城塞都市エ・ランテルの場末にある、安宿屋の一室。
薄暗いランプの明かりが、タネヅとナーベラル・ガンマの影を壁に映し出している。
いつもならこの時間は、冒険者ケンシとして街の様子を眺めつつ、アダマンタイト級昇格のための次の手を考えるところだ。
だが今日は違う。目の前に跪く下僕の姿に、呆れとほんの少しの苛立ちが生じていた。
「ナーベラル、また人間を下等生物呼ばわりしたな?」
声は低く、押し殺した怒りが微かに滲む。
ナーベラルは目を伏せたまま、微動だにしない。
「タネヅ様、あのような虫けら共に丁寧な言葉を使う必要は…」
「…はぁ」
ため息をつくと、彼女の肩が小さく戦慄く。人間相手には高慢に振る舞うが、俺の前ではまるで別人。
何度注意しても直らない。人を『虫けら』『ゴミ』と罵る癖が抜けない。
ナザリックのNPCとして人間種を見下すのは仕様かもしれないが、アダマンタイト級冒険者を目指して活動する以上、そんな態度は致命的だ。
昨日も宿屋の主人に『部屋が埃っぽい。掃除もまともに出来ないの? これだから
原作通りの態度と言えばそれまでだが、あまりにも漆黒の評判が落ちれば、今後の展開に影響する可能性もある。
「お前は
「…はっ、タネヅ様。ですが……」
「言い訳をするな。お前が誰かを罵倒するたびに、これから名声を高めていく漆黒の立場が危うくなる。少しは考えて行動しろ」
「申し訳ございません……」
黒い瞳が揺れ、小さく唇を噛むのが見えた。
冷たく整った顔立ちが、叱責に耐えきれず歪んでいく。黙って俯き、長い黒髪が肩に流れ落ちていた。
沈黙が妙に重く感じられ、気まずい空気を誤魔化すように窓の外を見やった。
ナーベラルの声が掠れ、目尻に涙が滲む。その悲しげな姿を捉え、俺は続く言葉に詰まった。
しかし、漆黒の知名度が急上昇してきた今、きちんとナーベラルには教育しておきたい。ここで甘やかすことはできない。
「ソリュシャンを見ろよ。今だって王都での調査任務に行ってるが、それと並行して、冒険者としても人間と上手くやってる。ナーベラルと違って、軽率な行動でナザリックに迷惑をかける真似はしない。どうしてお前はそれができないんだ?」
◇
その言葉が刺さった瞬間、ナーベラル・ガンマの胸に冷たい棘が突き刺さる感覚が走った。
ソリュシャンが、人間と軽口を叩き合う様を思い出すたび、腹の底が煮え立つ。同じナザリックの仲間であり、かけがえのない姉妹なのに、この醜い感情が止められない。
虫けらに迎合するなど、ナザリックの誇りを汚す行為だ。なのに、御方はそれを求める。
忠誠を捧げるタネヅ様のためなら、
そんな思いがナーベラルの頭をグルグルと過るうち、熱い滴となって頬を伝い、膝をついたまま肩を震わせ始めた。
「私はっ、ソリュシャンと比べて…必要されていないと……そう仰るのですか…?」
「え?」
「私では……タネヅ様にご満足いただけないと…っ!」
声を詰まらせ、嗚咽を漏らす。長い黒髪が床に広がり、哀れな姿がタネヅの心を痛めた。普段の冷徹さは微塵もなく、ただ失望される恐怖に打ちのめされている。
◇
(えぇ……ガチ泣きさせてしまった……)
予想外の反応に動揺する。厳しめに叱るつもりではあったが、ここまで落ち込むとは思わなかった。
頃合いを見てお仕置きックスへと洒落込むつもりだったのに、どう考えてもそんな空気ではない。
「お、おい…泣くなよ……」
「…っ、お願いでございます…どうか、私を捨てないでくだ、さいっ…。御身に、失望されたら、私は……何の意味もない存在です……」
泣きじゃくる姿を見ていると、罪悪感が込み上げてきた。なんとかして慰めねば。
『今後は命じられても夜伽は致しません!』などと言われようものなら死活問題だ。NPCに限ってそれはないだろうけど…ないよな?
