※この作品はR-18です。

きゅーとあぐれっしょん   作:霧里

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怒ってないから(Hシーン

 

大丈夫。私はちゃんと出来るから。

 

リットリアが目を覚ましたのは、随分と日が昇ってからだった。

その時にはもう、ハンナドールの姿はなくなっていて。それが、少し、寂しいだなんて、思ってしまった自分が恥ずかしい。

 

情事の余韻が残る部屋の中。

 

湿気ってしまったシーツと、濡れた枕には涙の跡。

多分。ハンナドールがしてくれたんだろう。散らかした精液は、拭き取られていた。乱れたネグリジェも整えられてはいたけれど、やっぱり、それなりの匂いはある。

 

まずはお風呂。

 

着替えと、肌を流さないことには始まらない。

あれだけ出した後なのに、違和感は残ったまま。わざと、冷たいシャワーで身を清めた私は、努めて股間を気にしないようにと身支度を整える。

 

大丈夫。怒っていないから。

 

最初から問い詰めたら、あの子は逃げてしまうだろう。

そんなに大人な訳がない。教会に集まった子ども達に接するような面持ちで、丁度いいはずだ。

 

「雫。ちょっと良いですか?」

 

その小さな背中を探して庭に出る。

青々とした緑の中に少女が一人、白いドレスを翻して遊んでいた。

何をしているのかと問えば、きっと何もはしていない。とんっ、たんっ、とんっ。響く足音はリズムを変えながら、雫は意味もなく踊っている。

 

可愛いなぁ。

 

やっぱり、そう思う。

 

こんな関係じゃなければ、素直に抱きしめて、転がりまわりたい。

それで言われるんだ。お姉ちゃん苦しいって。そんな風に、ちょっと嫌がられて。それは、それで、可愛くて。

 

「なぁに、リット? 今日は随分と遅かったわね? 寝坊助だなんて、私の事言えないじゃない」

「今日は…っ。いいえ、そうじゃなくって…」

 

一瞬、荒ぶり掛けた言葉を飲み込む。

誰のせいだと言いそうになったが、我慢、我慢。

 

怒っちゃだめ。けど、困っていることはちゃんと伝えて…それから。

 

「ねぇ、リット? こっちに来てちょうだい?」

「え、あ、はい? なんですか?」

 

先手を打たれたことにすら気付けない。雫の小さな手に招かれるまま、私は彼女と視線を合わせた。ふわり、揺れる黒い髪。サラサラと流れる髪の奏でる音色さえも、聞こえてきそうなほど近く。まったくに無防備な私の耳元で、彼女は囁いた。

 

「そんなに気持ちが良かった? 随分と、楽しそうだったわね?」

「っ!」

 

キレた。

 

くすくすと、耳元で転がる鈴の音に、堪忍袋の底が抜ける。

 

「雫っ!」

「きゃっ♪ あはははっ♪」

 

彼女を捕まえようとした手が空を切った。ヒラリ、白いドレスは翻って、風のよう駆け出した雫を追って、私も走りだす。

 

そりゃ、怒る。私だって人の子だ。

優しい? ううん、甘いとすら言われるくらい怒るのが苦手でも。一時は、聖女と持て囃された事があったって、その内心は年相応の小娘には違いない。

 

「なによっ、なによっ。なんで怒るのよっ、何を怒っているのっ。笑って良いって、いくらでもって言ってたでしょう? ちょっと小さかったくらいで、そんなに不満?」

「そこじゃないっ、そうじゃないっ。生やすなっつってんのっ!! このっ、こんなの…」

「おちんちん?」

「かぁぁっ!!」

「きゃぁぁぁ♪」

 

吠えた。私は吠えた。憤慨はそのままに、口から炎を吐き散らす。

その心は、大翼を広げたドラゴンの有り様だ。

 

きゃっきゃっと、はしゃぐ雫の背中を追って私も走る。

 

走って、捕まえて、それからどうしよう? もはや説得だなんて、言い聞かせるだなんて理性は、庭に置いてきたままだ。まさか、思いっきり引っ叩くわけにもいかないし。

 

…。

 

何、やってんだろう?

 

こんなの、事情を知らない傍から見れば、仲の良い姉妹にしか見えないのじゃないか? 一度は殺し合ったって。今でもまだ、私は…。でも、何故か、なんだか、憎みきれない。見た目のせい? 美人は得だと言うけれど。

 

長い黒髪の似合う少女。白いドレスの似合う少女。きっと、ぬいぐるみを抱いてても絵になるだろう。私より、二つか三つは幼く見える。女の子と呼んだって、まだ許される見た目だ。

 

呪いにでも掛かったかな。

 

心の隙間に、すっと入り込まれたような気分だ。

 

いつから? と、言われれば、昔から知ってる気さえした。

リット。そう呼ばれるのすら、当たり前に受け入れて、最近は何の疑問も感じない。

 

小さい頃、一緒によく遊んだよね。

 

有りもしない記憶を、ふっと呼び起こしそうになっては、いやいやと、首を振る毎日だ。そんな筈無い。そんな思い出は無いはずなのに。もう、それでも良いかなって。戦い漬けの毎日よりは、よっぽど気の休まる記憶に心を任せそうにもなっていた。

 

ーーーー

 

昼は過ぎたろうか。

 

