このまま1週間ごとに投稿出来ればとは思ってはおりますが…(苦笑)
ランは帝都宮殿近くの瓦礫がまだ撤去されていない廃屋で尋ね人を待っていた。
「やぁランさん、お待たせしました」
その声の主に顔を向ける。
「タツミ君・・・シコウテイザ―相手にあれだけ大暴れしましたのに、もう平気なんですか?あれだけの帝具を同時なら、並みの帝具使いで良くて1年以上ベッド生活ですよ?タフな人ですね~」
呆れと称賛の含んだその言葉には答えず、彼は手紙を投げる。
「おや、これはスズカさんに宛てて・・・ひょっとしてラブレターですか?ふふふ、ほぉ・・・これはお熱いもので・・・」
それには“今日から1人で出来る拷問集”とある。
「つまり、1人で放置拷問させるんですね?くくく、これは喜びそうですね・・・ん、これは!?」
他にも今の帝都政府トップ含めた幹部達のスキャンダルや弱みが書かれている。
「良いんですか・・・?こんな情報、私にくれて・・・」
「ああ・・・、あんたなら上手くやってくれるだろうと思ってな・・・」
「大したものです・・・これをどうやって?」
「まぁ色々と・・・ナジェンダと上手くやってくれ、後はアリアの事も頼む」
「アリア・・・ああ、彼女の事ですか、成程。判りました、何かありましたら守りましょう」
「じゃあランさん、随分と達者で・・・」
彼はそう言って去ろうとするに対し、
「待って下さい、君はこれから何処へ?」
問われてふと立ち止まり、
「これから西へ・・・」
「西・・・?君の国は東じゃなかったのですか?」
そして、少しずつ砕けた口調になり初め
「実は本当の祖国はあそこじゃなく・・・遠い昔に滅んでいるんだ」
ランは一瞬怪訝な顔になるも、
「ひょっとしましたら・・・貴方はこの世界の人じゃありませんね・・・」
「何故そう思う?」
「何故って・・・実は私も元々この世界の人間じゃないからです」
互いに顔を見合わせ一瞬間があった後、気持ちよさそうに大声で笑う。
「はっはっは、そいつはとんだ“妄想”を・・・ははは」
「ええ、勿論、ただの“作り話”です。なので“冗談”で聞きます。貴方は本当はこの世界とは違う全く別の次元から来たエージェントでは?・・・帝具を壊す事が目的なのは本当だったのでしょうが、もう一つは・・・場合によってはこの世界そのもの全てを無に帰すつもりだったのでは?」
「何故そう思う?」
「今まで見た帝具使い等子供同然に見える強さに加え、時折見えました凄まじい殺気と諦観を・・・」
彼は苦笑と的を得られた事への苦虫を少々潰し、
「・・・じゃあ俺も冗談で聞くとしよう。ラン、あんたは本当は未来から来た住人
か?もう二度と元の時代に戻れないのを覚悟の上で歴史改変しに来た・・・」
「何故そう思うんですか?」
「あんたの身体操作は今までの時代のこの世界には無い洗練されたものだからだ!」
ランは目を瞑り、動揺した気持ちを悟られないよう努めた。
「・・・・・・中々面白い冗談です・・・よく調べてますね、面白い話を」
「いや本当に・・・」
二人とも少々薄気味悪く笑い、ランは笑うのを止め、
「貴方とは最後まで一応敵同士にならず、ほっとしています」
「俺ももう、この国に用は無い・・・後はあんた方で上手い事やってくれ」
「用は無い・・・?本当にそう思っているんですか?・・・まだ何か奥の手でも残しているんでは無いのですか?本当はまだ試そうとしている・・・そう、あの女の事を・・・」
「タツミ―――――!あんた好い加減に起き・・・あれ?・・・何よ・・・妙に部屋ん中、小ざっぱりにして・・・」
マインが早朝、例の如くタツミの部屋の押し入れから侵入し、目覚ましに…もとい、つまらない文句を言いに来たのだが・・・。彼の部屋は布団も畳まれ、置かれていた本も何も無く、最低限の物しかない。
「あいつ、全くせっかくあたしが来てやったのに、何処ほっつき歩いているのよ!」
「どうしたんだマイン?」
アカメがタツミの文机の棚から顔を出す。
「アカメ!タツミが居ないのよ、あんた知らない?」
首を振り、
「ふむ・・・タツミが匂いが薄くなっている・・・13時間は経過しているな」
「え?アカメ、あんたそんな事も判るの?・・・ちょっと退くわ・・・」
「冗談だ・・・」
「あんたの場合、冗談に聞こえないのよ」
彼らはスサノオの変化とタツミの不在の話も兼ねてアジト内広場に集まった。
「へぇ~~~スーさん、本当に人間になったのかよ~~~ほぉ~~」
レオーネは興味津津でスサノオを眺め、
「ああ、どうやらな・・・人間は核が壊されなくとも体が斬られれば、そのままなのだろう?」
「そーゆ―事、今までみたいに平気で自分の身斬らせるなよ、スーさん?」
「それは帝具を失ったお前にも言える事だろう?レオーネ」
「たはっ!言うようになったな、だってさラバ?」
「いや、俺関係無いから!」
「だけどタツミの奴、“帝具は全て消毒する”とか言って」
