時は前後してボリック逃走から3ヶ月後ー、心変わりした彼の教団内での風紀取り締まりなどで派閥が変更され安寧道は武装蜂起に踏み切る。
民を苦しめる国と闘う事こそが善行であるとし、重税を強いてきた官庁や悪徳地主の蔵を襲って行った。
血を流す事は教主の望む所では無かったが膨大な数の信者達を養っていく為にも土地や食料は必要であるという幹部達の意見を聞き入れる事となった。
この騒動に対し帝国に虐げられてきた多くの民が呼応、反乱の規模は帝国全土へと広がった。そして時同じくして待っていたかのように西の異民族が大軍で侵攻してきた。兵の練度が低い帝国側は敗戦を重ね帝国領に異民族の侵入を許した。
帝国は国の内外に大きな悩みを抱えるようになった。
帝都宮殿
皇帝「なぁ大臣・・・余の軍がまた西の異民族に負けたそうだが・・・大丈夫なのか?敵は大勢いるそうではないか」
オネ「おやおや?誰が陛下のお耳にそのような事を?」
皇帝「セイギ内政官だ」
オネ「・・・・・・・・・なるほど・・・、どうやらセイギ内政官は責任逃れをしていますな」
皇帝「どういうことだ」
オネ「現在 帝国各地で起きている反乱は内政官の責任です。異民族の話を出してこちらを煙に巻こうとしてますな・・・ですが外敵の件は御安心を、エスデス将軍の部隊を向かわせました」
皇帝「おお、では!」
オネ「はい、エスデス将軍なら必ずや侵攻してきた敵を撃退してくれるでしょう。兵士の数などは問題になりません・・・帝国も千年続けばこの様な事も起こります。ですが御心配なく、陛下はいつものように皆の支えとして悠然として居て下さい。」
皇帝「判った。確かに皇帝である余が弱気では国が立ち行かぬな、ありがとう大臣。いつもお前には救われるぞ」
オネ「・・・・」
帝都宮殿内大臣室
オネ「はぁ・・・、やれやれ最近反乱だ侵攻だと面倒臭いですなぁ・・・エスデスはボリックを助けたとはいえ、結局安寧道は武装蜂起・・・全く意味が無い・・・それにあの馬鹿息子ももうちょっとマシなら、・・・まぁ良いでしょう・・・」
兵「オネスト様、面会したいという者達が来ました」
オネ「はい、とおして下さい」
細目で口に楊枝を加え刀を差した侍風の男が入って来る、他4名。
「この度は貴殿の御子息、シュラ殿が不慮の厄災に遭い・・・誠に悔み申し上げの程・・・」
オネ「・・・これはどうもご丁寧に、残念ですが死んだ者は帰りませんから致し方ありません・・・その代わり息子は貴方がたという得難い人達を連れて来てくれました・・・それがせめてもの救いです」
「貴方は立派な御仁でござる。拙者達がもう少し早くシュラ殿と合流していれば・・・」
オネ「息子もそこまで慕われて・・・いやいや父親冥利に尽きます・・・さて、早速ですがイゾウさん、貴方がたで秘密警察を組織し帝都の治安に当たって頂きます」
イゾ「承った。では各々方それぞれ挨拶を・・」
オネ「どうでしょう?ここは一つ自己紹介に死刑囚相手に腕をみたいのですが・・・」
帝都練兵場 見物室
オネ「さて・・・、貴方がた、そこの4人を倒せば晴れて無罪放免、賞金も出すので頑張って下さい・・・『暗殺者育成に持って来いのテストですね・・くくく』
イゾ「ほぉ・・・、これだけ多くの死刑囚が・・・犯罪が絶えないのでござるな?」
オネ「ええ・・・困ったものです・・・」
場内
「なんだって?無罪放免!」
「どうする?」
「よし、全員で掛かれば・・・行くぞ!」
数十人の死刑囚がそれぞれ武器を手に4人に向かって行く。
「んじゃまずあたしから・・・死に逝く貴方がたに哀切のレクエイムを・・・」
マイクのような帝具を使った凄まじい音波が死刑囚数十人の内臓、骨格を破壊し絶命させる。
イゾ「あの少々破廉恥で面妖なナリをしている彼女はコスミナ殿、西の国の魔女裁判とやらで有罪になった所、シュラ殿がスカウトしたようでござるな」
コス「一網打尽!・・・キャア!」
蹴飛ばされるコスミナ
「一網打尽!じゃねえよアマ!てめぇいきなり皆殺しにしてどうするんだ!俺の分は」
コス「まぁまぁ後でお相手して差し上げますから・・・はぁはぁ」
「お前じゃ身が持たねえよ!」
イゾ「・・・あそこで夫婦漫才をしている相方の御仁がエンシン殿、なんでも南方で暴れ回っていた海の賊でござったが、その腕を見込まれシュラ殿が連れて来たと」
エン「あー殺したくてムラムラしてきやがった」
「しょうがない奴らじゃのう・・・!」
「う・・・う・・・」
「ん?こいつまだ息がある・・・」
「う、うわあああああ」
小柄な体躯の少女のような女がその大の男を空中へ放り投げる
「大人しくせんか!お前幸運に思うがよいぞ」
そう言って空中に飛び上がり、男の肩に噛みつく
「妾に殺されるのが一番マシじゃ」
「おああああああああ」
血を抜かれミイラのようになる絶命する
「ふむ」
イゾ「あの童のようなおなごはドロテア殿、体をからくりのように改造している奇術・・・確かレンキンジュツ師というそうでござる・・・拙者も余り把握はしておらぬので」
