帝都宮殿地下牢屋
エスデスは鎖に繋がれ、身動きが取れない状態にある。その牢屋前にブドーがやってくる。
ブド「・・・・・・・」
エス「・・・フン、ブドーか、練兵場での稽古は良いのか・・・お前も暇な事だな・・・」
ブド「エスデス・・・、お前は陛下に、帝国にもっと忠誠を誓っていたと私は思っていたのだが・・・見込み違いだったか・・・」
エス「ふっ・・・だからお前は堅物なのだ・・・、この私が、あの皇帝に?帝国に?ははは!私の生きる理由は闘争と蹂躙だ・・・それ以外には無い・・・それを行うに将軍が適していたというだけの事・・・ふふふ、こんな私が将軍になれたのだ・・・成程、(タツミの言う通り)この帝国も長くは持たんと言う訳だ・・・」
ブド「貴様・・・、事もあろうに反乱軍の者と内通していたらしいな・・・、敵に寝返るほど落ちぶれたとは・・・、楽には死なせんぞ!」
エス「望むところだ・・・だが私は反乱軍の者と内通した覚えは無いぞ」
ブド「・・・証言がある・・・今更偽りを言ったところで有利にはならんぞ」
エス「その男はその気になれば反乱軍も我々帝国も壊滅させられるだろうな・・・」
ブド「・・・何を馬鹿な・・・、エスデス貴様狂ったか、そんな奴など居はしない、夢でも見たか?・・・千年続いたこの帝国、この私が居る限り滅ぼす等不可能だ!」
エス「・・・、ふっ・・・」
そこに拷問官が数名やってくる・・・。彼らは全員、顔が判らぬよう拷問官専用の仮面を被っている。
「ブドー様、エスデス将・・・この女を俺達で拷問に掛けて宜しいですか?」
エス「・・・・・・・・」
「この女から教わった事を実践させてやりたいんで、いっひっひ」
ブド「馬鹿者!!」
「「!!??」」
ブド「裏切り者ではあるが、卑しくも元は帝国将軍・・・例えこやつとて武人の誇りぐらいはあろう・・・せめてもの情けだ・・・明日まで心静かに死を受け入れさせる準備でもさせておけ・・・」
「しかしオネスト様が・・・」
ブド「私の言う事が聞けんのか!!貴様らぁああ!!!」
「「は、はい、失礼致しました!!!」」
とっとと逃げていく拷問官達
『・・・ふ~む、ブドーはこういう男か・・・』
エス「・・・ブドー、どういう風の吹き回しだ・・・」
ブド「フンッ、・・・明日の処刑は簡単には終わらん・・・万全の状態のお前が何処まで耐えられるか・・・それの為だけだ・・・あっさり死なれては公開処刑の意味が無くなるからな・・・」
エス「・・・・・・・」
ブド「しかし貴様は部下には好かれているようだな・・・見ろ、これだけもの貴様の助命嘆願書が来ていたぞ・・・」
エス「・・・・・・・」
だがブドーはそれを破り捨てる・・・
ブド「今後はもう二度と反乱分子が生まれんよう、大臣めが話を誇張するだろうが、まぁ良い・・・もう貴様のような不心得者が出無ければそれでいい・・・反乱軍を討伐した後は次は大臣を手始めに内部の大掃除だ」
エス「内部の大掃除か・・・お前如きに出来るのか?ブドー」
ブド「口の減らん小娘だ・・・その状態で用は足せるか・・・?お前も栄えある帝国将軍、粗相などされたらこちらも叶わん、抵抗せずに大人しく従うならばその鎖、ほどいても良いぞ・・・だが妙な動きをすればこの場で殺す!」
エス「見くびるな!・・・貴様らの体面などでは無く私自身のプライドに掛けてせん!」
ブド「ふっ、その言葉忘れるな・・・、せいぜい明日は最期まで足掻け・・・ではな」
ブドーが去って行き、一人になるエスデス。
