「むぁぁぁあああたぁぁっくくく!!あんたぁああああ、ぶぁぁかああああ???」
大声でマインから罵声を浴びるタツミ。
「信じられない事するわね、あんた本当に!・・・はっ?なんでエスデスを助けちゃう訳ぇ??」
タツミはただ黙って聞いている。
ナイトレイドのアジト広間にて全員集合し、チェルシーも虚六から帰って来ていた。
ラバ「・・・あの時、エスデスを処刑から連れだしたのはほぼ間違いなくお前だと俺は睨んでいる・・・タツミ、言い分があるなら聞くぞ?」
タツ「どうして俺だと思うんだ?」
ラバ「あんな衆人環視の中、堂々とブドーを相手に公開処刑をぶち壊す奴なんてお前以外誰が居るんだよ?まっ、他にも居たが・・・主犯はお前だろ?」
マイ「そうよ!あんた以外誰がいんのよ?」
タツ「なんだ?証拠も固まっていなかったのに、俺を犯人と決めつけてたのか?怖いなー」
ナジェ「・・・・・・、証拠という訳じゃないが、状況証拠ならあるぞ・・・タツミ・・・お前、虚六でボリックを仕留める仕事を終えた後、チェルシーを置いて何処に行った?」
タツミはチェルシーを見ると、彼女はそっぽ向く。
ナジェ「つまり、エスデスを助け出した時、誰も他にお前を見ていない・・・となると実力的に考えてお前がやった可能性が限りなく高い・・・どうだ?もし他にあんな事しでかす奴が居るなら教えてくれ?」
タツ「・・・余り話を遅らせるのも面倒だ・・・そうだ、俺がやった・・・」
チェルシーは複雑な顔でタツミを少し睨む
マイ「ほら、やっぱりあんたがやったんじゃない!」
タツ「犯人を挙げる上で自白主義は感心しないな・・・やはり証拠主義でないとな」
マイ「もう!自分で言っといてなんなのよ!」
「マイン!タツミは犯人だと名乗った相手の話をそのまま鵜呑みにするなと言いたいだけだ」
そう言ってスサノオが助け舟を出す。
マイ「わわ、判っているわよそんなの!」
ナジェ「・・・、マイン少し落ち着け、気持ちは判るが・・・茶化すの無しでタツミが主犯なんだな・・・」
タツ「ああ・・・」
ナジェンダは頭が痛そうに少し考えた後、
「エスデスを助けたのは・・・何故だ?」
「タツミ、エスデスを何処かに幽閉しているなら、あたしが始末つけるぞ!」
レオーネは拳を手のひらにぶつける。
アカ「ああ・・・、タツミもエスデスに情が湧いてやりにくいのなら、私もレオーネに手を貸す」
チェルシーは何も言わないが目で賛同している。
ラバックは頭をかきながら
「ふ~む、・・・皆、こいつエスデスはたぶん渡さないって言うと思うぞ?」
マイ「はっ?どういう事よ、それ?」
ラバ「本人に聞いたらどうだ、なぁタツミ?」
顔をしかめながら
タツ「ああ・・・、エスデスにはまだ利用価値がある・・・まだ殺す必要は無いだろう?」
マイ「じゃあいつ始末する訳?」
ナジェ「タツミ、エスデスは私達に・・・革命軍に協力するとでも言っているのか?」
今まで黙っていたチェルシーも口を挟む
「・・・エスデスが?・・・冗談じゃないわ、あんな奴!あたしの仲間だって殺されたのよ、手を組むのなんか御免よ」
マイ「あたしだって同じよ!」
アカ「・・・私も革命軍側の人間を何人も殺したが、ボスは迎えてくれた・・・」
レオ「・・・う~む、やり直す機会があっても良いけどさ、流石にエスデスじゃあ・・・例えあたしらの味方になっても、あいつのしてきた事考えるとな・・・タツミも殺された人達がどんな惨い目に遭わされたか知ってるだろ?」
タツ「・・・・・」
ナジェ「確かに・・・エスデスがこちら側に着けば大きな戦力になるが・・・、革命軍の中にもあいつに怨みを持つ者もいる、もし味方になったとしても組織の統制の乱れの元になるかもしれない・・・それにあいつは戦争の火種を起こしたい奴だからな・・・、革命が成功してもまた、戦争をしたがるんじゃないのか?」
タツ「・・・あいつ一人にしてほっといたら、そうなるだろうな」
マイ「じゃあ、決まりじゃ無い!?今のうちに殺しなさいよ?あんたが出来ないならあたしが!」
タツ「その時がもし来るなら、あいつは俺が殺る・・・もしあと一度でも殺人をすれば、俺があいつを殺す・・・そう、ある奴と約束したんだ」
マイ「・・・・・・」
