お前はさっさとずらかりな!」

 

エアがどうするか、戸惑っていると。

 

「お前もブッ殺されてぇか!?」

 

シュラに一喝され、エアは素早く返事をした。

極度のストレスと安堵で身体のバランスを失いがらも何とかその場から去ろうとし、去り際

 

「シュラさん、どうか・・・死なないで」

 

それを背中で聞いた彼は舌打ちを鳴らし、バックを睨みつけエアに追撃出来ないように牽制していた。

 

「・・・子供1人助ける為に・・・優しいんだな」

 

「ああ?あいつはまだガキだがな、あと数年経ちゃマシな女になるだろう、それまで楽しみに取っているだけだ」

 

シュラのそれが本心だろうが、偽りだろうがバックは

 

「あんた・・・気に入らねぇな」

 

「俺は気に入った奴なんざいねぇぞ!」

 

互いに笑いを噛み殺しながら睨み合った。

 

 

 

「シュラ・・・ああ、そうか・・・あんたオネスト大臣のまさか、息子か?」

 

「ほぉ、知ってやがったか。・・・で、泣いて土下座したって、全殺し確定だかん

な」

 

バックは一瞬、シュラに取り入ってオネストとの繋がりを強固にしようと考えたが、

 

「いやぁ、死人に口無しってありますよねぇ、シュラさん?」

 

「ああ?」

 

バックの足元に転がっている部下の黒服が、主人に助けを求めようとしていた。

 

「・・・・・・」

 

有無も言わずに、そいつを持ち上げシュラに向かって投げ飛ばした。

 

「ああああああああああああああ、バックさ」

 

シュラは事も無げに顔面を蹴り飛ばし、バックの意図が気に食わず命はとらなかったがその男は半身不随と化した。

 

「成程、俺を殺して親父のところへ連れて行って、一芝居打つ気だな?」

 

「・・・案外賢いんですね?ええ、僕の屋敷に不逞の輩が侵入、御客として招いたシュラさんも居合わせて、僕達は潔く闘ったもののシュラさんは壮絶な戦いの後に死んでしまい、僕はその最期を看取った・・・きっとオネストさんも泣いてくれる良い話ですよ?」

 

 

「へぇ・・・あの親父がねぇ」

 

オネストが自分の為に泣くのか?

 

「シュラさん、あんたも帝具が使えるんだろ?良いですよ、使ったって・・・はは

は、てめぇら帝具持ちは良いよな・・・俺はお前らのようには相性が悪くて使えない

中、そんな奴らとも張り合って来たんだ、道具一つなきゃあ闘えねェ雑魚が!!」

 

これはバックの作戦で、敢えての挑発だった。

 

 

「面白れぇ・・・てめぇなんざ素手で捻り潰してやるぜ!」

 

感情と頭が一致していない為、平静を装いながら眉間に皺を寄せ、シュラは憤る。

 

 

シュラは静かに横に移動したかと思うと・・・

 

「!?」

 

瞬間、強烈な左蹴りをバックの顔面目掛けて叩きつける。

 

 

「ぐっ・・・」

 

幾らか両手でダメージをいなし且つ反動をシュラの足に返しながら後退する、それにニヤリと笑みを浮かべたシュラは、転瞬両手掌底をバックの鳩尾に叩きこむ。

 

「がふっ!!」

 

バックは膝は付かないが距離を取って離れ、明らかにダメージを受けている。

 

「おいおい?その程度か、大した事ねぇな。掛かって来な?」

 

「くくく・・・はっはっは・・・ぷっ!」

 

バックは笑いながら、血に滲んだ唾を地面に飛ばす。

 

「・・・?」

 

「大した大臣の息子だな、運が良いぜあんた・・・甘やかされて育ちやがったな?」

 

「ああ?」

 

「今ので俺を仕留め切れなかったんだ・・・あめぇんだよ?親の金でかしらねぇが、放浪もしてたんだろう?俺のしらねぇ技をつかうんだな?勉強になったぜ・・・はっはっは、お前の心の中は誰かに頼っているガキの心が見え見えだぜ、羨ましいぜ」

 

「・・・なんだお前?」

 

「誰にも頼らねぇ俺と、誰かに頼ってやがるお前が俺に勝てる訳無いって話だ」

 

