※この作品はR-18です。

タツミ無双   作:聖獅

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もしもエスデスを仲間にする気が無かったら・・・(中編)

 数日後、

ナイトレイドのアジト。

 

「タツミーー!あんた、起きなさい!!」

 

 マインがタツミの部屋の押し入れの襖を内側から勢いよく開け、朝から怒鳴りつける。

 隠し通路(?)を勝手に作り、通常の部屋の出入り口を使わずにタツミの部屋に侵入出来る。

 

「何だよ、煩いな……まだ早いだろうが、もう少し寝かせてくれよ…」

 

 そう言ってタツミは再び布団を被る。

 

「下っ端の分際で生意気言ってんじゃ無いわよ!緊急会議よ、早く来なさい、のろま!」

 

「何だよ……のろまって言うやつがのろまなんだぞ。大体、人の部屋勝手に出入り出来るように改造するなよな……」

 

 文句を言いながらタツミは広場へと向かい、皆が既に集まりテーブル席に着いている中、全員が集合したのを確認しナジェンダは話し始める。

 

 その間、少し離れた場所でタツミは人数分のお茶を淹れ…る前に自身の湯呑みに注ぎ、飲み始める、そんな事をしながら聞いていた。

 

 そして、タツミ以外全員緊張した面持ちでナジェンダの言葉を待っている。

 

「皆、私自身も実の所まだ…半信半疑ではあるが…密偵達の話によると…大臣のオネストが行方不明…いや…死んだ……との事だ。ある程度の裏取りは……その証拠はあるにはある…」

 

 一同、顔を見合わせ驚きの声を上げる者や喜ぶ声も聞こえる。

タツミは平然と二杯目を飲んでいる。

 

「ちょっと待ってボス、それって本当なの?影武者とか、ガセじゃないの?」

 

「ああ、マイン。私もその事を考えたが政府は必死に隠して体調不良と発表するか、それこそ大臣の偽物を用意するつもりだろう…」

 

 タツミはマインの湯呑みをそばに置く…フリをして少し離れた場所に置く。

その後、各人の場所に湯呑みを置いていく。

 

「あの大臣が………一体誰が……ボス、死因は?」

 

「良い質問だ、アカメ。どうやら発狂して自殺した……との話だ」

 

「自殺?あの大臣が………あははは、大方、今まで殺されていった人達の亡霊でも出たんかね〜良い気味だ…だけど、あの悪党にそんな発狂するなんて可愛い精神があったんかね〜」

 

 レオーネは頭に手を組みながら椅子を揺らす。

 

「だけどナジェンダさん、これで革命もやり易くなりましたね?」

 

「ああ、ラバック。あれでも大臣だったからな小賢しさもあったが、それが居なくなったんだ。無血開城もかなり可能かも知れない……」

 

「そうなると、かなり楽よね!…………あ、こんな事にになるなら、それまでシェーレには生きてて欲しかったわ……」

 

「ああ、そうだよな…ブラートもな……」

 

 マインとレオーネの発言にそれまで気怠げだったタツミの表情が一瞬、険しくなる。

 

 他のメンバーを偲ぶ顔となるが、ナジェンダは話を続ける。

 

「そうだな……、だが皆まだ完全に革命が終わった訳では無いぞ。まだ強敵が残っているからな」

 

「エスデス……それにブドーが厄介だ」

 

「アカメ、それなんだが……エスデスも行方不明になった」

 

 一同は再び目を見開く。

レオーネは正に信じなれない面持ちで聞き出す。

 

「え?え?エスデスが?ボス、ひょっとしてあいつも死んだ?」

 

「いや、それは無いが……どうやら……情報が間違い無ければ…エスデスは将軍を辞めて宮殿から離れたらしい……」

 

「ひぇ〜〜、あの拷問好きの戦闘狂が………何がどうなってるんだろ?……そうだタツミ、こないだの武術大会でエスデスに連れ去られて(?)あいつと居ただろう?何か知らないか?」

 

「そうそう、タツミお前……、あれ、なんかさ、お前がエスデスを倒したように見えたが……」

 

 3杯目を飲んでたタツミは吹き出し、咳き込む。

 

「は?あんた汚いわね、何やってんのよ?」

 

「ゲホゲホ、いや…姐さんもラバもあれ遠くで見てたからそう見えたんだろ…俺、エスデスに手刀浴びて気絶してたんだって…」

 

 2人はそうだったかな?目の錯覚か?と首を傾げているがマインは気にせず質問する。

 

「とにかく、あいつと会って話したんでしょ?何か言ってた?」

 

「ん?ああ…世界の掟は焼肉定食…とか確か言ってたな…」

 

 ナジェンダが「?」を頭上に出し、アカメが涎を少し出しながら立ち上がる。

 

「何?本当かタツミ?‥‥エスデス……話せば分かり合えるかも知れない…」

 

