17/3/19 ラスト加筆修正
タツミは現段階で回収した帝具に漏れが無いか資料を見ながらチェックしながら、もう不要と思った帝具を壊したり、その後に必要な物資を取りだしたりと、その作業をナイトレイドアジトの自身の部屋で行っていた。
その時、彼の文机の引出しの中から・・・
「ボク、アカえもん・・・」
・・・アカメが普段の抑揚のない話し方で突如現れた。
タツミは一瞬アカメの方を見たが気にせず作業に戻った。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人の間にしばしの沈黙が流れ、
「・・・ボク、アカえもん・・・」
アカメは切なげに再度呟いたが、タツミはそれでも気にせず作業を続けていると、
「タツミは冷たいな・・・」
アカメがぼそっと呟いたが、彼女の例の一言でタツミの(この世界に無い)機密書籍(?)を勝手に読んだ事が判り、以前なら、
“くぉらぁアカメぇ!お前また人の部屋に勝手に入って俺の本漁りやがったな!”
と軽くたしなめもしたが、もう面倒臭くなったのだ!
「タツミ・・・会話は大事だぞ?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
それでもタツミは返事を返さない。
「タツミ・・・私も後学の為に読みたいと思っていた本があったのだが、いつの間にか無くなっていた・・・確か“黒髪乙女幼馴染の誘惑”だったかな?」
タツミの手が止まる・・・。
「何故か他の本と違って戸棚の裏に有ったり、他の本のカバーが掛かってあったりする本があったが・・・何故なんだタツミ?」
アカメは判ってて言っているのか天然で聞いているのか掴みかねているタツミではあるが、
「アカメ・・・人の物見る時、許しを得るのも大事だぞ?」
「やっと、口を開いてくれたな。ひょっとしたら私はもう既に死んで幽霊になってしまったのかと不安になったぞ♪」
引出しから這い寄って来たアカメが、
「改めて聞くが、タツミは何故帝具を集めて壊すんだ?」
「・・・帝具は元々、お前達発展途上の生命体・・・人間達に使わせて良い代物じゃなかった。今から・・・お前達の時間間隔で千年前に俺達の先達に、簡単にいえば犯罪者がいてな。そいつはそういう未開の星の者達にそいつらにとっちゃ未知の技術を教えて、混乱、自滅するように誘導し嘲笑うのが趣味の奴だった・・・。そいつはもう始末したんだが・・・今度は一体何処にその技術を伝えたのか・・・色々な星にばらまきやがったからなぁ・・・」
「待ってくれ、タツミ!言っている事が半分くらいしか判らないが・・・タツミは元々東の国の出身じゃなかったのか?」
「そうではあるんだが・・・本当はそうじゃない・・・」
「・・・ん?」
「別にわかんなくて良い・・・独り言だと思ってくれ」
「いや、その・・・技術がどうと言ってたが、帝具は危険種から取り出したものも多いぞ?まさかその危険種達も・・・その犯罪者のせいなのか?」
「簡単にいえばそうだ」
「つまり、そういう危険種達を造ったと言う事か?」
「一から造った訳じゃないが・・・そういう方向に仕向けた進化・・・いや、余計な事をしたのは確かだ。それでそいつは当時の皇帝とやらに直接か遠まわしでかそういう造る技術を伝えたんだ・・・ちっ・・・その皇帝も甘言に乗せられたのか?余計な事を・・・」
「ん?んん・・・う~~む、わ、判らないな私には・・・まるで神か或いは悪魔か・・・?」
「神か悪魔ねぇ・・・ま、どちらにせよ俺達の責任でお前達に多かれ少なかれ余計な混乱を招いたのは事実だからな、それは謝罪する・・・」
「あ?ああ・・・私に謝られても」
「謝罪の意味もあったから俺は本来、お前達から殺してでも奪う所を穏便な方法で回収しようとしたんだ・・・時間は結構掛かったがな・・・」
「なぁタツミ?帝具はそれほどまでに悪い物だったのだろうか・・・?」
「お前だってシコウテイザ―を見ただろ?そもそも帝具を使える人間は限られている・・・今は共通の敵がいたからまとまってたが、帝具を使える人間と使えない人間の色々な面での差は大きい・・・ほっておいたら、そのうちそいつは暴走して強権的になるかもしれない・・・力に溺れてな。・・・エスデスなんて良い例だろ?もし俺がいなかったらどうしてた?・・・あいつが帝具使えず、アカメが村雨持って挑めば1対1でも決着付けれたんじゃないのか?」
