※この作品はR-18です。

タツミ無双   作:聖獅

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明日の自分を創る為に疾る

標的目指して疾るアカメ・・・だが影に隠れた強大な殺気を察知して、瞬時に抜刀しその者への喉元へ突きつける。

 

「・・・・・・・・」

だがアカメの首にも得物が巻きつく・・・互いに膠着し動かないが、

 

「・・・!?・・・何だアカメちゃんか・・・脅かすなよ・・・」

そう言ってラバックは帝具の糸からアカメを解放する。

 

「ラバックこそ・・・流石だな・・・」

アカメも剣を降ろして安堵し微笑みかける。

 

「あ?俺がアカメちゃんに叶う訳無いだろ?・・・それよりも殺気剥き出しでどうしたよ、なんかあったか・・・ああ、村雨じゃなく剣か・・・」

平常時のアカメなら殺気も隠したであろうが、今は隠す気も無い…それはラバックも同じであった。

 

「・・・・・・、ああ、村雨は役目を果たしてくれた・・・」

 

「そうか・・・『村雨無しで何処までやれるか・・・まぁ良いか俺がなんとかすりゃ』・・・それで一体何があった?」

 

「そうだ!?確かドロテア・・・奴を葬らなければならない!あの女何処に行ったかラバ判るか?」

 

「ああ、あいつか・・・なぁにそう急がなくたっていずれ嫌でも“また”会うだろうさ・・・へっへへ」

 

アカメはラバックの怪我の具合で難敵と闘った事を察し、それが誰であったか得心した。

 

「流石ラバックだな・・・」

 

「いやぁ俺婆さん萌えじゃねぇんだけどな・・・婆さん萌えはタツミの奴で・・・参ったな、アカメちゃん俺に惚れた?いやでも俺にはナジェンダさんが・・・いやでもアカメちゃんがそこまで言うなら一晩だけなら・・・って居ねぇ!!」

 

アカメは既に走り去っていた・・・

 

 

 

 

帝都の街では

民衆が逃げ惑い、帝国軍兵士が劣勢で逃げていく・・・だがそんな時に少しでも金目の物やこのどさくさで子供を狙い売り飛ばそうと連れて行こうとする者がいる。

「キャーーーーー・・・や、止めて下さい・・・、だ、だれかー!」

 

「静かにしやがれ!もうこうなりゃ破れかぶれだ!奪える物奪って何が悪い!!」

そう言ってその兵士は母親を蹴り飛ばし、金品を懐に少女を抱えて逃走を図る。

 

「おかぁさーん、たすけてー!」

 

 

其の時、

 

ぬっと巨体が立ちはだかり「・・・逃げるのは別に良いです・・・ただその女の子は置いて上げて下さい・・・」

 

「な!?・・・どきやがれてめぇ!!」

 

後ろからも数人の帝国兵士が迫り、「・・・聞いてくれませんか・・・仕方がない・・・」

 

その男は相手の腕を捻りあげ少女を助けて片手に持ち、もう片方の手で兵士を掴んでぶん回し、その仲間達に投げつける。

 

少女は彼を見上げ「おじさん・・・ありがとう・・・」

 

「・・・いいやお嬢ちゃん、もう手遅れなんだよ・・・」

『・・・初任務の時だって疑問に感じ無かった訳じゃなかった・・・でもこれは仕事だと自分に言い聞かせて、他の人が出来ない事をしたんだと・・・それで多くを焼却して来た・・・もっと早くに気が付いていれば・・・こんな汚れた手には・・・もう手遅れだって事は十分に判っている・・・けど私は・・・』

 

少女には彼が一体何を云っているか判らなかった・・・だが一つ判っている事は再びその兵士達が襲ってきているという事だった

 

「おじさん危ない!?」

 

彼は後ろから攻撃してくる数人を見ずに木棒を力任せに投げつけた。

 

 

「コロ!!頭突き!!」

 

セリューが巨大化したコロに命令し、コロは飛び上がって回転しながらその兵士達に追撃し蹴散らす。

 

 

「やぁ・・・有難う、助かったよ・・・ってセリューちゃん!?」

 

「ボルスさん!?」

 

