アカメ達は帰還時の襲撃を警戒し大きく迂回して南側から帝都に戻るルートを選択、帝都から南200キロ地点という旅の途中であった。
比較的傷が浅く、食料調達に動けるメンバー、スサノオ、チェルシー、タツミ、マインがそれぞれ二人一組になって行動した。後のメンバーはテントを張りその中で安静にしている。
タツ「ふぁ~~~~あ・・・」
マイ「・・・・・・・」
タツ「・・・なんだ?なんか俺の顔についてっか?」
マイ「別に・・・」
タツ「・・・・・・・あー、なんか食料になりそうなもの生えてねえかな?」
マイ「生えてる訳で無いでしょ、こんな雪原で」
タツ「木の皮でも食べるか、それとも雪掘って何か根で漁るか」
マイ「あんた意外と野生児ね」
タツ「アカメ程じゃないさ」
マイ「でも多少動物性たんぱく質も取りたいわよ」
タツ「簡単に見つかる訳無いだろ!そうだ・・・俺の干し餅でも食べるか?」
マイ「固っ!!」
タツ「ゆっくりよく噛め」
ズザズサ
マイ「!!」
タツ「熊か?」
マイ「熊よ!」
タツ「これはクマった・・・ああいうのは穴持たずっつって、冬眠出来ず凶暴だから近付かないようにな?」
マイ「なに、呑気に解説してんのよ!こっち向かってるわよ」
タツ「マイン、パンプキンを!・・・『不味い!』
マイ「・・・しまった、指が(かじかんで引き金が)・・・」
マインに向かって来る熊に対しタツミは跳躍し抜いた刀ごと熊の心臓に体当たりし抉る。熊も反撃しようとするが、タツミは胸に密着して居る為、決定打の攻撃にならない。
そのまま重なるように熊はタツミの上に倒れる。
マイ「タツミ!!・・・くっ、重い・・・」
タツ「ふんっ!!」
マイ「タツミ!!・・・良かった・・・」
タツ「やれやれ、どうやら命拾いしたな、死ぬかと思ったぞ」
マイ「有難う・・・」
タツ「お互い様だ・・・・・・、何の真似だ、これは?」
パンプキンをタツミの後ろ背中から突き立てるマイン
マイ「タツミ・・・お願い・・・あんたを信じさせて・・・抵抗しないなら何もしないから大人しくしてて」
タツ「・・・・・・・」
アカ「・・・・・・」
ナジェ「・・・帰って来たか」
レオ「・・・・・・」
ラバ「・・・・・・」
スサ「・・・・・・・・」
チェ『・・・タツミ』
タツ「よぉ、みんなお揃いで・・・何かあったのか?」
変わらずマインにパンプキンを突き付けられている。
ナジェ「タツミ、もう取り繕う気も無い様だな?」
タツ「一体何の話で?」
ナジェ「惚けるな!お前の不審な行動は色々挙がっているんだ・・・その一つにお前秘かにいまだにイェーガーズとも行動を共にしていたそうだな!」
タツ「・・・・・・」
ナジェ「証拠ならある、密偵から数件の目撃例・・・他にエスデスとも会っていたらしいな」
タツ「・・・それで?」
ナジェ「!?・・・言い訳する気も無いのか?・・・ふてぶてしい奴だ」
タツ「だとしたら俺をどうするおつもりで?」
マイ「・・・くっ・・・」
ナジェ「お前は一体何者だ?・・・帝国側のスパイか?それともエスデスの部下か?初め、アカメ達に連れて来られたのも我々革命軍の情報を探る為か!?」
タツ「俺がエスデスの部下?そいつは戯れが過ぎる・・・。生憎俺は誰にも従わない・・・唯一従うならば自分に課した掟だけだ」
ナジェ「・・・ならば聞こう、お前は私達の味方か敵か?」
タツ「・・・・・・」
長い沈黙が訪れる。
アカ「・・・私達の敵ならばとうにアジトが襲われてもおかしくない」
ラバ「だけどよ、体制が整う最後まで待っているとしたら」
マイ「その時に一気に潰す考えだから今までアジトを襲わなかったって事?」
レオ「でもイェーガーズは常にあたし達を倒す機会を窺ってたぞ」
スサ「・・・そうなると、タツミは敵である可能性は余り高くは無いな・・・」
タツ「・・・・・」
マイ「でもあたし達の本当に味方なのあんた?・・・さっきだってあたしを助けてくれた腕前は只者じゃなかったわ・・・前から薄々思ってたけどあんた本当は自分の腕隠してたんじゃないの?・・・」
ラバ「・・・そうだな、この際だから言うが、お前やっぱりあの武闘会の時、エスデス倒してたろ?」
レオ「やっぱあれ見間違いじゃないよな?」
アカ「・・・・・・」
ナジェ「なに?エスデスを!?タツミ、それは本当なのか?」
