アカメは周りに警戒し、ドロテアが居ない事に気付いた。・・・奴を野放しには出来ない、そう考えたアカメはそこから離れようとした。
「待てアカメ!」
ウェイブの言葉にアカメは立ち止り
「・・・クロメを・・・妹を頼む・・・」
「大臣を・・・皇帝も殺しに行くのか?」
アカメは一瞬言葉に詰まるが
「大臣は長年の標的だ・・・皇帝は・・・」
「お姉ちゃん待って・・・ぐっ・・・駄目、行って・・・いや行かせない・・・ぐぐぐ・・・ああ、頭が・・・」
「クロメ!?」
アカメは心配そうに駆け寄るが、
「駄目、お姉ちゃん早く行って!!・・・でないとあたしの中の別の何かがお姉ちゃんを・・・止めたく・・・殺したく・・・」
「そいつはランが教えてくれた!!アカメお前ら暗殺部隊の先鋭になれなかった奴らは薬物投与の他に無理矢理帝国への洗脳処置をしてたってな・・・他にもそんな奴らがいるかもしれねぇ・・・ちっ」
「そうか・・・それで、それなら今までの事も納得がいく・・・」
「アカメ・・・、ここは俺に任せて早く行ってくれ!!」
「ああ・・・妹を頼む!!・・・だが良いのか・・・?ウェイブは帝国に反旗を翻すのか?」
「・・・俺の恩人は帝国の為になる事をしてくれと言った・・・けどよ、俺の女をここまでおかしくする政府に一泡吹かせてやりてぇ・・・あの人だってきっと判ってくれる」
「・・・・・!?」
クロメは彼の発言に驚いた・・・そしてウェイブは後で自身の発言に激しく恥ずかしい思いをする事になる。
「フッ・・・・」
アカメはその場から疾走した。
スズカが10指の爪から相手の首を抉り尽き刺し抜く・・・細い刃状の線を出す。
だがそれをかわし、或いは素手で弾き、迫りくる。
「おお!?やるぅ!」
改造人間がスズカを殴り飛ばす。
『ああ~ん・・・良い~・・・深爪の痛みも~』
吹き飛ばされながらスズカは感じている。
2体が共に追いつき一撃で沈めようと迫る。
「け~どぉ・・・ま~だ、だ~め~」
スズカは瞬時に1体の腕に捕まり関節技を極め折った後、もう1体の首を捻り絶命させる。
「はい、一丁上が・・・がっ・・・」
スズカの後ろから一刀を浴びせる別の数体。すぐさま飛びし去るスズカは
「今の一撃も中々良かったわ・・・ああ~ん、けど物足りない・・・駄目ね・・・全然駄目ね~・・・やっぱ彼に着いて良かったわ~・・・この任務終わらせたらどんな苦痛をくれるんだろうぉ・・・うふふ・・・」
スズカは俊足で残りの数体の間に突進する、前の2体が刀をスズカに当てる・・・が、避けて仲間に当たり、その隙に彼女は2体の首根っこを片手づつ掴み、地面に叩きつける。
「まだまだだねぇ・・・ふふふ」
だが、彼女が油断したその時、相手は自身の喉ごと刀でスズカの両の手を貫く。
「うう~・・・ん・・・あらぁやるじゃない・・・えっと、これって万事休すってやつ?」
生き残っている4体が息の根を止めようと肉迫する。
「あら~ふふふ・・・、華の命は短いってねぇ・・・あんたらじゃあ物足りないけど・・・ちょっとはマシな痛み頂戴よぉ・・・」
ドロテアは自身の研究所に戻るべく走っていた。
『おのれ・・・おのれ・・・妾の悲願が・・・、おのれぇえええええ、小便臭い小僧と小娘共が・・・だが、あの研究所の資材さえ持ち出して再び再起せてみせる・・・・む?』
「はぁああああああああああ!!!!!」
ナジェンダがラバックの帝具の糸を掴み彼が目標の位置目がけてぶん回し、多くの帝国兵士の頭や胴体を蹴り飛ばしていく。
ナジェンダが敵兵の間を走り抜けながら、頃合いを見計らってラバックが引っ張り、多くの兵の足を絡ませ、倒れさせこちらの優勢に変え味方を攻撃を捗らせる。
『よし、全盛期以上に動けている』
ナジェンダは自身の動きに満足し、
「ナジェンダさんが自ら闘っている!!我々も遅れを取るなぁあ!!」
彼女の奮戦は味方の兵の鼓舞にも繋がった。
其の時、黒い液体状の怪物が兵士達を襲う・・・
「・・・な、なんだこれ・・・ぎゃああああああ、ナ、ナジェ・・・」
飲みこまれた兵は溶けていき、吸収されていく・・・
ナジェンダは咄嗟に助けに行くが、助けた兵は手を残すのみとなり・・・
「あぶねぇ!!」
ラバックは咄嗟にナジェンダの手に糸を絡ませ、離脱させる。
ナジェンダは残った手を握り、
「くっ・・・あいつはワイルドハントのドロテア・・・」
ナジェンダとドロテアは対峙し
「ふん・・・、話ではお前、エスデスに片目、片腕をやられたそうじゃが・・・、ようも治ったな・・・誰のお陰じゃ?スタイリッシュか・・・くくく、奴と裏取引でもしたか・・・?おい、反乱軍共、このナジェンダは敵と内通し、元の体を取り戻したのじゃ」
兵達の間に動揺が走る・・・
「馬鹿野郎!!ナジェンダさんがそんな事、する訳ねぇだろおおお!!これは・・・タツミって奴がスタイリッシュを殺して奪ったパーフェクターで治しんたんだ!!」
