それは、今朝のことだった。
なんでもない朝。いつもの朝。いつの間にかそうなってしまっていた朝。
目覚めるのは宿舎の湿っぽい部屋じゃなく、貴族の令嬢が使っていそうな明るい部屋だった。着ている寝間着だって、肌触りの良いサテン生地。それ一つがドレスみたいなネグリジェだ。
カーテンから漏れる光に目を覚ます。
ぼぅっと、ベッドの天蓋を見上げること十数秒。のそのそと、起き上がったリットリアは、ぐっと体を伸ばす。
「ふわぁぁ…っ」
まるで、ネコのような大あくび。
たくさんの朝の空気を吸い込むと、頭にかかっていたモヤも晴れていく。
目元を擦って、滲んだ涙を拭う。そこからまた数秒、ほけっとベッドに座ったまま。起床のベルがならない生活に、私はすっかりと怠けてしまっていた。
いや、でもな…。
いつまでもダラダラはしてられない。
きっと、ハンナドールはもう朝の支度を始めているはずだ。いつから起きているんだろう? 私が彼女より早くおきた事なんてない。今日こそはと思っても、顔を合わせる度に「おはよう」と先を越されてしまう。
「何を張り合っているんだ?」
ユーレリアに言われて、気恥ずかしくなった私は それっきりだ。
日が昇って少し経つ。宵闇の紺色も いよいよと晴れて、すっかり朝の様子に変わっていた。それでもまだ早い時間。一番の寝坊助が目を覚ますまで、もうしばらく は掛かるだろう。ユーレリアはもう庭で剣を振ってるだろうか? 私も少し体を動かしてから。
まだ、眠気の残る体を引きずって、起き上がろうとした時だった。
股間に、違和感がある。
ちょうど、股の間に棒でも挟めばこうなるだろうかって引っ掛かり。
布団や、寝間着でも巻き込んだかと思えばそうじゃない。確かに異物感があるんだ。鉄のように固いわけじゃないけれど、鉄のように冷たくだってない。
生々しいっていうのかな?
太ももの内側に擦れたその感覚は、そうとしか言いようがない。
生温かくて、柔らかい。けれど、真ん中に芯が通っているような固さもある。
近い所で言えば、ちょうど指の感覚を思い浮かべたが、それよりももっと、自分の股間に芽生えたモノに思い当たる節があった。
「なっ!?」
布団を捲って、目が丸くなる。
肌に寄り添うサテン生地を引き剥がすように、股間から一つ突き出た盛り上がり。
布団から叩き出されたのか不満だったのか、肉の棒はムクムクと膨らんで、びくんっと大きく跳ねた。
分かる。
見覚えのあるものだ。
自分から受け入れたことだってある。
ただ、それは、自分に生えてて良いものじゃない。
「ぁっ…」
股間が震えて、頂がサテン生地に擦れると、甘い痺れに腰が包まれた。
ドキッとする。乳首の先や、クリトリスを弄った時のような感覚にも近い。
薄い肌を擦られる感覚は、男も、女も、そう変わるものじゃないらしい。
ただし、受け止め方まで同じとは限らない。
決して強くはない刺激だ。膨張した頂きに、サテン生地が触れただけ。
ビクッと跳ねて、先が擦れて、ちょっと気持ちが良い。きっと、クリトリスにも同じ様にすれば、同じ様に気持ちが良いんだろうけれど。
そんな事、普段から意識する訳ないじゃない。
ちょっとエッチな気分になった時、それを解消しようとしてようやく気が回る。
それから自分で弄って。だんだんと気持ちがよくなって。上手に出来た時にやっと、絶頂に達するどうか。
気にするなって方が無理だ。
慣れない股間の感覚は、どんどんと膨らみを増していく。
ビクッと跳ねて、ドクって脈打って、ネグリジェを押し上げながら大きくなると、先端がサテン生地に擦られる。
甘い快感に腰が痺れた。
堪らずお尻を引いて、快感から遠ざかろうとした。
しかしその瞬間。根本から先端へと向かって、裏側を撫でるような刺激が走る。
「あっ…♥」
短い声。少し上ずった声。鼻にかかった声を上げた私は、その場に縫い付けられたように動けなくなった。ネグリジェを握りしめて、ゆっくりと捲り上げる。
頂から逃がすように上へと持ち上げ、丸まったスカートの端を、胸元へと引き寄せた。
熱気が逃げたせいなのか。それとも、朝の空気が入り込んできたせいなのか。
股間と、お腹が少し冷えて、背筋がゾクッとする。それと同時に、股間の肉棒も震え上がり、小さくはない快感に腰を引いてしまった。
「っぁ…♥」
なんとか声を飲み込んで、けれど、嬌声が甘く喉を震わせる。
膨らんでしまったせいだろう。いつの間にか、下着はズレ落ちてしまっていた。
腰を引く度に感じていた裏側への快感は、下腹と、下着の隙間に肉棒を引きずられたせい。
「私…なんで、こんなの…」
捲り上げたスカートの中に そびえ立っていたのは、下着をずり下げる程に膨らんだ男の頂だった。
知ってた。分かってた。そんな事だろうとは思ったけども。
何故? なんては考えない。誰の仕業だと考えて、一瞬、寝坊助の顔が思い浮かぶけれど、今はそれ所じゃない。
「ふぅ…はぁ…っ。どうしろって…いうの、これ…っ」
辛い。
その一言に尽きた。
衝動的な欲求がそのまま形になってるみたい。それを鎮めようとすれば、触れるしかないし。触れてしまえば、腰が抜けるような快感に襲われる。
朝日の差し込む部屋の中。カーテンはまだ降りたまま、私はその影に隠れるように身を寄せた。ベッドの上で足を開き、スカートを自分から手繰り寄せる。そそり立った肉棒を前に、ゴクリ、私は深く喉を鳴らした。
「あっ♥」
ビクッと、肉棒が跳ねる。甘い快感の気配に腰が痺れた。
ちょっと触っただけ。指先で撫でて、亀頭にすら触れていないのに。
クリトリスに触れた時か、それ以上の快感に目が回りそうだった。
だって、これは…こんなのは。
して欲しいんじゃなくて、したくなる。
それが、男性的な興奮だと気づくのに、時間は掛からなかった。
たった少しの差。その情動は裏表のはずなのに、我慢の仕方が分からない。
ユーレリアは、こんな時どうしてたの? これだけの衝動を抱え込んで、どうして理性を保っていられたのか。私を囲ったゲスな男たちのほうが、よっぽどまともだったんじゃないかと思ってしまう。
「あっ…♥ はぁっはぁっ、なに、これ…っ。なんなのっ、もうっ…んっ♥」
指が止まらない。
どっぷりと、亀頭の割れ目から先走りが溢れると、そそり立った肉棒がドロドロと溶かされていくみたい。指先で撫でるだけじゃ収まらなかった。手の平で包んでゆっくりと、でもすぐに物足りなくなって、気づけばヌチャヌチャとイヤらしい音が聞こえてくる。
「はっ、はっ、はっ…♥」
自分の荒い息遣いが耳にこびり付く。
オマンコと、クリトリス。胸の膨らみと、乳首の先。自分の女性を慰めていた時はもっと、こう、羞恥はあったように思う。端ない? 欲望のままに声をあげるなんて、誰かに聞かれでもしたらと、まだそんな事を考える余裕はあって、そのドキドキを興奮に変えていた部分もあった。
なのに、なのになのにっ。
イライラする。
すっごくイヤ。
「あはっ…ははっ♥ なんだ、わたし…んはっ、結構…んっ♥ うまい、じゃ、ないっ…くぁっ♥」
経験はあった。繰り返した悪夢の中で何度も。目が覚めた後だって、ユーレリアの男根に幾度も触れてきた。イメージでも、実践でも覚えた自分の手管は、着実に私を絶頂へと導いていく。
彼女のモノに比べたら、可愛らしいだろうか?