紅茶の華やぐ香りに誘われ、ユーレリアは陽の当たるサンルームへと顔をのぞかせた。そこには女が一人。黒髪と、黒いドレスと、青い瞳。優雅にティーカップを傾ける姿は胴に入っていて、カップを摘む指先にさえ隙がない。

 

けれど、ユーレリアの頭に浮かんだのは、そんな称賛ともう一つ。

天日干しだとか、虫干しだとか。いつも湿っぽいハンナドールの横顔に涙はなく、日光浴も捨てたものじゃないなと、危うく口にしそうになる。

 

「なにか?」

「なにも?」

 

目ざとい女だ。眉根を揺らして、一言。内心を見透かされてみたいで、少し肝が冷えた。けれどだ。傾ける首があれば、そうしただろう。偉丈夫の体はそのままでも、ハンナドールの不可思議な態度は気にかかる。

 

なにか、なんだ? つやつやしているな。

 

女としての魅力、そういう意味でもない。「かなしい…」と、小言を言うでもなければ、頬を濡らす涙が無いのも妙だ。一年の、360日はイジケているような女にも、そんな日があるのは珍しい。

 

覚えのある事柄を返すなら。例えば、雫と一夜を過ごしただとか。

そういう時は決まって、機嫌が良いものだが。昨夜は、まして今朝でさえ、そうではなかったはずだ。

 

どたどたどた…。

 

疑問を口にするべきか? 考えあぐねているユーレリアの後ろで足音が響く。

続いて、少女の怒声。

 

「まちなさいっ、雫!」

「いーやーっ♪」

 

珍しく声を上げたリットリアに追い立てられた雫が、駿馬の如きすばしっこさで廊下を駆け抜けていった。

 

「なに、なんだ…?」

 

娯楽に乏しい館の中だ。追いかけ鬼の一つくらいは、見逃したって良い。

しかし、雫を追いかけるリットリアの顔は切実に過ぎた。何か、耐え難い恥辱を耐えるような必死さが見える。

 

「生やされた…。そうですよ?」

「生やすだ?」

 

一、二、三…。

 

三つと数えたユーレリアは、ぱっと閃いた。

なるほど。それなら確かに、リットリアだって必死になるだろう。妙に切実だったのも頷ける。きっと、走っている間にさえ辛いはずだ。

 

「ああ、チンコか」

「…言い方」

 

嘆息と、息を吐いたハンナドールは、しかし、それ以上に追求してこない。

いつもなら「かなしい…」と、適当な理由で涙を流しながら、やれ端ないだなんだのと、いらん小言を並べ立てそうなものなのに。いつのまに、それだけの陰鬱を吐き出したのか。

 

そうか。

 

「食ったんだな」

 

ついと、呟いてしまった。疑問ではなく、事実として言葉を締める。

違和感のあるハンナドールの様子に、考えあぐねていたもう一つの疑問が解消された。どうして今日は泣いていないのか、どうして生えている事をしっているのか、どうしてそんなにも つやつや しているのか。

 

その答えは、そう多くもない。

 

「かなしい…。私が、そんな女に見え…」

「見えるなぁ」

「…」

 

ハンナドールの言葉を遮って、ユーレリアは大きく頷いた。

明らかな不満。ぴしっと朗らかな陽気にヒビが入ったよう。陽の当たるサンルームは湿度を増して、その内カビが生えてきそうだ。

 

「せろり、ぶろっこりー、かりふらわー。にんじんぴーまん、なすとまと…。

今夜はごちそうですわ、ねぇ? ユーレリア…。好き嫌い、しないでくださいね。あの子が、真似をしてしまいますから…」

「貴様は…」

 

にっこりと、微笑むハンナドール。

 

彼女が並べ立てた食材は、その尽くが、ユーレリアの苦手な食べ物だった。

 

 

ーーーー

 

失敗した、そう思う。声を上げれば雫は逃げる。そんなの分かっていたはずなのに。耐え性がないって、ハンナドールに言われたばっかりでも、改めるには時間が足りない。

 

待って、雫。

 

ほんとに、まって欲しい。

 

雫の背中を追いかけるリットリアは、でも、あと一歩の距離が詰められないでいた。足の速さなら負けてはいない。むしろ鍛えてきた分の有利は確かにあって、それでも尚追いつけないでいるのは、慣れない違和感のせいにほかならなかった。

 

大きく踏み出して、踏み込んで、足を動かす度に股間が揺れる。

太ももに擦れるんだ。ぶら下げた肉棒がムクムクと育っていく。すぐにも下着の中は窮屈になって、甘い痺れを感じ始めていた。

 

もうダメ、走れない。体力はまだ有り余っていても、一歩、一歩が重くなる。

今、足を止めればその場に崩れてしまいそう。でも、走り続けるのも限界に近い。

 

女性用の下着に棒を収める隙間なんかない。

 

膨らんで、行き場を無くした肉棒は、薄い生地に、肌に擦れて、ますますと固くなるばかり。そのうちに、ぬるっとしたものを下腹にも感じるようになる。

肌が濡れて、下着にまで滲みだした。ぐちゃ、ぐちゃって。纏わりつく下着に、擦り擦られ。刺激を遠ざけようとした私の腰は引けてしまって、だんだんと足が回らなくなっていく。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…。雫、この…もうっ!!」

 