オネ「・・・・・・」
イゾ「あちらの息苦しそうな恰幅の良い御仁がチャンプ殿、童子を犯し殺す事を好む少々変わった嗜好の持ち主でござる・・・だがあのような者でも腕が立つからシュラ殿が身柄を引き取ったと・・・もっとも拙者も殺しを慈しむ点では変わりはござらんがな」
オネ「ほぉ・・・貴方の腕前をみたいのですがね」
イゾ「うむ、拙者はこの愛刀江雪を抜いてしまうと、この江雪の気が済むまで血を欲してしまう故、なるべく敵しかおらぬ所でしか刀が抜けないのでござる。許して下され」
オネ「・・・ふっ、それは頼もしい・・・ところで彼らはそれぞれ帝具をお持ちのようですね・・」
イゾ「シュラ殿が与えたようでござる」
オネ『・・・全く勝手に』
イゾ「ではこれで御披露は宜しいかな?」
オネ「ええ、結構です」
イゾ「我々は何をすれば宜しいか?オネスト殿に謀反を起こしそうな輩を一人目星を付けておいたがいかがされるか?」
オネ「・・・ああー、これはこれは、まだ今は良いです。国に異変が起こった今こそ忠臣ぶった奴をあぶり出すチャンス。この機に私に反対する輩は連座制でどんどん処刑していきます・・・罪などいくらでもでっち上げられますからなぁ・・・ぬふふ」
イゾ『ふっ・・・中々の御仁でござるな』
帝都 馬寅劇場
座長「ああ、そこもう少し刃筋を整えて・・・そうそう・・・そこは少し抑え気味で」
イゾ「御免!・・・我々は秘密警察ワイルドハント、御用の筋があって参った」
座長『・・・ワイルドハント、人数が減ったイェーガーズに代わりに新しく出来た組織か・・・』「は、はいどのような御用件でしょうか?」
エン「お前らが帝国批判するような劇をしていると聞いたんでな、それで来たんだ。大人しくしな」
座長「そ、その様な事実は一切御座いません!・・・それに、前にイェーガーズの方が取り調べに来て何も無かったと判断されました」
イゾ「ふむ・・・・」
エン「あーうるせえな・・・以前はそうでも今もう一度改めてやんよ!」
座長「あの、これはほんの・・・」
イゾウに袖の下を渡す
だがそれをはねつける。
イゾ「・・・汚らわしい・・・拙者を愚弄するか!・・・ドロテア殿!」
ドロ「うむ!」
ドロテアは座長に噛みつきミイラ化させる
「なっ!」
「ざっ座長!・・・貴様よくも!」
エン「おいおい、良いのか?俺達は大臣の直接命令で作られたワイルドハントなんだぜ?イェーガーズとは一味違うぜ」
「!?」
イゾ「エンシン殿・・・権力を盾にするのは拙者の好むところでは無い・・・、お主ら異議申し立て有る者は外に出られい!拙者が相手する・・・」
外に出ていくイゾウ
「くっ・・・」
エン「へっ・・・誰も外へ行かねえのか?」
コス「やーい腰抜け、腰抜け」
エン「さぁてー調べっか・・・おほっ流石劇団、可愛い娘揃っているじゃねえか・・・全員頂きだぜ」
コス「じゃあイケメン男子はコスミナちゃんが貰いまーす」
「きゃああああああ」「うわあああああ」
チャ「ああーだりいなー・・・!?・・・あああああああ小さい子だあ!小さい子がいたあ!!」
「ひっ」
チャ「ああ・・・不純物がねえ天使だ、たまらねえ」
その子供を突き飛ばす
「ぐっ・・・がはっ・・・」
チャ「ひへへへ・・痛いかい?・・・ペロペロして癒してあげようね」
「お、おやめ下さい・・・あんまりです」
中年の女性が助けに入る
チャ「腐った汚物が俺に意見すんな・・・近付くな・・・臭えんだよ!・・・あー!手が汚れちまったじゃねえかこのクソ女が!ざけんなカス!カス!」
執拗に殴り殺してしまう
チャ「ふう・・・ふう・・・もうここじゃあ邪魔が入って仕方無いね・・・おじさんと二人きりの国へ行・・・ぐっ」
チャンプが後を振り返る刹那にその子供が傍に落ちていた鋏をチャンプの首元に突き刺す
チャ「ぐっ・・・いてえなあ!!!」
子供を跳ね飛ばし、刺さった鋏を引きぬく。
チャ「てめぇ・・・天使だと思ってたのによ・・・大人しくしてたら可愛がってあげたのに・・・てめぇはもう中身は腐った大人になってやがんだな!ぶっ殺してやる!」
彼らの殺戮尋問から逃れ劇場外に逃げ出す劇場員達
イゾ「ふむ・・・お主ら調べはしっかり受けたでござるか・・・?」
「何が取り調べだ!あんなのまともじゃねえ!」
イゾ「ふむ、ならばお主らは自らの非を・・・帝国批判の罪を認めるでござるな・・・帝国批判は極刑でござる・・・江雪、共に舞おう」
そう言ってイゾウは江雪を抜く
座座座座座座座・・・斬っ!!
イゾウ以外そこにはもう誰も立っていない。
イゾ「ふふふ・・・もう誰もおらぬな・・・、江雪、どうであった?・・・なに?まだ血が欲しい?・・・焦るな、まだまだこれからだ・・・しかしシュラ殿には感謝したりぬ・・・ここまで殺し放題とは・・・」
影から見据える一人の男
ラン『・・・今は中へ入って行ったピエロ・・・見付けた・・・』