タツミは宮殿内廊下を疾る!だが急に立ち止まる。
タツ「・・・・・・・」
ランが物陰から姿を現す。
ラン「・・・よく判りましたね」
タツ「ランさん、貴方・・・気配を隠すのが上手いですね・・・」
ラン「・・・懐かしい話です・・・昔はよく生徒達とかくれんぼをして見付けて貰うのに苦労しました。・・・もう遠い話ですね・・・」
しばしランは遠い過去に思いを馳せる。
タツ「つかぬ事を聞きますが・・・・・・あんた、只の人間じゃないな!」
ラン「それはこっちの台詞ですよ?君こそ何者なんです?」
タツ「・・・・・・」
ラン「・・・・・・」
タツ「その話はまたいずれ・・・」
ラン「そうですね・・・ですが・・・これから貴方は何処に行くんですか?」
タツ「・・・ちょっと忘れ物を取りに・・・」
ラン「それでしたら代わりに私が取りに行きますか?・・・エスデスの命を・・・」
タツ「・・・!・・・・・・」
ラン「・・・何故彼女を助けに?君だって憎んでいたのではないのですか?あの女の事を・・・」
タツ「ええ、勿論ですとも・・・あの女の処刑される様を一等席で見たくて急いでいるんです」
ラン「・・・ならその席はあっちではなくて、こちらの道ですよ」
タツ「あーそうだったんですね・・・すみません、方向音痴なもんで」
ラン「ははは・・・・、猿芝居はお互い止めにしませんか?」
タツ「・・・・・・エスデスは殺す時が来たら、俺が殺す・・・だから誰の手も借りん!」
ラン「ふっ・・・、元々エスデスを罠に嵌めたのは私ですが・・・やはり君が助けに来ましたか・・・」
タツ「やっぱりあんたがあいつを罠に嵌めたんだな?」
ラン「ええ、そうです・・・彼女は例え大臣の命令だったとはいえ、10の指で数えらない程の戦争犯罪を犯してますからね・・・とはいえこの国では裁かなかったので歯痒ゆかった。だからそうなるように・・・そうそう、彼女が内通していた男は私が始末したと報告しておきましたよ・・・あの下衆大臣に・・・」
タツミは次に何を言えば良いか逡巡した。そして、
タツ「・・・・・・まさか、貴方の縁者か誰かエスデスの手に掛って?」
ラン「・・・・・・、エスデス本人かどうか判りませんが、エスデス軍の誰かに殺されたのは判っています・・・出来る事ならタツミ君・・・このまま奴の処刑を見届けてくれませんか?」
タツ「くっ・・・・・・」
ラン「・・・・・・・・殺されたのは私の妻なんですよ・・・」
タツ「・・・・・!!!」
ラン「・・・・・・それでも助けに行くのですか?」
タツ「・・・・・・ぐっ・・・ランさん・・・申し訳ない・・・もしまた今度あいつが殺人を犯そうものなら・・・俺の手で八つ裂きにする!」
ラン「・・・・・そんなにあの女の事が好きなんですか?」
タツ「・・・いや、これは俺があいつを今まで利用してきた・・・その責任を負う為だけだ・・・」
ラン「・・・そうですか・・・もう何も見無かった事にしておきます・・・」
タツ「恩に着ます!」
タツミは疾走していく・・・。
ラン「・・・ふっ・・・私も甘くなったものだ・・・」
エスデス処刑当日、天候は晴れ、風も無く穏やかな日であった。
宮殿地下牢屋
ブド「・・・エスデス、今日で最期だな・・・何か言い残す事は無いか・・・」
エス「・・・無い・・・」
ブド「最期に聞いてやる・・・、私の次の位の将軍として毅然とした最期を迎えろ・・・見苦しく泣き叫ぶなよ・・・」
エス「ふっ・・・それがどうした?」