タツ「・・・・・・」
マイ「あんた、何か喋ったらどうなの?少しは自分の事、弁護したらどうなの?」
タツ「俺はあんたらの味方だから信じてくれ?と言ったら素直に信じるのか?」
ナジェ「ならタツミ、お前の目的はなんだ?」
タツ「俺の目的は全ての帝具を破壊する事・・・」
スサ「むっ・・・」
ナジェ「なに?帝具を全て・・・」
タツ「ああ、俺は元々別の国の出身だ・・・そして、この国の帝具の力は脅威なんでな、それの破壊命令を受けてここに来ている・・・」
ナジェ「成程・・・そういう事か・・・まさか、クロメの帝具が使えなくなったのは・・・まさかタツミの仕業か・・・!?」
アカ「なに!?」
タツ「何故そう思う?」
ナジェ「本部で何者かにインクルシオが盗まれたという報告・・・それにお前は以前からどうも意図的に戦闘を避けていた節があるようにも見えた・・・そしてエスデスをも倒す実力ならあの時の私達を殺さずに撃退くらい出来ただろうからな・・・そうか・・・それなら今までのお前の不審な行動に全て納得がいく・・・」
レオ「だけどボス、あの時のあれがインクルシオなら見た目が違ったはず」
ナジェ「タツミなら、インクルシオの更なる力も引き出せるだろう・・・どうだ?」
タツ「引き出した・・・というよりもインクルシオの本来の力を好きに解放出来るように自由にさせて、そこに少し俺自身の力を乗せたにしか過ぎないがな」
ナジェ『・・・簡単に言ってくれるな』
アカ「タツミはあの時、イェーガーズのクロメ達を庇った・・・だが私達も殺さなかった・・・やはり帝具を破壊する事が目的なら何故あの時に私達の帝具も壊さなかった?」
タツ「・・・・・・・」
チェ「・・・それは彼が出来ればあたし達の革命が成功するまで待っていたいんじゃないかな?」
ナジェ「成功まで?」
チェ「全ての帝具を壊したい・・・けど、無理矢理は好まないからいずれ所持者が納得のいく形で自分に渡して貰いたかったから様子見をしてたんじゃないのタツミ?」
タツ「・・・別に今この場で全員を倒してでも持って行っても良いんだがな」
ラバ「面白え、やれるもんならやってみろ」
ナジェ「ラバック!・・・タツミの目的は判った・・・帝具は脅威だが何も壊す事は無いだろ?」
タツ「今この世界で帝具程の破壊力を持った武器は存在しない・・・そうなると帝具を持った者がこの世界を支配する事になる・・・そういう事態を避ける為にだ。それに我が国から流出した技術もあって、こんな悪しき事に使われたくも無いからだ」
ナジェ「成程、帝具は他の国も製作に携わったと聞いたが、そういう事か」
タツ「納得してくれたら、全ての帝具を渡して欲しい」
ナジェ「待て、話は判ったがそうなるとスサノオもか!」
タツ「勿論だ・・・スサノオのマスターが悪人になったらその命令に従う事になる」
スサ「・・・・・・」
ナジェ「くっ・・・、判った私達が持つ帝具を渡そう・・・」
アカ「ボス!?」
ラバ「ナジェンダさん!?」
ナジェ「その代わり・・・革命に手を貸してくれ・・・それが条件だ」
タツ「・・・俺にとってはこの国がどうなろうと知った事では無い・・・」
ナジェ「む・・・!!」
マイ「嘘よ!あんたそう言って今まで踏みにじられた人達を助けようとしてたじゃない・・・そんな悪ぶったって私にはあんたの下手な芝居なんてちゃんと判ってるんだからね!」
タツ「・・・・・・・」
レオ「タツミはさ・・・、前々から私達とバカやったりもしてたけどさ、何処か一線引いて私達といるような感じがしてたんだよね、どうして?」
タツ「殺し屋になんかなりたくないからだ・・・」
ナジェ「気持ちは判らなくもないが、これでも私達は民の為に闘っているつもりだ・・・その辺りでエスデス達と違って共感出来ている所も無かったか?」
タツ「・・・あくまで俺自身の目的の為だけに動いているだけで、民の事などどうでも良い」
マインはタツミに突き付けていたパンプキンを降ろし、彼の背中に寄り掛る。
タツ「・・・!!」
チェ『むっ・・・!』
マイ「もう・・・、またそんな事言って・・・、シェーレが殺された時、あんたかなり怒ってて悲しんでたじゃない?」
タツミの顔を覗き込む。
タツ「・・・・・・」