「いや、捨てるわけないだろ? ほら、顔を上げてくれ。な?」
腕を優しく掴み、ベッドに腰掛けさせる。
涙を拭うと、冷たい頬が手のひらに触れた。
「タネヅ様…?」
膝に置かれた手を軽く握り、彼女を見下ろした。
叱った余韻が重く残る中、次の言葉を慎重に探る。
「…えーと、お前に無理をさせて、すまないとは思ってるんだよ。人間への振る舞いだって、もしかしたら弐式さんが定めたものなのかもしれないのにな」
「そんな! 御身が謝られることなど何も…!」
「まあ聞いてくれ。俺はお前を必要としてる。ソリュシャンとは違う、お前だからこその価値がある。それを忘れないでほしい」
言葉に熱が籠もる。少し恥ずかしいセリフを言ってしまったかもしれない。
ナーベラルは目を大きく見開き、小さく頷きながら、ひんやりとした指先が俺の手を頼りなげに掴んだ。
「本当に……そう思ってくださるのですね……?」
「ああ、本当だよ。俺はナーベラルがいないと駄目なんだ」
「なっ…!」
さっきまで失望と恐怖に沈んでいた瞳が、俺の言葉を聞いてかすかに光を取り戻した。
必要とされている──その確信が凍てついた感情を溶かし、下僕としての誇りと献身を呼び覚ましたようだった。
「……こういうのって、改めて言葉にするとやっぱ恥ずか…ん? 聞いてる? おーい、ナーベラ──ん、…っ!?」
流れるような自然な動きで、ナーベラルが唇を重ねてきた。
彼女の方から求めてきたことに驚く。だが、その温もりが触れてきた途端、さっきまでの張り詰めた空気が消えた気がした。
静かに瞼を下ろし、彼女の存在を確かに感じながらその全てを受け止めた。
「……はしたない姿をお見せしてしまいました。ですが、タネヅ様…どうか、寵愛を賜りたく……」
……なんて健気なんだ。お仕置きックスだなんて馬鹿なことを考えていた自分が恥ずかしくなってきた。なんだお仕置きックスって。
さっきまでの自分を深く反省し、俺は真剣に彼女と向き合うことにした。
そう、慰めックスである。
◇
ナーベ用の装備であるマントを外し、シャツを脱がせていく。
シミひとつない肌が露わになり、汗で張り付いた薄い下着越しに、乳首の輪郭が浮かんでいた。
部屋に流れる沈黙が、お互いの鼓動を際立たせる。
感覚が研ぎ澄まされ、ナーベラルの白い喉が小さく上下するのを見逃せなかった。
抑えていた欲望が溢れ出し、彼女の手を下半身に誘導させる。
「ほら、触ってみろ。俺がどれだけ昂ってるか、しっかり感じ取れ」
指先が股間付近に触れ、慎重に撫でてくる。脈打つ怒張の硬さや熱を確かめているかのようだ。
「……こんなにも…私を求めてくださっているのですね…」
掠れた声に歓喜が滲み、献身と高揚が入り混じった瞳が潤んでいた。
涙の痕が頬に残り、儚い色気を添えている。
「当たり前だ。お前は俺の女なんだから」
「…あぁっ、タネヅ様……!」
言葉を裏付けるように、顎を軽く持ち上げ、再び唇を重ねると柔らかな感触が伝わる。
舌を差し入れると、彼女の方から積極的に絡ませ、吸い付いてくる。
「いいぞ。だいぶキスも上手くなってきたな」
「んっ…もったいないお言葉、です」
「じゃあ、次は何をすればいいか…わかるか?」
ナーベラルの瞳が揺らいだ。唇を離し、俺を見つめるその顔には、僅かに恍惚の表情が見え隠れする。
視線を下腹部へと移した彼女が、覚悟を決めたようにズボンを引き下ろすと、青筋立った陰茎が天を衝くかのようにそびえ立っていた。
「ぁ…すごっ♥ ……はっ、し、失礼しました!」
思わず乱れてしまった言葉遣いを謝罪しながらも、彼女の視線は屹立に釘付けだ。余りにも雄雄しい様に慄くも、意を決して唇を寄せた。
「で、では不肖ながら……このナーベラル・ガンマ、精一杯ご奉仕させて頂きます」
息を整えながら呟く声は真剣そのもの。湿った舌が先端に触れた途端、ビクン! と体が跳ねてしまう。
その反応を見逃すことなく、ナーベラルが亀頭をパクッと愛おしそうに咥える。
窄んだ口が肉棒を包み込むと、リズミカルに頭を振って涎まみれにしていく。
喉が小さく蠢き、グポッ♥ グポッ♥ と締め上げるように咥え込んで離さない。奉仕に全神経を集中させている。
唾液が滴り、太腿に冷たい筋を引く。喉奥まで飲み込むたび、白い首筋が膨らみ、ランプの光が輪郭を縁取った。