ブド「判らぬか?・・・ならば判り易く言ってやろう・・・、今ここで自分で首を吊れ、痛みもさほど長く無かろう・・・貴様が泣き叫ぶ様を見て喜ぶ輩など見苦しい、私の独断で公開処刑はお前の死体で構わんからな」
エス「余計な気遣いだ・・・私は最期まで生きてみせるぞ・・・」
ブド「・・・ほぉ、良い心意気だ・・・その心もっと帝国に陛下に向けられていれば良かったものを・・・何処で道を間違えた・・・残念だ・・・」
エス「フンッ!余計な御世話だ・・・」
ブド「・・・連れて行け!」
「はっ!!」
部下達がエスデスを拘束したまま処刑場へと連行して行く。
エスデスは暗く長い長い道のりを歩き、そしてとうとう外気に触れる。
「エスデスだー!」
「この裏切り者ー!」
公開処刑場には観衆が詰め寄り、罵声、怒声が飛び交う。その中には変装した二人も居た。
ラバ「・・・やっぱりエスデスですよ」
ナジェ「この目で確かめるまでは半信半疑だったが、本当に・・・」
ブド「良いかお前ら・・・、エスデスを救い出そう等と企む輩がいるかもしれん・・・、外にも気を配れ、良いな!」
「はっ!!」
ブドーの部下達は頷き持ち場に散らばる。
そこに一際豪華な観覧席に皇帝カライとオネストが訪れる。そして演説を始める。
オネ「あー静粛に・・・、皇帝は気分が優れず、お言葉を賜れず、私が代わりに・・・」
観客席でも思い思いの事を話している。
「そうだよなーエスデス将軍が裏切るなんてなー」
「皇帝陛下も可哀想に・・・」
ナジェ「・・・・・・」
オネストはエスデスの罪状を読み上げ、重税の原因等、罪の半分以上は彼女が直接行ったものとして擦り付けを行い、それを美辞麗句で並べ立てた。
ブド「・・・ちっ・・・大臣め・・・」
エスデスは中央の広場へと連行されその場所には十字架型の処刑台が設置され回りには拷問と死刑を同時に行うような凶器の数々が置かれていた・・・。
エス『ふっ・・・、まさか、この私がこのような場に立つ日が来る事になるとはな・・・、私が弱かった・・・それだけの事・・・・・・、今まで処刑して来た者達もこのような心境だったのか・・・、まぁ良い・・・』「おいブドー!・・・世話になったな・・・」
ブド「・・・来世で今度こそ忠臣になれ・・・」
エス「ふっ・・・だが断る!」
ブド「ふっ・・・ならば最期までその威勢貫いてみせよ・・・」
エス「・・・おい、お前、私がかつて教えた通りにやれ・・・、上手くいかなければ死んだ後私が貴様を呪い殺すぞ・・・ふあはははは!」
「・・・・・・・」
その拷問官は黙ってそれを聞いている
音楽隊がセレモニーを流し・・・、それが終わると処刑の合図であった。
ブド「・・・ふんっ、つまらぬ事を・・・勿体ぶらせおって・・・これから死に逝く者への不敬だ・・・構わん・・・おい、お前もう始めろ!」
「・・・・・・」無言で本当に良いのかと尋ねる
ブド「私の権限で許す」
「・・・・・・」頷き、そして始める。
エス『・・・ふっ・・・、これが最後の景色か・・・こうも雲一つ無いとは・・・タツミ、最期に一目会いたかったぞ・・・、次の世で結ばれたい・・・さらばだタツミ・・・』
拷問官はまずは手裏剣を取り、エスデスに投げつける。
そして、彼女の軍帽に刺さり、処刑台板に縫い付け、続けざま、顔面直ぐ横に何本か投げて刺す。
ブド「・・・ほぉ・・・だが余り楽しむな・・・おい、お前名を聞いておこう・・・」
「・・・・・・」首を振り、頭を下げる・・・。
ブド「いや許す、話せ」
「・・・・・・」