胸のサイズを気にする女性のような? ちょっとした引け目も感じるけれど。
肉棒。
そう言われるのも分かる見た目。その機能に関してだって遜色は無いはず。
扱けば扱くほど。私の男根は固くなり、どんどんと張り詰めていく。
気持ちが良い。快感が沸騰してしまいそう。それは、根本に集まって、溜まり続けて、今にも吹き出しそうになっている。
なのに、なのになのにっ。
イライラする。
すっごくイヤ。
出ないの。出てってくれないの。
これが、射精欲なんだと理解する。でも、分かったからって何?
扱き続けて、ぐっと、下腹にも力を入れても、精液は根本に留まったまま。
何に引っかかっているのか、居座り続けてる。
何が、わかんない。
快感が、刺激が足りないなんてハズはない。
だって、気持ち良すぎてて、頭おかしくなりそう。
私はどうやって、コレを射精にまで導いていたんだっけ? ユーレリアにしてあげる時はもっとこう…でもっ。同じようにしようとして、手が止まらない。
ぐちゃぐちゃと、乱暴な水音が鳴り響く。ドロっと零れた先走りは粘度を増す一方で、それなのに、何時まで経っても精液は出ていかない。
「ああっ! もうっ! なんでっ、なんでっ! 出てってよっ、早くっ、早くぅぅっ!!」
肉棒を掴む手に力が入る。ぎゅっと握りつぶされて、それがまた気持ち良い。
手の平の凹凸に亀頭を擦り付けながら、親指と人差し指の隙間を開いて顔を出す。
ゾクゾクとした。握りこぶしを股間に打ち付けるように、私は唐突に芽生えた肉棒を扱き続ける。
「かなしい…」
「ひゃっ…」
だから、全然気づかなかったんだ。
ふっと、耳元に掛かる幽かな吐息。消え入るようなその声音にも慣れてきたつもりだった。綺麗な女性の声。まるで、ヴァイオリンの弦の様。か細い女の呟きに耳をくすぐられ、私は肩をビクッと跳ねさせる。
「へ? あ、ぁぁぁっ。ハンナ? ハンナドール? どう…して、いつから?」
顔に、血が集まってくるのが自分でも分かってしまう。
ふと、横を見やれば、いつも変わらない彼女の顔があった。かなしいと、涙を零しては見せるけど、それだけで、本当に泣いている事なんて今まで一度とあったのだろうか?
「楽しい、ですか?」
「ぇ、ぃゃ…その。たのしい、とか…じゃ」
答えない。答えられない。
例えば、これが普段の自慰だったとして。それならまだ、開き直るって選択肢もあった。こんな事、誰だってするでしょう? 自傷の代わりに快感を求めた私には、そんな情けない姿もお似合いだったけど。
唐突に芽生えた肉棒。
それを扱いて、夢中になって、隣に彼女が居ることさえ気づかなかった。
ううん。元から気配の薄い彼女のこと、気づかないのはいつもの事で。
でも。
チラリと、視線を送った部屋の扉は開いていた。
部屋に籠もった空気が逃げるように、新鮮な朝の空気と入れ替わる。
ざっと、カーテンが開かれると、あられもない私の姿が朝日に照らされた。
「っ…」
恥ずかしい。
開いていた足を閉じ、私はハンナドールの視線から逃げるように縮こまる。
「はぁ、かなしい…。今日は朝が遅いから、心配して見に来てはコレだもの」
「それは、ごめん…なさい」
なんで謝っているんだろう? いらない心配を掛けてしまったから?
羞恥に染まった頭には、その理由すらも浮かばない。
「その…あの。すぐに、片付けて、行きますから…。だから、その…」
出ていって欲しい。
言いたくて、言えなかった。
ふわり、ベッドが沈む。
女二人が乗った程度では、上等なベッドは軋みさえしなかった。
近づいてくる女の気配と、その匂いに、忘れていた肉棒が衝動を思い出す。
ビクっと、強く跳ねて。
ドクっと、先走りが溢れ出す。
「それで?」
「それでって…言われても」
「これは、なに?」
「なにって…しらなっ。どうせ、また…あの子の悪戯か、なにかでっ。はっ、んっく。それとも、ハンナ…貴女なの? また、これ、悪い夢だったり?」
「かなしい…。私は何もしてませんのに。誓って、ええそう…」
つぅっと、頬を流れる女の涙。たったそれだけなのに、なんでこんな魅力的に思うんだろう? もともと綺麗な女性だ。私なんかより、よっぽど性的な魅力にも溢れてる。羨ましいと、同性ながらに思うことはあっても、今、たった今、胸に湧き上がった感情はそうじゃない。
「っ…ぁ、ゃ…」
ダメって、触らないでって、ちゃんと言うべきだった。
ハンナドールの指先が私を撫でる。頬から、首筋へ、首筋から胸元へ。
薄い寝間着。そのサテン生地は、触れる指先の感触を妨げなかった。
細い、糸のような快感が引き伸ばされて、芽生えた肉棒に近づいていく。
首を振って、それが精一杯。
そう、私は、期待してしまった。
彼女に触れて欲しい。
その女の指で、魔法のような指先に。初めて会った時。ぬいぐるみを縫っていたあの時から。綺麗な指だった。剣を振り回し続けて、少し荒れてしまった私のものとは違う。ささくれなんかも一つもない。嫋やかな女性の指先に見惚れてしまった。
頬を撫でられただけで、体が震えてしまう。
柔らかいんだ。温かいんだ。
逞しいだとか、頼もしいだとか。ユーレリアに撫でられた時とは違う安心感がある。包みこまれて、安らいで、ほっと気が抜けてしまった。
「あひっ…♥ あっ、まっ…やだっ、だめっ! ダメダメダメダメっ、とまっ…んぅぅぅっ♥」
その瞬間だった。ハンナドールに撫でられて、それだけ。急に、頭の中が真っ白になった。念願叶った肉棒が震え上がる。背筋を快感が駆け抜けた。まるで、おもらしをした子どもみたい。
止まらない。
止められない。
そもそも止め方も分からなければ、気持ちが良すぎた。かぁっと、頭の中が熱くなってなんにも分からない。自分がどうなっているのかも分かってない。
精液を吹き出す度に、強烈な快感に襲われていた。ガクガクと、腰の震えは止まらない。抑えの効かない肉棒が跳ねて、辺りに精液を飛び散らしてしまう。
ムワッと、辺りに漂う濁った匂い。
ポタポタと、白い粘液がベッドの上に撒き散らされる。
「あら、まぁ…」
「あ、あ、ごめ、ごめんな、さい…。はんな、わたし、わた…ぁぁぁ♥」
反射的に謝って、でも、ダメ。自分の精で汚れた女の姿に、血が滾った。
ハンナドールの頬から、前髪から、白濁液が滴り落ちる。肉棒に触れた彼女の指先は、シーツじゃ拭えないくらいにドロドロだった。
悪いとは思う。
けど、情動が高鳴ってしょうがない。
