アカメとラバックは急遽作られた負傷者収容のベッドで休んでいた。
「あ~元気な奴らは騒ぎまくってんな~、ああ・・・俺もお仲間のお姉さん達と・・・」
アカメは宙の一点を凝視し黙っている。
「・・・なぁアカメちゃん?なんで黙ってんだ?俺達は勝ったんだ、嬉しくないの
か?」
「勿論嬉しい・・・だが・・・」
「・・・俺達の今後の事か?なぁにそこはナジェンダさんが上手くやってくれるさ」
「・・・そうだな」
「・・・、ひょっとしてお払い箱になって消されるかもとか心配してんのかい?」
「いや・・・まさか革命軍がそんな事・・・ただ、シェーレやブラート、そしてラバック達も知らない私の死んでいった仲間達はどう思っているだろうか・・・とな」
「・・・・・・・・」
「私達は…いや私はこのまま日の当たる世界で暮らしていけるんだろか・・・」
「・・・ははは、何言ってんだよ?アカメらしくない事で悩むなよ?元気になったら皆で船で世界を旅するって言ってたろ?あともう少しだろうが、そんでここに帰って来たらさ、アカメは俺の本屋の店員にしてやるよ、ああでもお客さんにちゃんと愛想よくしなきゃ駄目だぜ」
「私が本屋の店員・・・?ふふふ、それも良いな」
「そうそう、じゃあ早い所傷を治そうぜ。俺も眠くなってきたから、じゃあお休み」
「ああ、ラバお休み」
だがラバックは寝なかった、アカメにはああ云ったが彼も彼女の心配する所が理解出来ていたからだ。
ナジェンダはそれぞれの兵達や将軍に労わりや報告等を行い、スサノオはその補佐に付いていた。
数日後…、臨時革命軍本部会議が宮殿に設けられ、その席にはナジェンダの姿もあった。
革命軍の将軍やそのトップも集まり、今後の事を決めようと話となる。
「まずは皆よく闘ってくれた・・・今までの帝国の圧政に虐げられた人達を解放する事が出来、これからはよりよい国作りに力を貸していってほしい」
一同から拍手が起こり、皆賛同する。
「それで・・・まずは戦犯者の処分について決めたいのだが、国をここまで腐らせた元凶の大臣のオネストは・・・ナジェンダ将軍の配下のナイトレイドが始末したと聞いたが間違いないかね?」
「はい、私の部下が始末し…損傷も激しかったのでその死体は既に火で燃やしまし
た」
革命軍トップの男…初老のコウカツは顔をしかめ、他数人の将軍も顔を見合わせた。
「・・・何かありましたでしょうか?」
「はぁ・・・ナジェンダ君、帝都の民衆に真の意味で安心して貰うには奴の死体を晒すべきだった・・・少々軽率だったな」
「も・・・申し訳ありません」
他の将軍が進言する。
「コウカツ殿、如何でしょうか?捕らえた者に皇帝のカライと大将軍のブドーがいます」
「うむ、そうだな・・・」
「彼らの処分をどのようにするおつもりで?」
ナジェンダが嫌な予感を隠しながら尋ねる。
「・・・決まっているだろう?二人とも公開処刑だ・・・そういえばあのエスデスも行方知れずか、ナジェンダ将軍何か知らないかね?」
「いえ・・・」
「ふむ」
コウカツは思いだすように考えを巡らせ、
「確かあの皇帝の帝具を一蹴したのも君の部下だったな・・・」
ナジェンダは内心動揺した。馬鹿な、正体を明かした後のタツミから自分の行動は口止めするように言われていたので目立った報告をした覚えは無いと・・・。
「はい・・・」
「そう・・・確かタツミ君だったかな?」
「そうですが・・・」
「ナジェンダ将軍、気を悪くしないでほしい・・・君の事を信用していない訳では無いが、我々も独自に調べさせて貰っていた・・・彼はかなりの戦力だな、是非これからの国作りの国防に力を貸して欲しいと・・・私も是非一度会って話して見たいんだ、どうかね?」
「は・・・」
不安げな彼女を察して彼は
「なんなら他のメンバーも、そうアカメ達も連れて来てくれまいか?正式に表彰し彼女達も軍か・・・警官としてでも重要なポストに付いて貰いたい、どうかな将軍」
「あ・・・有難いお話です、部下達も喜ぶと思います」
「そうだろうそうだろう、もう君達は暗殺などという影の仕事はしなくて済む、これからは大手を振って帝都を歩けるんだ、聞けばまだ若い子達じゃないか?今まで帝国の手配書も回って動けなかったんだ、きっと喜ぶだろう」
コウカツは気持ち良く笑うのに反比例してナジェンダは心の青ざめを悟られないようにするのが精一杯だった。