「言ってないわよ」
とマインのツッコミも気にせず
「あたしの帝具くらい良いよね~って、タツミが“居ない時”に、返してよ、ってちゃんと言って、それで持ってたら後でばれてゲンコツ喰らったんだよ?タツミあいつひどくない?」
「こういうのはスルーするのよ、アカメ」
アカメもコクコクと頷く。・・・が、
「・・・スル―とはなんだ?」
「流すって意味よ」
『流す・・・!?』(どんぶらこ、どんぶらこ)
「あんた、別の事想像してるわね?」
ナジェンダが溜息交じりに
「お前ら放っておいたら話が進まんから言うが、タツミの事誰も知らないのか?」
一同首を振る。
「ナジェンダさんは何もあいつの事聞いてないんですか?」
口火を切ったラバックの尋ねに、
「政務に関して打ち合わせなどしたが・・・、今後についての詳しい事は聞いてはいないな・・・う~む、いつもなら数日経てば戻って来るだろうと思うが・・・どうやらタツミはスサノオを人間化させたようだが・・・つまりその時まで一緒に居たのに、共に戻ってもいない・・・それに自分の部屋も綺麗に片づけてタツミに関する情報の類が全て無くなっている・・・」
「何よ!あたしが虫を部屋から出しなさいって少し言ったけど・・・、・・・」
「あ、あたし判った!マインにそんなふ~~うにいびられるのが嫌で家出したんだね♪・・・可哀想なタツミ・・・帰って来たらあたしが慰めてあげるのに・・・しくしく」
ハンカチ片手に嘘泣きするチェルシーにマインの罵声が飛ぶ。
「ふむ、恐らくこれは、立つ鳥疲れて後で座ると言う事だな・・・」
「ああ、そうだな~」
「ええ、そうよね・・・って?いや、全然違うじゃないのよアカメ!」
マインのツッコミが冴える。
「レオーネ、あんたもアカメの暴走止めなさいよ!あんた親友なんでしょ!」
「え~あたし?~自主性を重んじる主義だし~~」
「全くなんであたしがこんな面倒を・・・アカメのお守はタツミの役目でしょ?仕事放棄してんじゃないわよ!」
「噂で聞いた事がある・・・実は帝都には闇の笑い四天王がいて、その1人がマインだと・・・」
「アカメぇ――!!!あんた、あたしまで巻き込むじゃないわよ!!!」
「これが二次被害と言う奴だな☆」
「だな☆じゃないってーの!!!あーもぅ、こいつの暴走止めんのは、タツミでしょ?あいつほんとどこいったのよ!もしこれで逆上がりの練習してて遅くなったなんて言ったら、お仕置きよ!きぃー!!」
「んも~マインなにそんなにはしゃいでるの?」
「違うぞマイン、きっとタツミは大車輪の特訓を」
チェルシーが呆れ、アカメに負けじ劣らず、マインもうるさい。
ナジェンダは再びこめかみを抑えながら、
「お前達、少しは大人しく出来ないのか!?今年で幾つだ!!」
一瞬静まった後、
「17歳だぞ!」「17歳よ!」「17歳かな?」
約三名の自称女子がそうのたまう。
「とにかく・・・お前達の話からすると、ここももうすぐ引き払わないとダメなのだろ?」
スサノオが助け舟を出し、
「よしっ!博打のツケの請求先はここってしたからな、これで逃げ切れる!」
「レオーネ、お前は何故そんな事をするんだ?」
「もうスーさん、固い事言うなよって。これで見逃してくれよ!」
そう言って、レオーネはスサノオの手を自身の胸に押し当てる。
「ねぇ・・・どう?スーさん?」
「や・・・やわらか・・・くっ・・・止めないかレオーネ!?『な、なんだこの感覚は・・・』」
ゴツン!!
「ふふふ、全くレオーネは冗談が好きだな・・・なぁ皆?」
ナジェンダの肘鉄が彼女の頭に炸裂し、一同やっと静かになる。
「いったー、ボス!ちょっと過保護じゃないですか?スーさんだってそのうち」
「・・・・・・」
「はい!ボス、なんでもありません!」
「とにかくだ、ナイトレイドとして使ってきたこのアジトもひと月以内に爆破する、皆必要な物は全て持って行け、後はお前達も前にも言った通り当分遠くに居て貰うぞ・・・タツミの事も気に掛かるが、あいつの事だ!そう簡単に死ぬような奴じゃない。私の方でも時間を見つけて人を使って探して見る・・・アカメ、船旅に出るのだろ?準備は進んでいるのか?」
「・・・タツミに計画だとかの全て任せようと思っていた・・・」
「・・・笑えないな、ここ最近アカメ、お前も丸くなったというか、あ~、まぁ良
い。タツミに頼り切ったフリをするような悪ふざけも程々にしろ、姦しくて敵わないからな・・・話は以上だ、立つ鳥跡を濁すなよ、では解散!」
その時、ラバックが心の中でぼやく。
『あ~あ、アカメちゃん達、わざとテンション爆上げしちゃって・・・あいつが居ないのが寂しいのかねぇ~だがあいつ何で急に・・・あ、』
ひょっとしたら、あいつ俺らに自分の死に顔を見せたくなかったんじゃあ・・・
「ん?何だラバ、何か言ったか?」
「・・・いいえ、何でもないですナジェンダさん」