途切れ、途切れに息が乱れる。肉棒から伝う快感に体が痺れだしていた。

あと一歩、踏み込んでしまったら。手を伸ばしてやっと、私の手が雫に届く。

「きゃっ!?」聞こえる小さな悲鳴。細い手首を掴まえて、振り払われそうになって、お互いにバランスを崩した私達は、その場に倒れ込んでしまった。

 

「つ、掴まえた…。もう、逃さないから…。ていうか、逃げないで…。お説教とか、そういうのでもないから…」

 

幸いにも、倒れ込んだのはベッドの上だった。

ぱっと、辺りを見回せば、たくさんの ぬいぐるみが転がっていて、その中にはハンナドールが繕っていた子の姿もあった。

 

雫の部屋、なんだろう。

 

追いかけ鬼のゴール。というよりは、行き止まりかな。

 

「嘘よ。怒ってないからって、皆そういうのだわ」

 

ベッドに押さえつけられた雫は「ぶぅぅっ」と、あからさまに頬を膨らませて私から顔を背ける。

 

「話を、聞いて下さい。本当に怒ってるわけじゃないの…。ただ、その、こういう悪戯は困るっていうか…。戻してくれれば、それでいいですから」

 

いや、良くはない。

 

できるだけ、早くして欲しい。

 

ベッドの上に少女を押し倒す。その光景は、中々心臓に悪かった。

落ち着いている時ならいざ知らず。散々な刺激に晒された肉棒は、ビクビクと、苛立ちを隠せていない。それだけならきっと、我慢は出来たはず。

 

けれど…。

 

私はもう知ってしまっている。

 

女を貫く興奮。思いのままに精を解き放つ快感を。

今朝はただ、襲われたみたいなものだったけど。今度は私が襲う番。組み敷いた少女の身体が、イヤに魅力的に映る。見つめれば見つめるほどに股間は熱くなり、彼女を掴む指に力が入ってしまった。

 

ベッドに広がる長い黒髪。

 

それを際立たせる白いドレス。

 

掴んだ手首は今にも折れてしまいそう。

 

ゾクッとした。一瞬、自分が考えたことが分からなくなる。

こんなに、簡単なんだ。力で、押さえつけられる、私の。その気になれば、雫をどうとでも出来る。いい、の? いや、ダメだ、でも…。

 

「っぁ…。痛い、わ…リット。少し…痛いのよ」

「あ、ごめん、なさい…」

 

膨らんでいた頬が萎んでいた。目元には涙。あれだけ、小生意気だった表情は影を潜めた代わりに、今は不安げな顔をして私を見上げている。

 

「やっぱり、怒ってるんじゃない。嘘つき…」

「違います。違うんです。怒ってるとかじゃなくって…加減を、そう、少し間違えてしまって、だから」

 

可愛い。

 

浮かんだ感情は、でも、いつもとニュアンスが違っていた。

愛くるしい。撫でてみたい。抱きしめたい。例えば、犬猫を見た時の様な ときめきとは別のモノ。

 

一言。

 

何の言い訳もなく言うなら。

 

抱きたいと、思ってしまった。

 

「いえ、そうですね。怒ってます。怒ってるんですよっ、私も、私だって。だから、もう、元に戻して下さい、じゃないと…ほんとに」

「いや…」

 

なのに、雫は首を振る。

 

その仕草に、堪らなく腹が立った。

 

「なんでっ!」

「ひぅっ…」

「あ、いや…ごめんなさい。でも、もう、良いじゃないですか? みっともない私を見て、笑えて、楽しんだでしょう? だったら、十分じゃない…」

 

突然、大きくなった私の声に、雫は怯えた様に肩を竦めてみせた。

こんなにも、こんなにも。あの夜、私を嬲りものにした彼女とはまるで違う。

そう、おかしいと、思う。私をどうにかするつもりなら、どうにか出来ているはずだし。ハンナドールも、ユーレリアでさえ何も言ってこない。

 

気づいてないから?

 

いや、違う。さっき、すれ違った時だって、視線をくれはしたけど、それだけだ。子どもの戯れあいだと、放ったらかされた空気もあった。

 

良いって、事?

 

いや、ダメだ。

 

緩みそうになった理性を、慌てて引き絞る。

何が良いものか。だって、相手は、まだ子供じゃない。ハンナドールにからかわれてるって言うなら、まだ、意地にもなって良いかもしれないけど。

 

「リット? どう、したの…。そんな怖い顔をして? ユーレリアだって、そんな顔、したこと無いわ?」

「うっ、ぁっ…」

 

やめろ、やめて…。

 

そんな、顔、しないで…。

 

幼さの残る顔。不安げに揺れる瞳。何かを言いかけた唇は、半端に開いたまま、結局は何も言えずに口ごもる。「ごめんなさい」一言 言えれば済む話し。彼女か、私か、どちらかが謝ればきっと、この場は収まったはず。

 

「戻して、下さい…。今、すぐ…」

 

けれどもう、私は引っ込みがつかなくなっていた。

選択肢は二つだけ。今すぐに消すか、そうじゃなければ…。もう、そうするしか。

 

「ぃゃ…」

 

謝る。そうね。分かる。彼女はきっとそんな風には育ってない。

ごめんなさいと素直には、絶対言わないだろう。

 

「状況…分かってますか? 雫…。はぁっ、はぁっ…。舐めてますよね? 私が、何もしないって。何も出来ないって、本気で」

 