「確かに・・・そうかもしれないな・・・ところでタツミ、エスデスのデモンズエキスはどうするんだ?」
「あれは、使い手の体の中だからな・・・一応分離させる方法も探ってるが、もし見つからなければ・・・」
「見つからなければ・・・?」
「・・・・・・言わなくても判るだろ?」
全ての帝具を壊す・・・この時、アカメはスサノオの事を人間の仲間同然と無意識で思い、聞くのを忘れていた・・・タツミも内心それを心配し聞かれずほっとしていた。
とりあえず、タツミは一区切り付けて、
「さぁ~て、何か少し腹に入れるかな?」
「腹に入れる・・・ああ、タツミ大事な事を思い出したぞ!」
アカメがはっとなり、タツミも“どうした?”と尋ねると
「マインが・・・、私がちょっとマインの朝食を食べたら、あいつ激怒してここ2日間口も利いてくれないんだ・・・。」
「・・・・・・、いやアカメが悪いだろそれ」
「た、確かに私が悪いが、今までだって・・・マインが朝起きてこないから私がその代わりに毒見した事は何度もあるというのに・・・」
「人の飯食べて“毒見”なんて、お前も悪い奴だな・・・、ま、そのうちマインも機嫌治すだろ?それまで大人しくしてろよ」
「まぁ、そうだな・・・だが、私達がこうしてこのアジトに居られる日数も少なくなってきている・・・お互いそれぞれの道を歩んで当分会えなくなるかもしれない・・・だから、残りの日を少しでも楽しく過ごしたいんだ!」
「アカメ・・・」
タツミは少し感動したが、
「それでアカメ、お前は今朝のマインの朝食はどうしたんだ?」
「ああ♪美味しく毒見したぞ!」
タツミは近くに有ったハリセン型帝具でアカメを引っ張叩いた。
ーーーーーーー
アカメが引出しから自分の部屋に戻った後、しばらくしてマインがタツミの部屋の押入れから出てきた。
「タツミ!ちょっとあんた聞きなさいよ!」
マインが遠慮無しに侵入して来たに対し
「お前は・・・会った時から全然変わらないな・・・」
「当り前よ、あたしを誰だと思ってるの?ちょっとやそっとで変わるやわな生き方なんかしてないわ!」
タツミは作業をしながら耳を傾けている。
「それよりももう何よ、この部屋・・・帝具散らかしてるんじゃないわよ!」
「あ~・・・それで何の用だ?」
「そうそう、聞きなさいよ!アカメの奴信じられないわよ、全く!」
先程のアカメに関連する話となり
「アカメ、あいつに今までずっと朝食取られてたの。あたしも起きるの遅かったから大目に見てたけど、もう我慢できないわ!」
「まぁそりゃアカメが悪いよな」
「でしょ?んんもうーーー!今まであいつに食べられた朝食代金、耳を揃えて全額請求してやるわ!」
「いやまぁそれは当事者同士で話し合ってくれ・・・」
「は!?何言ってんのよ?あんたも協力するのよ?」
「何で俺が?」
「あたしの話聞いたでしょ?じゃあ協力しなさいよ!」
タツミは頭痛を覚えながら
「お前はガキ大将か・・・」
「何それ?こんな可愛いガキ大将いる訳無いじゃない?とにかく、後で一緒にアカメに不当朝食摂取反対運動するのよ!」
「強大な敵を相手にお前ら今まで共闘して苦労も分かち合った戦友なんだろ?飯ぐらい大目に見てやれよ・・・」
「だからよ!今まで革命に目がいってたから、アカメの違法行為に目をつぶってたけど、もう許さないんだから!」
「・・・・・・」
「それだけじゃないのよ!アカメの奴、去年のあの作戦の時、自分でつっぱしって、あたしがそこは慎重に行こうっていったのよ、全くあたしのフォローがなけりゃあねぇ・・・」と、過去の鬱憤まで掘り返してくる。
30分経過・・・
「つまり、アカメはそういう奴なのよ!」
「うん、うん・・・まぁそうだな、アカメもそういう所あるよな・・・」
とりあえずタツミはマインをなだめる為に彼女の意見に同調する。
「うん!じゃ明日アカメに言うわよ」
「判った判った・・・」
一しきり言い終えたマインは満足したのか押入れから自分の部屋へ帰って行った。
残されたタツミは
「はぁ…疲れた」
とぼやいた。
そこに戸を叩く音がして
「・・・チェルシーか?」
彼女が部屋に入り、
「ご名答~~♪さっすがタツミ~~私の事判ってるね~」
タツミは叩く加減と気配で恐らくチェルシーだろうと見当をつけたが、人によってはそれを当てた場合・・・「え?きもい」と言われる。
