「千鶴さん、相談と言うのは……?」
千鶴さんの主催するパーティーに参加して数日、千鶴さんからの呼び出しを受け
指定された事務所の会議室へとやって来ると、そこには千鶴さんだけでなく
のり子や歩も一緒で俺は少し困惑気味に千鶴さんへと用件を尋ねる
「ええ、先日行ったパーティーでのり子は無事、仕事を得られたようで
私としても安心しました。ただ、歩は私の力不足で仕事を得るまでは行かず
申し訳ありません」
「そ、それは緊張して上手く立ち回れなかったアタシのせいだから!」
俺へと謝る千鶴さんを見て、歩は慌ててフォローを入れる
「二人とも落ちついてくれ。アイドルに仕事を用意するのはプロデューサーである俺の仕事
つまり俺の責任なんだ。千鶴さんのお陰でのり子は仕事を得られましたし
本当に感謝しています」
先日のパーティの件で責任の所在を確認するために俺を呼んだ訳ではない
と言う事は分かるため、ひとまずは場をなだめる
「……相談と言うのは、数日後行う私のイベントに歩とのり子も参加させたいと
考えていまして。二人には承諾を得ていますわ」
千鶴さんに合わせるように、のり子と歩はこちらを見て頷く
「えっと、イベント内容は……ボランティアと言う事ですけど」
懐からメモ帳を取り出し予定を確認するものの、そこには千鶴さんの仕事として
「ボランティア」とだけ書かれている
千鶴さんは「セレブアイドル」と言う立場を確立している事もあり
新規の仕事と言うよりは既存の仕事をメインに続けている
その分新規の仕事を他のアイドルに振れるため助かる所はある一方で
担当アイドルとしては手間もかからないため俺抜きで仕事をこなす事も珍しくない
そう言った事もあり「ボランティア」の仕事へのり子と歩参加させる理由も分からず困っていると
「ボランティアとだけ書かれているのは、あまり大々的に言うような内容ではないから……
ですわ。なので詳細を知らなくてもそれはプロデューサーの責任ではありません」
そう言って千鶴さんも少し困ったように笑う
「先日のパーティーでプロデューサーも知っての通りセレブの交流と言うのは
庶民のそれとは違う事も多いですから、また驚かせてしまうかもしれませんけれど……」
そこで一度区切り、コホンとわざとらしく咳をして
「……ボランティアの内容は募金活動で、セレブ達に寄付をお願いする代わりに
気持ちばかりのお礼として胸を触って貰うと言う催しで言うなればセレブ的募金活動……」
「つまりおっぱいボランティアだね!」
と、今まで黙っていたのり子は千鶴さんの言葉にかぶせるようにドヤ顔でそう締めくくった
「……のり子、もう少しオブラートに包みなさいな」
女子会をしているときはこんな雰囲気なんだろうなと思いつつ
のり子の表現はとても分かりやすくもあった
色々と建前を言っていても、つまりはのり子の言う通りだ
「えへへ、あんまり恥ずかしそうに言うとプロデューサーもOKしづらいと思って」
変な雰囲気にならないよう、のり子なりに気を使ってくれたらしい
「ボランティアには先日のパーティー同様、業界関係者も多く参加されますから
歩については先日のリベンジになればと誘ったのです」
「なるほど……それで歩も参加する、と」
「あ~……うん。折角の機会だし、ギャラも良いって話だからアタシとしても助かるなって」
きっと歩なりに考えたんだろう、恥ずかしそうにしつつもちゃんと参加したい気持ちは
伝わってきた
「そういう訳ですから、当日はプロデューサーも参加してくださいまし」
相談の件は済んだと言うように、千鶴さんはのり子に意味ありげな視線を向けると
歩と一緒に会議室を出て行った
「……えっと、プロデューサー?」
「あ、ああ……何だ?」
二人きりになり、のり子は俺の近くまで来ると上目遣いでこちらを見る
今回のボランティアの件で、正直のり子まで参加する必要はあるんだろうか
……と、恋人としてモヤモヤとした気持ちを悟られようにしていたものの
「ボランティアに参加しようって思った理由はいくつかあるけど、一番は今度やるドラマの
役作りになればなって思ったんだ」
そう言われてはっとなる。確かにドラマの役は性に奔放なヒロインと言う設定だった
なるほど、それでのり子は参加希望を……なんて感心していると
「後はその、単純に興味あってさ……おっぱいボランティアに」
と、のり子は視線をそらしつつ呟いた
「きょ、興味……?」
「えっと……引いた?」
「あ、いや……その。セレブの交流に参加するのは良い勉強になると思うぞ?