「ラバ・・・おまえ・・・」
ナジェンダが嗜めようとしたが、ラバック自身も判りすぎる程判っていた・・・、タツミはイェーガーズに身を置く、だからその存在は伏せれるなら伏せておくべきだと、偽名も使えただろうが、説得力を持たせる意味でもつい、本名が出てしまった。
「なに!?タツミじゃと・・・、そうか・・・、まさか・・・今までの一連の・・・そうか・・・、判ったのじゃ・・・あのエスデスを連れ去ったのも・・・、ワイルドハントを壊滅に追い込んだのも・・・そうか・・・誰か背後におると思っとったのじゃ・・・あのタツミが裏で糸を引いておったか・・・あのウスノロの下っ端警官が・・・ふん・・・能ある鷹はなんとやらじゃな・・・」
だがドロテアはこれは使えると考え、
「よぉ聞け反乱軍兵士共!!・・・このナジェンダは、タツミを使いエスデスを手駒にした・・・だが、あのエスデスが本当に貴様らに寝返ると思うか?こやつらは反乱の後、主導権を我が物にする為画策し今の政府と変わらぬ圧政を敷き、自らが取って替わろうとしているだけじゃ!!」
平静で聞けば何を世迷言を言っている?となるが・・・戦闘の高揚や全員に知れ渡っている訳ではないタツミの情報や誤情報で混乱が起き始める。
ドロテアはその様子をニタリと眺める。
「むっ!?」
ナイフをかわし、ラバックを睨みつける。
「・・・・・・、俺の責任だよな・・・俺もタツミの事、そんな良い奴だと思ってねぇし、本当は何企んでるんだって疑っているけどよ・・・お前よりは1・5倍マシだって事くらいは判るぜ・・・」
「・・・・・・」
ナジェンダはこんな時だったので何も言わなかった。
「ナジェンダさん・・・、他の奴ら連れて先行って下さい・・・お前ら、こんな妄言に惑わされんな!!」
動揺が収まりつつあるが、それでも1,2割は不信感に囚われた。
「・・・皆、色々情報が流れていると思うが、今は私達を信じて欲しい・・・来たい者だけで良い、後に続いてくれ!!」
ナジェンダは走り出し、先頭のスサノオの元へと向かった。
その間でもドロテアの召喚した怪物が革命兵士を捕えていき、ラバックが応戦、助かった者もいれば・・・、やがて廻りも人数が減り、
「ふん・・・、一人残るとは・・・、お前が死ぬ前に聞いておくのじゃ・・・タツミとはどんな奴じゃ・・・?」
ラバックは面倒そうに返答する
「タツミ?・・・しらねぇよ・・・一つ判ってんのは、あの野郎、女なんか興味ねぇみたいな嘘スタイルを貫いているって所だ・・・気にいらねぇ奴だ」
「・・・お前はそんな奴とよう共に闘っておるのぅ・・・?」
「ああ!?一緒に闘った覚えなんてねぇよ・・・ただ、敵がたまたま同じだっただけだ・・・」
「ふん・・・悪ガキ共が・・・」
ドロテアの怪物が膨れ上がり、ラバックを覆うように迫る。
「あ、やべ!!」
ラバックは唖然とし
「ふふふははは・・・そのまま吸収されるのじゃ!!」
だが・・・その怪物はラバックの寸前で止まる・・・
「なっ!?・・・な!?馬鹿な?」
ドロテアは合点がいった・・・位置を少し変えると見えにくいが銀色に輝く袋状のものが怪物を覆い・・・「うぉおおおおお、りゃあああああああ!!!」
ラバックの気合い声と共に、彼は作用点になる糸を引き、そのままその怪物をドロテアに送り返す。
「『喋っている間にまさか・・・罠を・・・』な・・・くるなぁああああああ!!!」
ドロテアはその怪物に呑まれ絶叫をあげ溶けていく・・・其の正体が見えてくる。
「ふっ・・・、なんだ少女じゃなくてババアか・・・俺ってこんな役回りばっかだよな、本当・・・さてこんな奴にいつまでも構ってないでナジェンダさんの所に行くか」
ラバックは後ろを振り向いた・・・其の時、彼の両脚、両腕が貫かれる・・・
「うがっ・・・」
ラバックは倒れ後ろを見る。
貫いたのは先ほどの黒い液状の怪物が刃物となって攻撃したからだが、もうそこには存在しない。
居たのは所々、溶かされたドロテアが本性を現し近付いてきた。
「許さぬぞ・・・許さぬぞ・・・小僧・・・、妾をここまで虚仮にしたのは・・・お前が初めてじゃ・・・貴様・・・楽には死なせんぞ・・・」
「う・・・うわぁああああああ・・・やめろ、やめてくれええええ」
ラバックは五体を這いずらせながら、少しでも距離を取る。
「ふっ・・・さっきまでの威勢はどうした?・・・まぁとりあえず血を吸わせろ・・・安心しろ、まだ殺さぬぞ・・・、この後、両腕両脚引っこ抜き、両眼と歯を抉り抜き、樽に入れ、最後の一滴まで啜ってやるわ・・・」
「ひっ・・・ひぃいいいいいい・・・・やめて、やめてくれええええ、頼むうううう!!」
「・・・本当に何じゃお前・・・興醒めじゃ・・・」
ドロテアはラバックの肩に噛みつき、血を吸い始める・・・
「ふっ・・・」
ラバックはガクガク震え、
「く・・・暗い・・・周りが・・・」