そして、チェルシーはその辺に座り、
「うんうん、前に言ってた通り帝具を壊しているんだね?私の帝具はまだ残ってる?最後にあたし、タツミに化けてタツミ自身とあんな事やこんな事してみようかな?」
嫌な顔でタツミは彼女を見る。
「嘘々、本気にしないでよ~もうやだな~タツミは~♪」
カラカラ笑うチェルシーに、とりあえずほっておいて作業を続けるタツミに、
「ねぇ・・・男の人で何でこうも違うのかな・・・」
とぼそっと呟くチェルシーに、タツミは手が止まる。
「・・・何かあったのか?」
「え?ああ・・・ごめん、そのまま手動かして貰って構わないから・・・」
そう言うも、構って欲しいオーラを出しているチェルシーを捨て置けないので、
「ラバックがさ・・・、あたしの風呂覗きに来るんだよね・・・」
「・・・・・・・」
「タツミがさ・・・もう殺しはするなって、あたしに言うから・・・あたしもそれ守ろうと自分を抑えてるんだよ・・・今言われてみればタツミの言う通り、あたし(相手を)殺すの心の底のどっかで楽しんでた面も・・・ちょっとはあったかなっ
て・・・」
タツミは何も言わずに黙って耳を傾けている。
「だからね、ラバの奴、調子に乗ってる所もあると思うんだよね・・・ねぇどう思うタツミ?」
「いやぁ・・・ラバックなら殺しても構わないぞ?」
「ぷっ・・・お許しが出たね?本気で頭に来たら・・・うんうん、今度覗きに来たらラバの男な所、こーろそ♪」
タツミは何も言わずに聞いていたが、ふと有る事を思い出した。
「ところでチェルシー・・・俺が前に風呂入ってた時、お前あとから来たよな・・・」
「え?何の事?そんな事あたししないよ?もうやだー痴女でしょそれー?」
タツミは何も言わずに黙ってチェルシーをじぃーっと見る。
「え?タツミ・・・そんな見つめられると照れちゃうよ・・・」
と、ごまかそうとするが、言い逃れ出来そうにない眼光に怯み、
「・・・はい、すみませんでした・・・」
話は以前に遡る。
タツミは男が入る時間帯に一人で露天風呂に浸かっていた。
揺れも無い湯に月が浮かび、独りだけの静けさに浸っていた所・・・
「よぉタツミ~、なに絵になるような真似してんだ?このやろー!」
ラバックが腰にタオルを巻き、そのまま同じく風呂に入って来た。
「・・・・・・?」
タツミはこの時に小さな違和感を感じたが、少しからかった。
「どうしたラバ?今は男湯の時間だぞ、来る所間違えたんじゃねぇのか?」
「ばっ!?俺だって野郎の体なんか見たくねェよ、けどまぁたまにはお前と裸の付き合いも悪くねェと思ってな」
「裸の付き合いねぇ・・・何か話でもあるのか?」
「お前さー、実際誰が好みなんだよ?」
「・・・?前にも聞かなかったか?」
「・・・あ、そうだったか?いやまぁあん時と比べて気も変わっているかもしれないだろ?だから改めて聞くぜ」
「・・・、・・・いや俺は別にナジェンダ狙ってないから安心しろ」
「いやそんな事良いんだよ・・・、いやよくねぇな・・・うん、ナジェンダさんを狙ってないのは判ってるから良いんだ。他に誰に興味があるか、そこが大事なんだ!」
「なんでだよ?別に俺が誰に関心持ってようが無いだろうがお前にどーでも良い事だろ?」
「いやあるって?俺達仲間だろ!仲間ならそーいう事に関心持ったっていいだろ!」
「・・・お前は女子か!」
「女子だ俺は!・・・いやいやそうじゃなくて、男だって可愛いモノ好きな奴いたり、乙女な所もあるだろ?」
タツミはいよいよもっていぶかし始めた。
「なぁ誰が好きなんだ?いえよ!アカメか、マインか?姐さんか・・・まさかエスデスとか・・・言わねぇよな・・・?」
「・・・・・・あー・・・、お前だと言ったら?」
ラバック・・・は一瞬きょとんとし、
「え?あた・・・ええ、ああいや俺?・・・、・・・いやちょっと待てよ俺って・・・ええ・・・、何タツミあんた・・・そっちの気が、もう信じらんない・・・いや信じらねぇよ、こここ、これ以上いいい・・・」
「じゃあ俺が先に出るぜ」
タツミは笑いながら風呂から脱衣場に行き、そこでラバックの服が置かれていない事を確かめた。
「・・・なんて事が以前あったよな?あれはチェルシーだったよな?」
「はい・・・あたしです」
「お前だって人の事言えるか、この馬鹿!