だから驚きはしたけど、引いたりはしない」
のり子の声音から不安そうな雰囲気を感じ、驚きつつも「引いたりしていない」と言う部分を
強調して答える
そんな俺の気持ちを受けて、のり子はホッとした様子でこちらに抱きついてきた
「……ありがとうプロデューサー、エッチな恋人でゴメンね」
「まぁ、何と言うか……恋人として答えるなら、エッチなのは良い事だと思うぞ……うん」
気まずい雰囲気を消すように、人気のない会議室の中で俺たちはしばらく抱きしめ合っていた……
そしてボランティア当日
参加者の集まる中、スタッフとして雑用をしつつ担当アイドルの登場を待つ
会場は前回のパーティーと同じで、雰囲気も同じように感じる
定期的にイベントを企画して交流する事で、参加者たちも情報や仕事を得る機会にしているんだろう
そして、セレブアイドルである千鶴さんの強みはそんなパーティーに参加出来る立場と言う事だ
ウチの事務所に所属しているアイドルの中でも、セレブの交流に参加出来るアイドルは限られる
(本当に千鶴さんには感謝してばかりだ)
のり子はともかく、歩については現状プロデューサーとして仕事らしい仕事を与えられていない事も
あって、千鶴さんには機会を見てちゃんとお礼をしなければと改めて思う
と、大きな拍手の音に視線を上げると千鶴さんたちは会場へと入ってきたところだった
前回着ていたチャイナとは違う、自身のイメージカラー色のビキニに着替え
3人は募金箱の置かれたテーブルへと並んだ
「皆さまお待たせいたしました。これより募金活動をさせて頂きたいと思いますので
お手すきの方は是非、ご協力をお願い致しますわ」
千鶴さんは手に持ったマイクを使って参加者に説明すると、のり子や歩と共に深くお辞儀をする
お手すきの方はという説明ではあるものの、今日のメインイベントと言う事もあり
テーブルで並んで待っている3人の前に参加者たちは続々と集まって来るため
俺はスタッフとして整列を手伝いつつ、3人の様子を見守る
最前列の参加者は、皆札を取り出して募金箱へと入れて行く
この辺りはセレブ交流と言う場なだけあり募金の金額も立派だ
「いつも募金にご協力頂き、感謝致します。心ばかりの感謝の気持ちを是非
受け取ってくださいませ」
3人を代表して千鶴さんはお礼を言うと、着ていたビキニの上を脱いで生の胸を露出させると
そのまま参加者へ突き出すように前へと出す。参加者は皆男だと言うのに
千鶴さんは堂々としたもので、堂々としているからこそ「如何わしい」募金ではないと言う
雰囲気を作って居るのだろう
そんな堂々とした千鶴さんの真似をするように、のり子も自然な様子で水着を脱ぎ
歩は恥ずかしそうな様子でゆっくりと水着を脱いだ
ボランティア当日に「水着の上からではなく生の胸を触らせる」と千鶴さんから聞いた時は
複雑な気持ちにさせられた物の、それについても二人は承諾していると言われてしまえば
情けないプロデューサとしては彼女たちの気持ちを尊重したいと言うしかなかった
「スタイルの良い現役アイドルを3人も集めてくれるなんて嬉しいねぇ。とは言え一番は
千鶴ちゃんだから安心してねぇ」
「ふふっ、それは嬉しいですわ。良ければ他の二人も応援してくださいまし」
千鶴さんの前に立つ男性は千鶴さんのファンらしく、そう話すと無遠慮に千鶴さんの胸を揉み始める
その手慣れた様子から、こう言ったボランティアによく参加しているんだろうと感じさせた
「相変わらずスタイルも良い、揉み心地の良いおっぱいだよ。薄茶色の乳輪もエロくて良いねぇ」
「日頃から皆さまに喜んで頂けるようケアはしっかりしていますので、褒めて頂けて嬉しいです
今後とも応援よろしくお願い致しますわ」