再び膨らむ頬。ふいっと横を向かれて、苛立ちが胸を刺す。

彼女の首筋に、指が伸びた。ああ、掴めてしまうんだ。私でも簡単に。片手で首を絞められる。殺意? ああ、そう、それもあった。私は、あんなにこの子を殺したかったじゃないか。

 

指が細い首に食い込んで、彼女が息を呑むのが伝わってくる。

 

「ゃ、め…」

 

その頬に、一つ、涙が滴って、私の理性は押し流された。

 

「やめてじゃないっ!!」

 

ビリっと。絹を裂く音と、手応え。辛うじて、彼女の首に手を掛けなかったのは、最後の理性が私を引き止めたのではなかった。

白いドレスの胸元を掴み、思いっきりに引き千切る。正直、気分が良いな、コレ。

上等な衣装に手を掛ける気持ちよさ。その快感はきっと、雫に手を掛ければもっと強くなる予感はあった。

 

「やめてって、なに? 私が、言った時。貴女は、雫はっ、どうしました…」

「それは、そう…だけど。ちがうのよ、ちがうんだから…」

「違わないっ! 早く、どうにかしてよ。貴女で無理なら、ユーレリアでも、ハンナドールでも、呼べばいいじゃない。それもイヤ? アレもイヤで、コレもイヤで、じゃあっ! 自分で、どうにかなさいよ…じゃないと、私っ!!」

 

ずっと、追いかけっこをしていたせいだろう。様子の違ってしまった、私に怯えてるのも分かる。引き裂いたドレスの下。薄い胸は、大きく上下を繰り返す。

 

殺して、欲しい。

 

なんなら今この瞬間、後ろから刺されたって文句は無かった。

もう、止められないから。自分じゃ無理だ。性欲と、殺意と、色んな感情がゴチャ混ぜになって、この子に手を掛けずにはいられない。

 

「戻さないんじゃないのっ。もどせない、だけで、今は…ダメで」

「あっそ。じゃ、自業自得だよね? 少しくらい、痛い目見なさいよ、貴女も…」

「あっ、やだっ、ダメッ…!」

 

慌てた雫が、破れたドレスに手を伸ばす。その手を払った私は、残ったドレスの布地ですら破り捨てた。脱がすなんて、丁寧な事はしない。ただ、思い切りに、乱暴に。そうすれば、ちょっとは気持ちが良い。濁った感情が少しだけ楽になる。

 

見せつける様にドレスを裂いた。次は貴女の番だと、言わずも告げる。

 

開いた身体に、どれほどの凹凸があったろう。

男性の身体では、もちろん無いんだけど。女性というにも曖昧だ。

薄い胸の膨らみは、横になるとさっぱり何処かへ行ってしまった。辛うじて、頂だと分かるのは、乳首の先が可愛らしく縮こまっているおかげ。小ぶりに膨らむお尻も、可愛らしいばっかりで、色気にはまだ遠い。

 

出来るんだろうか?

 

まだ、下着に隠された彼女の秘部に、私は指を伸ばす。

当然、異物感はない。割れ目の感触を、指先に感じるだけ。「んっ」小さな吐息と、逃げるように腰が引かれ、少しの高ぶりを覚えてしまう。

 

まぁ、良いか。

 

穴はある。

 

何を心配せずとも、ユーレリアとだってしているはずだし。

私くらいの肉棒なら、普通に挿ると思う。もし、挿らなくても、無理やり広げるだけ。

 

気遣いなんて無かった。

 

ダメって、良心の呵責が引き止めはするけれど、それを振り払うのですら愉快に思う。

 

「ぃゃ…。だめ、ったら。ね? りっと…リット?」

 

胸の前で指を丸めて、小さく小さく首を振る。

弱々しい。その仕草に胸が高鳴った。嗜虐心が滾る。こういう事を言うんだと、心で理解してしまった。

 

雫の体に、私の影が落ちる。むにっと、触れた太ももは柔らかかった。

すべすべしている。しっとりと、張り付いてもくる。矛盾した心地よさは、いつまでも撫でていられそうだけど。いつまでも我慢出来ないのが、私の肉棒だった。

 

無理に足を開かせ、腰を近づける。

 

「あぁ、もうっ…」

 

けれども、雫を犯そうとする私を阻んだのは、垂れ下がってきた私のスカート。

捲り上げようにも、長くて邪魔だし。一時と、雫の体から手を離した私は、服の留め具を外していった。

 

シャツを外して、スカートを下ろす。

 

邪魔な下着も脱いでしまうと、顕になった肉棒が大きく跳ねた。

 

「ま? 平気でしょ? ユーレリアのよりは小さいんだし、ね?」

 

それでも、触れてみた入口と比べると、まだ随分と大きく思うが。

意外と何とかなるものだと、自分の体で体感した後だ。皮肉交じりの独り言は、多分自分を納得させるため。それでも、聞いてしまった雫には、脅し以外の何物でもなかったとは思う。

 

視線が、肉棒に注がれているのが分かる。

膨らんでいた雫の頬からは、すっかりと空気は抜け切っていた。紅潮しているというよりは、青ざめて見えて。今から自分がどうなるか、それは彼女が一番良く分かっていることだろう。

 

「ぃゃ、ぃゃ、いやっ、だったらっ!!」

「わぷっ…」

 