「そんなに心地が良かった? 少し、触れただけですのに?」
「それ、は…」
それが、どうだったかなんて覚えていない。
彼女の言う通り、触れられただけ。指先が少し、亀頭を撫でてそれだけで。
期待して、高まっていた興奮が、とうとうと耐えられなくなっただけ。恥ずかしくってしょうがない。独りで溜め込んでいた射精欲は、引き絞られた矢みたいに飛び出していってしまった。
「ぁっ…だめ。ハンナドール。もう、時間…。雫が、そろそろ、おきちゃ…」
軽く肩を押されただけ。押し倒すなんてとんでもない。
射精の快楽に力が抜けきっていた私は、抵抗が出来なかった。ううん。あるいはもっとと、期待してしまったのかもしれない。
「平気よ?」
「なにがっ」
「だって、貴女。リットリア? 随分と、お早いじゃないですか?」
「っぅぅぅぅ…」
どうしてだが、顔が熱くなってしまう。
早漏と。浮かんだ言葉は、私には全然関係ない事だったのに。悪戯に微笑む、彼女の声を無視できない。
「大人しくしてらして? そこで寝ているだけ良い。すぐ、楽にして差し上げますから」
しゅるり…。
結びの解ける音がする。
一つ、二つと、留め具の外された黒いドレスが肩から落ちて、ハンナドールの胸元が大きく晒された。
いや、やめて。そんなの、見せないで。
紅潮したんじゃない。かっと頭に集まった血は、頬には回らず、目が血走った。「はっ、はっ」と、荒くなる呼吸は、まるで躾けない犬の様。
女の肌に、視線が縫い付けられる。今にも襲いかかりたくて、そんな自分を押さえつけるのに、残った理性の全部を費やした。
「かなしい…」
呟いた彼女の瞳から、涙が流れ落ちる。
たったの一滴。その一滴に目が離せない。つぅっと、一筋、頬を濡らして、細い顎の線から首筋へと消えていく。消えていくの。私の理性が、あるいは、女性の部分が流されていくような気さえしていた。
ブルっと、背筋が震えて、快感が喉に詰まる。
「そんな怖い顔をして。ユーレリアの方がまだ、マシな顔しているわ」
「しり、ま…せんよっ、はっ、そんな…こと」
そんな事言われたって、私、悪くない。
女性同士だからって、言い訳をするのでない。もはや私の心は、唐突に芽生えた男性にとって代わられてた。いや、そもそも。女の視点から見たって綺麗な体だ。
それが、異性の視点に立ち変われば、酷い誘惑を感じるのに不足なんてない。
黒いドレスの狭間に浮かぶ白い肌。
しゅるりと、解けて、脱げて、たわわな胸の膨らみに、目が釘付けになった。
恥ずかしいと、思う。彼女の体が、あんまりに女性の魅力に溢れていて、自分の身体に自信が持てなくなるのは当然だ。無意識に腕で胸を隠して。それに気づいても、私は止めなかった。
「何を、恥ずかしがっているの?」
「べつに、そんなんじゃ…ぁっ」
手首を掴まれ。ううん、掴むって程でもない。「ちょっと、ごめんなさいね」そんな気軽さすらもある。胸を隠す腕をちょいっと掴まれて、脇に寄せられる。
見られている。その視線がくすぐったくて、快感に染まる羞恥心が、肌を熱くするのを感じていた。
「ふふっ。可愛らしい…」
「褒めて、無いでしょ…」
「褒めて、欲しいの?」
「そういう意味じゃ…ぁっ」
そんなつもりで言ったんじゃない。恥ずかしくって、少し悔しくて、胸に残る幼心が唇を尖らせただけ。目の前の女性に、自分の女が負けたってことが、ちょっと面白くはなかった。
ネグリジェの胸元に彼女の指が引っかかる。
ゆるく開いていた胸元は更に大きく広げられて、肩から外れると、私の胸の膨らみが、ハンナドールの前に晒されてしまった。
「んっ…やめっ。はんな、おねがっ…ぃぅっ♥」
口ではそう言っても、身体は疼く。
貞操観念なんて、とっくにもう。被虐的欲求を求めることに、私はすっかり馴らされてしまっている。嫌だと言って、それでも無理に快感を引き出されて。
だから、仕方ないって…。
諦めた振りをする。
そこまでやって、ようやく快感を素直に受け止めると、後はもう泥沼だ。
「スケベな女ね、相変わらず。嫌だと言うだけ言って、大した抵抗もしないのでは。して欲しいのでしょう? 私に。無理やり犯されてるから仕方がない。快感を感じるのは女の反応だからって? 気持ちよくって、何も考えられなくって、責任だけは人に押し付けるのね…」
反論なんて、言い訳の言葉もない。
全部、全部、彼女の言う通り。だって、私は悪くないもん。貴女達が勝手に掴まえて、オモチャにしてるんじゃない。私は、私はっ…。仕方が無いの。だって、だって…。
「ぁっ…だ、め。それ、やめ…っ♥」
声すらもう、震えてしまっていた。
ハンナの指先が、私の胸に触れる。優しい、とても優しい指使い。
指の腹はしっとりと柔らかく、吸い付くみたいだ。ささくれの一つもない。
硬い筋肉の凸凹も感じなければ、剣ダコの影すらなかった。
くるり、くるり。
膨らみの袂に触れた指先が、円を描きながら昇ってくる。
一周、二周、三周…。乳首に近づいてくる指の感触に、胸がドキドキと高鳴った。
自分でも分かる。気づかない振りをして、でも無理で。指が近づいてくる程に、胸がドキドキと高鳴る度に、乳首に血が集まってくる。ちょこんと、そこに乗っているだけだった小さな蕾は顔を上げて、ふわり、ふわふわ、膨らんだかと思えば、ふるっと、快感に悶えるように、可愛らしく震えてみせた。
また、何かを言われるだろう。からかわれる? 可愛らしいだとか、スケベだとか。もっと直接的に、乳首、勃ってるって、そう思って、なのに。
くすっ…。
ハンナドールは、ただ微笑んだけ。
その間にも指先は、どんどんと乳首に近づいてきて、乳首はどんどんと固くなっていって。
「あっ♥」
先に声を上げたのは私だった。「ふぅ…っ、ふぅ…っ」いつしか吐息は荒くなり、乳首に近づく指先を目で追い続ける。マジマジと、今か今かと、見つめ続けて、穴が空くほどに強く。
ぴんっと、指先で乳首を弾かれる。
ビクッと、体が震えてしまった。
高く、鋭い嬌声が、喉を震わせる。甘い痺れが乳首の先で弾けて、力の入った体から、ふわり、気が抜けていった。
「気持ち、よかったですか?」
「…」
私は答えない。ただ、見下ろす彼女の視線から顔を背けて、小さく首を振っただけ。「いやらしい…」そう言われるのも承知の上だ。見透かされてるんだ。
頷くよりも、否定して、更に酷く責められたい。そんな情けない自分にこそ、私は興奮してしまう。
「ここも、こんなにさせてしまって…」
また、射精してしまったの?
