イゾ「・・・・・・・」
イゾウは江雪を戸板越しに刺す。
アカ「・・・・!」
アカメはそれを擦れ擦れでかわし、村雨を戸板越しに刺す。
それをかわしたイゾウは村雨ごと戸板を倒す。
アカメは瞬時に村雨を抜き、二人は庭で対峙する・・・雷雨が鳴り、二人ともずぶ濡れとなる。
イゾ「・・・・・・、ナイトレイドの・・・アカメとやらか・・・」
アカ「・・・・・・、刀狂いのイゾウか・・・これ以上の凶行は許さん・・・」
イゾ「刀狂い?・・・さて?珍妙な物言い・・・拙者はただ我が江雪に食事を与えているだけ・・・、お主らも仲間や伴侶に時には生きた食事を与えるであろう・・・いや常人は理解しずらいか・・・お主らも愛玩動物に生きた餌を与えるであろう・・・それと同じ事・・・『例えが悪く、済まぬ江雪、お主は拙者にとってかけがえないの無い存在だ』」
アカ「・・・同じ人間を人間とも思わない・・・お前は人を名乗る資格など無い・・・葬る!」
イゾ「江雪、今日の獲物は活きが良いぞ!」
イゾウは燕返しの要領で下から垂直に切り上げるのをアカメは空中後転でかわしながら棒手裏剣を投げつける。
それが刺さるが気にも留めずイゾウはアカメに肉薄し鍔迫り合いを行い、互いに足蹴りか刃でそのまま押し斬るか駆け引きの読み合いをしている。
更に後ろから一つの影がイゾウを羽交い絞めにする。帝具で獣化したレオーネだ。
イゾ「・・・・・ふっ・・・」
だがイゾウは羽交い絞めにされる瞬間にアカメを蹴り飛ばしていた。
アカ「・・・!?避けろ!レオーネ!」
レオ「!?」
イゾウは江雪を逆手に握り、自身の首に掛るレオーネの右腕を寸分たがわずに薙ぎ払い切断する。
飛びし去るレオーネ。
レオ「ちっ・・・」
アカ「こいつの持つのは帝具ではないが・・・甘く見るな・・・レオーネ」
イゾ「ふっ・・・またしてもナイトレイドか・・・江雪の食事が増えるだけの事・・・、だが、そなたらはなんと醜い・・・この江雪に叶う美しい者は居ない・・・その醜い姿のまま生きるのはつらかろう、ナイトレイドのおなごよ・・・今楽にしてくれる」
レオ「なるほど・・・やっぱネジのぶっ飛んだ似非侍だ!」
レオーネは自身の切断された右腕を投げ飛ばす。イゾウは事もなげにかわし迫るレオーネを突きにかかる。
レオ「ぐぁぁあああああ」
レオーネの左掌を貫き、そのまま斬り下げようとする。それをレオーネはその腕に反転して体ごと絡みつき動かないように封じる。
イゾ「ぬっ!貴様!」
アカメは跳躍し一刀両断に村雨を振り下ろす!
「葬る!!」
イゾウの額に村雨が振れる・・・だがアカメの顎に強烈な震動が脳にも浸透する。イゾウの鞘は鉄拵えであり、その一撃を加えた後隙を逃さず、今度はアカメの腹部にイゾウは小柄(長さ18㎝前後の小刀)を刺す。たまらずアカメは飛び退き、同時に振り上げた右足と共に渾身の力でレオーネを地面へ踏み叩き落とす。
レオ「ぎゃああああああ、うああああ」
レオーネの左掌は裂け、骨が剥き出しの状態になっている。振り上げられた江雪をかわし辛くも間合いを取る。
レオ「はぁはぁ・・・ぐっ・・・アカメ・・・」
アカ「ぐっ・・・、うっ・・・」
アカメも脳へのダメージで足元がおぼつかず、腹部から出血している。
イゾ「ふっ・・・いかな一斬必殺の村雨と言えど、触れても斬れなければ恐るる事も無し・・・村雨も中々美しいがやはり我が江雪には及ばぬ・・・」
いつの間にか雨は止み、夜空は晴れわたっている。
コス「今聞こえた不気味な声、チャンプちゃんの?」
エン「やっぱりな・・・尾行してきて正解だったろ?ああいう顔の奴は信用ならねぇんだ」
コス「嫉妬しているだけじゃないですか~?男の僻みはみっともないですよ」
エン「うるせぇ、とにかくイゾウに知らせ・・・」
タツ「・・・話が合うな・・・若造、確かにああいう顔の者は信用できんな・・・くくく・・・」
コス「・・・確かイェーガーズの・・・?・・・うふふ、どう?君もコスミナとちょっと遊ばない?」
エン「おい!コスミナ、馬鹿も休み休み言え!」
タツ「有り難い話だが、またにしよう・・・こっから先は地獄への入口だ・・・」