服を脱ぎ、裸になった私は、固くなった肉棒を見せつけたまま、再び雫の身体に手を伸ばす。伸ばしかけて、その途中。とうとうと、耐え切れなくなった彼女は、思い切りに枕を投げつけてきた。続けざまの蹴り足は流れるように。彼女に伸ばしかけていた私の手が弾かれる。

 

運動神経は良いらしい。

 

まぁ、あれだけ走り回って、私から逃げていたんだもの。

 

でも、ダメ。

 

軽すぎる。ただ、足を出されただけで崩されるほど、私の体幹はヤワじゃない。

舐めないで欲しい。最近サボりぎみだったとはいえ、これでもそれなりに鍛えてたんだ。まさか、こんな事の為に使うなんて思ってなかったけど、日々の努力はこんな時でも私を助けてくれるらしい。

 

蹴り出された雫の足首を掴み直す。

 

ああ、これは。手首ですらそうだったけど。彼女に戯れ付かれたユーレリアが、少し困った様子になるのも分かる。ぐっと、私が力を入れただけで、逃げ出そうとした雫の身体は、私の方へ引き寄せられてしまった。

 

「あっ! やだっ! やめっ、やめってたらっ!!」

 

ぶんぶんと、足首を掴んだ私の手を払おうとはするけれど、全然ダメ。

むしろ、そんな些細な抵抗が、私の嗜虐心を煽ってくる。

ズルっと、彼女の膝が滑る。ヘッドボードを頼りにしていた指が外れ、雫の可愛いお尻が私に近づいてきた。

 

うん、良い心地。

 

まったく筋肉の気配を感じないお尻は、ただ柔らかい。

二つの膨らみに指を這わせながら、ベッドの隙間へと潜ませた。下着の薄い布地をくぐり抜け、下腹を撫でながらその奥へ。逃げようとする腰を、押さえつけるのは簡単だった。

 

雫の体を押さえたまま、感覚を頼りに入口を探り当てる。

ぷるっとした凹みに指先が沈み込む。その割れ目を辿っていくと、奥まった箇所に隠れた突起に指が触れた。

 

「あっ…!」

 

切羽詰まったような高い声。

 

やっぱり、感じるんだ。

 

女性の弱点は、こんな子にも効くらしい。

むしろまだ、幼さが残る分だけ、その反応は私の時よりも大げさに見えた。

 

「ほら、早く濡らしてくださいよ? じゃないと痛いですよ、流石に…」

「リットっとっ、一緒に…んっ、しな、いでっ。私、貴女みたいに、はしたなくなんかっ。ちょっと触られただけで、濡れたりしないもんっ」

「あっそっ…」

 

別に興味なんかない。

 

私はこの子を感じさせたい訳じゃないし、愛し合いたいわけじゃもっとない。

ただ、自分の鬱憤を晴らしたいだけだ。滾った性欲を解消するついでに、今までの憤り、恨み辛みをぶつけられればそれでいい。

 

「え、あ、やだっ。りっと…だめ…」

「ダメじゃない。私は良いもの。濡らさない雫が悪い」

「そんなの勝手っ」

 

聞いてあげない。聞くもんか。

 

太ももを開かせ、彼女の腰を抱え込む。もう下着を脱がすのも面倒だった。挿れるだけなら破く必要もさえもない。ただ横に、ちょっとズラしただけで、私の前に雫の割れ目が晒される。

 

むしろ、後ろを向いてくれたのは丁度良かったかな。

涙顔なんてみたら少し萎えてしまいそう。私はきっと、ハンナドールみたいに悪趣味にはなれないから。

 

先端をお尻の割れ目に沿わせながら、ゆっくりと、奥へと進めていった。

ぬるっと、ぬらぬらと。先走りの滲む亀頭の先。雫の柔肌が、ナメクジが這った後のように濡れていく。

 

ぎゅっと、小さな手が握りこぶしを作ってシーツを巻き込んだ。

閉じようとした足に体が挟まれるけど、それだけだ。私の腰は止まらない。

逃げるように雫が体を逸らして、私はそれを上から押さえつける。

 

つぷ…。

 

亀頭が割れ目に沈み込んだ。ぬるっと、小さな入口を押し広げていくのが分かる。

湿り気の足りない膣内だった。先端が挿ってすぐに、先走りが拭われてしまうと、柔肉を引っ張る感覚がある。

 

「つっ…きっつ。ほんと、に、挿るの…これ」

「だから、だめって、いって…んぁっ」

 

濡れても、感じさせてもいないから。

雫の性器は固いまま、解れてすらいない。助けになったのは、私の流す先走りだけ。一度腰を引いた私は、それを塗りつけるようにもう一度、肉棒を奥へと進ませていった。

 

拒絶するように萎縮する雫の膣内。それを押し広げていく私の肉棒。

ミチミチと音がするようだ。ズルっと、ズルズルと、先走りに濡れた膣内を肉棒が少しずつでも進んでいく。

 

「だめっ、でてってっ。りっと、りっとぉ…ほんとに、きついの、大きいから…だめ」

 

ぐすっと、鼻をするる音がする。見なくても、頬が濡れているのは予想がついた。

なのに、不思議と、手は緩まない。ちょっとくらい罪悪感を感じると思ったんだけどな。むしろ逆。彼女を押さえつける指に力が入り、ぐっと、思い切りに腰を突き出せてしまった。

 