「はっはっは、そうだ・・・君が進言していたあのランという男、大臣の片腕だったそうだが、本当は君が送り込んだスパイというのは正しいのかね?」
「・・・ええ、そうです」
「何故その案件を報告しなかった?」
「て・・・敵を欺くからにはまず味方からだと思いますので」
コウカツは内心舌打ちしながら
「成程な・・・まぁ良いだろう、君がそういうならそうなのだろう。だが、彼が何か不穏な動きをすれば君の責任問題にもなるからそれだけは肝に銘じるように」
「はい、ご安心ください」
ナジェンダは内心冷や汗をかいている。
そこに別の者が
「コウカツ閣下、そのランの配下にはウェイブという者の他に、例の帝国の暗殺部隊のクロメとやらが・・・」
「何?あの暗殺部隊は先の闘いでこちらの被害も遭ったがその場で始末、或いは全員捕縛したと聞いていたが?」
「それがクロメはまだそのウェイブと某所で身を潜めております」
「成程・・・ナジェンダ将軍、聞いての通りだ、ランの身柄は君が責任持つのなら不問にしよう・・・だが、クロメは君も知っての通り我々の標的だ、始末依頼が有ったのは知っているだろう?」
「はい・・・心得ています」
「では次に来る時にそのクロメの死体と共に来てくれないか?これが君達ナイトレイドの最後の仕事だ、期待しているよ」
そして彼らは次の議題に移っていく・・・だがナジェンダはその内容が半分しか頭に入らなかった。
アカメとラバックは歩けるほどに回復しスサノオの助けでナイトレイドアジトに帰還した。
アカメはシェーレとブラートの墓の前で気が済むまで時間を過ごし、ラバックは動ける範囲でナジェンダの事務処理を手伝い、スサノオは皆の雑用を行い、タツミは部屋で寝たきりのまま、・・・再び彼らの日常が戻ってきたようではあった・・・。
「あたし次何の仕事しよっかな~」
「ふっ、あたしは決まってるわ!」
「何マイン?」
「決まってるじゃない!革命を成し遂げた英雄を謳い文句にアイドルとして売り出すのよ!」
「へ~そ~」
「僻むんじゃないわよ、あたしの荷物持ちくらいにはしてあげるから」
「う~~ん、あたしはマッサージ屋このまま続けるかな・・・でもあん時派手に暴れて、顔大勢の奴らに見られてるからな~、革命戦士がマッサージ屋って事で商売繁盛するかな~う~~~ん、それともほとぼり冷めるまで遠くに行くかな・・・」
全員ナジェンダから今はアジトで大人しくしているように待機命令が出ていた。
「なぁ・・・おたくら何で俺の部屋で騒ぐんだよ?」
「良いじゃない?無力な今のあんたの護衛も兼ねてんだから」
「そうそう、タツミはもっとこのハーレム状態を楽しむと良いよ?」
マイン、チェルシーが言いたい事を言うのに対し
「殺し屋の女でか?」
「タツミ・・・もう革命も終わったんだからあたしは晴れて闇の世界の人間じゃないよ?大体タツミに言われてからもう誰も殺してないもんねー」
「・・・そうえいばさータツミ?なんでチェルシーだけ庇うような、殺しをさせないような真似してたのさ?今だから言うけどそれってえこひいきじゃん?」
「そうよ、一度言おうと思ってたのよ、あんたなんでんな事してたのよ!まさかチェルシーに!?」
「タツミ・・・そろそろ本当の事言って良いんだよ?」
レオーネとマインが抗議しチェルシーは顔を紅くしながら熱視線をタツミに向ける・・・彼は目を泳がせながら
「そ・・・それは、チェルシーがあのままほっておいたら殺しの快楽に溺れそうに見えたから・・・これは不味いと思って止めさせたんだ・・・」
「うん、それは表向きの理由だよね」
ニコニコしながら言う彼女にイラっときたタツミは
「お前はふざけんじゃねぇぞ!場合によっちゃお前はとっくの昔に死んでたんだからな!」
「もうタツミ~本当はあたしみたいな可愛い子がこんな事してるなんて、タツミの良心が痛んだよね、だからそこから手引かせようと思ったんだよね?同情から愛情に変わったんだよね~」
「ふん!」
タツミは傍のボタンを押し、上からタライが落ちてくる・・・10tと書かれたそれが・・・。
「いったーーい、タツミ何すんの!?しかも何処から出てきたの!?」
恐らくシャンバラを応用したのだろう・・・
「チェルシーがそういう快楽に溺れそうだったってのはあたしも思うわ~ま、あたしはどっちにしても生き延びたに決まってるけどね~」
「ぶーぶー、タツミやっぱえこひいきだー!・・・『けど・・・殺す快楽ねぇ・・
・あたしも人の事言えないか・・・』
レオーネは軽口叩くとは裏腹に引っ掛かる所が自身にあった。