「ウァカメちゃあん!んな訳ねーだろ!!今までエスデスのエピソード聞いてて、そんな事言う訳ねー!…はぁ…どうせ、弱肉強食の間違いだろ?お前もふざける時と場合考えろ!」

 

「そうとも言うな」

 

 タツミはふざけているのか真面目なのか良く判らない、抑揚の無い調子で返し、ラバックは呆れ溜息を吐くが、それ以上話に付き合うのは止めた。

 

「まぁ、とりあえずタツミはエスデスと話したが仲違いしてそのまま別れた…で良いんだな」

 

「ああ、ボス。俺は納豆定食が良いと言ったら喧嘩になった…もう会う事も無いだろうな。」

 

ナジェンダはその比喩に苦笑しながら相槌を打ったが、アカメは…。

 

「タツミ…焼肉定食の素晴らしさについて…後で話がある…」

 

「何でだよ?」

 

 話もとりあえずひと段落し、タツミは4杯目のお茶を呑みながら先程からうろちょろしている気配を感じており…

 離れた窓の方に目をやった。すると、その者はタツミと視線が合った事を悟り、ウィンクを飛ばしてきた。

 

「ぶふおお!!」

 

「あんた、また!!汚いのよ、本当!」

 

「ゲホゲホ…悪い……気管に入った……ゲホゲホ」

 

「ははは、まぁゆっくり飲むんだな。では皆、今日はゆっくりしてくれ。明日指示を出す、では解散だ」

 

 ナジェンダの号令で皆、広場から離れていく。

 

タツミは他には悟られないように、外に出て先程の気配の正体の所へ向かう。

 

「んん〜〜〜タツミ〜〜〜会いたかったぞ!」

 

 相手は素早く抱きつこうとするが、その速さを上回るスピードでタツミは回避する。

 

「え………エスデス!?お前なんでこんな所にいるんだ!?どうして此処が分かった?……ああ良い、とにかくここから離れろ」

 

 何かを言いかけたエスデスの口を手で塞ぎ、アジトから離れた茂みへと連れて行く。

 

「んちゅ〜〜〜〜」

 

 その間、めい一杯タツミの掌をエスデスは吸っている。

 

「だーーー!止めろーーー」

 

 跡も残り、タツミは顔が真っ赤になる。

 

「んむ、美味しかったぞ、ふふふ」

 

「うるせーー!………殺気も感じ無かったから、鳥か何かだと思っていたら、エスデス、あんただったか……」

 

 エスデス程の強さであれば、本人が殺気を消したつもりでも他のナイトレイドのメンバーはその面で長けているので気付くのだが……その上をいく存在が彼らのそばに居るため、気配感知がおかしくなっている。

 

 もし彼がそばに居なければ、エスデスの気配に気付いた事だろう。

 

「ふふふ、積もる話があるが…まずは再会を祝して……んん〜…」

 

 再びエスデスは口付けようとしてくるが、彼女の額へタツミの掌底が飛んできて、

地面にひっくり返される。

 

「お前……、次俺の前に姿を見せたら殺す…と言ったよな?」

 

「ぐふふふふ、タツミまるで力が入って無かったかぞ?どうして殺す気で来ない?」

 

「………先ずは色々聞いてからだ!………どうして此処が分かった?お前が途中まで俺の後を尾けてことは分かってたが、あの宮殿から出た後は、着いて来なかった筈だ……」

 

「流石タツミだな♪尾行を悟られていたか…ふふふ、私もあれから色々考えてだな……、政府を抜けて…将軍を辞める事にした。それで私はタツミを追うべく、捜索を開始した。時間が経ってもタツミの残り香を追ってここまで辿り着いたぞ♪」

 

「どういう嗅覚しているんだ………」

 

「それは愛ゆえにだな……褒めても何も出ないぞタツミ」

 

「……なんで将軍を辞めたんだ、あんたの生き甲斐は戦いと拷問だろう?」

 

「その通りだが、私はタツミに負けたからな。強い者に従おうと思い来たぞ」

 

「……………じゃあ、俺があんたより弱かったら、俺の言う事を聞かなかった訳だな?」

 

「そうだろうな」

 

「じゃあ、まだ本気を出していないと言ったな?……本気で来てみな」

 

エスデスはふっと笑い、

 

「もう良い……。本気を出さずとも……もう……素直に負けを認める……ふふふ」

 

タツミは一体どういう心境の変化か分からず、首を傾げる。

 

「エスデス、本気を出したらあんたの方が俺より強いかも知れないぞ?」

 

タツミは挑発するが、エスデスは動じない。

 

「ふふふ」

 

エスデスはタツミに抱き着き、彼を戸惑わせる。

 

「どういうつもりだ、一体?」

 

「このまま殺すのならば、構わないぞ……」

 

「ぐっ…………」

 

 エスデスの真意を測り兼ねているが、騙し撃ちしようという魂胆は見えない。

 