「あぐっ! う、ぁ、ぁぁぁぁぁっ、んっ、はっ…ふぅ、はぁっ、はぁっ…あ、ぁぁっ」

 

ビクッと、雫の体が震え上がった。私の下腹が、彼女のお尻に押し付けられて、柔肉の壁に行き当たった亀頭が沈み込む。ああ、これは。上がった悲鳴ですら耳に心地よかった。一つ、二つ、三つと…数えても、私は腰を動かせない。下腹に力を入れて、射精しそうになる情動をぐっと耐える。

 

「はっ! ははっ。なんだ、ほんとに、ちゃんと…挿るじゃない。んっ、どう、ですか? 私なんかに犯されて…。少しは、懲りましたか? まぁ、こんな小さいの雫には、全然 物足りないでしょうけど…ねっ!」

「あひっ、んっ、はっ、はっ、ひっ、んっ、すっ、ぐす…んっ。こんな、こんなの…。なによ、小さいって…言われて、やっぱり…不満、なんじゃ…あぁっ!!」

 

正直、膝が笑ってた。彼女のお尻に、知らず指が沈んでいく。

気持ちいいかどうかで言われれば、ただキツイ。強く、されればされるほど、気持ちいいかと思えば意外と違うんだ。

 

けど、でもね。

 

心臓が、ドキドキとしていた。

 

頭が先か、肉棒が先か、その内何処かで血が吹き出しそう。

鼻を啜って、悲鳴を必死に飲み込んで、その涙声にすら唆られた。自分の意志で、女を貫く達成感と、満たされる征服欲。もっと、もっと。嗜虐心が燃え盛る。挿れたんだったら最後まで、それは当然でしょう?

 

ドクン…。

 

奥をついた肉棒が震えて、大量の先走りが溢れ出す。

乾いていた膣が私に馴染んでいくの。腰を引き、肌を引っ張る感覚は、いつしか私のモノを舐めるような感じに変わってた。肉棒を入口まで戻して「はぁ…」と、少しだけ雫の体から力が抜ける。その隙を見つけた私は、腰を押し付け、彼女のお尻を引き寄せた。

 

「んひっ、あっ、おく…きちゃ、あぁぁっ…」

 

ぶるっと、震える背中。けれども、少しだけその声音に変化が見える。

息を呑むばっかりだった吐息は緩み、何度も何度も、小さな呼吸を繰り返す。

悲鳴は、戸惑いに、否定の声には熱が絡みだしていた。

 

「なに、ちょっと興奮するじゃない…そんな、こえだして」

「どんな、声よっ。声なんて、わたしっ…ひぅっ、やだ、うごい、ちゃ…」

「気持ち良いんだ?」

「良くないっ。リットのなんかでっ、わたしっ…んぁっ」

 

肉棒が彼女の奥に届いた途端に、ただでさえ狭い膣が震えて、締まる。

ざわりと、舐められる様なその感覚には覚えがあった。多分、こうすれば。

これ幸いにと気を緩めた私は、少しだけ肉棒を震わせた。射精じゃない。精液は根本に留めたままだ。尿道を開く感触が昇ってくる。射精にも似た快感は、でもそこには届かない。精液に代わった先走りを、意識的に彼女の中に送り込むと、足りない愛液の代わりに塗り込みながら考える。

 

どうして、やろう。

 

例えば、胸や乳首を。例えば、クリトリスなんかを。

女の快感を開くのは、そう難しいことじゃない。自分が女性なだけに、どうすれば良いかだなんて、男のモノに奉仕するよりも簡単に分かってしまう。

 

クリトリスを弄って、強引に発情させる。

快感で胸が高鳴り、勃ち上がった乳首を責め立てる。

 

まだ、幼さの残る雫の体には、それだけでも十分に興奮へ導けるだろう。

 

けれど私は、そうはしなかった。

 

わざわざ感じさせて上げるなんてこと。私が気持ち良ければそれでいい。

さながら私の心は、財宝を奪い去るドラゴンのよう。まだ青い果実を摘みとる、その一瞬を想像して肉棒が吠えた。

 

「あぅぅぅっ、んっ、おくは、だめって…ばっ。はっ、ふぅ…ひっ」

「その割に、んっ、くっ、随分とだらしない声じゃないですかっ。まぁ、なんでもいいけど、ねっ。私は、気持ちいいしっ。出せれば、それでっ!!」

「だっ、だぁぁ…。だすって、なに…なん、で」

「そりゃ、そうでしょ? ここまで、出さないとかさ…っ」

 

下腹を、お尻に押し付けながら、雫の奥を掻き回す。

ぐるぐると、円を描きながら、亀頭の先で膣壁を舐め回していると、感じの違う場所に引っかかった。他の所より、少し弾力がある。力が入ったように窄まったそこは、まだ口を開いてはいないようだ。

 

「んあぁっ、だめ、だめって…ほんとに、そこ…っ」

「ああ、やっぱり、ここなんだ? どうしよっか? そんなに止めて欲しい?」

「そう、でしょ? それは…そうじゃ…」

「ごめんなさいって、言える?」

「言わない。絶対ヤダ。誰がリットなんかに謝ってやるもんです、かっ。べーっだっ。はっ!…あぅっ」

 

最後まで言わせなかった。

 

場所が分かれば狙いを付けるのも簡単だ

 

腰を引いて、少し、角度を付ける。亀頭の先を擦り付けながら、奥へ進むその途中で抉るようにと、突き上げた。

 

