「あの巨大な化物は・・・一体・・・」
「・・・・・・・判らない・・・」
帝都城壁からも離れ、グランシャリオに身を包んだウェイブとクロメは戦線から離脱し遠くを見渡せる丘へと避難していた。
「・・・おい、見てりゃあれ、敵味方区別なく辺りかわまず、なんか大砲か・・・?ぶっ放してるな・・・」
「あれも帝具・・・あんなのあったなんて・・・聞いた事無い・・・」
「ちっ・・・、あんな見境も無い事しやがって・・・俺は行って来る!クロメはここで待っててくれ!」
「うん・・・気を付けて・・・うっ・・・」
クロメは蹲り、頭を抱える。
「大丈夫か!?」
「へ・・・平気・・・これくらい・・・、ちょっと洗脳・・・なのかな?・・・その影響が・・・残っていて・・・それに薬飲み過ぎた反動・・・てへへ・・」
力無く笑うクロメにウェイブは悩んだ。
その時、シコウテイザ―の波動砲が二人の横を掠める。
「あぶねぇえ!!」
咄嗟にウェイブはクロメを抱えて転がっていく。
「危なかった・・・」
「・・・・・・・・」
クロメは顔が紅くなり、ウェイブに抱きつく。
「お・・・おい・・・」
だがウェイブは抱き返し、クロメを落ち付かせようと…、彼女が普通に動ける程に回復するまでこの場に止まる事にした。
『・・・なんとか俺も加勢しないと・・・、だけどクロメをほおっておくわけにはいかねぇ・・・アカメ達がなんとかしてくれれば・・・ランもいるし大丈夫か・・・ん?そういえば誰か忘れてたような・・・う~ん・・・』
「ウェイブ?」
「ああ!?思いだした、タツミだ・・・あいつ、何処に行った!?」
「ウェイブ・・・」
「あの野郎・・・さては、このドサクサに紛れて逃げたんじゃないのか・・・あんにゃろう~・・・」
「・・・ウェイブ・・・タツミは・・・きっと、お姉ちゃんに剣を教えてたんだよ・・・」
「・・・ん?クロメ・・・どう言う事だ・・・俺にも判るように説明してくれ・・・」
「・・・ナイトレイドのメンバーでお姉ちゃんと対等に渡り合えるのはそうそういない・・・、反乱・・・革命軍全部でもそうだと思う・・・、そんなお姉ちゃんに教えれるぐらい腕が立つとなると・・・」
「あのタツミがか・・・?う~ん、まぁ弱くは無いと思うが・・・いやそれでも・・・」
「あたし・・・会った時から・・・本当は警戒してたんだ・・・敵に回せばあたしはただじゃすまないって・・・何となくそう思ってた・・・それに聞いた話じゃ、エスデス隊長主催のいつだったかの武術大会だっけ?・・・あれでタツミ、隊長倒したって・・・」
「ああ・・・あれか?あれは・・・隊長がわざと負けたんだと思ってた・・・」
「・・・処刑されかかった隊長を助けたのも誰か判らないんだよね・・・」
「・・・まさかそれがあいつだって言いたい訳か・・・?」
「・・・今までタツミへの不可解な点をそう考えると・・・色々納得いく所がでてくるんだよ・・・ひょっとして、八房を封じたのも・・・彼?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ、クロメ・・・じゃああいつは一体・・・」
「たぶん、ナイトレイドに居たんだろうね・・・」
「八房が・・・そういや隊長が鍛冶屋に出すとかなんとか・・・あれひょっとしてタツミが何か細工したのか・・・」
「それに・・・隊長を、裏で操ってたのも・・・きっと・・・・」
「いやそんな・・・まさか・・・クロメの考え過ぎだろう?」
「もうちょっとちゃんと考えれば、タツミの正体が判りそうなんだけど・・・うう、もうこれ以上はやめとく・・・」
「クロメ、お前は十分闘ってきたんだ、今は休んでくれ・・・『しかし、タツミが裏で暗躍していた・・・そう言われてみりゃたまに変な事あったな・・・あいつが・・・』
逃げ惑う市民を補佐したりや暴行を働く兵士を倒しているボルス、セリュー、コロは・・・
「ん?セリューちゃんあれは・・・?」
「え?・・・、ああ・・・!?」
「!?」
二人と一匹はシコウテイザ―を見て驚く。
「ひょっとして・・・ドクターが言ってました・・・、最強にして最高の帝具・・・皇帝陛下が使うとかって・・・、まさかあれじゃあ・・・」
「あれが・・・なんて規格外な・・・けどどうするつもりなんだろ・・・?」
その時、ボルス達がいる方に向けて破壊光線が射出される
「「「!!??」」」
彼らの後方が一瞬で燃え盛り、ボルス達が助けた人や傍に居た兵士達が紅蓮の炎に焼かれていく・・・、
「・・・こ・・・これは・・・」
『 たす・・・けて・・・』『・・・お・・・おれたちが・・・、』『お・・・おかぁ・・・』
「う・・・うわぁ――――!!!」
「ど?どうしたんですか?ボルスさん!?」
ボルスは頭を抱え蹲る。
「私が・・・私がやったんだ・・・これと同じ事を・・・皆に・・・」
「・・・!?」
セリューはボルスがかつて焼却部隊に居た事は知っている。彼女は複雑な・・・同情とも怒りともつかぬ苦渋に満ちた顔を浮かべた後、
「今は懺悔している時じゃありません、ボルスさん!同じ過ちを繰り返しても良いですか?」
「!?・・・セリューちゃん・・・」
「殺した人はもう帰って来ないんです・・・」
そう言った自身の言葉が彼女自身にも刺さる。
「今はそんな事より、目の前の人を助ける事の方が先決でしょう!」
「・・・・・・・、そうだね、そうだよね・・・」
「・・・だけど・・・、一体どうすれば・・・あたしの持っている銃火器は火力だけだし・・・」
「・・・何処か家の水を・・・そうだ、コロ君に大量に飲ませてそれを浴びせれば・・・」
「それです!!コロ、消火活動!」
コロはまだ壊れていない民家へ走り出し、ボルス達も燃えている人に砂を掛けたりと、自分に出来る事を行った・・・だが、それでも幾人も焼け死んでいく・・・。
「・・・・・・・『あの光線がまた来たら・・・、神よ・・・いや、こんな私が神頼みなんて・・・おかしい・・・』
ボルスはもう考える事は止め、セリューは過去の自分の行動…悪と断定し断罪して来た者達が火炙りや惨たらしく死んでいく様を見て愉悦していた自分を思いだしていて感情がぐちゃぐちゃになっていた。