「ああ・・・?俺がだと、俺は・・・・・・いや、親父なんぞ眼中になんかもうねぇよ!くだらねぇその減らず口を次で沈めてやるぜ」

 

「くくく、負け惜しみだな。素直に認めねぇ何て見苦しいぜ?」

 

 

次の瞬間、シュラは地面に落ちていたパチンコに使われた弾を足で掬いあげ、肘打ちでバックの顔面目掛けて放つ。

それを前に向かいながらかわし、反回転しながらシュラの側頭部狙いで蹴り上げ、迎撃する形でシュラも蹴り込む。

 

「ぐぐぐぐ・・・」

 

「っうぅあああ!!」

 

埒が明かず、互いに反回転しながら互いの蹴りをかわしあい、次の打撃の為にシュラが背を向けたその刹那にバックが片手掌底を背部に喰らわせる。

 

なっ・・・圧が背全体に浸透してやがる、だと・・・

 

内部を破壊する衝撃が襲い、後退しながらシュラは膝を付く。

 

「終わりだ!!」

 

バックはシュラの首を貫く威力の貫手で狙う。

 

 

「ぬぅ!?」

 

「!?」

 

ファルの死体に足を引っ掛けた為・・・

 

くぅ・・・がきぃ・・・小せぇ体で、視界に・・・それを考えている時には既にバックは吹っ飛ばされ、細菌兵器製造の試験管群を粉々に砕いていく。

 

シュラはファルやルナの死体を僅かに悼む気持ちで一瞬だけ見据えた。

 

そしてダメージを抑えながら、バックの生死を確かめようと近づいた。

 

 

「ははははははあはあああああっははははっははっははは!!!」

 

「・・・!?・・・化物かお前は?」

 

バックは細菌まみれとなりながら、出血夥しくふらふらながらも立ちあがる。

 

「・・・こ・・・のさいき・・・くくく、お前も道連れだ・・・俺の・・・命も・・・この帝国で・・・頂点・・・ははは、まぁてめぇを殺せれば・・・少しは、きがはれ・・・」

 

「さいき・・・?ちっ・・・狂いやがったか、こいつ」

 

触れれば・・・バックがシュラの出血した部位に上手く触れれば、何も知らない彼は後に死ぬ事になる、気が付いていない今こそ好機。

 

「なんで・・・俺は・・・運に見放され・・・お前は・・・だがお前の運もここま

で・・・くくく」

 

「あ?何が運だ、知るかんな事!?俺の力で何もかもぶち破ってやるぜ!」

 

さぁ来い・・・そのまま来い!

 

 

だがその時、地面が盛り上がり・・・

 

「なっ・・・!?」

 

「おお・・・くっ!?なんだ!!」

 

バックとシュラが驚くのも束の間、凄まじい衝撃と爆風が辺りを覆い尽くす・・・

 

 

同じ刻、エアは出口を探して走っていた。

途中、気絶していた或いは死んだ手下達に怯えながらも廊下の月明かりが照らす所に、ふと辿り着いた。

 

「あ・・・」

 

女の人が倒れてる・・・!?あ、あそこには、

 

「イ、イゾウさん!?大丈夫ですか!」

 

エアは倒れているイゾウに声を掛けるが、息をしていない事を悟る。

彼を抱きしめながら

 

「みんな・・・みんな・・・このまま・・・ううぅっ・・・だめ、諦めちゃ・・・ルナちゃんやファルちゃんの為にも・・・チャンプさん達の分を何としてでも生きなきゃ!」

 

その時、横方向からの壁が盛り上がり迫って来る。

 

「え・・・?」

 

次の瞬間、衝撃と爆風が辺りを吹き飛ばしその場は跡方も無くなった。

 

 

 

 

それから少し刻が遡る。

 

大広間でブドーは首に絡みついたモノを力を抜く事で外れ易くし、アドラメレクの電撃連弾で支点となる部分を破壊し、相手へと攻撃する。

それらをかわされながらも、その操った者へ迫る事で緩ませ、こちらの攻撃により隙が生じ、手が緩んだ事でそれから解放される。

 

相手は僅かに顔を歪ませながら、距離を置いて対峙する。

 

「・・・・・・」

 

「ナジェンダか・・・」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。