ズゥゥ・・・・ン・・・・・
倒れたのはコスミナだった・・・
「ちっ・・・誰じゃ・・・」
砂煙舞う中現れたのはグランシャリオを纏ったウェイブだった・・・彼はクロメを
抱えていた。
「クロメ・・・」
アカメは安堵し膝をついた。
「ウェイブ・・・」
クロメはウェイブの顔を撫でた
「すまねぇ・・・遅くなった・・・、あいつら、ワイルドハントの・・・てめぇら誰が敵か判ってんのかぁああああ!?」
「・・・また煩いのがきたのー、おいそこの小僧、見逃してやるから・・・とっととそこの餌を置いてゆけ!」
「・・・・・・・」
ウェイブはクロメを少し離れた場所へ避難させ、
コスミナに対峙する・・・アカメもウェイブを見守る。
ウェイブはランに教えられた事を思い出していた
「ウェイブ・・・君は有り余るパワーをお持ちですね・・・エスデスさんが君の強さは完成されていると・・・言ったのも頷けます」
「へへ・・・けどよ、完成されているなら俺は誰にも負けないのかよ・・・どうも違う気がする・・・」
「ええ・・・完成されているという事は、これ以上強くはならないという事です・・・とはいえ今のままでも十分なんですがね」
「俺は・・・帝国最強と言われた隊長に勝てるのか?」
「・・・まぁまず無理ですね」
ウェイブはずっこけ
「おい、はっきり言うなよ!!・・・はぁ・・・俺って所詮ここまでが限界の男なのかよ・・・」
ランは溜息を付き、「・・・エスデスが言ったのはあくまで今のままの君でならと言う事です。」
「どう言う事だ?」
「つまり君自身が一皮剥ければ限界突破もありうるという事です・・・」
「ラン・・・いや先生よ、どうすればいいんだ!?」
『・・・ランは言っていた・・・俺は力を無駄に外に発散している所があると・・・それを内に溜めて使えば・・・紅く燃える炎よりも青白い炎の方が熱い・・・』
ウェイブは砂煙舞う中ゆっくりと歩いていき、
「・・・全く死にたがりな若造じゃ、コスミナやれ」
ズン・・・
「ギッ!?」
攻撃した位置にはもう居らず、次の瞬間・・・コスミナは音を立て倒れた。
ウェイブは強烈な肘打ちを彼女の鳩尾に叩きこんでいた。
『疾い・・・』
アカメの頬に思わず汗が流れた。
ウェイブは強烈な乱れ打ちをランに向けたが、全てそれをいなされる。
「くっ・・・つぇえ・・・、お前こんなに強かったのかよ・・・」
「同僚ではありますが私は年上・・・ああいえ、もう上司なんです、少しは敬って下さい、ウェイブ?・・・出世して内部から帝国を変えたいのでしたら今のままでは駄目ですよ」
「ああ・・・悪い・・・ところで隊長とあんたはどっちが強いんだ?」
「・・・・・・・、それはウェイブが強くなったら判りますよ」
「・・・なんだよそれ、教えてくれないのか?」
「そもそも強さというのは何も一方向のみではありません・・・もっとも今ウェイブが欲しい強さは純粋な戦闘の方でしょうがね」
「そうだよ・・・頼む、教えてほしい!!」
「ウェイブ・・・、貴方は先ほどの拳を何度も打っている時、心も猛々しかった・・・外で激しく燃えている時ほど内を静かに、そしてその逆も行ってください」
「うっ・・・難しい事言うなぁ・・・」
「無理だと思うなら・・・とっとと諦めて下さい」
「・・・すまない、先生、俺は強くなりたい・・・」
『ああ・・・激しい攻防の時ほど・・・内は静かに・・・だ・・・』
コスミナは高周波の巨大な音波を浴びせてくる。それは周囲に影響を及ぼし、遠巻きで様子を窺っている兵士やアカメ、クロメにも被害が出る。
「くっ・・・耳が・・・」
「うっ・・・体が・・・ぐっ・・・なんとか動く・・・」
「クロメ、大丈夫か!?」
クロメは洗脳ショックによる身体不自由が皮肉にも緩和され、アカメも気遣う。
「コスミナ、奴のグランシャリオの固定周波数に合わせよ・・・そして、殺せ!!」
