イェーガーズ詰所
ラン「おや?タツミ君・・・今まで何処にいたんですか?」
タツ『し、しまった・・・ちょっとここを空けすぎたか!・・・』「あ、ちょーっとエスデス隊長の言い付けで遠方に行っていたんです・・・」
ラン「あーそうだったんですね、それはそれは、ご苦労様です・・・」
タツ「いえいえ・・・」
ラン「それはそうと、今度、また将棋でも一局どうです?」
タツ「い?将棋なんかランさんと打ちましたっけ?」
ラン「・・・・・・・・」
タツ「・・・・・・・・」
ラン「まぁ、そういう事にしておきましょう・・・ところでタツミ君、君がいない間に良い報せと悪い報せが出来ました・・・どちらから聞きたいですか?」
タツ「へぇ・・・、良い報せというのは?」
ラン「隊長は西の異民族の制圧に、ウェイブ、クロメさんは虚六に残っていますので今イェーガーズに私達だけなのでその権限の行使がやりたい放題という事です」
タツ「それは、良い話ですね・・・」
ラン「そしてもう一つは、君が担当していた地区の・・・彼らは反逆者リストとして処刑されています・・・これがその内訳です」
書類を手渡される
タツ「・・・・・!!!『これは俺が巡回した・・・馬寅劇場も・・・他にも・・・これは・・・!』
タツミはランを見て目で誰がこんな事をと訴える
ラン「ワイルドハント・・・先頃死んだシュラ、大臣オネストの息子が集めた外道集団ですよ・・・我々イェーガーズが弱体化した為、オネスト直々に作った秘密警察ですね」
タツ「・・・・・・・『俺が・・・俺が・・・いなかったばっかりに・・・』
ラン「恐らくエスデス隊長が最近甘くなり始めた・・・それも手伝ってオネストは我々に見切りをつけ始めてます・・・その為イェーガーズはワイルドハントの下部組織ともなりましたよ」
タツ「・・・・・・・、そんな事はどうだって良い・・・これによると犯された者や殺された者もいるとか・・・」
ラン「・・・ええ、年端のいかない子供も・・・」
タツミは持っていた書類を握り潰した
ラン「タツミ君・・・私にとっての良いニュースはもう体裁を取り繕らずに腹を割って話せるという事ですよ・・・、以前に話した私の教え子達を殺した奴がその一味に居ましてね・・・やっと付きとめた・・・長かった・・・、只私一人で全員相手にするにはきついので、貴方が協力してくれれば心強いんですがね?」
タツ「・・・・・・・」
ラン「・・・、君はイェーガーズとして戦いますか?それともナイトレイドとして?」
タツ「ナイトレイド・・・?一体何の話ですかね・・・」
ラン「・・・タツミ君、・・・私も今悩んでいます・・・腐った国を変えるのに外側から変えるべきかそれとも中からか・・・私は中からを選択しました・・・暴力で革命などしたくは無いですから・・・ただ・・・こないだのボリック護衛の際、教主暗殺を企む輩の護衛は一体何の為か・・・とはいえあの時の彼は貴方でしたでしょうから口だけでしょうがね。」
タツ「・・・本物のボリックは教主暗殺をやはり企んでいましたよ」
ラン「ふっ・・・そう思うと二つの勢力の間を行き来する貴方が羨ましく思います・・・」
タツ「判りました・・・そこまで言われるならもう良いでしょう・・・ランさん、革命軍のナイトレイドのナジェンダやブラート、そしてアカメも元々帝国将軍や政府お抱えの殺し屋だった。内側から変えるのはそれは良い事です・・・でもそれが出来る限界もあるでしょう・・・だから彼らは外から変えようと帝国を抜けたんでしょうね」
ラン「・・・・・・」
タツ「貴方の考えも判るので、良いと思います・・・ただ、目的の為に国を変える為のその間に貴方は理不尽な・・・例えば教主を見殺しするような、理不尽な暗殺も黙って見過ごさねばらなら無い・・・」
ラン「・・・くっ・・・」
タツ「勝てる算段あるんですか?」
ナイトレイドアジト
ナジェ「次の標的はワイルドハント・・・今イェーガーズに代わって大手で振って暴れている連中だ・・・依頼の数も過去最多だ・・・皆やってくれるな?」
マイ「なるほどね・・・、タツミ?改めてあんたの腕前見せて貰うわ!」
タツ「見せるような腕なんて無いぞ・・・」
ナジェ「残念だが今回タツミは降りて貰う」
アカ「何故だ、ボス?」
ナジェ「タツミとチェルシーには別の依頼を頼んでいるからだ」