そして戸をたたく音がし、
「お前達・・・タツミはもてるな、そろそろ一人の女に絞ったらどうだ?」
入ってきたナジェンダがニヤニヤしながらからかうのに対し、タツミも
「そうだよな~そろそろ一人に決めないとな~じゃあボス、あんただ」
「・・・!?・・・ふっ、全くああ言えばこう言う」
それを聞き、レオーネは苦笑しマインとチェルシーは心なしかタツミを睨みつけた。
「・・・悪いがお前達、席を外してくれ・・・タツミと話したい事がある・・・」
3人とも一瞬冷やかしの言葉が出たが、ナジェンダがそういう気配では無いのが判り部屋を後にした。
そして対面しタツミは
「寝ている姿勢で悪いな・・・」
「いや・・・」
「ナジェンダ・・・本部で何かあったか?」
「よく判ったな・・・」
「あんたとももう短くない付き合いだからな・・・、ナイトレイドを処分しろとでも命令して来たか?」
「・・・!?・・・はっきりとそう言われた訳じゃない・・・ただ、革命軍本部はナイトレイドの生き残り全員に勲章や報酬を与えたいから来るように・・・タツミ、あんたもだ」
「俺もか・・・流石に派手に動き過ぎたか、ブドーと闘った時に面晒してるからな革命軍にも俺(の力が)ばれたか・・・しまったな・・・」
「ああ・・・以前ならタツミの存在は本部も気にしてもいなかったが、ブドー相手にあそこまでしたらな・・・」
「それで・・・ナジェンダ、あんたはのこのこ俺達を引き連れて行く気か?」
「・・・、我々は革命軍だ・・・騙し討ちなんてするものか・・・」
「なぁボス・・・俺は最初っから人間の組織は信用しちゃいねぇ。仲間裏切るなんざ朝飯前だからな」
「タツミ・・・」
「あんたも危惧している通り、罠だな・・・」
「・・・!?・・・何故そう思う?」
「帝国の圧政から民を救うで立ちあがった正義の革命軍だ・・・それがデマでも帝都を震え上がらせた殺し屋集団が実は革命軍の手先だと公になったらどうする?」
「・・・・・・・・」
ナジェンダもそれに対し考えない訳でも無かった・・・
「それで、報酬名声目当てでのこのこ行ってみろ、表向きは歓迎してくれるだろうが、毒殺されるのがオチだろうな」
「馬鹿な!・・・くっ」
そういうのとは裏腹にナジェンダも思い当たる節がある。
「だからここは俺達は辞退してあんただけ行けば良い・・・本部もあんたは利用価値があるだろうし、顔も多くに知れているから殺す真似はしないだろう・・・もしナイトレイドが暗殺を依頼されたのを手札に革命軍のお偉方を脅迫してくる可能性も考えているんだろ?だから今回のはその踏み絵だな」
「折角生き残って・・・あいつらも大手を振って歩けると思っていたのに・・・私
は・・・」
「殺し屋が曲がりなりにも五体満足で生き延びただけ、良いんじゃないのか?・・・俺も逆の立場なら強大な力を持っている相手が邪魔になるだろうな・・・」
「・・・、判った」
「そうだ・・・ランやエスデスの処遇はどうなった?」
「ランの身柄は私が後見人になった・・・安心してくれ、エスデスは本部も所在がつかめていないがそれ程気にはしていない・・・それよりも皇帝やブドーの処刑方法について議論していたな・・・」
「なんだと!?・・・ぐっ」
驚き身を起こすタツミに
「タツミ、無理をするな!」
「何のために俺が皇帝を生かしたと思ってんだ・・・それにブドーは無期懲役にでもしとけ・・・その方が良い・・・」
「どういう事だタツミ?いくら皇帝もブドーもあのオネスト程では無いにしろ・・・」
「それを今から言う・・・」
タツミはそれを語り、これからの国の運用の助言を行った。
「成程な・・・そうだタツミ、言いそびれていたがウェイブとクロメの所在は知らないか?」
「いや知らないが・・・まさか?」
「ああ・・・ウェイブはともかくクロメを連れて来いと言われている・・・生死は問わない」
「クロメか・・・もしそうならウェイブは黙っていないな」
「話はアカメから聞いている・・・もうクロメは闘う気は無いようだな」
「例えそうでも今までしてきた事は変えられないだろ?・・・それに以前のアカメに殺された革命軍であいつに恨みを持つ奴がまだ居て殺したがっているかもしれないぞ・・・今までは共通の敵が居て利害が一致していたから我慢してたとかな」
「くっ・・・革命が成功すれば全て丸く収まると思っていた・・・私が甘かった」
「じゃあとにかく、これからする事は・・・ん?」