ウェイブはクロメ達の動向を背中で聞きながら、その音波の最も芯となる部分は避けながら、手近な物を投げつける。それは共振動を起こし粉々になる。
「ぬ!?」
ドロテアは驚いた・・・ウェイブが自らコスミナの口の中へと突っ込み、食べられたからだ・・・
「ウェイブ!!!」
「くっ・・・『駄目だ、今のままでは歯が立たない・・・クロメとの闘いで体力を使いすぎたか・・・』
「ふ・・・ふははははは・・・、奥の手を出すまでも無かったの・・・、全く自爆にもならん・・・とんだ無駄死にじゃ・・・悲しいか?・・・だが安心しろ、直ぐに会わせてやるからのぉ・・・」
「クロメ、逃げろ!!」
「嫌ぁああ!!ウェイブ!!!」
クロメは泣き叫ぶが・・・其の時、薙刀状の臣具を持った男が地中から現れ、コスミナに攻撃を加える。
「え・・・ナタラ!!」
「ナタラ・・・?『馬鹿な・・・八房はタツミが封じたはず・・・何故・・・?』
クロメもアカメも動揺を隠せず、ナタラは二人を一瞬見た後コスミナに挑む。
「なんじゃ、新手か?・・・クロメの骸人形か・・・?ふん、コスミナ!人形如き喰ろうてやれ!!」
ナタラは巧みにかわし、コスミナの攻撃を右に左に弾いていく。だがその時、彼女は再び巨大音波をぶつけてくる。
ナタラは避けきれず、左上半身が半壊する。
「ナタラぁああ!!!」
「馬鹿、クロメ、抑えろ!!」
「だって、ナタラが死んじゃううぅううう!!!」
「クロメ!!ナタラはもう死んでいるんだ!!」
「・・・・!?」
クロメは多少気が動転していた。
それにアカメも只手をこまねいて見ている訳では無かった、流石に素手で太刀打ち出来ない為、普通の剣でもあればと探したが近場には無く、ドロテアもまだ闘えるアカメを目で牽制しているのが判っていた。
「ぐっ・・・・グギャアアアアあああアアああアアあああああああああぁぁぁぁ・・・」
いきなりコスミナが周りをぞっとさせる悲鳴を上げ、喉元から鮮血が迸り、ゆっくりと倒れた・・・
「な・・・なんじゃ・・・どうしたのじゃ、コスミナ・・・?」
ドロテアは顔面蒼白となり、慌てふためいた。
ギリギリギリ・・・・・
コスミナの喉がぱっくり割られ、中からウェイブがグランシャリオを纏った状態で現れた。
「な・・・な・・・な・・・」
ドロテアは唖然とし
「ウェイブ!!!」
クロメはウェイブに抱きついた。
アカメも安堵し、直ぐにウェイブが持っている物に気が付いた。
「バカぁ、死んじゃったかと思ったよ・・・ううう・・・」
「わりぃ、わりぃ・・・咄嗟に中からぶち破れないかなって思ってさ・・・お前の八房が役に立ってぜ・・・、けどなんで体がヤケに痛いんだ・・・、ク、クロメ・・・お前あんまり強く抱きしめんな!!」
「・・・心配させた罰・・・」
ウェイブの片手には半分に折れた八房が握られており、それでコスミナの内部から斬り裂いた。
だがもう八房は刃こぼれが酷くもう斬れそうにも無い。
「体が通常より痛むのは・・・恐らく帝具を二つも使った代償だろう・・・」
「アカメ・・・」
ウェイブの問いかけにアカメは頷く。
「・・・俺、ただ八房を刀として使ったはずなんだが、帝具として発動させてたのか・・・?」
ナタラがゆっくりとクロメの側に来る。
「あ・・・こいつがクロメの言っていた・・・」
「ナタラも・・・ありがとう・・・」
彼はふっと微笑んだ・・・だがその優しげな瞳は突如腐り初め、溶け、髪もやつれ抜け落ち、肉はドロドロとなり、地面へ落ちていき・・・骨となった・・・だがその骨もやがては粉末と成り果てた・・・
1分とも満たない出来事だっただけに、3人は呆気に取られた・・・
「え?・・・ナタラ・・・、ナタラ・・・・・・」
アカメは唇を噛み締め目を閉じた・・・『ナタラ・・・』
ウェイブは泣きじゃくるクロメの肩にそっと手を置いた。
「ナタラァ・・・・ごめんね・・・今までごめんね・・・うわぁああああ・・・」
八房はもう二度と帝具として力を発揮する事は無かった。