※この作品はR-18です。

タツミ無双   作:聖獅

62 / 136
八房を斬る

革命軍の密偵達はあらかじめ帝都内の住人達に前もって内戦が本格化する事をそれとなく触れまわり・・・

 

「とうとうあの帝国の圧政を打ち砕いてくれるんだ・・・」

 

「どっちにしたって、闘いになりゃ人死にが出る・・・勘弁してほしいぜ」

 

「な~に、帝国にはいざとなったら、ブドーや帝具があるだろ、どうせまた直ぐに鎮圧されるさ」

 

『・・・この話を帝国に垂れ込んだら、いくらくれっかな・・・くくく』

 

避難する者や只の噂だと取り合わない者、革命軍に参加する者や逆に帝国軍に伝える者とさまざまであった。

 

タツミがブドーを引きつけている間にナジェンダは別方向から帝都に侵入し、大軍で押し寄せていた。今日に至るまでこの暗黒時代を終わらせてくれると、物質を献上され、進軍に当たって他の拠点の城も抗戦すれば内部で民の暴動を誘発するという事で控え、寧ろ革命軍に志願兵として参加するくらいであった。

 

そして・・・帝都を囲む城壁で遂に闘いの火蓋が切って落とされた。

飛び交う銃弾、火矢、大砲・・・その間に・・・

 

アカメ、レオーネは帝都城壁を突破し、城下に入り宮殿へと目指す。

それに呼応して帝都内でも民衆が暴動を起こし始めた。

公開処刑場は取り壊され始め、その暴動を受け帝国軍が内部にも出動し始める。

アカメとレオーネが疾走する中、暴動鎮圧に赴いたクロメと出くわす。

 

 

 

 

 

「・・・!?」

 

「お姉ちゃん!?」

 

 

 

 

 

レオーネはアカメが立ち止った事に気が付いて後ろを振り返り、

 

「え?クロメ!?」

 

 

二人とも廻りの喧騒を他所に対峙し、その間だけに静寂が流れる。其の時風が流れアカメの美しく流れるような黒い髪を揺らし、クロメの黒曜石のような瞳も僅かながら妖しい光が漂い笑みを浮かべている。

 

「お姉ちゃん、結局・・・革命なんて、血を流す為じゃない・・・?」

 

「クロメ・・・これが皆の思いだ・・・、民を威圧していた処刑場があの有様だ・・・クロメ、お前はそれでもまだ、民の為に今の帝国政府は必要だ、などと言えるのか?」

 

「皆・・・?本当に皆かな・・・?一部の困ったさんを抑える為には悪い人はこうなるんだよって、アピールする事も必要なんじゃないかな・・・?」

 

「・・・くっ・・・この判らずや!!」

 

「判らずやなのはお姉ちゃんだよ!!」

 

 

クロメはゆらりと動き、徐々に近づき「・・・とうとう決着を付けられるね・・・、今度は以前のようにはいかないよ・・・だってもう時間が無いから・・・是が非でも今ここで終わらせる!!」

 

クロメは八房を抜き放つ。

 

「クロメ・・・、八房の力は戻ったのか?」

 

「そんな事関係無いよ・・・」

 

アカメも村雨を抜き、両逆手で構える。

 

そして・・・二人は真っ向からぶつかり、火花が飛び散る。

アカメはそのまま、クロメを押し斬ろうと圧を掛ける。クロメもそれに対し後退しながらも対抗する。

 

「へぇ~・・・お姉ちゃん・・・前より腕を上げたね・・・、くっ、『ウェイブと特訓して無かったら・・・これで斬られてた・・・』

 

アカメはクロメと鍔釣り合いをしながら

「レオーネ、先に行け!!」

 

「・・・!?」レオーネも助けに入るか一瞬悩んだが、直ぐに「判った!!後で絶対会おうな!!」

 

レオーネは宮殿へ向かった。

 

クロメはアカメの村雨をいなして、距離をとった。

 

「優しいね・・・二人掛かりの方があたしを殺れたんじゃないの?」

 

「お前くらい・・・私一人で十分だ・・・」

 

 

姉妹は死闘を開始した。

 

 

城壁では両軍が激突し、激しい攻防が続いていた。ラバックが何度か手を交差し終えた後にクローステールで網状の防波堤を造り飛んでくる、火矢、銃弾を防ぎ、そしてそのまま敵へと送り返す・・・それは同時にナジェンダを護衛する事であった。

革命軍の突撃隊の先陣をスサノオが勤め、彼の武器である先端に長筒状の槌が付いた槍で突進していき、迫りくる帝国兵士を次々に薙ぎ倒していく・・・。

 

「な・・・なんだあいつは!?・・・銃撃隊、奴を迎撃しろ!!」

 

・・・だが、スサノオは被弾しても、直ぐに修復し・・・修復する暇も気にせず突き進んでいく。

 

「隊長!?奴は恐らく帝具人間、コアを壊さなければ・・・うわわああ・・」

帝国兵士は圧されていき、スサノオに続いて革命軍兵士達が城壁内への流れこんでいった。

 

「ナジェンダさん!」

 

「ああ、我々も行くぞ!」

 

ナジェンダ達もそのまま突入していった。

 

 

宮殿内では、

 

「申し上げます!反乱軍の者達が城壁を突破して来ました!」

 

斥候からの報告を聞き、皇帝カライと大臣オネストは・・・

 

「だ、大臣・・・」

 