「あひっ。う、あ、あぁぁぁ…」

 

ピタリ。はまり込む感覚が合った。それは、陰唇を押し開く一瞬にも近くて、それより固い。ぐりっと、押し付けた亀頭を食い込ませる。予行演習とばかりに、震えた肉棒から先走りを吐き出した私は、もう一度腰を引いては、また突き上げる。

 

「あっ、あっ、あぁぁっ、やっ、まっ、って、そんな、やだ、やぁぁっ…」

 

子宮口を突く度に、雫の体は面白いくらい震え上がる。

声は溶け出し、甘く泣いて、熱を孕んだ吐息は一段と高くなった。「あっ♥」と、小さな悲鳴は、いよいよ嬌声へと代わり、一度芽吹いた快感を彼女はもう無視できない。

 

じわり…。

 

膣内にヌメリ気を感じた。先走りとは違うもの。膣の奥から流れ込み、ヒダの裏側から滲んでくる。それを、ただの生理現象と言うには、余りに蜜度が高い。幼い悲鳴は一層と艶を増すばかりで、彼女の上げる声色に、私はすっかり夢中になっていた。

 

犯せば犯すほど、女の反応を返す少女の身体を貪る快感にのめりこむ。

ギリっと、奥歯を噛み締めて。今にも射精しそうになるのを耐えた。意地ではない。出せるなら、出してしまいたい。でも、どうせ出すんなら、やっぱり…。

慌てて腰を引いてしまって、外に出すのはもったいない。勢いのままに射精するのも物足りない。もっと、しっかり、彼女の奥に。その時にようやく、そこにしかない満足がある気がして。

 

「くっ! ゴチャゴチャ言いながらっ、こんな、ちゃんと、感じてるじゃないですかっ。私と同じ癖にっ、何よっ。自分だけ、綺麗なふりしてっ、そんなのっ、ゆるさないからっ。貴女もっ、私と同じなのっ。雫だって、どうせっ、どうせっ、そうなんでしょっ。おちんちんで犯されて、感じるだけのっ」

 

きゅっと、膣の締まる感じがあった。

 

肉棒を包むヒダが蠢いて、奥へ、奥へと、誘い込まれる。

腰が抜けそうだった。膝が笑って、ベッドに倒れ込みそうになる身体で、雫を抑え込む。

 

どぷっ、どぷっと、空打ちを繰り返した肉棒も、そろそろ限界だ。

いい加減、射精しないと無理。頭が痛いの、ガンガンと、腰が勝手に動いて雫の体から、快感を貪りつくそうと躍起になる。

 

「しず、くっ。ふぅっ、ふぅぅっ…! あっ、くっ、あぁぁぁぁっ!!」

「あっ♥ はっ、やっ、だめっ♥ んくっ、ふあぁっ♥ リット、りっとぉぉっ…。だめっ、だめって、奥、そこ、そんなやぁぁっ、んひっ♥」

 

荒くなる吐息を抑えられない。雫の甘い嬌声に心を乱される。

ぎぃっと、ベッドが沈み込む。激しさを増す抽挿に、上等なベッドすら軋みをあげる。深く、深くに、雫の中へ埋まっていきそうだった。白い、火花が、何度も散って、肉棒の根本に溜まったマグマが今にも噴出してしまいそう。

 

「もう、だすからっ! 出しちゃうから…っ。あ、はぁっ。そうだよっ、私の、私なんかの精液で、汚れちゃえばっ、良いんだっ! 私と、一緒っ、誰のでもっ、中出しされたら良くって、ほらっ、ほらっ…イって、もうっ、私と一緒に…ね? こっちに、きなさ…っ!!」

 

子宮口に、亀頭を無理やり押し込んだ。

 

ギリギリ、抑え込んでいた栓を引き抜くと同時、ドクンっ、ドクドクっ、肉棒が脈打ち、溜め込んでいた精液が一気に駆け上がってくる。

 

一瞬の開放感。

 

こうなるともう、止められないし、止まらない。反射的に、下腹に力が入ってしまう。上から伸し掛かるように、彼女の腰をお尻を押さえつけ、腰を突き出した。

 

逃さない。

 

全部、全部、私の全部を、注ぎ込まないと収まりが付かなかった。

射精を続ける肉棒をそのままに、彼女の中を掻き回す。亀頭は子宮口に押し付けたまま、少しも離れない。グリグリと押し付けて、こじ開けるように円を描きながら、また少し、ちょっとずつ。

 

とうとうと、口を開いた入口に先端が食い込んだ。

 

子宮口に潰されていた亀頭の先が開けた途端、また勢い増した精液が、彼女の子宮に直接流れ込んでいく。

 

「んっ♥ はっ、で、て…。リットの、おちん、ちん…あっ♥ なか、あつ、んっ、あぁぁぁっ。だめ、これ、そんな…だした、ら…」

 

ゾクッとした。

 

射精を続ける肉棒が、さらなる快感に囚われた。

「あぁぁっ♥」嬌声を響かせながら、ぎゅぅっと膣が締まる。震える肉棒から、更に精液を引き出そうと、膣が蠢いているみたい。背筋を反らせて、声を上げて、雫はもう、快感を隠しもしていない。

 

それが、なんだか、誇らしかった。

 

私にも出来たって、ちょっとだけ嬉しくなる。

 

別にさ。彼女と愛し合いたかった訳じゃない。エッチするつもりもなかった。

苛立ちのまま、犯して、吐き捨てて、それで良い。それでちょっとは、この子も懲りるかなって、自分の欲望を優先しただけ。

 

でも、なんだか…なんだろう?

