時間は前後して、エスデス救出後、以前彼女に使わせていた小屋にセリュー含めた一行は向い、タツミと合流した。
飛行型の危険種は小屋近くの木に繋いでいる。
コロ「きゅきゅきゅいいい、(タツミが帰って来た)」
セリ「やぁタツミくーん、お帰りー大丈夫だった?」
タツ「ああ、とりあえずな・・・あのブドーは侮れない相手だな・・・」
セリ「あたしも警備隊に入隊した時にしか見た事無かったけど、改めて凄い威圧感だったね・・・」
そんな二人の会話にエスデスはつまらなさそうに
「・・・セリュー、随分とタツミと仲が良さそうだな・・・以前はそうでも無かったと思うが・・・」
セリ「え?・・・ああー・・・、まぁ色々と・・・、大丈夫ですよ、エスデスさん。タツミ君を取るなんてそんな事しませんから、あはは」
エス「む?判っているなら良いが」
タツ「セリュー・・・そんな事はどうでも良い・・・俺やセリューを探して帝国の追手が来るだろう・・・家まで送るぞ、だがまた何かあったら力を貸してくれ」
セリ「了解・・・ところで家はこっから遠いよ」
タツ「大丈夫だ」
そう言ってタツミはシャンバラでセリューとコロ、そしてその危険種も送った。
「ふふふうふふうふふ・・・・・・タァツゥミィ・・・やっと二人きりになれたな・・・///」
そう言って後ろから彼を羽交い絞めにする。
「タツミタツミタツミ・・・んーんーんーん///」
「お前ちょっと離れろ!・・・怪我してる割には無駄に元気だな!」
「そうだぞ、“誰かが”私の胸を怪我させたのだ・・・その代償は体で払っても貰うぞ・・・うふふふ・・・ぐっ・・・げほごほ」
「・・・言わんこっちゃない・・・大人しく寝てろ・・・」
「むぅ・・・、ならばタツミ、私を怪我させた張本人なんだ、治るまで看病するんだ、私の口に食べ物を運ぶんだ・・・、そうだ、箸やスプーンを使うのが嫌ならしょうがないな・・・口うつしで良いぞ///」
「何処もしょうがなくないだろ、それ!」
「うぬぬ、何故タツミは素直になってくれないんだ?流石の私も我慢の限界だぞ・・・はっ!これがボルスの言っていた焦らしプレイなのだな!」
「『あの人は本当に何を言ってんだ!?』・・・言っとくがな、場合によってはお前を見殺しにしても良かったんだぞ」
「全くタツミはキツツキだな」
「???」
「・・・違ったな・・・そう確かあれは、デレツンと言ったな・・・、流石の私も死を覚悟したが・・・タツミが迎えに来てくれた時は、今までの人生で最高の瞬間だったぞ♪」
「・・・・・・・・・・・・」
「どうした?」
「ランさんの奥さんはお前か・・・お前の部下に殺されたらしいぞ・・・」
「な・・・に・・・?ランの妻がか・・・?馬鹿な・・・そんな話一言も・・・」
「言う訳無いだろ・・・目指す仇を前に・・・彼なりに悩んだようだ・・・お前、これこれこういう特徴の人らしいが、殺した覚えは無いか・・・」
「すまん・・・覚えが無い・・・」
「戦争中に死んだと言ってたからな・・・流石に一人一人誰を殺したかは覚えてないだろうな・・・だけどな・・・、彼は俺がお前を助けに行くのを見逃してくれたんだ・・・、最後まで見逃すかどうか悩んではいたがな・・・助かったお前にはそういう人の怨みも背負っているのを忘れるな!」
「・・・・・・・・・・・・、ふっ」
他への嘲りか自嘲か判らない笑みを浮かべるエスデス。
「お前を助けに行くのを見逃す条件として、お前には二度と殺人をさせないという事だ・・・」
「!?・・・タツミ、それはもう二度と私に闘うな・・・という事か?」
「・・・そうだ」
「・・・・・・・・くっ・・・何故だ、何故私が・・・我が生き甲斐を奪われなければならない・・・、全ては弱い私が悪いと言う事か・・・?」
「・・・エスデス、前から聞きたかったが、今でもこの世は弱肉強食だと思っているのか・・・?・・・取り繕わず本心で良い・・・」
「ああ・・・、タツミは怒るかもしれないが・・・まだそう思う部分はある・・・」
「その割には・・・何故、部下達にはそれなりに優しかった?」
「それはタツミも判っている通り、その方が私に心服して命知らずの最強の軍隊になるからだ・・・」
「・・・お前は父親からこの世は弱肉強食だから仕方ねえよな・・・みたいな事を教わったそうだが・・・、そして、父親や仲間の死もその理屈で割り切ったようだが、本当にそれで良かったのか?」
「・・・?・・・勿論だ・・・父の言う通り、弱い者は滅びる・・・、悔やんだが、それも当然、仕方ない・・・」
「じゃあ、もし父親が弱肉強食じゃなく、この世は自他共存と教えていたらどうした?」
「・・・・・・?一体何を?・・・例えそう教えられたとしても・・・・教えられたとしても・・・・」
「お前は本当は仲間の死を、父親の死を弱肉強食の言葉で抑え込んで自分の悲しみを納得させたんじゃないのか?・・・そう納得しなければ自身の悲しみに押し潰されそうだった・・・だから、その理屈を今でも心の支えにしているだろう!」
「・・・ははは、タツミ、何を馬鹿な・・・、私が・・・違う・・・これが自然の摂理だ・・・『・・・ホントウニソウカ・・・』
「お前は何故、弱者は滅んで当然なら・・・どうして、死んだ兵士の遺族へ手厚い援助をする・・・?その理屈でいけば死んだ兵士の家族もそんな死んだ弱い奴の片割れなのだから、ほっておいても良いはずだぞ」
「いや・・・だからタツミ・・・それはだな・・・」
「エスデス・・・お前は本当は肉親や仲間の死を普通に悲しめる・・・普通の女の感性ももっていたんじゃないのか?・・・それを父親の言葉を今でも後生大事に信じ続けている・・・、逆にその事がその裏返しだろ!」
「・・・・・・・・・・」
「言っとくがな・・・恋をするのは、弱者のする事だと思うぞ・・・惚れたが負けって言葉もあるんだ」
「う・・・・・・『ホントウハチチノシハカナシカッタ・・・ダガ、チチガコノヨハジャクニクキョウショクナノダカラ、コロサレテモシカタナイ・・・ソウオシエテクレタ・・・クレタ・・・タ・・・』・・・・うわあああああああああ」
タツミは黙って彼女の動向を見ている。
エスデスの頬に一筋の水が流れる
「・・・ははは・・・ふふふ・・・、ああ・・・タツミの言う通りかもしれん・・・、タツミ以外の者に言われたら何を愚かなと思う所だが・・・、成程、流石私が惚れただけの事はある・・・」
「・・・・・・・・・・」
「タツミ・・・悪いが一人にさせてくれ・・・ゆっくり一人で気持ちの整理をしたい・・・」
「ああ・・・またな」