マイ「はっ?なんで二人なのよ?」
ナジェ「はぁ・・・、こないだ私達が仕損じたボリック暗殺を頼んだ・・・」
マイ「あっ・・・判ったわよ・・・」
チェ「ま、マインはワイルドなんとかの相手でもしてなさい?“私とタツミで”マインが失敗した仕事を終わらせてくるから♪」
マイ「むっきーーー!・・・あんた、覚えておきなさいよ!」
ナジェ「そこ、静かにしろ!」
タツ「ナジェンダ・・・先にそいつらを始末したい・・・」
ナジェ「む?先にか、タツミ?」
タツ「ああ・・・」
チェ「・・・・・・」
ナジェ「・・・判った・・・」
タツ「直ぐに片を付けて、ボリックを仕留めにいくさ・・・そして1つ条件を飲んで貰いたい」
ナジェ『まさか・・・!!・・・全室禁煙とか言うんじゃないだろうな・・・』ナジェンダはかつてない程、戦慄した。
タツ「そいつらを倒すのにメンバーを編成したい・・・」
ある研ぎ師を始末してその仕事場を乗っ取ったイゾウ
その日は朝から雨が降り、夜半からは雷雨が鳴り響く。
イゾ「・・・ふふふ、江雪・・・やはりそなたは何者にも益して美しい・・・あの者も素直にそなたを綺麗にすれば死なずに済んだものを愚かな奴であったな・・・」
イゾウは刀の江雪を熱心に研いでいる。
イゾ「・・・・・・・・、どうやらそなたとの逢瀬に邪魔する無粋者がいるようだ・・・二人でそやつを懲らしめに・・・むっ?喉が渇いたか?それは気が付かず相済まぬ・・・」
雷雨に照らされ室内に浮かび上がる一つの影
ワイルドハント詰所
ラン「こんばんわ、お邪魔します」
コス「あっ、ランちゃんまた来てくれた!ヤッホー」
コスミナはそう言ってランの腕に自身の胸を押し当てる
コス「そろそろコスミナの相手して下さいな♪」
ラン「・・・ワイルドハントに入れて下さるなら、、必ず・・・」
エン「・・・・・・へらへら愛想笑い浮かべやがって・・・、取り入るのに必死だな・・・」
ラン「他の方々は・・・?」
コス「イゾーっちはどっかに行ってます、ドロッちは宮殿へなんか用事があるって」
ラン「そうですか・・・、あ、そうそうチャンプさん・・・」
チャ「・・・ん?」
チャンプは子供の笑顔等が描かれた本を熱心に読んでいる。
ラン「実は・・・」
チャ「マジ?」
ラン「はい・・・」
雨の中、傘を差し歩くランとその後をのたのたと苦しそうに歩くチャンプ、雨に濡れても気にしてはいない。
チャ「まだか?・・・とびきり可愛い子達がいる小屋ってのは」
ラン「もう少しですよ、チャンプさん」
チャ「お前本当に媚びるのが上手ぇな。金品を献上したと思ったら今度は獲物まで見つけてきてくれるなんてよ」
ラン「出世のチャンスですからね・・・早く出世して左手団扇で暮らしたいですから・・・」
チャ「ああ・・・どんな子だろう・・・たっぷり愛でて上げたいぜ」
ラン「・・・・・・・・・・愛でた後、何故殺すのですか?」
チャ「そりゃあお前、天使達を汚い大人にしない為さ・・・はぁ・・・大人は駄目だ・・・カスしかいねぇからよ!天使には永遠に天使のままでいてほしいんだ」
ラン「・・・・・・・・・・」
そして今は使われていないかつては宮殿だった廃墟に辿り着く。
チャ「おい!!こんな所に本当にいるのかよ?」
ラン「・・・ほら、怖がらずに出ておいで・・・」
一人の幼い少年が影から現れる。
「オジサン・・・、ランにいちゃんにきいたけど、オジサンのところではたらかせてくれるの?」
チャ「・・・!!・・・おお、そうだよ・・・、オジサンのところでずっとずっと働かせてあげるよ・・・はぁはぁ・・・」
ラン「・・・・・・・」
「・・・あ、ありがと・・・」
ラン「それじゃ、チャンプさん、私はこれで・・・」
チャ「お、おう・・・後で礼は弾むぜ」
ラン「・・・どうも・・・」
ランは廃墟を出て行き
チャ「さ、さぁまず、オジサンの所で一緒に働けるか・・・テストをしようね・・・ま、まず裸になって・・・へっへっへ」
「え?裸に?なんで?」
チャ「き、君が穢れない子供かどうかす、隅々まで調べて上げるんだよ・・・さ、さぁ・・・」
「え?・・・わ、わかったよ・・・」
チャ「脱がすの手伝ってあげるね・・・」
そう言って強引に剥ぎ取ろうとする
「わ!?」
チャ「さぁさぁ・・はぁはぁ・・・!?」
その少年は、着ていた服を即座に脱ぎ、チャンプの視界を遮る。