 

ハンナドールとした時は、されるがままだったから、余計にそう思うんだ。

 

「りっと、りっとぉぉ…♥」

「しずく、しずく…んっ♥」

 

名前を呼ばれて、呼び返して、それはまるで恋人達のよう。

後悔かな。ちょっとだけ、胸が重たくなる。気持ち良い。それは、確かにそうだなんだけど。次はもう少しだけ、優しくしようかなって…。

 

「なっ、はっ、ははっ…。なん、ですか。つぎって…私…んっ、はぁぁ…っ♥」

「な、なに? なにをいって…りっと?」

「はい、しずく…。これで、さいご…んぅっ♥」

 

もう、呼び合う声も朧気だった。

 

ドクンっと、最後に肉棒が震えて、残っていた精液が雫の中へと注がれる。

「んぁっ♥」あどけない嬌声、その余韻を耳にしながら、私は彼女の隣へ倒れ込んだ。

 

ーーーー

 

少しだけ、時間が経っていた。

 

流石に疲れ切った私達は、快感に惑うまま、うつら、うつらと、船を漕ぐ。

夕焼け色に頬を撫でられた。薄っすらと、意識を取り戻した私は、胸の内に抱えた小さな温もりに息を吐いた。

 

「リット?」

 

いつの間に、抱き合っていたんだろう?

 

もぞり、体を揺らして、顔を上げた雫が私の顔を覗き込んでくる。

 

「すみません…。おこし、ましたか?」

 

肉棒の苛立ちは既に無い。違和感も丸ごと無くなっていて、さっきまで生えてたなんて、夢でも見てたみたい。

 

「んん…」

 

小さく首を振って、胸元に顔を埋められた。

なんとなく、催促されているような気がして、私は自然と彼女の頭に手を伸ばすと、長い黒髪を指で梳く。サラサラと、指先から零れていく感触がくすぐったい。妹でもいれば、きっとこんな風だったかも。少しだけ、思って、いや違うなと、妄想を投げ捨てた。

 

「ねぇ、雫?」

「なぁに、リット?」

「私に…何をしたんですか?」

「何って? 生やしたのでしょう?」

「そうじゃなくって…。そっちじゃないの。だから、なにか、貴女を好きになる魔法、みたいなの…」

 

姉妹は裸で抱き合わない。

 

そもそも、あんな、男根まで生やされて、愛し合うだなんてもっとしない。

なにか、色々諦めて、忘れてしまってはいたけれど。彼女と普通に話している事でさえ、本当なら癪に障って良いはずだ。

 

「ふふっ、あははは♪ なに? なによそれ? 好きになる魔法? 恋のおまじないかしら?」

「なっ!? 笑わなくたって、だって、でも。じゃあ、他に何だって言うのよ…。こんな、絶対おかしい。私、貴女のことなんて、好きな訳ないのに」

「ねぇ、リット? 魔法が解けたら、もう私とは遊んでくれない?」

「それは…」

 

そう、なんだろうか?

 

そうじゃなきゃ、おかしいはずなのに。胸に抱いた温もりを、手放すのは惜しいと思ってしまう。呪でも良い。それなら、最後まで私を騙していて。そう、演じるのは苦ではない。少なくとも、きったはったと騎士の真似事をするよりは。殺すだの何だのと、あの憎しみに飲まれるのはイヤ。正直しんどい。お人形さんでも何だって、この子のお姉ちゃんの振りをしているほうが、ずっと気安い。

 

「…リットリア、です」

「?」

「私の名前…まだ、言って無くて。もう、知ってるんだろうけど」

「…そう、呼んで欲しいの?」

「そうでもないですが。まぁ…一応」

 

けじめ?

 

もう、名前を教える理由もないけれど。同じくらいに拒む理由も見当たらない。

リット。親しげに、彼女が私を呼ぶならそれでもいい。ただなんとなく、自分から名乗りもしてないのがむず痒くって。

 

「ねぇ、リットリア?」

「はい。なんですか、雫?」

「また、エッチしましょうね? 今度は優しくしてね? 意外と乱暴なんだもの…貴女。ちょっと驚いてしまったわ。ふふっ…」

 

くすくすと、耳元をくすぐられて顔が熱くなる。

思い出してしまった快感に、期待と、鼓動が跳ね上がり、失くしてしまったはずの男性を取り戻したくなった。

 

 

ーーーー

 

「かなしい…。せっかくのドレスが、こんな…酷いですわねぇ。ユーレリアでも、もっと上手くなさいますのに。一体何処の強姦魔の仕業でしょうか? ねぇ、リットリア?」

「あ、はい…。ごめんなさい」

「あら? 何故でしょう? どうして貴女が謝るの、リットリア?」

「いや、だからその。私が、しました」

「何を?」

「だから、それ、ドレス、破いたの…。私が、強姦魔です…」

 

しくしくと、チクチクと、ハンナドールの小言にリットリアは何も言い返せなかった。




手癖で書きすぎた自覚はある。
ここまで付き合ってくれた方たち、本当にありがとう。

よければ、いいね、高評価等よろしくお願いします。
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