そう思えるほどに。
乳首から指が離れて、残念だと、少し寂しく感じる暇もなかった。
ヌルリとする。ハンナドールの手の平が、私に芽生えた肉棒に、触れて、包まれて、ドクンっと、跳ねた。先端から何かが溢れるのが分かる。ドロドロして、ネバネバとしていて、彼女の手の平が汚れされて。
自分の先走りに塗れていく肉棒。嫋やかな女の指先に絡まれて、快感を強くするほどに粘液は溢れ出す。ううん、搾り取られてるみたい。快感で肉棒が震えて、下から上に指が動くと、先走りの汁が溢れて止まらない。
「あらまぁ…」
蔑むみたいなハンナドールの視線に堪らなくなった。
射精欲が根本に滾る。一度出したばっかりなのに、すでに圧力を取り戻した肉棒から、先走りが追い出されていく。
もう少し、あと少し。肉棒が震えて…。
「あっ♥」
けれど、次に私を襲ったのは、ぴんっと、乳首の先を震わす快感だった。
意識が逸れる。張り詰めていた肉棒から力が抜けて、その代わりに乳首が固くなっていく。
指の腹で、固くなった乳首を転がされた。
快感が乳首の先で踊って、私は何度も「あっ♥ あっ♥」と、気の抜けた声ばかりを漏らしてしまう。
イッちゃう…。
そう思った時にはもう、弄られ続けた乳首の先が、ビリビリとしていた。
ゴクリ…。私は息を飲み込んだ。初めての感覚に戸惑いと、でも、期待はある。
絶頂する事がじゃない、させられる事ですらもう慣れた。乳首で快感を感じることもそう。でも、そこから先。乳首だけの刺激で、絶頂しそうになる自分の姿に、興奮が抑えられなくなっていく。
ヌルリ…。
「んひぃっ♥」
今日一番に情けない声だったと思う。
もう、乳首でイカされる。乳首だけで絶頂に。それだけでも大分情けなかったのに。期待は裏切られた。けれども次の瞬間、肉棒を襲う刺激に、全てがどうでも良くなってしまった。
ヌルヌルと…。
嫋やかな指先に包まれて、絡まれる。下から上に、射精を促すような指の動きが堪らなかった。腰を震るわせながら、気づけば私は自分から、ハンナの手の平に勃起した肉棒を押し付ける。
「ああっ♥」
もう、出る。もう、だめ。
だったのに。
ぴんっと、乳首が弾かれた。
肉棒から快感が遠ざかった代わりに、乳首が快感で震えて、先から何かが出てきてしまいそう。母乳? そんなの出るわけ無い。私は、まだ、でも…。
射精するみたいに、快感が吹き出しそうだった。そんな風に、快感が吹き出したら、絶対に気持ちが良いと思う。
「あっ♥ や、めっ♥ くぅぁっ♥ だめ、だめっ、はんな、もう…やっ。むり、むりぃぃっ。どっちもっ、はっ。どっちか、にっ。せめて、せめて…はっ、はぁはぁはぁっ! おっぱっ、ぃ、と、おち、ちん…一緒は…やぁ♥」
頭が焦げ付きそう。ううん、もう快感で焼き付いてる。
射精しそうになったら乳首を弄られて、乳首でイきそうになったら肉棒を弄られる。その繰り返しは、だんだんと感覚を短くして、胸に、肉棒に、快感が溢れて、絶頂しそうになって。
死んじゃう…。
同時に、おっぱい と、おちんちんで、一緒に、そんなのになったら、私。
「気持ち良い、ですか?」
「あっ♥」
問いかけに、体が震えてしまった。心が溶かされていくみたいな、期待に胸が高鳴ってしまう。
「…っ、ぁ、め」
「なぁに? リットリア?」
「やめ…て。これ、いじょう…は。私、しんじゃ…はぁっ、んっ。おねがっ、い。ハンナぁ…ダメ…もう」
首を振って快感を否定する。気持ちよくなんか無い。いきなり、こんな、男性を芽生えさせられて、戸惑っているだけ。変わってしまったとはいえ、肥大したクリトリスを弄られれば、どうしたって体は反応してしまうから。
でも…。
ハンナドールが、私の言うことを聞くなんて思ってなかった。
急に話しかけないで。驚かそうとするのを やめて。もう、何度言ったって聞いてくれやしない。
きっと、今だって。
つぅっと、涙を零して見せて「かなしい」そういうんだ。
「下手だと、そうおしゃるのね?」なんて、私、一言だってそんな事言ってはいないのに。慌てて否定しようとする私を見て、どこか可笑しそうに涙を流す。
短い付き合いだって、なんとなくでも、彼女がそういう人だって理解していた。
「そう…」
「ぇ…」
期待していたんだ。「かなしい」と、そう言われる事。
そう言われて、彼女の指に熱が入るのを。
乳首と、おちんちんとを、もっと責められたかった。
声を上げて、泣いて、叫んで、いつもの自分が分からなくなるくらい、気持ち良くさせられたかった。
多分、馴れてしまっていたんだろう。
物のように、奴隷のように、情婦の様に、ユーレリアに抱かれる日々。
肉欲に耽溺する日々に、不満があったわけじゃない。私だって望んだこと。
何も考えたくなかったから。命令されるのが楽だったから。
だから、余計に我慢が出来なかった。
羞恥心を燃やされる。芽生えた男性を責めらるのにも馴れていなければ、一度体感してしまった射精の快感に、心が奪われる。深く、沈んでいくような、女性の絶頂とは違っていて。
もっと、遠くに、高く、突き抜けてしまうような快感をちらつかされると、指を伸ばさずにはいられない。
なのに、指が離れていくの。
乳首と、おちんちん とを弄る手は止まり、残ったのは焦れったさだけ。
体が疼く。乳首の先はピリピリして、昂った肉棒はビクビクと、今にも弾けてしまいそう。
なのに、どうにもならない。
どうにもできないし、どうともしてくれない。
「な、んで? はんな…」
「なぜ? やめて、そう言ったのは貴女よ? リットリア。辛かったのでしょう? 乳首と、おちんちん。一緒になって責められて、息が苦しくなるくらい気持ちが良くって、もう、死んでしまいそうだったのでしょう?」
「それは…。そう、だけど…。でもっ、やめるだ…なんてっ。きいてな…んっ」
不満を零した私の唇が塞がれる。