エス「・・・タツミ・・・・」
ナイトレイドアジト
ナジェ「なんだと!?あのエスデスが?・・・本当なのか?」
ラバ「はい・・・、確かな筋からの情報です・・・密偵からも報告はありませんでしたか?ナジェンダさん」
ナジェ「確かにあるにはあったが、俄かに信じ難かったからな、そうか・・・、ラバ、お前が掴んできた話なら本当のようだな・・・これで・・・これでこの目と腕の仇が取れる・・・」
ラバ「良かったですね、ナジェンダさん・・・」
ナジェ「ああ・・・、しかしタツミはエスデスを自分の言いなりにしたと言っていたが・・・、用済みになったから処刑されるよう仕向けたのか・・・?」
ラバ「さぁ・・・そこまでは・・・俺も流石に、う~む?」
ナジェ「まぁ良い・・・、タツミが帰って来たら聞くとしよう・・・よし、明日変装して私一人で見に行く!」
ラバ「ナジェンダさん、俺を護衛に付けて下さい!」
ナジェ「・・・判った、良いだろう・・・他のメンバーにはアジトで待機と伝えてくれ」
ラバ「了解」
ナジェ『しかし・・・今までそういう情報も流れず・・・緘口令でも敷いたか?処刑への流れが急過ぎる』
宮殿皇帝専用会食の間
皇帝「大臣!どういう事だこれは、余は聞いていないぞ!」
オネ「・・・陛下・・、まずはお静まり下さい・・・」
肉を食べながらのんびり応えるオネスト
オネ「全く・・・非情に残念で御座いますが・・・エスデス元将軍に反乱の兆候が見受けられました・・・その為、陛下に置かれましては・・・今まで陛下の為に働いて来たエスデス将軍の処断を決められるのは心痛余りあると察し、不肖このオネスト、私の独断で判断させて頂きました・・・どうかお許し下さい」
皇帝「くっ・・・エスデスが・・・あのエスデスが・・・余を欺くなど・・・なにか間違いだ!」
席を立ち、テーブルを叩く
オネ「・・・そちらに添付した書類に御座います通り、証言や(ランによる)報告等、どう見ても疑いきれず、更に敵軍を見せしめに殺さず、多数生け捕りにしてくるなど・・・帝国の威信を貶める反逆も御座います・・・」
皇帝「余はそこまで命令した覚えは無いぞ・・・、余の国が安泰ならば敵を追い返せればそれで十分だ・・・」
オネ「・・・おお、陛下はなんと慈悲深い・・・、ですが、民を守るには時には非情な手段を・・・見せしめも必要です・・・私も陛下同様出来る事なら、そのような残虐な行為など・・・とてもとても・・・それに陛下・・・エスデスは実は生け捕りにした捕虜を人体実験に使い、新たに開発した危険種の餌にし、力を増させ、やがて陛下に取って変わろうと企んでいたのです・・・」
皇帝「・・・馬鹿な!・・・」
オネ「いやいや・・・本当に嘆かわしい・・・、その為、私も苦渋の決断でエスデスの処刑を決断しました・・・ですがご安心を、もうこのような不心得者が出ぬよう私がしっかりと国を変え支えて参ります・・・、その危険種の討伐も行います故、陛下は何もご心配なされずに、どうか国民の安寧の為、毅然とされていて下さい!」
皇帝「・・・、判った大臣・・・余はお前を信じたぞ・・・」
オネ「ははっ!例えこの国が滅ぼうとも私の陛下への忠心は絶対のもので御座います・・・」
皇帝「余は少し疲れた・・・少し休むぞ」
オネ「ははっ!」
頭を下げ、皇帝が去った後、にやりとほくそ笑む。
ドロテア研究室
ドロ「おお・・・大臣、話は進んでおるようじゃな・・・」
オネ「ええ・・・、あの小僧の相手は疲れます・・・いくら皇帝と言ってもまだまだ子供ですからねぇ・・・」
