翌日、ナイトレイドアジトにて
タツミはナジェンダへ昨日の事を報告している。
ナジェ「全く・・・初め聞いた時は驚いたが・・・タツミには驚かされる・・・」
タツ「ランは使える男だ・・・敵に回さない方が良いだろう?」
ナジェ「・・・国を内側から変えるか・・・そんな事出来るだけの余地があるなら・・・大臣達が下々の意見に耳を傾ける心があったなら私も初めからそうしていた・・・」
タツ「・・・・・・・」
ナジェ「残るワイルドハントは?」
タツ「ドロテアだけだ」
ナジェ「判った・・・レオーネとアカメの容態は?」
タツ「レオーネの腕はラバックが付けてくれている・・・二人ともたぶん大丈夫だ」
ナジェ「・・・タツミも二人が心配か?」
タツ「・・・ん?いや別に。じゃあ俺はこれで」
タツミが部屋から去り見送った後
ナジェ「・・・・ふっ・・・ん?来たか・・・」
ラバ「ナジェンダさん・・・」
マイ「ボス、来たわよ」
ナジェ「来て貰ったのは他でも無い・・・タツミの闘いの様子はどうだった?」
ラバ「・・・正直恐ろしい奴でしたよ・・・目に見えない爆弾を連鎖させてましたからね・・・成程でかい口叩くだけはありましたよ・・・」
ナジェ「う~~~む、マイン?」
マイ「・・・・・、ラバの言う通りね。確かあいつインクルシオだけじゃなく今回の帝具も使いこなしてたわ・・・帝具を集めて壊しているのは伊達じゃないみたいね・・・」
ナジェ「タツミはその時、奴らの帝具を壊してしまったのか?」
ラバ「はい・・・」
ナジェ「まぁ良い・・・先程タツミから聞いた通りだな・・・」
ラバ「ナジェンダさんは・・・あいつをまだ信用しきれないんで・・・?」
ナジェ「信用していない訳では無いんだが・・・恐ろしくてな・・・」
ラバ「・・・・・」
ナジェ「本来帝具を使える人間は体力・精神力が長けている者に限られている・・・それに一人が使える帝具なんてせいぜい一つ、二つ使えれば良い方だ。しかも相性もあるからな・・・それをその時の状況や場合によって使い分ける器用さ・・・他にもタツミは強力な帝具を使っていたという話も密偵から聞いているからな・・・今まで私はエスデスを最も脅威に感じていたが・・・一番警戒しなければならなかったのはタツミではないか?・・・あれだけの力を持ちながら普段飄々と馬鹿をやっているあいつが今更ながら恐ろしい・・・。・・・あいつはその気になればこの国一人で壊滅させられるのではないだろうか・・・?」
マイ「・・・ボス、考え過ぎよ・・・タツミがその気ならとっくにあたし達全滅してるわよ・・・。それに革命成功したってあたし達は報い受けて死ぬかもしれないじゃない?そんな明日の無いあたし達が今更じたばた騒いだって・・・ねぇ、ラバ?」
ラバ「・・・・・ぷっあははははは、マインちゃんらしいや、そうですよ。俺達はもうサイコロ振ってとうの昔に動きだしてんですから・・・一緒に帝国抜けた時点でもう後戻りは出来ないって判ってるじゃないですか?」
ナジェ「・・・・・・!・・・そうだな、私も弱気になっていたな・・・。もうタツミの事はほっておく事にしよう・・・恐らくあいつが本気出したらもうどうにもならないだろうからな・・・」
ラバ「ったく・・・なんであいつあんな化け物じみた強さなんだ・・・癪に障るぜ」
マイ「・・・他の女の風呂覗くの我慢すればなれるんじゃない?いししし」
ラバ「おい!こら!ばっ・・・ナジェンダさん誤解ですよ!」
ナジェ「・・・・・・・・・・・」
ラバ「俺の高潔なイメージどうしてくれんだよ!?・・・大体マインだってタツミをそんなに信頼してるってのはあいつに惚れてるんだろ!激ラブなんだろ!」
マイ「・・・はっ?ううううっさいわね?あんた今すぐ死にたいの?」
二人の罵り合いを微笑ましく眺めるナジェンダ。
レオーネの部屋
レオ「いやぁ・・・悪いねタツミ」
タツ「ん?あー・・・暇潰しに来ただけさ・・・そのー、怪我は痛まないか・・・」
タツミはリンゴの皮を剥きレオーネに持って来ている。
レオ「あれぇあれぇ?どうしてあたしの事そんなに心配してくれるの?」
タツ「・・・・・、どうだこの辺痛まねえか?」
タツミはレオーネの腕の接合部分を握りしめる。
レオ「痛い痛い痛い・・・いたったたたたた・・・タンマタンマ!」
タツ「ほれみろ?心配じゃなくて、本当に痛いだろうが」
レオ「誰が痛くしたんだよ!・・・けどさ、この怪我自分の責任とか感じてんの・・・?」
タツ「・・・・・・・・・」
レオ「ふぅ・・・あたし達殺すとか言ってた人とは思えないねぇ・・・」
タツ「・・・革命成功した後でも暗殺稼業続けるというなら・・・そうするかもしれないな・・・」
レオ「ふ~~ん、・・・ならあたしこのまま続けようかな~~~~」
タツ「・・・・・・」睨みつけている
レオ「おお~~~怖・・・でもタツミに殺されるならいっかな?」
タツミは怪訝で複雑な顔になる。
レオ「あたしさぁ結構ロクデナシだから・・・たまたまここに居るけど、もし帝国にスカウトされてたらどうなってたろ?」
タツ「・・・あんたならいずれ帝国と袂分かってたろうさ・・・」