「やれやれ、まさか根も葉もない噂が現実になるとは・・・ですがご安心を、陛下・・・貴方様にはあの帝具があるではありませんか?・・・いよいよとなれば、陛下ご自身の手で逆賊共に罰をお与えください!」

 

「し、しかし大臣・・・余の民達はどうなる?巻き添えになるのではないか?」

 

「・・・あ~・・・」

オネストは面倒そうに逡巡した後、

「な、何を仰います陛下!?・・・我々栄えある帝都民!!逆賊共を撃つ為なら喜んでその命を捧げるでしょう・・・」

 

「こ、こんな時にブドーが・・・、せめてエスデスがいてくれたならば・・・」

 

「陛下!?何を弱気な事を・・・エスデスは裏切り者ですぞ!・・・ああなんと嘆かわしい・・・陛下にこれだけ信頼されていながら・・・全くあの裏切り者が・・・ですが陛下、私オネストだけは何があろうとも陛下をお守りしますぞ!・・・そうです、この難局を乗り切れば、そこには安寧な未来が待っていますぞ!?・・・『ちっ・・・まだエスデスを・・・踏ん切りの悪い若造だ。それにブドーも何をしている・・・あのウスノロ!』」

 

 

姉妹の攻防は続いていた。周りの喧騒、闘いは何処吹く風で、逃げ惑う市民や革命兵士、帝国兵士の間を擦りぬけながら軒下、露天商を突き破り、互いに隙を窺う。

 

「どりゃああああ、アカメの首は俺が貰ったぁあああ!!!」

斧を振り上げ帝国軍兵士がアカメの頭上から振り下ろす・・・だがアカメは寸で交わしつつ相手の両腕を斬り落とし、其の武器をクロメに投げつける。

クロメは走行に邪魔だった革命兵士を蹴飛ばし、投げられた武器はその兵士に向かい・・・辛くも凌ぎ倒れる・・・その兵士を呼吸困難にさせる踏み抜きクロメは行い、

反動で跳躍しアカメに強烈一撃を見舞うおうとする・・・、

クロメの上段からの一撃をアカメは下から斬り上げ、僅かに軌道を逸らしそのままクロメの頭上を斬りにかかる。しかしそれを寸で半身でかわし肘打ちをアカメに喰らわせる、アカメもそれを片腕でいなし、その反動で回転斬りを行うがクロメもそれに反応し受け止め彼女も回転しながら弾き、互いに再び距離をとる。

 

二人は人々の網間を走り抜けながら、アカメは村雨の鞘をクロメに投げつけ、負けじとクロメも八房の鞘を投げつけ空中でぶつかり合う。その間にアカメは下を掻い潜りクロメの足元を薙ぎ払いに掛かる。クロメはそれを空中後転でかわす・・・だがそれを見逃さずアカメは追撃する。

 

ガキン!!

 

アカメの突きをクロメは刀を沿わせた形で空中でもいなし僅かな接点を支点に、足蹴をアカメの顔面に入れる。

 

「ぐっ・・・『クロメ・・・限界まで薬を使っているな・・・』

 

アカメも直撃だけは避け、素早く後方へ回転しながら飛びし去る。

 

ニヤァ・・・クロメは笑みを浮かべ、追撃しようと肉迫する。

だが、そこに逃げる子供が転び恐怖に引きつっている・・・

 

「くっ・・・あんた、邪魔!!」

 

クロメは怒鳴り子供を押し退け、アカメに迫る。

 

「・・・・・・・・」

 

アカメは一旦、構えを解き目を閉じる。

 

クロメはその瞬間を見逃さず横薙ぎの一撃をアカメに加えようと・・・その時、アカメは目開き、今まで抑えていたモノが弾けるようにクロメの八房を薙ぎ払う!

 

 

 

「・・・・・!?」

 

 

 

 

クロメは驚愕した、八房が根元を幾分だけ残し刀身が折れたからだ・・・。

 

 

 

 

「・・・勝負あったな・・・クロメ・・・」

 

 

「・・・凄いよ、お姉ちゃん・・・正直言ってずるいよ・・・あたしなんてあれだけ薬・・・超強化薬飲んでここまでが限界なんて・・・うぐっ・・・げほごほ」

薬の副作用が出始めていた・・・

 

「・・・今までの私では、全力のクロメが相手ならよくて相討ちだったさ・・・だが今の私には・・・」

 

「・・・なに?ナイトレイドの仲間がいたから・・・?」

 

「・・・・・・」

 

「今までのお姉ちゃんの太刀筋とは違うもの感じたけど・・・自分で編み出したの?それとも誰かに教わったの・・・?」

 

「・・・クロメ、大人しく敗北を認めろ・・・そうすればクロメの身柄は私が預かる事になっている・・・悪いようにはしない」

 

「・・・へぇ・・・?ナイトレイドに入った時の何かの条件?・・・優しいね・・・でもあたし、まだ負けたと思ってないよ・・・ふふふ、だって・・・」

 

バリン・・・

 

 

アカメの村雨の刃の部分、崩れていく・・・

 

「な・・・!?」

 

 

「村雨のかすり傷での一撃死が怖かったからね・・・ずっと、どうにか出来ないかなと思ってたんだよ?これでやっと怖くないね・・・まさか峰打ちでも一撃死なんて事ないよね?・・・うふふ」

クロメはまだまだ余裕の笑みを浮かべる・・・だが、目下には焦燥の色が浮かぶ。

 

 

『村雨・・・今まで有難う・・・そして、すまなかった・・・だが最期の一働きをしてくれ・・・』

村雨には所々ヒビが入り、いつ折れてもおかしくない状態であった・・・

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。