涙が乾いた目尻が揺れ、淫靡な美しさが宿っていた。
「よしよし、いい子だ。ナーベラルはいつも頑張ってくれてるよ」
「…! ん、ふぅ…♥」
頭を撫でてやると、さらに熱心にストロークを続けた。
舌を動かし、先端を吸い上げる動きに翻弄されてしまう。
頭がぼうっとする中、彼女の姿に目をやると、美女の乱れた顔が一心に俺を見つめている。
その献身的な表情に心が揺さぶられ、ただ受け取るだけでなく、彼女にも何か返したいという思いが湧き上がってきた。
「ちょっと待った、今度はお前を気持ちよくしてやるよ」
ペニスを引き抜くと、唾液の糸が唇と先端を繋ぎ、淫らな光景を作り出していた。
「私を…ですか?」
「そうだ。今日はだいぶ悲しませたからな。まあ…なんだ、お詫びの気持ちだ」
言うやいなや、ズボンを脱がせ露わになった太腿を押し開く。甘い香りが漂い、火照った秘部がテラテラと光っていた。
下着をずらし、ぷっくりとした肉芽を音を立てて舐め上げる。いつもの彼女からは想像できない可愛らしい喘ぎ声をあげ、溢れた愛液が顎まで流れ落ちる。
「きゃっ! あ、んっ…! 御身が、そのようなっ、不浄な部分に口をつけるなど…!」
「ナーベラルに汚いところなんかないだろ? 今から証明してやる」
敏感な部分に舌を押し当てながら舐めると、いやらしい蜜がトロッと溢れてきた。
指で柔肉を広げ、女壺を味わうと、吐息がだんだん熱を帯びていく。
反応一つ一つが欲望を煽り、もっと深く感じたい衝動に駆られる。
「いけませんっ、私がっ、気持ち良くなっては…んっ!」
快感に身を委ね始めたのを確認し、ナーベラルの下着を剥ぎ取った。白い肌が闇に浮かび上がり、荒々しい呼吸とともに胸が上下する。
「はぁーっ……♥ はぁーっ……♥」
どうやらクンニだけで甘イキしたらしい。
俺以外には絶対に見せない、だらしのないアクメ顔を晒している。
目を離せないその光景に息を呑み、次の一手が頭を支配した。
「ナーベラル、今日は上に乗れ」
「…ふぇ?」
「騎乗位だよ。わかるよな?」
「…!わ、私が上など…不敬では……」
「そんなことを考える必要はない。二人で気持ちよくなりたいだろ?」
戸惑う彼女の手を取り、仰向けの俺の上に引き寄せる。
ギンギンにいきり勃ち、臍まで届きそうな肉の塊を見たナーベラルから、ごくっ…♥ と生唾を飲む音が聞こえた。
綺麗な破れ目に照準に合わせる。そのまま腰を下ろさせると、熱い柔肉がすんなりと根元まで呑み込んだ。
鎖骨に溜まった汗が滴り落ちる。形の綺麗な胸が微動し、硬くなった突起が光に映えて挑発的だ。
「…っ!いいぞ…そのまま動いてくれるか?」
「あ、ん…っ、わ、たしはあなた様の、忠実な下僕…ただ命じてくだされば、それで、よいのですっ……」
ナーベラルが少しずつ動き始め、貪るように肉壁が絡みついてくる。
額から流れ落ちた汗が腹に弾け、生温かい雫が現実感を際立たせた。
まるで忠義を証明するかのように、一心不乱に身体を前後に揺らしている。
ナーベラルの瞳は熱を帯び、俺の反応を一瞬たりとも見逃すまいと見つめてくる。
「御身のっ、悦びが…私の救いでございます…」
そう言うと、今度は大胆に腰を振り始めた。上下に弾むような動きが加わり、柔らかな胸が揺れる。
俺は彼女の動きに合わせ、下から軽く突き上げてみた。
「ゃんっ! …奥まで…っ!」
喘ぎ混じりの声が漏れるたび、股間に疼きが奔る。
ナーベラルが俺の手を求め、恋人同士のように指を絡ませてくる。まるでこの瞬間を永遠に繋ぎ止めたいかのようだ。
しかし、俺は騎乗位の心地良さだけでは飽き足らず、眼前の美女をもっと乱してやりたい欲求が頭をもたげてきた。
「尻を向けろ。激しく愛してやる」
「……は、はぃ…♥」
四つん這いにさせると、張りのある白い尻が晒される。
両手で固定し一気に貫くと、トロトロの蜜壺が吸い付き、奥でヒクつく感触が先端を刺激した。
杭を打つたびに背中が弓なりに反り、双臀が揺れる。指が腰に食い込み、赤い痕を刻む。
「う゛ぅ~~っ!? 頭っ、チカチカ、する…♥」
俺の物だと刻み込むように肉槍を叩きつけると、尻肉がぶつかり湿った音が響く。
喘ぎ声が耳に届くたび、想いが膨らんで動きが激しくなる。
「どうかっ! 私の身体をお好きなようにっ…!」