レオ「・・・そうかなぁ・・・買被りじゃない?・・・それはそうと、やっぱタツミやるねぇ・・・あたしとアカメ二人掛りでも無理だったのに・・・あんな一撃で・・・」
タツ「・・・俺は最後に出て来て弱った所を斬っただけだ・・・」
レオ「・・・・・・・、そういう事にしとくよ・・・それじゃあそろそろあたし休むね」
タツ「ん?ああ・・・ゆっくり休んでくれ」
レオ「アカメの所にも行くんだろ?・・・エッチな事したら全部筒抜けだかんねー!」
タツ「する訳ないだろ!」
ぷんすか怒りながら出ていくタツミ。
レオ「・・・・・・責任感、強いんだ・・・」
タツ「アカメ・・・あれこんな時間にも部屋にもいない・・・?」
アカ「・・・・・・・・」
タツ「アカメェ!こんな所に居たのか・・・」
二人の墓のある丘で佇むアカメ。
アカ「タツミ・・・月が綺麗だな・・・」
タツ「・・・そうだな」
アカ「・・・あの時、もう最期かと思った・・・」
タツ「すまない・・・俺の人選ミスだ・・・俺が初めから奴と闘っていれば良かった・・・」
アカ「ううん・・・言い方が悪かった、すまない・・・そうじゃないんだ・・・、こうして生き延びて嬉しかったなと思って・・・」
タツ「・・・・ん?」
アカ「いつ殺されてもおかしくない私でも・・・覚悟は常にしているが・・・それでもこうして安らぎを得られると、やっぱり生き延びれて良かったと・・・手に掛けた者達には悪いけどな・・・」
タツ「・・・傷はまだ治る訳ないんだ・・・部屋で休みな」
アカ「・・・タツミ、お願いがある!」
タツ「?なんだ急に改まって」
アカ「私をもっと強くしてくれ!」
タツ「・・・・・・」
アカ「私はもっと強くなって自分や仲間を守りたい・・・」
タツ「・・・アカメは今のままで十分強いさ・・・そのままで良い」
アカ「私も強くなって、タツミと同じ・・・いやそれに少しでも近付いて、タツミがどんな風に世の中を見ているか知りたい!」
タツ「・・・・・別に何も見えて無いさ」
アカ「少なくとも私よりは強い・・・頼む」
タツ「・・・何の為に強くなりたいんだ?」
アカ「守りたい仲間とタツミと同じ立位置にまで行きたいから」
タツ「・・・仮に俺と同じぐらい強くなったとしても、見えるのは人それぞれ違うさ・・・それに仲間を守りたいなら作戦次第でアカメならなんとかなる」
アカ「・・・タツミ」
タツ「今のままのお前だったら教える事は何も無い」
アカ『・・・なぜだ・・・』
タツ「夜風は傷に堪えるぞ・・・早く寝な、じゃあな」
帝都、宮殿内会食場
オネ「おお、おお、これはエスデス将軍・・・ご苦労様でした!」
エス「大臣・・・、急に戻って来いとはな・・・西の異民族達へはあれで良いのか?」
テーブルに付き、グラスに口を付ける。
オネ「ええ、ええ・・・宜しいですよ。それに捕虜も大量に、・・・殺さず連れて来たのは少々コストも掛りましたがまぁ良いですよ・・・これで『彼女の実験体の食材に、くくく』・・・これで、奴隷として働かせられますなぁ」
エス「・・・余り手荒な事はするなよ?」
オネ「おやおや、人は恋すると気持ちも変わるモノですかな?それとも・・・彼の影響ですかな?」
エス「何を馬鹿な事を・・・あくまで人心掌握の為のみだ・・・前にも同じような事を言っただろうが」
オネ「・・・はて?そうでしたかな・・・最近物忘れが酷くて・・・イェーガーズという警察があったのも忘れそうですねぇ」
エス「・・・・、どういう意味だ?」
オネ「言葉通りの意味ですよ・・・エスデス隊長・・・」
エス「なに?・・・ぐっ・・・これは・・・オネスト・・・貴様・・・」
エスデスは苦しく喘ぎ、膝を付く。
オネ「流石のじゃじゃ馬も彼女特製のしびれ薬の前では片無しですね・・・では皆さん将軍を・・・元将軍を丁重に牢屋へお連れしなさい・・・」
近衛兵が捕まえに来るが・・・
「・・!」
「ちっ!!」
エスデスは渾身の力を込めて立ち上がり帝具の氷の刃で応戦の構えをとる・・・だが足元はおぼつかない。
オネ「はぁ・・・やれやれ、情けない・・・」
オネストは指輪型の帝具を使う。
その帝具が一瞬光った後、エスデスの氷の刃は消えてなくなる。そしてオネストの帝具も砕け散る。
エス「!!??・・・な?これは・・・」
オネ「これで・・・もう貴女は帝具を使えませんよ・・・とはいえ私の帝具もほれ、この通りもう使えませんがね」
エス「・・・死ぬ前にお前だけは・・・」
オネストを素手でも葬ろうとするエスデスだが、もう前後不覚で倒れてしまう。
エス「・・・くっ・・・タツ・・・・・」
オネ「おや・・・一体誰を呼ぼうと・・・まぁ良いでしょう」
オネストは倒れたエスデスの顔を踏む付ける。
オネ「エスデス元将軍・・・私は非常に残念です。今まで共に帝国に・・・陛下に影日向にお仕えして来たのに・・・此処に来て変節させるとは・・・でもご安心を・・・これから貴女のような不心得者が二度と出ない国作りをして参りますので・・・ふふふはははは・・・・は―――はっはっはっはっは!」
物陰からその様子を不敵な笑みを浮かべて見ているラン。
オネストの哄笑が宮殿内にこだました。