チェルシーの話でいくと、見られた俺はお前の胸のその二つ抉る事になるぞ?」
「酷い!鬼!・・・男と女は違うんだから!!ラバがあたしの体見たら犯罪だけど、女のあたしがタツミの裸見たく・・・見てあげたんだから、寧ろタツミはもっと感謝すべきだよ、うん!!」
壱!
弐!
参!
死!
悟!
碌!
奈!
鉢!
チェルシーにタツミはハリセン型帝具で、奥義の八連撃を当てた後、
苦!!
額に最後の一撃を当て・・・
「きゃあああああああ!!!タツミのばかーーーー!!!」
チェルシーは後ろにひっくり返りながら部屋の外まで吹っ飛ばされた。
再び部屋で一人になったタツミ。
「た・・・大して作業が捗らねぇ・・・たくっ・・・」
その時、天井裏の板が一枚開き、
「よっと!」
レオーネが部屋に入って来る。
「よっ!タツミ元気?あっちも元気?」
酒一升瓶とグラスを片手に陽気に話しかける。
「・・・・・・、どうして普通に入って来れないんだ」
「まぁまぁ固い事言いなさんな、呑も?あ・・・呑めなかったね、じゃあ酌して?」
「俺忙しいだが?」
「良いじゃない?帝具なんてちょちょいのちょいでぶっ壊せば、ねー?・・・あたしのライオネルまだある?・・・それだけこっそり持っといてもいい?」」
タツミにギラリと凄まれる。
「冗談が通じないなー、もう、良いよ良いよお姉さんは一人寂しく呑むからさー、ちぇー、・・・ねぇタツミ注いで?」
「一人で呑むんじゃ無かったのかよ・・・」
仕方なくタツミはレオーネのグラスに注ぐ。
「ふぅ・・・これ無いと生きてるって実感無いなー・・・はぁ~あ・・・タツミ、これからあんたどうするの・・・?」
「・・・さぁな・・・」
「お姉さんさー、心配なんだよねー、このままタツミが一生独りで生きて行くのかと思うとさー」
「ふっ・・・」
タツミは鼻で笑い、そんな事はどうでもいいという感じであった。
「俺の事よりもあんたはどうするんだ?」
「あたし?あたしはまぁこんな奴だから・・・、どうにか運良く生き残れただけでも良かったかなー、それとありがとなタツミ!特訓にも付き合ってくれて」
レオーネは革命戦前にタツミから手ほどきを受けた事を言っている。
「ん?ああ~・・・そういえばそんな事もあったかな・・・とにかく、自分がロクデナシな自覚があるのは良い事だ、後は少しでもマシになるようにすりゃいいだろ?」
レオーネは側に近付き、いきなりタツミの頬に熱いキスをした・・・。
「!?」
タツミは顔を赤くし、驚いてレオーネを見たが、
「くふふふふ・・・」
レオーネは嬉しそうにニヤニヤ彼を見ている。
「・・・・・・・」
タツミは照れながらも苦い顔をしながら作業に戻る。
「ねぇ、タツミともなんだかんだ言ってあたし達長い付き合いだったよね・・・」
「・・・俺にあん時、よく恵んだな・・・」
二人は初めて会った雨の日の事を思い出していた。
「あたしには何となく、ぴーんと来たんだよね、こいつならってね♪」
「そうかい・・・それにしちゃ、いっつも博打で負けてアカメに借りているとか、聞いたんだがな?」
「んがっ!!アカメの奴う~~皆には内緒にって言ったのに~~~」
一しきり昔話に華を咲かせた後、
「ねぇタツミは、この後どうするの・・・?」
タツミは何も言わず只黙って作業をこなしている。
「あ、そー、何も言いたくないんだ・・・じゃあ、あたしも勝手に喋るから!・・・今まで我慢してたけどボスってばちょっとあたしに冷たくない?そりゃ時間オーバーしたり、調査費くすねたり、博打にのめり込み過ぎたり、ボスの酒勝手に呑んで売ったりしたのは悪かったけどなー」
タツミは内心、十分すぎるだろ!・・・と言いたかったが、黙って聞いていた。
「それにさー、これでもアカメ達とボスの間に入ってこーみえてもあたし、気ぃ使ってたんだよ?どう?判ってたタツミ?タツミの事だってね、影でフォローしてたんだよ、あたし?」
はて?自分のフォローをされていただろうか?と疑問に思いつつも、一応素直に礼を言うタツミ。