ドロ「はははっ!確かに妾からみれば、子供も子供・・・、大臣よ、いずれあの小童、カライを亡き者にするのであろう・・・先代皇帝をも事故死させたように・・・」
オネ『外見だけで見ればあの小僧も貴女もお似合いですがねぇ・・・』「先代様も中々偉大な方でしたが・・・、あのような志半ばで崩御されるとは・・・、いやいや全く持ってお可哀想に・・・」
ドロ「くくく・・・、とんだ策士じゃな、お主も・・・」
オネ「しかしドロテアさん・・・何故、私の過去に気付かれたんで・・・?」
ドロ「・・・お主の息子、シュラが教えてくれたのじゃ・・・酒の相手をしたらベラベラ喋ってくれたぞ・・・ああ見えて親父さん思いじゃたのーあやつも・・・」
オネ「・・・・・・、まぁ良いでしょう・・・それよりもお仲間はその後の事は判りましたので?」
ドロ「はぁ・・・困ったものじゃ・・・、チャンプは無惨にも殺され、エンシンは行き方知れず、そして、あのイゾウも首を斬られて死んでおった・・・あれは相当の手練の仕業じゃな・・・」
オネ「ほぉ・・・それ程の、ですがエスデス程では無いでしょう・・・?」
ドロ「判らぬ!あやつも妾の居た国のどの猛者よりも強かろうが、ひょっとしたら奴をも超えるかもしれん・・・」
オネ「・・・、エスデスが内通していたと思われる男は私の部下が始末したと報告を受けてますから・・・ひょっとしたらその者の仕業かとも思いましたが違うようですね・・・やはりナイトレイドですかね・・・、どちらにせよ、貴女という最後の切り札に期待しておりますよ」
ドロ「うむ、妾に任せよ・・・勝算はある」
オネ「さて死んでいった無能には興味ありません・・・ところでコスミナさんは?」
ドロ『割り切りの良さは息子以上じゃな・・・』「コスミナも銃弾で撃たれ生死の境じゃったが一命は取りとめた・・・大した生命力じゃ、もっともただ復活させる訳では無い・・・」
コスミナは楕円形の球体の中におり特殊な液体で満たされ、生命維持装置を付けられながら、肉体を再構築強化手術を施され、徐々に元の彼女とは違うものへと変化している。
ドロ「妾の手駒が全ていなくなった以上、こやつを使って最強の帝具を超える危険種を造って見せるぞ!・・・最強をこの手で造り妾の世とする、それが妾の悲願じゃ・・・その為に長寿術を自分に施し生き永らえて来たのじゃ・・・ははは!」
オネ「それは頼もしい・・・、工房それに研究室提供をした私にもいくらか恩恵を下さいよ・・・」
ドロ「勿論じゃ、そなたの私兵として人型危険種を数十体控えさせておるぞ」
オネ「いや、あっはっは、これは仕事が早い・・・」
ドロ「じゃがな・・・コスミナをもっと強くする為には栄養がまだ足りん」
オネ「そこは抜かりなく、エスデスが連れて来た捕虜を餌にしましょう・・・エスデスを信じて連れて来られた捕虜共もさぞ彼女を恨むでしょうね・・・くくく」
ドロ「ふふふ、愚かな民や兵隊共にはお似合いな末路じゃ・・・とはいえ、こやつも哀れな女じゃ、自分の歌声が人心を惑わせるという罪で魔女裁判で家族を焼き殺されるとはな・・・」
オネ「・・・・・・」
ドロ「自分一人生き延び、壊れてしまった・・・ふっ、愚民共が特異な能力を恐れ、恐怖を抱くのは万国共通じゃな」
オネ「・・・貴女も特異な能力をお持ちだから、愚民達に復讐しようと?」
ドロ「ふっ・・・大臣そなたの夢はなんじゃ?」
オネ「聞きたいですか?・・・私は・・・」