翌日夜
寺に向かう道、ブラート、アカメ、タツミの3人が向かう。
ブラ「・・・・・・・・・・・・」
アカ「ブラート・・・私が殺ろうか?」
ブラ「いや、俺が殺る・・・アカメは他の眉刹会の奴らを頼む・・・」
タツ「それだけ強い相手なんだね・・・今回は」『無理だ!・・・お前ら二人でも帝具使った所で勝てる相手じゃ無え・・・』
アカ「珍しいな、タツミが後学の為に一緒に来るなんて?」
タツ「ははは・・・」『お前らが殺されようがしったこっちゃないが・・・帝具があいつらの手に渡ったら厄介だ・・・。俺は慢心してた、ナイトレイドや帝国最強の奴らを倒せる技量が備わっとけばそれで良いと思ってたが・・・まさかあんな奴が居たとは・・・今の俺が勝てるかどうか・・・、ちっ、この体じゃ俺の思う通りに動くにはまだ動きの刷り込みが足りなかったな・・・帝具を使わない相手になるべく帝具を使いたくないが・・・仮に使った所で今の手持ちので勝てるか?』
3人供それぞれ無言となる。標的の居る場へ辿り着き、必要以上に距離をまだ空けている。
ブラ「・・・アカメは手を出さないでくれ・・・俺がしくじった後に頼む・・・」
アカ「判った・・・」
ブラ「タツミは・・・お前やっぱりもう帰れ・・・巻き添えをくうぞ・・・誰かを庇いながら闘える相手じゃねぇ」
タツ「え?ああ・・・それじゃあ『そう言われても仕方ないか・・・ここは一旦引いて・・・そして』ん?周りに誰かいるみたいだ・・・」
アカ「・・・そうだな・・・」
ブラ「・・・どうやらマイン達か・・・、他の眉刹会の奴らもあの寺ん中に全員居るみたいだな・・・こりゃ総力戦になるかな・・・」
その時何を思ったのかタツミが寺の道場へ歩いて行く・・・
ブラ「ばっ!お前!」
アカ「何を考えている!」
タツ「・・・標的が全員固まっててやりにくいなら、ゲンセイだけでも呼び出すのはどうだろう?」
ブラ「・・・・・・・・・」
アカ「・・・確かにそういう手もあるが・・・」
ブラ「タツミ、下手したら危ねぇぞ!」
タツミは笑って応える「いやぁ大丈夫だよ兄貴!・・・ただ呼びに行くだけだから・・・」
ブラートとアカメはタツミの大胆さを愚かだと或いは何も知らないから出来る芸当だと思った。
タツミは再び歩き始め・・・その顔には汗が滲んでいた・・・手持ちの帝具には戦闘用のモノは無く、更に建前は只付いて来ただけだったので身に付けても判らない短めの隠し武器を持っているだけであった。
タツミは音を消し気配も消して道場の扉に辿り着き、そこに手を当て全神経を集中して中の様子を探った。
タツ「・・・・・・・・・・・・ん?・・・『誰かいる・・・いや、誰も居ない?・・・妙だ』
タツミは手招きで二人を呼んだ。
二人とも無言で互いの意図を計ろうとする。
ブラ『どうした?』
タツミは扉を差した後、自分の鼻を差す。
アカ『・・・ん?血の匂い?』
ブラ『・・・確かに・・・、何故だ?』
これ以上思案しても仕方がないと判断し、頷いてタツミが扉を開ける。
その道場の真ん中には、ゲンセイが刀を突いて立っていた・・・満身創痍で片目は斬られていてそこには眼球が無く、体にも無数の傷が出来ていた。そして3人の存在に気付いたゲンセイは・・・
ブラ「ぐっ!」
アカ「うっ!」
タツ「!?・・・破ッ!!!」
3人に眼力で金縛りを掛けた・・・タツミだけはそれを弾き返した。
タツ『・・・危なかった、今の技は・・・面白い技だ・・・』
タツミは冷や汗をかきながらも、フッと笑った。
だが二人に掛けられた金縛りも直ぐに解けた・・・ゲンセイがブラートとアカメだと認めたからだ。
ゲンセイはふっと満足気に顔を俯け目を閉じた。
ブラ「師範!!」
ブラートはゲンセイに駆け寄った。
アカメは周りを観察し、良く見ると建物の所々が破損し、眉刹会の一人が死体となって横たわっているのを確認した。
ブラ「し、師範・・・これは一体・・・?」
ゲン「・・・全く、五月蠅い奴じゃ・・・満足に休みも出来ん・・・昨日お前が帰った後から・・・動き続けたから・・・流石に疲れたぞ・・・」
タツ『・・・他のメンバーの生きている気配も感じない・・・まさか一人で三人を相手に1日、死闘を行っていたのか・・?あの三人の一人一人だって、今のブラート達じゃ勝ち目は無いはずだ・・・』
ブラ「ゲンセイ師範・・・あそこに横たわってますのは・・・」
ゲン「見ての通りじゃ・・・、まぁ・・・儂の負けじゃよ・・・元来悪い者達では無かったと思っておったが・・・或いはそれを見抜けなんだ儂が未熟じゃったか・・・、とにかく、お前に言われた後、こやつらが眉刹会の者達だと知った・・・思えば不審な点もあったな・・・儂はこの年になって共に鍛錬できる仲間が出来たと、初めは素直に喜んどったのだが・・・、だから儂はお前が帰った後、彼らに事の真偽を問いただし、真相が明らかとなった・・・だから儂はもうこのような事から手を引けと諌めたのだが・・・、ふっ・・・説得できなんだ儂の負けじゃ・・・人の出会いとはなんらかの意味があるのだろう・・・かような者達を呼びよせるとは・・・儂も自分の業からは逃れられんのう・・・ぐっ・・・」