ちゅっと、優しく、重なるように。ハンナドールの唇が私の唇と触れ合って、驚いた私は目を開いた。「ぁっ…♥」と、喉が甘く震えてしまう。キスをされて、それだけで、私の不満は高まっていくばかり。
「さて、あの子に言って、コレもどうにかしてもらいませんと…」
「ごめんなさいね。悪戯っ子で」聞きたいのは、そんな言葉じゃなかった。
いつものように泣いて欲しかっただけなのに。
ふわり…。花の香りがする。しっとりと、朝露に濡れるような甘い女の匂い。
唇が離れ、揺れる髪の間から、細い首筋から、胸の谷間から。そう。肌に浮かんだ汗は乾いて、女の匂いに変わっていく。
体を起こしたハンナドールと、それを見上げるしか出来ない私。
細い体の線。丸い女の体。私の手に余るほど、胸は大きい。
カモシカって、見たことはないけれど、多分こんな肢体をしてるんだと思った。
腰はくびれて、お尻は広がって。下腹に抱いた揺籃は、きっと子供を宿すには十分で。
見ているだけでも恥ずかしい。
自分との違いを意識してしまって、知らず、背中を丸めていた。
なのに。彼女から視線を外せない。もっと、見ていたい。触れたい、触れて欲しい。なによりも、肉棒が、そう叫ぶ。
こんな、ただ膨れてしまっただけの男性で。
ユーレリアのような。あの、偉丈夫の逞しさも、力強さもない。
未成熟な女に代わって、ただ熱り立つだけの肉棒が虚しく跳ねる。
「まって、ハンナドール」
手を、掴んでしまった。
立ち上がりかけた彼女の手首を掴んで、だめって、いやだって、震える私の唇は止まらない。
「挿れて、抱かせて…欲しいとは、言わないから」
そんな事を言ってしまえば、図々しいだとかきっとまた言われてしまうから。
情けない私にはそれで十分。クリトリスに成り代わった程度の男性で、貴女の女をくれだなんて言える訳がない。
「手で…良いの。ううん、指で、指でもっ。ちょっと、擦って? ね? 撫でて、摘んでくれるだけで良いから…。汚いとは…思うけど、こんなの…触りたくないかもしれないけど…」
誰かに触れて欲しい。ハンナドールに触れて欲しい。
自分の手じゃ、絶対に満足できないのが分かる。同じ女の手でも、どんなに馴れた指先だって、彼女の愛撫に敵うものじゃない。
「浅ましい…」
「ぅぅっ…」
涙が零れた。彼女の瞳に、私の瞳に、それは溢れて頬を濡らしていく。
「スケベな女。最初からそうでしたわね? でも、そうじゃないでしょう?」
「なに、が?」
静かな罵倒に肌が熱くなる。被虐的な欲求に胸が踊る。
焚き付けられた羞恥心が興奮を燃やして、いつもの自分が灰に変わっていくの。
「出して? 挿れて? 精液を、奥に、全部。貴女の、好きに、貴女の、モノに、でしたっけ? もっと、もっと、もっとって?」
聞かれていた。私がユーレリアに抱かれていた時の全部。それは、そう。雫にだって、忠告されていたし。自分から肌を寄せて、体を開いて、腰を落とす。すべてを捧げていた、それが幸せだった。肉欲に溺れる、情けない自分を思い出して、ぎっと、奥歯を強く噛んでしまう。
「かなしい…。私には、言ってくださらないの? 人に愛を求めるなら、貴女も愛を差し出してくださいませんと」
「あ、あ、ぁぁぁっ」
頬を撫でられ唇が開く。首筋を辿られて、体から力が抜けていく。
カチカチと、歯がなっていた。パクパクと、唇を開いては、でも、言葉は出てこない。荒い息を繰り返す私はただ、肌を撫でるハンナドールの指先から目が離せなくなっていた。
胸に、触れて、それだけで。
ちょっとは気持ちが良いけれど。ピリッと、快感を訴える乳首は、その程度の刺激では納得しなかった。もっと、もっと。強請る様に心臓が私を叩く。早く言ってしまえと、背中を蹴飛ばされるみたいだ。
「もう…許して」
「何を?」
「何ってっ!!」
それが、限界だった。涙はポロポロと流れて、心が千々に乱される。
「十分、でしょ? ねぇ? 我慢…出来ないの。射精、したいっ。精液出したい。乳首だってっ、おちんちんもっ、どうにかなりそうなのっ! 頭おかしくなるっ。オナニーだけじゃっ、だめぇ…。ハンナにっ、ハンナドールにっ。挿れさせて…抱かせてよ。馬鹿にしても、いいからっ。どうせ、こんなっ、みっともない おちんちんでっ。でもっ。でもっ! 私とエッチして…えっち、させて」
「…ください」だって。
本当に、みっともなくて、情けない。
「図々しい…。私に奉仕をしろと? そう強請るのね?」
「ちがっ…ちがくて。そうじゃない、そうじゃないのっ。わかっててっ! ハンナドール! 貴女は…私に、何を…何て言って欲しいのよ。言うから、全部言うから…。だから…もうやだぁぁ。お願いだから、お願いだからぁぁっ!」
本当に、本当に、私は何をやって。
彼女の手首を引き寄せた。抱き寄せようと伸ばした手は、だけど、するとすり抜けてしまう。今、私は何をしようとしたの? 強引にでも彼女を犯そうとはしなかったか?
「別に、何も?」
「そんなのっ!」
意地悪だ。意地が悪すぎる。あんなに恥ずかしいことを言わせておいて、どうでもいいだなんて。
「私はただ、貴女の泣き顔が見たかっただけだから。情けない。そんなに涙を流して、よくもまぁ、そこまで自分を無くせるものね。ユーレリアに捧げた唇で、好いた男もいたのでしょう? それなのに、私に愛を強請るだなんて。貴女もそうとうな浮気者ね、リットリア?」
言われて思い浮かんだ彼の顔。
一度は好いた男の顔に、もう顔向けなんて出来やしない。私は彼を裏切った。
いや、どうかな? もう、それも分からない。助けてくれなかった彼の方こそ、私を裏切ったのじゃないか。そんな暗い諦観ですら、考えるようになっていた。
「うぅぅっ。なによっ! もうっ、きらいっ、きらいっ、きらぃ…嫌いよ、ハンナドール。貴女の、貴女の事なんてっ、私」
「かなしい…。でも、私は好きよ? みっともなくて、情けない。可愛い、可愛い、リットリア」
あひっ!?