従順な言葉が俺の理性を溶かし、興奮が頂点へと駆け上がる。もう動きを止められそうもない。
「ナーベラルっ! ずっと、俺と一緒にいろっ…!」
「…! もちろんでございます! タネヅ様っ! 私…お慕いして…あぁっ!」
愛液と汗が擦れ合う音が響き合い、二人の身体がお互いのリズムに翻弄される。射精の予感が熱い波となって押し寄せ、もはや抑えきれなかった。
「もう限界だ…!」
「はいっ! 私めに……どうか、情けをっ…♥」
ナーベラルの動きが切迫し、熱っぽい視線を絡ませてくる。
媚びるような声に耐えきれず、ラストスパートで腰をガツガツ叩きつけると──
溜まっていた衝動が弾け飛び、濃厚な白濁が勢いよく流れ込んで彼女の蜜壺を満たしていく。
「イっ、キますっ♥ ぅう゛ぅ゛ぅ〜~~ッ!?」
濃厚な種汁が迸ると、ナーベラルがひときわ大きく仰け反り、張り詰めた糸が切れたように崩れ落ちる。
快楽に力尽きた彼女の手が俺の腕を探り、弱々しく握ってくる。
最後の一滴まで搾り出すように押し込むと、溢れんばかりの精が淫穴の狭い隙間から漏れ出す。
ペニスを引き抜けば、白濁が太腿を伝って床に染みを作る。透き通るような肌に俺の子種が絡みつく姿が、満足感を呼び起こした。
もはや普段のクールな面影は微塵もなく、ただ快楽に溺れる淫らな女の姿だけがそこにはあった。
「……は、ぁっ……♥ ……っ、すぐに、お掃除いたします…っ!」
「──うぉっ? お、おい…」
息を弾ませながら這い寄り、丹念にペニスを舐めてくる。
精液と愛液にまみれた欲望を咥え込む姿に、愛しさが溢れた。
「なんか、嬉しそうだな」
「っ、はい……喜んでいただけるなら…♥」
彼女の頭を撫でながら、俺は倒れ込むように体をベッドに沈めた。腕を伸ばして抱き寄せてやると、胸板に顔を埋めてくる。
汗と熱の残る肌が触れ合い、静かな余韻が二人を包んだ。
「……私、これから変われるでしょうか…?」
掠れた声で呟くその瞳は、さっきまでの涙とは違う、穏やかな光を宿していた。
「お前がそんなこと聞いてくるなんてな。それだけでもかなりの成長じゃないか? まあ、次は人間相手にその穏やかな雰囲気で接してみろよ」
「……それは、嫌ですけど……タネヅ様のために頑張ってみます」
「正直だなおい」
珍しく冗談めいた口調で返すナーベラルに、自然と笑いが漏れた。人間への冷たい眼差しが嘘みたいに柔らかい表情だ。
腕の中で小さく笑う彼女の吐息が首筋をくすぐり、妙に心地良い。
静かな宿屋に響くのは、二人の息遣いと遠くの街音だけ。そのまま目を閉じ眠りに落ちるまで、彼女の温もりをじっくり味わった。
◇
翌朝、宿屋の軒先にて。タネヅがアルベドへの定時連絡を済ませている間、晴れ晴れとした表情で愛する男を待つナーベラルの姿があった。
隣で一緒に待つハムスケが、大きな瞳を丸くして尋ねかける。
「ムム? 何かいいことでもあったでござるか?」
「昨日、タネヅ様に教えられたことがあるのよ」
「おお! 殿から何を教わったでござるか?」
「色々よ」
短く返すが、口元には微かな笑みが浮かんでいた。
ハムスケから「それがしにも教えてほしいでござるよ〜」とせがまれ、ぞんざいにあしらっている。
そこへ、扉を開けて出てきた宿屋の主人が近づき、急に頭を下げてきた。なんでも、掃除が行き届いてなかった件を詫びたいとのことだった。
ナーベラルは一瞬目を細めるが、主人と向き合ってぎこちなく口を開く。
「…こっ、これから、気をつけてくれれば、まあ、別にいいわ。私も言い過ぎた……かも」
主人が驚き、ハムスケも「珍しいでござるな…」と、戸惑いを隠せない様子だ。
「──すまん、待たせたか? そろそろ出発しよう。ぼちぼちソリュシャンとも合流しないとな」
すると、いつの間にか
「タネヅ様……今日からは、少し人間に気を遣ってみます。……あなたのために」
「ん? ……そうか、お前がその気なら、俺達の評判も上がるかもな。次は街の住民に気さくな挨拶をしてる姿でも見たいもんだ」
少し意地悪な顔をしたタネヅが、ナーベラルの肩を軽く叩く。
彼女の瞳に宿る決意が、タネヅの背に静かに寄り添っていた。
ナーベラル・ガンマがこれからどんな仮面を被り、どう人間と向き合うのか──その答えが、漆黒の名を新たな高みへ導く鍵となるのかもしれない。
『まんまるメイドの支配者様』は最高