「そうそう、ボスなんてさー。たーだ好き勝手上層部から言われた事をあたし達に言うだけだから楽でいいよなー、あ~あ、あたしも頑張ってどこかで出世して偉くなって下の人間こき使ってラクしたいな~」
その後、タツミは適当に相槌を打ってレオーネの機嫌を取り、気持ち良く酔っ払った彼女は部屋へと戻って行った。
その後、
戸を叩く音が聞こえ
「タツミ居るか?」
「ナジェンダか・・・どうした?」
戸が開き
「すまないがちょっと話がある・・・来てくれないか?」
「判った・・・」
タツミは作業を中断し、ナジェンダの部屋へと赴いた。
「まぁ座ってくれ・・・」
ナジェンダは自分の席に腰掛け、タツミも言葉に従い椅子に座った。
「へぇ…俺に気を使ってくれるんだな」
ナジェンダはいつもの煙草ではなく、ガムを噛んで我慢している。
「ふっ・・・今までタツミには我々革命軍改め新政府軍の益になる働きをしてくれ、感謝している・・・改めて礼を言う・・・」
頭を下げるナジェンダにいぶかしんだタツミは
「どうしたんだいきなり?いつものあんたらしくないな・・・俺がいて迷惑も被ってたんじゃないのか?」
ナジェンダは愛想笑いを引きつらせながら
「た、確かに私に対するストレートな物言いや時にはマイナスな行動もあったが総合で見て、やはりタツミは我々にとってよくしてくれた、本当にそう思うぞ!」
タツミは悪寒が走り、
「おい、ナジェンダさん?本題を言ってくれ、一体何があった?」
「あ・・・ああ・・・まぁ、そうだな・・・コホン・・・その、だな・・・。こないだ見たアカメ達の奇行は・・・あれは、あいつら何か悩みでもあるのか・・・?」
ナジェンダの言うこないだとは(91話)タツミの悪夢が半分以上は現実となり、その凶行(?)に彼女も不安を感じたのだ。
「あ・・・あれは、きっと一過性のもので直ぐに黒歴史として彼女達のその胸に深く刻まれる事になると思うぞ、うん」
「そ、そうか・・・なら安心(?)だ。他にも今後の参考に聞いてみたいのだが・・・」
「他に何かあるのか?」
「あ、ああ・・・この際だから聞くが、アカメ達は私の事をどう思っているんだ?」
「ん?・・・」
タツミは先程のレオーネの言葉を、そして、時々ボスの批判をしていたマイン達の言葉を思い出していた。
「・・・、上司部下とお互いの立場の違いで誤解も時にはあると思うが、よくやってくれていると言っているぞ、皆・・・・・・」
タツミは敢えて“そう”述べた。
「そ、そうか?・・・そうか、私にはっきりと言うタツミが言う事だからな安心だ、ふふふ、私に何の気兼ねなく無神経にズケズケものを言うのは大将くらいだからな♪」
「悪かったな、無神経で!!」
「ははは、すまんすまん、そうかなら安心だな。これから私も政務を取り行う事になる、別に人気を得たい訳ではないが、ある程度は人の意見にも気を配らなければな・・・。うむ、そうか・・・私が陰で皆の後始末をしている事も・・・言わずとも伝わっていたか・・・」
ナジェンダは感慨に耽っているが・・・、当然彼女達も判っている所では判っているが・・・そうでない所も・・・。
「そうだな・・・」
タツミの目が泳いでいたが、心なし機嫌のいい彼女には気が付いていない。
「どうしたんだタツミ?今日はやけに素直だが、・・・ふふふ、タツミの方こそなんだか気持ち悪いぞ?腹の調子でも悪いのか?」
「いや・・・、ああ・・・」
柔らかい言葉でも言おうかと思ったが、やはり普段の悪態をついた。
「うるさいな、俺にだって仕事があるんだ、もう用は済んだら帰って良いだろ?」
「ああ、すまなかった、ではまたな」
タツミはナジェンダの部屋を出て、再び自室で一人になり、
「はぁ~~~~~・・・文句言ったり、陰口叩くのは、適当な憂さ晴らしで、そこまで思いつめるレベルじゃ無いだろ?それを判ってて言ってんだろあいつらは・・・だから、これで良かったんだこれで・・・だが、この俺の二枚舌・・・悪い奴だな俺も・・・」
タツミは自分なりに理由があれば、かなりの悪事行為も平気で行うであろう・・・だが、彼女達の会話で無意識に玉虫色な・・・自らの保身に走った言葉を吐いた為、
彼もまた自分を嫌悪した。