アカ「・・・タツミの言動には何処か何かを隠しているような、そんな気がする」
ナジェ「・・・んー・・・、タツミ、ひょっとして昔私達と同業だったのか?」
ラバ「・・・・・」
チェ「あー、それあたしも聞きたいな・・・」
マイ「ねえ、タツミ?」
タツ「うっ・・・、・・・昔色々有ってな。別にそんな長く居た訳じゃないんだが、仲間はみーんな死んでいきやがった・・・、綺麗な死に方した奴なんて誰もいない、夫婦諸共ズタズタに斬られた奴や、捕まる前に自決した奴・・・皆闇の中に消えていった・・・俺はそんな仲間の死に様なんてもう金輪際見たくない・・・」
レオ「そっか・・・だからタツミ、あたし達と一緒に仕事しようとしなかったんだ・・・」
マイ「タツミ・・・」
チェ「そう・・だったんだ・・・それで・・・」
アカ「・・・・・・タツミ」
マイ「・・・あはは、・・・何バカな事言ってんのよ!あたし達が誰も死ぬ訳無いじゃない!タツミのクセに何下らない心配してんのよ!」
タツ「・・・・・・・」
スサ「・・・タツミ、ちょっと良いか?」
タツ「?」
スサ「俺は帝具人間だ・・・だから人間の心というものを完全に把握している訳では無い・・・だがこれでも千年は生きてきた・・・今までのマスターには確かに邪な者もいた・・・だが立派な者も居た・・・あの世という者がどんな所か俺は判らないが、もし明日死ぬ事になったとしても俺は自分の今まで歩いた道に誇りを持てる・・・」
タツ「・・・・・・」
スサ「それはお前達も褒めてくれた、俺の料理の腕だ・・・お前達やもし革命が成功した暁には人間達の舌をこの手で楽しませるのも悪く無いと思っている・・・」
タツ「・・・・・・・・・」
スサ「タツミお前は可哀想な奴だ、何もかも失ったような顔だが・・・お前は何が出来る?帝具を破壊する事だが、それは俺も含めてなのだろうが、それならそれで良い・・・だが一人で背負ってやるよりも仲間と共にやる方が実りはないか?」
タツ「・・・・・・・・・・・・」
ナジェ「タツミ、私からも頼む・・・約束は守る必ず」
アカ「・・・・・」
レオ「・・・・・」
マイ「・・・・・」
チェ「・・・・・」
ラバ「・・・あーもう・・・辛気臭えな・・・、ナジェンダさん、こいつが俺達のアジトばらす気なら疾う(とう)の昔に言ってるでしょう・・・ですから一か八かこいつ信じて、もう何処へでも好きな所に行かせりゃ良いんじゃないですか?元々俺達から抜けたがってたんですから・・・」
ナジェ「ラバ・・・」
ラバ「大丈夫ですよ、こんな腑抜け野郎居なくたって!・・・俺がもうちょっと頑張りまさぁ!」
タツ「・・・言ってくれるなラバック・・・お前みたいな軟派野郎がエスデスやブドーそれに皇帝の隠し帝具に太刀打ちなんか出来る訳ねぇだろ!」
ラバ「んなのやってみなきゃ判らねぇだろ!?諦めなきゃ試合は終わんないぜ!」
タツ「馬鹿だな・・・お前は本当バカだな・・・、おい、ナジェンダさん、しょうがねぇからもう少し付き合ってやる・・・だが今までのような安月給じゃ俺は動かねぇぞ、下手な値付けたら俺は降りる・・・どうだ?」
ラバ「てめぇこの野郎!」
ナジェ「ラバ!・・・判った、それ相応に払おう・・・私の報酬三ケ月分でどうだ?」
タツ「良いだろう」
ラバ「ナジェンダさん!?何もこいつの為に・・・甘やかす事なんか無いですよ!」
ナジェ「ああ・・・、だから出来高払いでどうだ?・・・そうだな、まずエスデスを無力化してくれ!」
チェ「くくく・・・」
タツ「・・・判った・・・ならもう、その報酬受け取ろうか・・・」
ナジェ「なに!?」
タツ「あの女なら恥ずかしながら俺の言う事を聞くようにした・・・問題無いだろ?・・・だが奴にも立場があるからな、それを保てる範囲でなら可能だ」
ナジェ「・・・、くくく・・・あははは・・・、判った明日にでも渡そう」
ラバ「タツミ・・・お前良い気になんなよ・・・!」(ニヤリ)
タツ「お前が余計な事言わなきゃ大人しく出て言ったのになぁ・・・」(ニヤリ)
アカ「・・・くくく」
レオ「にひひひ」
マイ「ふぅ・・・、手間かけさすんだから」
スサ「ふふふ」
虚六近郊
ウェ「クロメ、体の方は大丈夫か?」
クロ「うん、今は平気・・・」
ウェ「しかしあのクロメが食べてた菓子がまさか肉体強化の薬だとは思わなかったぜ」