聞こえたのは私の悲鳴? それに気づくのでさえ遅れてしまった。
バチッと、火花が散ったみたい。頭が真っ白になって、ビクッと、腰が跳ね上がって。肉棒が、一つ、大きく脈を打つ。
魂が抜けていくようだった。
思い浮かんだ彼の顔すらもう、思い出せない。
あんなに辛かったのに。あんなに辛かったから。その全てが報われたかのような快感に、腰は抜けてしまって、へなへなと、ベッドに体を沈めてしまっていた。
「な、へ? あ、あ、ぁぁ…っ♥」
甘く、甘く、痺れてる。腰がじんわり あったかい。ドクンっ、脈打つ肉棒に合わせて、大きな快感の波が押し寄せてくる。何が起きたの? 気づいたのは射精が終わった後。あんまりにも突然過ぎて、私は何もわからないまま。ただ、射精しちゃったって、事実だけがそこにはあって。
「お早いのね?」
「ぅぅぅぅっ…」
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。
違うの。私、女の子だもん。おちんちん、すぐに、出したって。早くたって、別に、関係ない。筈なのに。わからない内に童貞を失くしてしまっていた。それが祝福のつもりなのか、贈られる静かな罵倒に体が熱くなる。
気づけば私の肉棒は、ハンナドールの女性に飲み込まれていた。
繋がった私達の隙間から、じわぁっと、白く濁った液体が流れ出てもくる。
そんなの、私知らない。
情緒も、余韻も、なにも。
最初は、指で触れられただけ。次は、いきなり中に挿ってて。
その間の事は全く覚えてない。出したくて、出したくて、頭が熱くなるくらいだったのに、絶頂の後の気だるさだけが残ってる。
心が追いつかないまま、射精だけさせられた。体は楽になっても、心は宙ぶらりん。ようやく出せたはずなのに、そこには、実感も、満足さえもない。
「ありがとうもないの? 勝手に中出しして、知らんぷりだなんて。
かなしい…。はぁ、かなしいですわ。私では満足いただけないのね、吐き捨てる程度の価値しかないと…」
「そんな…事。いってな…っ。はぁ、んっ…」
「何も言ってくださらないなら、同じことでしょう?」
そんな事言われたって、なんて言って良いかも分からないのに。
言葉をかわす暇も、快感を咀嚼する時間さえ。ただ、射精した。絶頂の快感だけが突然に襲われて、私は正気を失くしただけ。
「わからないのよ…。さっきも、今だって、いきなり射精だけさせられてっ。
何も感じる暇なんて無かったのっ。どうしろって言うのよっ! 何を言えば満足なのっ。分かるわけないじゃないっ!!」
恥ずかしいのと、悔しいのと、でも、やっぱり気持ちが良いので、頭の中はもうグチャグチャだった。壊れた感情はブレーキを失くして、瞳からボロボロと涙が零れてしまう。ハンナドールの顔が涙で滲む。滲んだ彼女の顔は、それでも、赤みを帯びて見えた。
うっとり…と。
熱い溜息。
私の頬が、彼女の両手に包まれて、ちゅっ、唇が交わされる。
「では、感じて下さいね? 今度はちゃんと、感想、言ってくださらないと、やめてしまいますから…」
ぐちゅっ…。
粘ついた水音を引きずるみたいに、肉棒が抜け出ていく。
腰が持ち上がり、ぬらぬらと、粘液に塗れた肉棒が、彼女の中から姿を見せた。
「あっ♥ はっ、はっ、あ、ぁぁぁっ♥」
たったそれだけ。射精の直後、そういう事もあっただろう。
敏感になった肉棒は、とても弱かった。膣の柔肉に舐められるだけで、強い快感に襲われる。甘く痺れて腰が抜けそう。射精の後、萎えそうになっていた肉棒は、ムクムクと力を取り戻し、それが余計に快感を助長してしょうがない。
「どう、ですか?」
「ど、どうって…っ」
言葉が、続かない。何か言おうとして口を開けば、言おうとした言葉が嬌声に変わってしまう。そもそも、何を言ったら良いか? 気持ち良い? そんな曖昧な評価を望まれてるとは、とても思えなかった。
「き、もち、いいです…んっ、はっ、とて、も…」
ほら、やっぱり。
頑張って、言葉にはしてみたものの。そういう事を聞きたいんじゃない。
明らかな落胆が、ハンナドールの顔には浮かんでいた。
つぽっと、亀頭が入口を通り過ぎ、開いていた割れ目が閉じていく。
繋がっていた彼女の隙間と、私の頂との間で伸びた糸は途切れてしまった。
「ぁぁっ。あぁぁ…っ」
声なんて、言葉なんて。溜息の様に息を吐く。首を振って、イヤだと、不満を表にするの。抜け出ていく。包まれていたあの温もりが恋しくて、なのに、何も出来ない自分が腹立たしい。今更、勃ち上がった肉棒に苛立ってしょうがない。
「リットリア?」
問われて、口を割る。言うしか無かった。
僅かでも、感じたことの全部を言葉にしないと。脅しじゃないんだ。彼女は本当に。私が泣いて叫んだって、それは、それでも、ハンナドールの愉悦に変わるから。
「だって、だて、その…。おちん、ちん、全部、舐められてるみたいで、その。だから。指とちがって、密着? してて…。ぬるぬるって、すごい、腰、抜けそうで、気持ちよかったの。だから、もっとって、思って、して欲しい…あっ♥」
また、キスをしてくれた。
ハンナドールの陰唇が、私の亀頭に触れて、開いた唇の中へと飲み込まれていく。
「ふふっ。必死になって、可愛らしい。舐められた事なんて、無いでしょうに?」
「そうだけどっ! そう、なんだけど…。他にどう言えってっ、んひっ♥」
「今も?」
「今もっ!」
亀頭が、ぬるりと、舐められて。雁首が割れ目を大きく開いていく。
柔らかく、包みこまれるようだった。キツイって、一言だって出てこない。
きっと、私のとは全然ちがうんだろう。男のモノを飲み込んで、誘うように蠢いている。犯されるだけじゃない。使われるためのモノじゃない。私の肉棒を咥えこんだ膣内は、私を犯すような気配さえあった。
「はっ、挿ってくのっ。私、ハンナの、なか…また、ぬるって、きもちい。きもちいっ。なか、ひだ、動いて、すごい。きゅってされて、すわれててて、腰はねちゃっ、あっ、あっ…♥」
根本まで、飲み込まれる。彼女の体重が、私の上に加わって、ベッドに腰が沈んでいった。一粒、一粒。まるで生きてるみたい。奥に届いた亀頭が、ザラついた天井に包まれた。四方八方から亀頭が責められ、バチバチと頭の中に火花が飛び散る。
「随分と、口が軽くなりましたね? 犯される自分を実況するのはどんな気分?」
「そんなのっ、ただ、恥ずかしいだけよっ。だれが、したくて、こんな…」
「あら、一人遊びではないのよ、リットリア? 愉しみたければ、貴女も私を愉しませて下さいませんと」
「愉しいのは貴女だけでしょうっ、ハンナドール。私は、ただ、はぁ、んっ、はずかしい、だけ、で…」
「気持ちよくはないと?」
「わかっててっ!」
心臓が、飛び出してしまいそうだった。荒い息を繰り返しながら、私を見下ろす彼女を見つめ返すしか出来ない。期待はある。当然だ。次に、彼女が、何を要求してきたって、私はきっと逆らえない。それほどまでに彼女の居心地は良かった。
この女の中に射精する瞬間は、どれほどだろうか。考えただけでも肉棒が熱り立つ。
「あら? 興奮、してしまいましたか? エッチなこと、また考えましたわね? リットリア。射精、したいのですか? そんなにも必死になって…スケベな女」
はぁ…。
大きなため息。
うっとりと、私を見下ろしたハンナドールは、頬を染めて身悶えた。
隠し事なんて出来ない。ピンからキリまで私の欲望は彼女に筒抜けだ。
興奮が高まり、肉棒が怒張を増して、それで射精はイヤだと嘘はつけない。
情けなく、みっともなく、そんな自分を晒してでも。ううん、きっと、そうだからこそ、私は余計に興奮してた。
こくり…。
頷いた。
胸の前で小さく手を握って、ぎゅっと、肩をすくませる。
「頷くだけ?」
ううん…。
小さく、首を振る。