二人はしばし驚いたが・・・

「ボルスさん・・・やっぱりあの帝具脱いでた方が良いですよ♪奥さん面食いなんじゃないですか?」セリューはウィンクを飛ばし「・・・ですけど、イェーガーズに・・・ああ、そういえば死んだ事にされたんでしたよね・・・なのに何故ここに?」

 

軽口を叩くようになったセリューにボルスも驚いたが、今はそれを気にしている場合では無い。

「タツミ君に聞いたのかい?・・・私もこの国が変わる様を見届けたくて来たんだけど・・・その他にもやり残した事があってね」

 

「やり残した事・・・ですか?」

 

「うん・・・罪滅ぼしなんて出来ない・・・判っている・・・それでも、少しでも自己満足と判っていても・・・やらなきゃ明日も私の妻や・・・娘にも胸を張って合わす顔が無い・・・とんだお笑い草だよね・・・今まで多くの人を焼却して来た中には私の娘と同じくらいの子や奥さんもいたんだろうと・・・一片に燃やしてたから気付かなかった・・・折角、チャンスをくれたタツミ君への借りを返す意味でも!!」

ボルスの顔には迷いが吹っきれ、決意を燃やしていた。

 

セリューはボルスを暖かい微笑みで見たが直ぐに悲しみのそれに変わった

「ボルスさん・・・あたしも同じです・・・あたしも自分の正義で何人もの人を・・・・・・・・、ボルスさん、あたしも一緒にその自己満足に付き合います!」

 

「セリューちゃん・・・」

 

「あたしも今自分がやっている事が・・・正しいか判りませんが・・・ただ常に正しいとは何だろう?と追い求めていたらいつか辿り着くんじゃないかって思います・・・」

 

「・・・強くなったねセリューちゃん・・・ははは、私じゃ叶わないよ・・・」

 

「ふふふ・・・、何言ってるんですか?・・・さぁ行きましょう。この戦乱のどさくさにまた何か良からぬ事をする人達がいるかもしれません!!」

 

 

ボルスは少女に怪我が無いか確認した後、彼女はセリューの仲間の元警備兵に誘導され親と共に逃れて行く。

 

「帝国軍・・・反乱軍、どっちが勝つんでしょうね、ボルスさん・・・」

 

「どっちが勝っても・・・戦争はもうこれきりにしたいね・・・弱い人があんな風に被害が出るんだから・・・、それでも虐げられたら闘わざるを得ない・・・そんな酷い国にはもう成ってほしく無いね・・・」

 

「はい・・・」

 

「ところでエスデス隊長は?あの人が闘ってたら厄介だなぁ・・・叶う気がしないよ・・・それにあの人、弱者は虐げられて当然と言いそうだし・・・」

 

「あ~・・・エスデスさんですか?それならこないだ処刑されそうに・・・」

 

「え!?」

 

「それをタツミ君とあたしで助けて・・・なのであの人はこの場に居ないですよ」

 

「はぁ~・・・あの隊長が・・・私が知らない間に帝都でそんな事が・・・」

 

「さぁボルスさん!」

 

「ああ、ごめんね。話長くなっちゃて・・・セリューちゃん後で私が知らない事教えて!・・・けど隊長が敵に回らなくて良かったよ・・・」

 

「ふふ・・・そうですね」

二人と一匹は戦火の渦に駆けだして行った。

 

 

 

 

宮殿秘密通路

 

 

ガス灯が所々に散りばめられたその通路に・・・コツコツコツ・・・重い足音を響かせながらオネストは悠然とその通路を歩いていた。

 

『くくく・・・愚か者共め・・・せいぜい足掻いていろ・・・この私さえ生きていれば国など再び・・・くくく』

 

その先に・・・

 

「むっ・・・誰だ!?」

 

うっすらと正体が見え始め、

 

「こ・・・これはエスデス将軍・・・一体なんの御用で・・・?」

 

エスデスは怒りとも嘲笑とも自嘲ともつかない笑みを浮かべ、

 

「オネスト・・・貴様・・・ここで会ったが100年目だな・・・お前にはたっぷり礼をしたいからな・・・私が使っていた拷問室はまだ残っているだろう?・・・そこでゆっくり語ろうではないか」

