※この作品はR-18です。

アイドルのお仕事~ミリオンライブ~   作:モブ好き

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地方プロレスデビュー

 

「ふぅ……」

 

居酒屋の賑やかな雰囲気に包まれる中、仕事の悩みを忘れるように一人酒を飲む

プロデューサーとしてアイドルを任されて数年、担当アイドルは伸び悩んでいた

 

俺の担当しているアイドル―福田のり子―

 

前任のプロデューサーは優秀な人らしく、人気アイドルを多く抱えている事もあって常に

多忙で、会社のエースであるそのプロデューサーの負担分散のため

一部のアイドルを他のプロデューサーに任せる事となり、そう言った流れで当時

新人プロデューサーだった俺に任されたアイドルこそ、福田のり子だ

 

『売れないアイドルを任せられるなんて苦労するよな』

 

そして彼女を任せられると決まった際、会社の先輩に言われた事をふと思い出し

振り払うように再び酒を飲んだ

 

「………」

 

笑っている先輩を見て、俺はいつか見返してやろうと思った

だけど、実際は見返すどころか先輩の言う通りの現状になってしまっている

 

今はアイドルブームの真っただ中と言って良い、それもあってアイドルの数も多くどこも

仕事の取り合いだ。のり子は小さな仕事で細々とやって居る状態で、最近はアルバイトを

始めようと考えていると相談も受けた。全部プロデューサーである俺の力不足で……だからこそ

情けなく、悔しい気持ちにさせられた

 

(のり子を輝かさせられる仕事を見つけないと……)

 

そう決意を新たに、残った酒を飲みほした……

 

 

 

 

 

「プロレスの仕事を貰ってくるなんて凄いじゃんプロデューサー!」

 

数日後、事務所の会議室で渡された仕事の資料に目を通したのり子は興奮気味に叫ぶと

その勢いのまま俺に抱きついてきた

 

「お、おい……ここではちょっと」

 

「周りには誰も居ないから大丈夫だって!えへっ……」

 

のり子に抱きつかれ、慌てて周りを見る。会議室は他に人は居ないものの

鍵などをかけているわけではない。プロデューサーとアイドルと言う関係上

外でイチャイチャしている様子を見られるのはのり子にとってもいい影響とは言えない

 

「こういう仕事挑戦してみたかったんだ!プロレスラーとしてデビューだなんて楽しみっ

 本当に嬉しいよ!」

 

しかし、久しぶりに仕事を貰えて嬉しそうにしているのり子を見ていると

抱きついた手を解く気にはなれず、仕事を持ってきた達成感もあって

俺ものり子を優しく抱きしめ返した

 

 

「えっと、改めて確認するけど……これは地方での仕事になるんだ」

 

「地方……あっ」

 

そこでのり子は、何かに気づいた様に寂しそうな声を漏らした

仕事は地方を盛り上げるプロレス活動で、その間は地方で生活する事になる

そうなると今までのように気軽に会う事は出来ない

 

「地方じゃ……プロデューサーは来れないよね……?」

 

「もちろん出来る限り行くつもりだけど、以前みたいに一緒には居られないと思う

 それでも、良い仕事だと俺は思ってる」

 

「それは……うん、アタシもそう思ってる」

 

俺の真剣な様子を見てのり子も真剣な表情でこちらを見る。そして

 

「……アタシ、地方でプロレスに挑戦してみる!……プロデューサーと離れ離れなのは寂しいけどね」

 

自分たち以外誰も居ない静かな会議部屋の中で、俺とのり子はもうしばらく抱き合っていた……

 

 

 

 

 

「この度は福田のり子を選んで頂き、ありがとうございます」

 

「ははっ、大げさですよ。こちらこそ仕事を受けてくれて嬉しく思っています」

 

後日、のり子と一緒に仕事先となるプロレス団体へと足を運び挨拶をすると

プロレスラーらしい、体格の良い責任者の男性は優しい笑みを浮かべて笑った

 

「ウチは地方をメインにやっていて、それもあって花のある女性を求めていたんです

 福田さんはプロレスもお好きと言う事でそれならば是非と思いまして」

 

「花のある女性だなんて……えへっ」

 

のり子は照れくさそうに頬をかくけれど、その表情はアイドルをやっているだけあり

褒められるだけの事を積み重ねて来たと言う自信も感じさせた

そんなのり子を見ていると、プロデューサーである俺も嬉しい気持ちにさせられる

 

その後、責任者の案内でプロレスのリングの置かれた練習場を見学させて貰う事になり

目の前で迫力のある練習風景を見せられ

 

「すごい迫力だよプロデューサー!」

 

と、のり子は息を荒くして喜んでいた

 

「ウチはプロレスに詳しくない人でも楽しめるような方向でやっていまして

 それもあり福田さんでもやれるような内容になって居ると思います」

 

練習中のプロレスラーの皆さんを見学した後は、練習場の近くにあるアパートへと歩く

 

「ウチは元々都会の方で活動していた事もあって、地方で活動するレスラーは皆

 ここのアパートで生活をしています。男ばかりですけど賑やかで楽しいですよ」

 

「はいっ!よろしくお願いします!」

 

のり子も当然、この団体で仕事をする事になるため住居は必要で

先方の好意もあり、のり子も同じアパートで生活をさせてもらえる事となった

 

「それでは、私の方はこれで失礼しますね」

 

「はい、福田のり子をよろしくお願いします」

 

仕事について打ち合わせをした後、のり子の新居となるアパートの部屋へと場所を変え

一休みする事に。古いアパートではあるものの、のり子は嬉しそうに床に寝ころんで伸びをした

 

「ん~っ!緊張したけど楽しみっ!」

 

「ああ、この仕事はのり子専用と言って良いと思うし、俺も楽しみだよ」

 

「えへっ、プロデューサー……」

 

にへっと笑い身体を起こすと、そのまま俺に抱きついてくる。そして……

 

「んっ……」

 

唇を寄せてくるのり子を受け止め、お互いに唇を重ね合う

プロデューサーとアイドルと言う関係上、褒められた事ではないのは理解しているものの

真っすぐな好意を向けてくれるのり子の気持ちを振り払う事はしたくなかった

 

「はぁ~……プロデューサーとの関係は内緒だからこう言うのも久しぶりだね」

 

「そうだな……すまない」

 

「ううん、アタシは気にしてないよ。こうやってるだけでも満足だからさ」

 

お互いに気持ちをぶつけあうように力強く抱きしめ合う。キスをした後のり子は

俺の胸元に顔を擦りつけ

 

「ん~プロデューサーパワーをチャージ!うん!おっけー!」

 

寂しさを誤魔化すように、明るく声を上げた

 

「アタシはこっちで任された仕事をちゃんとやるから、遠距離でも連絡は毎日するからね」

 

「ああ、俺もなるべくそっちに行けるようスケジュールを調整するよ、もちろん電話も」

 

「うん、約束だからね」

 

そう言って、もう一度のり子とキスを交わした……

 

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