祈るように握っていた指を解いて、私は自分から体を開く。
「射精、したい…の。あっ、はっ。ハンナの、中に…出させて…」
「お願いします?」
「お願い、します…うぅっ」
泣きそうだった。いや、もう泣いていた。
いきなり男性を生やされて、慣れない快感に振り回される。私にはもう、どうする事だって出来やしない。射精の情動を鎮めるため? 違うの。肉棒が伝わる未知の快感に酔い痴れていただけ。まったくの痴女みたいで、私は泣きながら笑ってた。
ぐちゅり…。
水音を引きずって、ハンナドールの腰が持ち上がる。
また、抜けていく。肉棒を、血管の浮かぶ肉竿を、膣肉のヒダに舐められ腰が抜けていった。雁首が割れ目を開き、抜け出るその一歩前。切なさと、焦れったさが混ざり合うと、再び肉棒が彼女の中へと吸い込まれていった。
上に下に…。
単純な上下運動はテンポを上げていく。
「あっ♥ はんな、どーる。もっと、そのまま、んひっ♥ はっ、おく、さきっぽ、ぬちゅって、突き刺さって、頭っ、しびれちゃっ。これ、ああっ、ぐりってしないで、おしつけちゃっ♥」
ぶるっと、肉棒が震え上がった。
射精の快感。絶頂の衝撃は、だけど、それだけ。
駆け上がってくる精液は、そこにはなくて、代わりに大量の先走りが溢れる感覚だけがある。
「空打ち、ですね♪ 早い上に、耐え性もない。いいえ、耐え性もないから、早いんですわね。無駄打ちばかりしているから、肝心な時に出ないんです。ほら? 頑張って? 早く精液作らないと、いつまで経っても射精出来ませんよ?」
そんなの、そんな事言われたって。
ぐつぐつと、根本に滾るものは感じていた。貴女のせいだって叫びたい。
ハンナドールが、そんなにするから。快感で、気が抜けて、煮詰まっていた射精欲は、その度に逃げていく。
出したいのに、出せない。
もはや拷問だ。貫いているのは私なのに、犯されてるのは私の方。
いいや、違う。私だって、私にだって男性があるのなら。苛立ち混じりに腰を突き上げる。どうにかして、主導権を奪いたかった。私が、ユーレリアに喘がされたみたいに。私にだって、出来ないはずはない。
「あっ♥ 怒りましたか? 今のは少し、よかったですね。けど、私、勝手にされるのは好きではないの」
「んにぃ…ひっ♥」
なんて声。酷く、情けない声を上げて気が抜ける。
ざわっと、膣肉が蠢いて、肉棒全体が舐められた。腰が落ちて、落とされて、奥に包まれた亀頭を磨かれるようだ。
ぶるっと、肉棒が震え上がった。
射精の快感。絶頂の衝撃は、だけど、それだけ。
「あらあら。また空打ちですか? 本当に、性のない子」
「ぅぅぅっ! ばかっ、ばかぁぁっ。ハンナドールっ! 貴女、貴女はっ…」
勝てない。勝てるわけがない。
私にあるのは、ただ使われる経験だけ。使ったこともない。女を犯したこともない肉棒で、一体彼女の何に勝てる道理もなかった。
上手いんだ。そう、とても上手。
腰使い。生き物のように動く膣ヒダ。私を罵倒する静かな言葉の一つ一つが、的確に絶頂へと導いていく。もう少し、あと少し。快感が根本に滾って、爆発しそうになる直前に、気が削がれる。
期待していた刺激じゃない。
でも、体が震えるには十分だ。耐え性の無い私は、勢い余って肉棒を震わせると、亀頭の先から、先走りの汁を垂れ流すばっかり。これが、辛い。一滴も出ていかない精液は、根本でくすぶり続けたまま。中途半端に逃げた圧力は、精液を押し出すまでには至らない。ただひたすらに、ドロドロと、マグマの様な射精欲は溜まり続けるばっかり。
もう、収まりが付かなかった。
おちんちんから、出ていかないから。逃げ場を求めた精液は逆流して、私の全身に流れ込んでくるみたい。体が熱い。血液まで、白く濁っていく気がする。
全身が熱に浮かされて、快感に心が溶かされる。自分のことですら、もう、分かんなくって、もう、ダメになってて。
「さて、そろそろ良いでしょうか? こんなに、膨らんでしまって…。リットリア? すっかり忘れているようですけれど…ね?」
「あっ♥」
目の前で火花が散った。頭が真っ白になる。乳首が、震えて、先っぽから、快感が吹き出したみたい。ハンナドールの細い指が、私の乳首に触れていた。
嫋やかな指先が、魔法のように動く。いつのまに、こんなになっていたんだろう? 私が肉棒ばっかりに夢中になって、すっかりと忘れていたせいだ。
指の腹で、転がされる。
ころころ、ころころ、ころころ…きゅっ♪
不意に摘まれて、快感が弾けた。とうとうと、乳首で絶頂する。胸を貫くような快感は、そう、丁度射精の刺激にもよく似ていて、下腹に溜まっていた射精欲が、そこから逃げていくようだった。
「いやぁっ、やめ、て…。ちく、び…しちゃ。おちんちんっ…精液、だせなっ」
「すぅ…はぁぁぁっ♥ 酷い顔。涙でグチャグチャにして。あ、ほら? また空打ちですか? おちんちん、ビクンってしましたね? なのに、出ないんですか? はぁ…かなしい。情けない、みっともないですわ。ね? リットリア…」
しくしく…。白々しい。その涙声にイライラする。
けど、けど…。
「だめっ、ちくびぃ…こわれちゃっ、あっ♥ はっ♥ ぃぃぃっ!!」
今までの不満を訴える。お預けにされていた分の快感を取り戻すかのように、乳首は震えて、絶頂に達して、快感を横取りされた肉棒は、空打ちばかりを繰り返す。
「少し、手伝って上げましょうか? ほら、ぐーり、ぐーりって、ね♪」
「あひっ♥ ひぅっ♥ んっ、や、だ、めっ…おちん、ちん。ぐりって、それ…」
可愛い、可愛いと、頭を撫でられるみたい。ぬちゃっ、ぬちゃっ。ハンナドールは腰を動かして、円を描く。その間にも膣肉のヒダは蠢いて、精液を導くように、奥へ奥へと波を打った。
ぶるっと、肉棒が震え上がった。
空打ちばかり繰り返していた肉棒に、一本の芯が通ったかのようだ。
固くなった肉棒は、圧を増して、膨らんで、垂れ流していた先走りが引き絞られる。ぐつぐつと、快感が根本に集まってくる。それは大きく膨らんで、閉じた尿道をこじ開けようと躍起になった。
「んっ♥ はっ、はっ、はぁぁっ、あっ! な、んで? でてっ、でないのっ、なんで、なんでっ、でて、でってよっ!」
もう、それだけに夢中だった。
ハンナドールの腰を掴まえた私は、必死になって腰を振り続けるが、射精欲は溜まる一方で、一向に抜けでて行く気配がない。
「そんな、獣みたいに腰を振って、浅ましい…。すぅぅ…はぁぁ…♥ 射精の仕方も分からないで、そんな、必死になって…ふふっ♪ ええ、そうね。せっかくの おちんちんですもの。最後くらい自分で出したい、ですわよね?」
私の頬が、彼女の両手に包まれる。
白く明滅する視界の中で、私はただ、それを見るでもなく見つめていた。
10,と。ハンナドールは呟いた
一体それはなんの数なんだろう? 不思議に思う私に、ようやく、その時が近づいてくる。
「0になったら出させて上げますね? それまで精々、たくさん腰を振って、おちんちん気持ちよくしていて。出させて下さい、精液出したいって、私に懇願して? 涙で顔をグチャグチャにしながら、必死な貴女をもっとよくみせて?」
耳元で囁く女の言葉に、私は全てを差し出した。
やっと、やっと。0になったら、出して良い。出させてもらえる。
この、拷問みたいな性交の時間が、ようやく終ると思えば、必死にだってなった。
「んぐっ、あっ♥ おちん、ちん。きもちぃ、精液だしたっ、ぃ、出させてっ。頑張るから、一杯動いて…だからっ。あっ♥ あぁぁっ♥ なんで、なんでっ。声の一つも。はんなぁっ、貴女もっ…少しくらい、私ばっかり…ひぐっ、あ、あ、ぁぁぁ。だめ、だめっ。出したいのに…早く、早くしてよっ! おねがっ、こわれちゃ、頭へんになる。おちんちんしか、わかんないの、もうっ! もうっ!」
がんっ! がんっ!