ナジェ「・・・成程、あいつはもう戦力にはさせないと言う事か・・・タツミが責任もってエスデスを監禁するなり、コントロール出来るなら私からはもう何も言わない・・・、革命軍側としては公開処刑をぶち壊してくれたんだ・・・、帝国の威信が下がって、更にやりやすくはなったな・・・この一件はこれでお終いだ、皆も良いな?」
スサ「異論は無い」
ラバ「ナジェンダさんがそう言うなら俺もそうだ・・・タツミ、お前エスデスを何処に閉じ込めてるか知らねぇけど、そこで“よろしく”やってるなよ?」
タツ「ばっ!!やんねぇよそんな事!」
アカ・レオ・マイ・チェ「・・・・・・・」
ナジェンダの部屋
ドアのノック音の後、
ナジェ「誰だ?入れ・・・タツミか」
タツ「先程は有難う・・・」
ナジェ「・・・なんの事だ?・・・と言いたい所だが・・・、まぁ百歩譲って私の奴に対する個人的感情は置いといても・・・」
タツ「すまない・・・」
ナジェ「うん?まぁ・・・大将、皆の前ではああ言ったが、これでもボスだからな、皆を鎮める為我慢しなければならないが・・・私とて奴にこの目、腕や一緒に居た部下も殺されたからな、怨みはあるにはある・・・」
タツ「・・・それで話なんだが・・・死んだ部下は蘇らせれないが、あんたの傷ついた腕、目なら治せるぞ」
ナジェ「・・・本当か!?・・・それなら、それなら、全盛期の力に戻れる・・・」
タツ「・・・・・・」
ナジェ「・・・だが、それは嬉しい話なんだが、タツミ?あんたも判っていると思うが、ラバ、スサノオはともかく、他の4人は・・・」
ナジェンダの部屋を出た後
廊下に居たマインと相対するタツミ
マインが腕を組んで不満そうにタツミを見ている・・・彼女は無言なので黙って通り過ぎようとすると、
「・・・エスデスってさ、中身あんな奴だけど、外見はちょっと綺麗じゃない?大抵の男だったら直ぐ鼻の下伸ばすんじゃ無い?どうせ、あんたもそういうのと同じでしょ?」そう言って走り去って行く・・・何も言わずにタツミは黙って見送った。
タツミの部屋の前でチェルシーが待っていた。
チェ「・・・・・・」
タツ「・・・どうした?」
チェ「ボスと何話してたの?」
タツミは一瞬、本当の事を言うか適当に言うか逡巡し
「ナジェンダのエスデスにやられた目と腕、治せるかもしれないと話してただけだ」
チェ「ふ~~ん、じゃあついでにあたしの傷ついた心も治してくれない?」
タツミはどう言えば良いか返答に窮していると
チェ「あはは、うそうそ・・・ごめんね、重い事言って?・・・エスデス助けないとか嘘ついたのは見逃してあげる・・・でも、あたし虚六から一人で帰って来て、とっても寂しかったなぁ・・・」
彼女の目はもう笑っていない
タツ「・・・悪かった、迎えにあの宿に行った時はもう、出て行ったと聞いた・・・」
チェ「・・・良いよ、もう気にして無いから・・・気にして無いから・・・」
言った言葉とは真逆に冷めた表情で彼女は暗がりの中、消えていった。
タツミは溜息を付きながら戸に手をやると、
「タツミ・・・」
そう言ってアカメが声を掛けて来た
「どうした?」
「・・・・・・・・・・・・・」
手には村雨を握りしめているアカメ
「悪い、夜分遅く・・・なんでもない・・・」
そう言ってアカメは去って行った。
タツミはやっと部屋に入り、大きく溜息をつき、布団に横たわろうとすると、
「じゃじゃじゃーん!!」
「どわぁあああああ」
レオーネが布団の中から現れた。
タツミは後方にひっくり返り頭をぶつける。
「いてて・・・、何してんだ一体!」
「タツミ・・・、アカメ達に怒られたでしょ?」
「ああ・・・」
「はぁ・・・あたしは他のメンバーと違って心広いから大目に見てるけど、あたしだってね、怒ってんだ・か・ら・ね!」
「いででででで」
そう言ってタツミのこめかみに両拳でグリグリ攻撃を加える。
「まったく、なんであんなドS女がそんな、お姫様みたいなオイシイ助けられ方される訳?・・・タツミ、あんた、あたしがそんなピンチに陥ったら必ず助けに来なさい!」
「あーたぶん、行かずに寝てるなぁ」
「ふぎぎぎぎぎぎぎぎ、グリグリ攻撃フルパワー!!」
「あーーあだだだだだだだだ!」
「ふん!・・・そうやって寝てな、タツミ、もうお休み!」
『・・・俺はもう死んでいる・・・』