 正当防衛ならともかく、この状態でエスデスを殺せば、今度はタツミがその負の業を一つ背負う事になる。とはいえ、大量殺人者が目の前にいる、殺されていった多くの人達の恨みの念がエスデスの後ろに……タツミには見えている……そして。

 

「あんたはこれからどうしたいんだ?」

 

「タツミと共に生きていきたいぞ?」

 

「……止めた方が良いと思うぞ……」

 

「何故だ?」

 

 彼には自分の未来がどうなるか分かっている、エスデスが悲しむ結果になる事も。

ただその事には答えず、

 

「罪滅ぼしする手伝いぐらいなら、手を貸すが?」

 

「ふふ、それは生涯を共にする意味だな?もうタツミは、素直では無いな〜」

 

「……………」

 

 通常なら軽口の一つでも返すが、これから先、エスデスの罪の精算が漸く始まる。

その途中でエスデスは身を裂くような悲しい想いもするだろうが、同時に彼自身の罪の清算も意味している。

 

 その彼の遠くを見据えた深刻な顔を、エスデスは彼が何を考えているか分からなかったがその横顔を可愛く感じ、頬に口付けた。

 

「や、止めろよ……」

 

そう言うが、心のガードが崩れ始めたのをエスデスは即座に敏感に感じ、

 

「お、おい!」

 

タツミを押し倒し、顔を近づける。

 

「んぐ……!」

 

 彼の唇をエスデスは満遍なく吸い尽くす。

 

 暫くして離された後、タツミはエスデスの頭を撫でながら

 

「何考えてんだ、全く……」

 

 エスデスは気持ち良さそうに撫でられ続けている。

 

「……………」

 

 段々恥ずかしくなってきたタツミは、エスデスを跳ね除け、

 

「んんもう、タツミ〜〜、もう少し撫でて欲しかったぞ!」

 

「…………………………………、とにかく、今日の所はもう帰れ。これから事は次に話合おう」

 

「?帰る所なんて無いぞ?」

 

「いやまぁ…家を買うとか、部屋を借りるとかあるだろ?」

 

「無いぞ、金は」

 

「………ん?んん?………いや、将軍だろ?かなり貯めてただろ?」

 

「ああ、全て置いてきた。部下達に餞別代わりや政府に寄付したぞ?大体、マイタツミの言う通り、戦争や庶民の重税で得た金だからな、持たない方が良いだろ?」

 

「まいたつみ?」

 

「私のタツミだからだぞ?」

 

「……………、それだったら、その庶民に配れば良かったろ!」

 

「………あ、すまない……」

 

「はぁ………今の外道政府やお前の元部下達に配ったって、その金を生かす事は出来ないだろうが………。うんまぁ、良いや。分かった……1、2日位の宿代は出してやる(更に節約生活か……)」

 

「何を言っているんだ、ダーリン?一緒に住むんだぞ」

 

「だーりん?一緒に住む?何を言っているんだ?」

 

「?」

 

「?」

 

「………ふう、ダーリンとは夫の意味でだな」

 

「そんな事どうでも良い!一緒に住む訳無いだろうが、夫婦じゃ無いんだぞ!」

 

「もう夫婦も同然だろ!後は、役所に籍を届けるだけだぞ」

 

「うるせぇ!変な所だけ真面目か!」

 

「言う気は無かったが…仕方ない…私があのナイトレイドの女共と一つ屋根の下に住んでいると知った時、どれだけ心を痛めたか分かるか!」

 

「安心しろ、あいつらはそんなんじゃない!」

 

「ぐぬぬぬぬ、全く、何も分かっていないぞ!あのいつぞや私を尾行していた黄色髪の女、それに色々喧しかったあいつは危ないぞ!」

 

「レオーネとマインの事か?」

 

 タツミは笑い出す。

 

「ふぬぬぬぬ、ここはやはり、私が夫を守らねば…」

 

「何から守るんだよ?くくく」

 

「…………タツミ?普段、あの女達とどういう生活をしているんだ?」

 

「ん?ああ、例えばマインの奴はいつも俺の部屋に来ては、臭いとか匂うとか言いやがる。だったら来るなってんだ。俺の服も臭い臭い言いながら仕方ないから洗ってやる、感謝しろとか言いやがんだ。別に頼んで無いのに、変な奴だ。なぁそう思うだろ?」

 

エスデスはそれを聞き、前向きに卒倒した。

 

 

 

 

 とりあえず暫定的にエスデスは比較的近くの場所でテントを張り、暮らす事にした。もう将軍では無いからナイトレイドと闘う気もない。

 

 だから、タツミの部屋に一緒に住まわせろと散々揉めたが、エスデスに闘う気は無くとも当然ナイトレイドメンバーと出くわせば、闘いになる。百歩譲って話し合いで停戦出来たとしても一緒に住むとなれば、険悪な空気になるのは絶対。

 

 そうなると彼の計画、全ての帝具を回収し処分する事が穏便な方法では困難となる。

 

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