 

「・・・ぐふふ・・・折角の御招待ですが、この後、国を建て直すという大仕事が残っているのでまた次の機会と言う事で・・・では失礼を」

 

オネストは逃げ出すが、エスデスのサーベルが飛んでくる

 

「ひっ!?」

 

寸でかわすが、怖気付き土下座するオネスト。

 

「エ・・・エスデス将軍・・・申し訳ない・・・あ、あの時は魔が差した・・・どうか許してくれ・・・この通りだ・・・あ、貴女と私が組めば今まで通り、民を蹂躙し続ける事が・・・」

 

「はぁ・・・やはり貴様はその程度か・・・死ね・・・」

 

エスデスの凶悪な必殺の蹴りがオネストの首を狩りに行く。

 

 

 

 

 

「ッ痛・・・!」

 

エスデスは素早く飛びし去った。

その足からは鮮血が流れた。

 

「おやおや・・・失敗しましたねぇ・・・脚一本頂こうと思ったのですが・・・いや流石はエスデス将軍・・・一筋縄ではいきませんか・・・」

 

オネストの左腕にはナイフが仕込まれていた。

 

「この私を欺くとはな・・・どうやら、貴様の事をみくびっていたようだな・・・『ふっ・・・私も慢心していたか・・・』」

エスデスは薄く自嘲した。

 

 

 

 

「あ~・・・、あのシュラに闘いの基本を教えたのも私ですから・・・最低限の戦闘くらいは私だって出来ますよ・・・、ふぅ・・・本当は今の一撃で決めたかったのですが・・・やっぱり無駄でしたか・・・、・・・エスデス、貴女に最後に聞きたいのですがね、何故貴女のような生粋の狩人が、善悪など眼中になくただただ弱い者を蹂躙するのを好んだが貴女が・・・一体どういう風の吹き回しで・・・?」

 

「・・・私は何も変わっていない・・・ただ、より強い男に負かされその強者に従っているだけだ・・・何も変わっていないだろ?」

 

「ほぉ~お、貴女を負かす程の強い男が?・・・成程、それで弱者は弱者らしく強者に従って、弱者を虐げるのは止めろとでも命令されたのですか?・・・いやいや御立派な強者ですな?」

 

「・・・何が言いたい?」

 

「どうです、エスデス?・・・そいつを倒しませんか?私にも研究している帝具がありましてね・・・、それに強化手術も可能です。再び私と貴女が手を組めば、きっとそいつを倒す事も可能でしょう・・・エスデス、お前は本当にそれで良いのですか?自身の本性から目を逸らし、弱者を守る等と言う偽りの強者に従い自分らしさを損なう・・・エスデスらしくはない・・・どうですか?」

 

「・・・ふふふ、くくく・・・ああははははは・・・」

エスデスは声を高らかに気持ちよさそうに笑う・・・

 

 

「ぐふふふふふ・・・、あははははは、さぁ共に・・・」

 

エスデスは自身の上着をオネストに投げ、視界を遮った後に先端が特注鉄製の鞘で刺突する。

 

「ちぃ!!」

オネストは右手に隠したナイフで弾き、後退する。

 

 

 

「エスデス!?そこまで心も弱者に・・・弱い者に成り下がってしまったか?・・・おお、なんと嘆かわしい・・・」

 

「弱者か強者かはその者の得意分野でも変わる・・・私を負かした夫とて全ての面で私を凌駕している訳では無い・・・・・だから今は戦士として戦うぞ・・・帝国の将軍としてではなく・・・『パルタス族での皆との連帯が確かに今の私を形成する一つにもなったな・・・だから部下達にも知らず知らず目を掛けていたのはその為か・・・?』

 

エスデスは一瞬の間だけ目を閉じ、父親やかつて共に居た部族の事を思い出した後軍帽に手をやり、

 「…ただ、一人の戦士…エスデスとしてなっ!!」

 

被っていた軍帽を脱ぎ捨て、今日の帝国の惨状を招いた元凶とかつての元凶の闘いの火蓋が斬られた。

 

 

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