ブラ「師範!!・・・、貴方も眉刹会では無かったのですか・・・?」
「・・・ふっ、・・・だからブラートお前は間抜けなのだ・・・彼らが眉刹会だとしたら、成程、確かにこうして場所を提供している儂も言いようによっては一枚噛んでいるとな・・・そう思ったからお前の話に合わせたのだ、はっはっは・・・がはっ・・・」ゲンセイは血を吐いた。
ブラ「師範・・・早く手当てを!」
ゲン「馬鹿め・・・お前如きが儂の心配なんぞ・・・弟子が師の心配なんぞ10年早いわ・・・、儂も久しびりにちと動き過ぎて疲れただけじゃ・・・儂は少し眠るぞ・・・」
ブラートはやりきれなさにどう言葉を掛ければ良いか迷っている「・・・くっ・・・」
ゲン「・・・そうじゃ・・・一眠りする前に一つ言う忘れておった・・・、お前・・・どうせナイトレイドとかいう殺し屋の一味じゃろう・・・」
ブラ「・・・はい・・・」
ゲン「数十年前の帝都はまだ今のような・・・あのオネストとかぬかす奴もおらず、まだ今よりはマシじゃった・・・。儂は帝国政府に居た頃にもっとしっかりしとれば・・・お前のような闇に手を染めるような愚か者を出さずに済んだかもな・・・すまなかったな、ブラートよ・・・」
「・・・・・・いえ・・・」ブラートの目から自然に溢れ出てくるものが見え始めた。
ゲン「・・・そこの御二方・・・アカメさんに・・・タツミ君と言うたか・・・儂の弟子の中でも最も悪いほうじゃったが、こんな奴でも後の面倒を頼みましたぞ・・・はぁ・・・喋り過ぎたわい・・・もう好い加減眠くなって来た・・・儂が起きた時はブラート、少しは進歩しておれよ・・・・・・・・・・・」
ブラートの顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
そして、ゲンセイは刀を地面に突いたまま、立ったまま絶命した。
「い、・・・今まで・・・自分が悪くたって・・・棚に上げてたような人だったんだ・・・いつか頭下げさせてやる・・・そう思っていたんだが・・・なんで最後の最後で謝んだよ・・・」
ブラートは彼の側で何度も地面を叩き・・・人目憚らず泣きに泣いた・・・、その姿を道場の状態に気付き中に入って来たマイン、シェーレ、レオーネ、ラバック、そしてアカメとタツミは彼の気の済むまで見守った。
ナイトレイドアジト
報告を聞いたナジェンダは・・・「そうか・・・そういう事だったのか・・・」
ブラ「・・・・・・・・・・・」
ナジェ「今回の報酬は・・・さて、どうしたものか・・・」
シェ「・・・そうですねー、実際仕事・・・と言いますか、行ったのはブラートの御師匠さんですし・・・」
ナジェ「ゲンセイ武術師範か・・・、私も帝国軍人だった頃は任地も違い面識は無かった・・・ブラートの話で外道に堕ちたものと思ったが・・・ふふふ、喰えない方だな」
マイ「・・・こんな時に悪いけど・・・ひょっとしてタダ働き?」
ラバ「う~~~~ん、時間手当程度は欲しいかな?」
レオ「え?それぐらいしか出ないなら、あたしの今回の借金返せないー!」
タツ「姐さんはもう少し生活態度改めた方が良いよな」
アカ「うんうん」
レオ「んがっ!!二人とも出来ているじゃないのかぁ!!」
アカ「出来てる?」
ブラ「・・・ナジェンダ、皆には悪(わり)ぃがその金は依頼人に戻してくれないか・・・」
ナジェ「・・・判った、タツミ以外には最低限の時間手当のみ出そう・・・タツミは今回、任務でも無く自分で付いて行きたい言いだしたのだから構わないな?そして、ブラートには特例で元々の報酬を渡す・・・それで良いな、皆!」
タツ『ああ・・・、まぁ俺は表向き何もしてないからな・・・とほほ・・・』
レオ「ええーーーーー・・・まままままずいーーーー!」
マイ「まぁ仕方ないじゃない?・・・だから言ったのよ・・・レオーネは100%の確率で調査に抜けがあるって・・・いしししし」
シェ「まぁまぁ、マイン。今回は仕方がないですよ」
「そうだよね・・・あたしだっててっきりあの爺さんも・・・」レオーネも流石にそれ以上の言葉は呑んだ・・・。
ブラ「ナジェンダ・・・恩に着る・・・」
皆は解散し、廊下でブラートが自室に戻る途中、
ブラ「?」
タツ「兄貴・・・これ、ゲンセイさんの供養に使ってくれ・・・余り多くは無いけど・・・」
タツミはブラートに弔い金を渡す。
ブラ「タツミ・・・」
タツ『面白い技を教えて貰った・・・その礼代わりだ・・・』
「ブラート、私も・・・」アカメがそう言った時・・・ぐーきゅるきゅる・・・ぐー・・・、アカメのお腹から空腹を告げる合図がなる。
アカ「・・・・・・・・・・・・・すまない」
ブラ「あー・・・アカメ、気持ちだけで十分だ・・・」
数日後
ゲンセイの居た寺は清掃され、その傍には彼の墓が安置された。そしてその前で手を合わせるブラートの姿が見て取れた。
その後ろにはアカメとタツミが見守り、その日は穏やかな天気に心地よい微風が流れていた。