エン「へぇ・・・って事はだ、チームぐるみで喧嘩売る気か・・・上等じゃねぇか、おっ・・・よっしゃ!満月の日を選んでくるとはな・・・帝具のノリが一番良い時じゃねえか!」
タツ「・・・冥土の土産に教えてくれないか?何故お前達はこんな凶行に及んだ?」
エン「凶行だぁ?・・・へっ、人生ってやつぁ一度きりだ!やりたい事やって何が悪ぃ?」
タツ「そうだな・・・その通りだな・・・、なら俺も一度きりの人生・・・という事で・・・このように殺しても文句は言われないな?」
エン「!?・・・がっ!」
タツミはエンシンの五体を端から少しずつ空中爆発させ、肉片が飛び散る。
エン「え?あ?ぎゃあああああ!!!」
腕、足が無くなり、次は胴体、最後に頭だけとなり、それも爆発させ、エンシンと名乗った男の欠片をもう探すのは困難となった。
タツ「・・・苦しむ時間を短縮したんだ・・・礼には及ばんさ・・・ははは・・・!」
コス「エンシンちゃん!・・・くっ!」
タツ「・・・・・・・」
タツミはコスミナを睨みつける、湧いた闘志が一瞬で消えコスミナは逃走をはかる。
コス「ば、化け物・・・」
だがコスミナの胸をパンプキンが射抜く
コス「え?・・・がはっ・・・」
マイ「よしっ!ナイスアタシ!」
四肢の無いチャンプの体を刃物で串刺しにするラン、そして・・・、
ラン「・・・僅かな目撃証言からお前を捜して・・・ここに来るまで長かった・・・そして相手がどんなに強くても・・最強であろうと倒す算段も出来た・・・子供達が受けた苦痛に比べればこんなモノは大した事は無いだろうが・・・」
ランはその傷口に劇薬の葉を塗る。
チャ「ぐぎゃあああああ!!いでぇぇよおおおおおお!!」
ラン「傷口を塗ると成分により激痛を引き出す・・・、あの残虐女もたまには役に立つ事を言う・・・さて・・・私の教え子は30人いました・・・なので30回、一寸刻みにするとしよう・・・ふふふ」
チャ「ぎゃ・・・ぎゃめろ!!・・・お、おでを殺したらデメェらがやったってバレバレだぞ!いいのがぁ!!!」
ドスン!!
ランが再び刻む
ラン「ご心配なく・・・ナイトレイドと取引したので・・・お前達に信用されるのに少し時間が掛かりました・・・その間にも随分と沢山人を殺したようだが・・・だがそれも今夜限りだ!」
マイ「・・・タツミ?・・・あんたどんな帝具使ったのよ・・・」
タツ「・・・・・・・・」
そこにラバックが駆けつける。
ラバ「・・・どうやら無事片付いたか?」
タツ「・・・ラバ、周囲で目撃者の有無はあったか?」
ラバ「大丈夫だ・・・けど、お前・・・ふ~~~ん、俺の次ぐらいに中々やるじゃねえか・・・」
マイ「そうそう、チェルシーの方は済んだの?」
チャンプは出血性ショック死で既に絶命している。それを冷酷な眼差しで見下すラン。
ラン「・・・・・・・・」
チェ「・・・・・・・・」
ラン「・・・確か貴女はナイトレイドの・・・」
チェ「・・・タツミに聞いてたけど、貴方がイェーガーズの・・・」
3人が中に駆けつけてくる。
マイ「どうやらそっちも無事済んだようねーって、あんた・・・」
ラバ「・・・あんたがタツミが言ってたイェーガーズの優男さんかい?」
タツ「ラバ!マイン!それ以上入るな!」
マイ「え!?」
ラバ「!?」
タツ「・・・ランさん・・・どういう事だ、悪い冗談はよしてくれないか・・・」
ラン「・・・やれやれ・・・、場合によってはナイトレイド全員仕留めて、貴方がたにワイルドハントと相討ちのシナリオを用意していたんですがね・・・」
タツ「・・・そいつは残念ですが、周囲や地面に巡らせた鋼鉄の羽を解いてくれませんか?」
ランは指を鳴らし、全てのその武器が帝具、マスティマへ収まる。
ラバ「・・・あんた、俺達を殺すつもりだったのかよ・・・」
ラン「・・・ええ、組むだけの相手で無いと見れば・・・」
マイ「・・・あんた、なんて奴なの・・・!」
タツ「止めろ!・・・この人は腕隠しているが、その気になればエスデスより1枚上だ!」
ラン「・・・・・・・、最強の称号などという井の中の一番争いなんか興味はありませんよ・・・、私は教え子達の仇が取れた・・それで十分・・・」
チェ「・・・・・・・」