チャ「・・!??・・・!!?・・・ぎゃあぐわあああ!!!」
少年の両手から放たれた針がチャンプの両頬を貫く・・・彼の目がギラリと光った後、チェルシーが正体を現す。
チェ「・・・あんた、ロリでショタなんだ・・・話には聞いてたけど・・・ふ~ん、人の趣味にとやかく言う気はないけど・・・」
チャ「て、てめえがごごっごご・・・く・・・ふん!」
チャンプは強引に刺さった針を抜く
チャ「ぢ・・・ぢくしょう・・・、可愛い子供だと思ったら、こんなババアか・・・おえぇ・・・汚ねぇ汚物が・・・」
チェ「・・・・・・、・・・はぁぁぁあああ??彼に止められているけど、・・・・・・本気で殺したくなってきたわ・・・」
そこにタツミが影から現れる。
タツ「・・・チェルシー、下がってろ・・・」
チェ「タツミ!」
チャ「ちっ!?てめぇら、さては騙しやがったな・・・だから大人は汚ねえんだ・・・ちくしょう!」
タツ「馬鹿野郎・・・鏡で自分を見てみろ」
タツミは何かの帝具を使って、チャンプ周囲の空間を小刻みに爆発させる。
チャ「・・・!?げ、な、なんだこりゃ!!!」
本来ならありえない技術を用いて、空気中の分子を任意の場所のみ局地反転し反物質と変え、物質と反物質をぶつけ空中爆発を起こさせる。
だがチャンプには何が起こったか理解出来ない。
タツ「・・・・・・・」
タツミは徐々にその爆発が近づくように仕向けている。
チャ「・・・く、くそ、俺がこんな奴に・・・」
腕、足がもげ、片手だけとなる。
タツ「・・・どうだ?苦しいか・・・簡単に死なねぇように狙ったんだ・・・」
チャ「・・・、ちくしょうちくしょうちきしょう・・・・・ちきしょううううう・・・俺の、俺の夢が・・・この世から汚い大人を失くすために、全ての子供を天国へ導く俺の夢が・・・」
タツ「俺は・・・お前の過去なんて知らねえ・・・だから、お前がどういう経緯(いきさつ)でこうなったかなんて判らねぇ・・・だがな一つ言えんのは大人より力が無いだけで子供も汚ってぇ事だ・・・」
チャ「はぁあ?んな訳ねぇだろ!!・・・ぐあぁぁ!!」
タツ「・・・お前は子供の汚さが知らねえ・・・判らないだけだ・・・、非力だからこそ自分に負けて周りに染まって汚くならざるを得なかったガキだっている・・・それを恥じて強くなって大人になって自分に負けなくなって、お前の言う綺麗な生き方した奴だっているぞ・・・」
チャ「ふざけた事言ってんじゃねえよ・・・!」
チャンプは残った腕で帝具の反撃をしようとするが・・・
タツ「往生際が悪いな・・・」
その腕も消し飛ばす・・・凍った目で見据える。
チャ「こ、この俺を殺すお前は・・・悪魔か・・・!」
タツ「悪魔・・・?・・・確かに昔、似た名で呼ばれたな・・・よく知っているなお前・・・ははは・・・だがそろそろ話すのも飽きてきた・・・今から俺が汚い大人なお前をこれ以上罪を犯させない為に葬りさってくれる・・・どうだ?喜べ?俺もこれ以上お前が汚れてほしくないんでな・・・目には目をといきたい所だが生憎俺には愛という感情は無いんでな・・・お前のように愛でた後、殺すという事はしない・・・愛ゆえに殺すか・・・愛とは醜いものだな・・・だが俺はただ殺す・・・それだけだ・・・ふふははは!」
タツミはそう言って目に見えない特大の空気爆発を起こさせる為に周囲の空気中の物質を圧縮し初め、彼を中心に大風が巻き起こる。
タツ「ただ死んで無に帰れると思うな?我が名のもとにその程度で許しはせん!・・・聞こえているか・・・かつてのしもべ、番人、死神よ、今からそこへ送る汚れし魂をその者が行った罪と等しき悪夢を見せ、100年重ねろ・・・その後に安寧の一切の無を与えてくれる・・・」
チェ「・・・?・・・タ・・・タ・・ツミ?」
ラン「・・・タツミ君・・・」
物陰から様子を見ていたランが姿を現す。
タツ「・・・・・・おっと、つい忘れていた・・・」
巨大な空気の塊が霧散霧消する。
タツ「そうだった・・・どうしても仇を取りたい人間が居たのだった・・・後はそなたに任せよう・・・では我は外の邪魔者を排除してくる・・・チェルシー!」
チェ「ええ?・・・ああ、はい!」
タツ「・・・、自分の身を守る程度の事ならば許可を与える!」
チェ「お、・・・オーケー、マスター!」
タツミはそう言って廃墟から出ていく。