打ち付けるように腰を突き上げた。
勢いに押されたハンナドールの体が浮き上がり、私の目の前で、大きな胸がふわりと揺れる。掴んだ彼女の肌に、指が食い込んだ。もはや、レイプしてるのと変わらない。
悔しい。
そう思うのに。せめて、せめて、甘い声の一つも上げさせたいのに、私に出来たのは乱暴にするばっかりで、射精の自由すら許されない。
「きゅー、はーち、なーな、ろーく…」
一つ、また一つと、数字が小さくなっていく。
けれどそれは、酷く間延びしていた。零に近づくほど、もっと引き伸ばされる。
焦れたせいもあるだろう。早く、早くと、望むばかりの私も悪い。
「にぃ…」と、笑うみたいにハンナドールの唇は歪んで見えて、そこで時間が止まってしまった。
「ハンナっ!!!」
私は叫ぶ。多分、どんな時よりも。ハンナドールの口から、彼の最後の聞いた時よりも強く叫んでいた。もう、いつ射精してもおかしくないのに。いつまでたっても射精が出来ない。その苛立ちは、今までのなにより辛かった。
「お願いっ、おねがい、します…。もう、むり、だめ。だめ、なの…ほんとに、やめて…。こわれるぅ…。つらいの、これ…。中じゃなくて…いいから。後はもう、自分でするからぁ…。いくらでも、笑っていいっ。だから、だからっ、せめて、せめて…。もう、やだぁぁ…」
涙が、一筋と頬から零れた。
後はもう止まらない。泣き顔を見られたくなくて、両手で顔を覆っていた。
ポロポロと涙を流しながら、それでも腰の動きは止められない。
浅ましい。ほんと、そう。情けなくて、みっともなくて、救いようのない性欲に心が折れた。
「いーち。はい、よく言えました。良い子ですね。可愛い、可愛い、リットリア。お顔、ちゃんと見せて下さい?」
両手を開かれた。恋人たちがするみたいに指が絡むと、そのままベッドに押し付けられる。
「酷い顔。涙と、涎で、ぐっちゃぐちゃで。必死ですねぇ、出したくて、しょうがないって。自分を捨ててまで。…好きですよ、そういうの」
「あ、あ、あ…」
背中に手を回されて、彼女の胸元へと抱き寄せられる。
耳元に、掛かる吐息がくすぐったい。触れ合って、重なって、擦れ合う女の柔肌に心が踊った。
「ほら、ちゃんと奥まで挿れないと 途中で抜けてしまいますから。良いですか? はい、それじゃあ…」
「あっ…」
ぜーろ。
耳鳴りがする。
つーんっと、細い音だけが私の頭の中で響いていた。
何も聞こえないの。何もわからないの。気持ちが良いって、それはなに?
優しく抱きしめられて。私も、彼女に縋り付いていて。
下腹が熱いな。クリトリスに成り代わった私の肉棒が、ビクビク跳ねていて、ぎゅっと、柔肉に包みこまれる。
「あっ♥ ぁぁぁ…」
気の抜けた声だった。まったくの力のない声。
極まった男性の声なんかじゃ決して無い。絶頂に達した女だって、もう少しマシな嬌声を響かせるだろう。
「おっ、ぁっ、ひっぃ…んくっ、ふぅ、ふぅ…はぁ、あひっ♥」
ドクンっと、肉棒が跳ねる度、私の中から何かが抜け出ていくんだ。
魂が溶けて、抜けていくみたいな? 気持ちが良いの? それすらも曖昧で、抵抗する気力すらも湧いてこない。
「はっ! あっ、はぁ、っ、はぁ、は、はっ。あっ♥ あ、あぁぁぁっ!!」
長い、長い、射精の時間。間延びした感覚はきっと、真っ当に時を数えてはなかったはず。耳鳴りが止む。呼吸の仕方を思い出すと同時に、私はまた快感を叫んでいた。
気が遠くなるような快感だった。
それは当然、正気を戻せば、気が触れるほどに気持ちが良い。
ビクンっ、ドクンっ、肉棒が跳ねて、精液が女の中へと注がれる。
ザワリ、ザワザワ、ゾクゾクと。蠢いた柔肉に精液を絞り出された私は、訳もなく彼女に腰を打ち付けて、更に強く肉棒を震わせた。
「あぁぁ、あぁぁっ…♥ ひゃっ、んひっ、あっ、くっ!! あぁぁぁっ、はっ! んくっ♥ いぃぃっ♥」
獣の様な声だった。盛りのついた猫よりも、もっと。
声を上げて、精を吐き出して。心の全部を欲望に溶かし尽くして…出し切った。
「気持ちよかったですか? リットリア…」
「はぃ…。と、っても…」
空っぽだった。
溜まりに溜まった射精欲は、快感に変わって出ていった。
精液と一緒に、何もかもが抜け出ていくの。嫌だった事、辛かった事、悲しかった事、嬉しかったこと、楽しかった事でさえ。恋心なんてもう思い出せもしない。
空っぽになった。
性も根も出し尽くして、私には何にもない。
ふわふわと浮かぶ、空っぽの紙風船。それが今の私。
幸せ。
多幸感に満たされる。
求められ、使われること。そうとは違う安心感があった。
許されること。受け入れて貰えること。それの何と心地が良いことか。
自分の全部。普段なら考えられない。汚いとすら、思えるのに。一滴と残らず彼女の中に吐き出してしまったのに。最低だと罵られる事はなかった。
ぎゅっと、抱きしめられて心が緩む。
脱力しきった体はもう、彼女の肌を掴む指にさえ力が入らない。
「はぁ…っ、はぁ…っ」曖昧に、甘い吐息を繰り返す。半端に開いた口の端から涎を零し、流れた涙に頬が濡れる。ドロリ、ドロドロ…。股間が熱い。
縮んでしまった肉棒。繋がった私達の間から精液が流れ出し、据えた匂いが立ち昇ってくる。
「ふふっ♥ 情けない顔ね…。でも、とっても良い顔よ」
「あ…♥」
耳元で囁く静かな罵倒に、私は肩を小さく震わせ鳴いていた。