「それでさ、団体の人たち本当に優しくて、色々気にかけてくれて本当に助かってるんだ
最初は不安もあったけど、今ではアタシも仲間に入れて貰ったって感じ!」
「お互いにプロレス好きって言うのもあるだろうけど、明るいのり子の人柄なら
大丈夫だって俺は思ってたぞ」
「プロデューサー……えへっ」
電話越しに聞こえる、嬉しそうなのり子の声。地方での仕事のため会えない日は
続いているものの、のり子とは毎日のように連絡を取り合っている事もあってあまり寂しさはない
むしろ今は仕事に集中出来ているからか、以前よりも明るいように感じるくらいで
改めてこの仕事を持ってきて良かったと思えた
「プロレス団体の皆さんにはのり子を良くして貰ってるから、次行く時はお土産も
奮発するよ」
「あ、それならお酒に合うものだと皆喜ぶと思うよ、お酒好きな人ばかりだし」
「了解、そうするよ。のり子もあまり飲み過ぎないようにな?」
「は~い」
のり子の話では、プロレス団体の方では交流を深めるためによく飲み会をするらしく
アパートでよく行われている部屋飲みに参加させてもらえるようになった事を
仲間に入れて貰えた、と喜んでいた
「仕事は順調そうで良かったよ、練習で怪我とかはしていないか?」
「うん、それは大丈夫……ただ……」
「ん……?」
電話越しに言い淀むような反応を見せるのり子に、トラブルでもあったのかと尋ねると
「えーっと……ちょっと言いづらいんだけどさ。アタシのプロレスデビュー戦の相手は
団体の男の人でしょ?それでその……一緒に技の練習とかしてるとさ、えっと……」
言いづらそうにするのり子の邪魔をしないよう、のり子の言葉に耳を傾け続ける
「相手の人……ぼ、勃起しててさ……」
「あぁ……な、なるほど」
考えてみれば、男女で試合をするとなるとそういう問題もあると言う事か
「すまんのり子、俺の考えが足りなくて」
「い、いやっ!プロデューサーを責めてる訳じゃなくて!もちろん、相手の人を責めてる
訳でもないからね!?」
電話越しでも慌てて手を振っているであろうのり子の姿を想像し、少しだけ苦笑していると
「……アタシの方はさ、本当に良くして貰ってて。デビュー戦だってアタシを
メインにしてくれてるし、試合の後はアイドルとして歌を歌って欲しいって
言ってくれて……アタシをちゃんとアイドルとして扱ってくれてる」
「そうだな。こうしてのり子と話していてもいい影響を貰えてるんだろうなって伝わってくるよ」
「プロデューサー……うん、アタシもそう思う。それで……えっと」
再び言い淀むのり子。そのまま耳を傾けていると何度か電話越しに深呼吸をする息使いが聞こえ
「……問題は相手の方でさ、勃起しちゃって集中できてないみたいで練習中も団体の人たちに
何度も怒られてて……勃起しちゃってるのは多分アタシのせいなのに。なのに練習の後
アタシの部屋まで謝りに来てくれたりしてさ……」
それはプロデューサーである俺にだからこそ話せる内容だろう
「……プロデューサー、アタシ、プロデューサーの事大好きだからね」
「え?……あ、ああ。俺ものり子の事は大切に思ってる」
話しが変わったように感じて戸惑っていると
「だから、次のデビュー戦を成功させるために、相手の人の性処理をしてあげたいんだ」
「せ、性処理……?」
さらに話しが変わったように感じてさらに戸惑ってしまう
確かに、勃起しているならそれを処理すれば良いだけ……ではあるが、そこには色々と問題もある
「プロデューサーと恋人同士になる前もさ、プロレス技の練習させてって理由付けて抱きついたり
それで勃起したプロデューサーにエッチの練習させてって言って、ちょっと強引にエッチな事を
やったりしたしさ?えっと、本番じゃなければセーフ的な?あ、あはは……」
怪訝そうな俺の反応を見て慌ててそう畳みかけると、最後は乾いた笑いで困ったように笑うのり子
多分、本人も良く分からない事を言っているという自覚はあるんだろう
相手のレスラーはのり子と同年代と言っていたし、色々と思う所もあるからこそ、こうして
入れ込んでしまっているんだろう
「女慣れしてないから勃起しちゃうんだろうし、こう、手でチャチャッとしてあげたらアタシにも
慣れて勃起も落ち着くと思うし……ど、どうかな?プロデューサー……?」
「え?あ、ああ……」
のり子の性処理をしてあげたいという気持ちは聞いた
後はプロデューサーである俺の答えを出すだけだ
プロデューサーと言う立場で考えれば、のり子の気持ちは理解できても承諾は出せない
ただ、一人の男としての立場で考えるなら
色々と考えて提案してくれたであろうのり子の気持ちを断って……器の小さい男だと
思われたくないと、そう思ってしまう
程度は違えど、アイドルと言う立場上男と仲良くする機会はあるし、水着を晒す事だって普通だ
「……今回の仕事にかける気持ちは、俺も同じだ。だから、のり子の気持ちを優先して欲しい」
と、こちらの気持ちを悟られないよう、落ち着いた声音でのり子の提案を承諾する
「プロデューサー……」
「だけど、トラブルになるようならダメだからな、何かあればすぐに俺に相談してくれ」
「うん!ありがとう……プロデューサーに相談して良かった」
俺の答えに安堵の声を漏らして、のり子は笑ってくれた……