クロ「・・・あれは確かに強化されるけど、麻薬みたいなものだから危険なの・・・」
ウェ「そうだな・・・『こないだ髪の抜けも多かった・・・それに吐血もしていた・・・当然薬の副作用だよな・・・クロメにこれ以上そんな薬飲ませる訳にはいかねえ・・・帝具使える使えない以前の問題だよな』
クロ「・・・どうしたのウェイブ?」
ウェ「あ?いやなんでもない・・・あー、それにしてもナイトレイドの連中、全然襲って来ないな・・・それにボリックも何処行ったんだ?」
クロ「お姉ちゃん達はまた必ず来ると思う・・・けど変だね?ボリックは何処かに行っちゃったし・・・そっちの方に行ったのかな?」
ウェ「俺達にも行き先告げずにな・・・これじゃあ守りようがねえな」
クロ「・・・でも、たまにはこんな風に何もなく過ごすのも良いかな///」
ウェ「お?おお///・・・そうだな悪くないよな・・・」
クロ「・・・・・・///」
ウェ「・・・・・・///」
スズ「やっほー」
クロ「!!?」
ウェ「う?スズカさん?」
スズ「ごめんねーお邪魔だったねー・・・うふふ」
クロ「・・・・・・」
ウェ「あー、どうしてこんな所に?」
スズ「一応パトロールねー怪しい人がいないかねー・・・怪しいバカップルはいたけどねーくくく」
ウェ「か、からかうなよ!俺達そんなじゃないって、なぁクロメ!」
クロ「・・・・・・」
スズ「うふふ、まぁ冗談はこれぐらいにして・・・どうも最近、安寧道も変わってさ、いよいよ武装蜂起するんだってさ・・・」
ウェ「なんだって!?」
スズ「悪徳商人の蔵壊すとか・・・まっあたしにとっちゃ面白い方の味方するだけなんだけどさ」
ウェ「あんたら羅刹は大臣オネストのお抱えじゃ無かったのか?」
スズ「いやあ、それがね、ボリック様が俺側に付けって無理やり・・・///・・・」
ウェ『なにされたんだよ・・・まぁ想像するほどの事はされてないよな、たぶん』
スズ「それに、大臣よりも皇拳寺に寄付してくれるって話も付いてねー」
ウェ「じゃあ、あんたらボリックの味方するのか?」
スズ「まぁねー、ボリック様の言伝で教主様の味方してくれってさ・・・だけど変なんだよねー、ここだけの話、一部の噂じゃ以前のボリックは教主殺して自分がその座に就こうとしてたなんて話あったわー、今の彼はそんな気は無いようだけどー・・・んじゃお二人さんごゆっくりー」
クロ「・・・・・・」
ウェ「・・・、教主を殺す?ボリックが?なんだそれ?・・・」
クロ「・・・ウェイブには黙ってたけど初めボリックは教主を殺そうと企んでた・・・どうしてそれを途中で止めたか判らないけど・・・」
ウェ「おいおい、ちょっと待ってくれよ!じゃあ何か?俺はそんな奴を護衛してた訳か?・・・なんだよそれ!!」
クロ「落ち着いて・・・、今まで帝国はそういう自分達にとって不利益になりそうな・・・戦争の火種を起こしそうな者達を消して来た」
ウェ「・・・戦争の火種、か。あの教主さん普通の良い人だったぜ。・・・なんで殺されなきゃなんねえんだよ?」
クロ「ボリックは教主を殺して武装蜂起・・・帝国に反逆するのを止めさせようとしてた」
ウェ「武装蜂起は穏やかじゃないが・・・何も殺す事ないだろ?」
クロ「・・・その他にボリックは自分の利益の為に薬の密輸売買を宗教を隠れ蓑にして私腹を肥やそうとしてた」
ウェ「な!?許せねえ野郎だな・・・だけどよ、なんでクロメそんな事まで知ってんだ?」
クロ「ランが教えてくれたの」
ウェ「ラン・・・俺にも言ってくれりゃ良いのに・・・まぁそれはともかく、ここに居て俺も段々判って来たが圧政に苦しむのを何とかするのに、正当な手段で訴えてもどうにもなんないから武力で訴えるのは必ずしも間違っていると言えるのか?」
クロ「・・・闘いに、戦争になれば、多かれ少なかれ関係の無い人も巻き込まれる。例えそれが大義のある戦争でも・・・だから私は反乱軍を野放しに出来ない」
ウェ「クロメの気持ちも判るが・・・俺は今回、安寧道側に肩を持ちたい」
クロ「彼らに加わるの?」
ウェ「う~ん、様子見してからだな・・・クロメの言う通り戦争はどさくさに紛れて略奪とかするような奴いるからなぁ・・・そんな事しないような人達なら味方しても良いかな」