ラン「・・・ただ、教え子達の死を隠した国の体制には怒りを覚えていますがね・・・そんな国を内側から変えようとしています・・・ですが何故貴方がたは外から暴力で変えようとするのです?テロリストと変わりないのでは?」
マイ「・・・ならあんた、大臣の暴力の圧政を今無くせるの?」
ラバ「・・・元帝国軍人や将軍で大臣に意見して殺されそうになって反旗を翻したのが悪いって言えるのか?」
チェ「・・・・・・・」
ラン「・・・暴力に暴力で立ち向かう・・・それではいつまで経っても負の連鎖は断てないと思いますが」
マイ「教え子の仇を取ったあんたには言われたくないわ・・・」
ラン「・・・あはは!・・・そうですね、その通りです・・・良いでしょう・・・貴方がたと私も所詮は同じ穴のムジナ・・・今後何か有益な情報があればタツミ君を通して伝えましょう・・・ただ、この国が変わるまでの共同戦線ですよ」
ラバ「変わったら俺達をどうするってぇんだ?」
ラン「・・・、いつまでも暗殺稼業などをしていたら、そのうち断頭台に立って貰う事になるという事ですよ・・・。そうそう、ドロテアは宮殿でまだ殺せそうにありませんが、イゾウはどうしました?」
タツ「アカメとレオーネに任せているから、そろそろ戻ってくるだろう・・・」
ラン「・・・そうですか、では私はこれで」
ランは帝具を使って飛び去っていく。
チェ「・・・・・・・、侮れない人だね・・・」
タツ「ああ・・・俺も場合によっては殺すつもりだったんだろうな・・・ふふふ」
イゾ「さぁ・・・最期くらいは潔く斬られるでござるよ・・・では参る・・・」
レオ「アカメ!!」
アカ「・・・・・・」
アカメは朦朧とした意識の中で観念した・・・
アカ「・・・うっ・・・・・??」
イゾ「むっ・・・新手か!」
イゾウの斬りを鞘ごとの刀で防ぎ、直ぐに振り上げようとするがタツミの眼光がイゾウを貫く。
イゾ「・・・『なっ・・・なに・・・体が・・・?』
一瞬の隙が出来、イゾウの胴を薙ぎ払う。
イゾ「ぐっ・・・ぐはっ・・・」
タツ「・・・・・・・・・」
イゾ「・・・馬鹿な・・・拙者が・・・お主、その技は・・・」
アカ「タツミ・・・!」
レオ「・・・あはは・・・はぁ・・・」
イゾウは片膝を付き息が喘ぐ。
タツ「・・・昔、人斬りハンジという凶行に及んだ輩がいてな・・・、そいつは脱藩して国を捨てたんだが・・・まさか、こんな所にいたとはな・・・」
イゾ「・・・、ふっ・・・、刀を持つ者が・・・刀を愛する者が・・・いずれは行き着くなれの果て・・・、剣を極めれば極めるほど、刀が拙者に語り掛け、血を求めうるのに応じたまでの事・・・」
タツ「・・・あんたは人殺しの術に魅入られたんだ・・・結局その術に自分が呑み込まれただけだ・・・、刀が血が欲しいと語り掛ける?それは自分の中の幻聴だぜ」
イゾ「・・・この拙者を倒すとは見事・・・、お主なら拙者の心が解せると感じたのだがな・・・」
タツ「・・・人を殺す術を究めれば極めるほど、俺は人を殺す事が空しくなる・・・、殺人術をただ殺人の為に使いやぁただの殺人鬼だ・・・殺人術も活人術もその先に見えなければならないのは、無敵の位・・・誰とも争わず、争いすら起こさないようにする事だ・・・そういう意味では俺もまだまだそこまでに到達していないが・・・」
イゾ「ふっ・・・、江雪・・・そなたは最後まで生きよ・・・、タツミと申したな・・・お主に江雪の・・・後の事を頼む・・・」
イゾウは姿勢を正し座禅を組む。タツミは江雪を取り、その刀でイゾウの首を一刀の元に刎ねる。その首はイゾウの両手に入るように収まった。
そして、タツミはその刀を鞘に納める。
タツ「・・・、立てるか二人とも?」
レオ「・・・ははは・・・、タツミやっぱ強いじゃん?」
アカ「・・・なんで私と初めて会った時、私を倒そうとしなかった?やろうと思えば出来ただろうに?」
タツ「・・・減らず口が叩けるなら大丈夫だな・・・、いやレオーネ、腕が・・・それにアカメも血が出てるだろ!」
タツミは二人に肩をかし、レオーネの腕も納めて外へ出る。
スサ「・・・済んだか、・・・大丈夫か二人とも!」
タツ「スーさん、誰も見られていないな?」
スサ「・・・ああ、タツミがここに来た以外誰も見てはいな」
タツ「よし、撤収だ!」