なんて「品評会」とでも言うようなやりとりをして、男は列から離れて行く
いや、品評会のようなやりとりをしているのは彼だけではない
のり子の前に並んだ男も
「のり子ちゃんって言うんだね、話し易い子で安心したよ。良いおっぱいだね
3人の中では一番綺麗で形も良いし、応援させて貰うよ」
「本当ですか!?スタイルについては密かに自信あるんで褒めて貰えて嬉しいですっ」
と、明るい雰囲気でのり子と楽しく会話をしつつも、その手はしっかりのり子の胸を揉んでいる
胸を揉まれているのり子は笑顔で雑談をしているため、モヤモヤする気持ちはありつつも
嫌そうではない事に安心していると
「ん~、大きい乳輪に茶色も濃くて下品で良いね。一番個性のあるおっぱいだ」
俺の位置的に一番近くに居る歩と男のやりとりが聞こえて来た
「水着を外すと意外と垂れ乳なんだね、よく運動をしてたり?」
「え、あ……その、だ、ダンスをやってて……」
「なるほどね、緊張している雰囲気とはギャップある使い込まれたおっぱい
日頃から男とよろしくやってるようだね」
「そ、それは……ど、どうなんでしょう……?」
男とよろしくやっている、という言葉にふと歩のお世話になって居る相手である鈴木さんを
思い浮かべる
(いや、仮に鈴木さんと仲良くしていたとしても、プライベートな事を詮索するべきじゃない)
思い浮かべた想像を振り払い、スタッフとしての仕事に集中する
「ははっ、女性のおっぱいは皆良い物だからそれで良いんだよ。僕は歩ちゃんみたいな使い込まれた
下品なおっぱいは大好きでね、だからこうして並んだんだよ」
「あ、ありがとうございます……!」
緊張していた歩も、男に褒められていると分かりホッとしたように安堵すると
千鶴さんの様に自ら胸を男へと突き出す
「おお、おっぱいについて語っていたら触るのを忘れていたよ。これは失礼な事をした」
そう言って笑うと差し出された歩の胸へ手を伸ばし、じっくりと揉んでいく
胸を揉まれている間、相変わらず歩は緊張した様子ではあるものの
視線はちゃんと相手に向けられており、口元は優しく微笑んでいるようにも見えた
――歩はちょっと、惚れっぽい所もあるから
ふと、昔のり子の話していた事を思い出す
初対面の男に胸をじっくり揉まれていると言う状況ではあるものの、男に褒められたからか
二人の間に「良い雰囲気」を感じてしまう
「ん~素晴らしい、ずっと触って居たいね。またボランティアに参加して貰えるかな?」
「は、はい……!必ず」
浮かれた様子で男と約束すると、手を振って離れて行く男へ向けて歩も軽く手を振って返した……
そんな調子で「募金活動」は一人一人じっくりと行っていき
希望者全員と募金活動をやりきった3人は、控室ですっかり疲れた様子だった
「はぁ~、疲れたけどすごく充実してる。参加させてくれてありがとう千鶴さん!」
「ふふっ、のり子は楽しそうにしていましたものね。私も招待した甲斐もありましたわ
歩もお疲れ様」
「はは……ほんと疲れた……」
そんな担当アイドル3人のやりとりを眺めつつ、トラブルもなかった事にホッとする
「それじゃ、俺は部屋の外で待ってるから」
ちゃんと水着を着直しているとはいえ、水着の女性3人に囲まれているというのは
少し気まずさもあり、それだけ言うと控室を出る……と
「ちょっとよろしいかしら、プロデューサー」
俺に続いて控室を出て来た千鶴さんはこちらに身を寄せると、小声で話しかけてくる
「えっと、な、何かありましたか?」
水着姿ですぐ傍まで近寄ってきた千鶴さんに内心ドキッとしてしまった事もあり
少し上ずった声で返す
「くすっ、いえ、今日のお礼を言いたいと思いまして。私たちの話を聞いてくださってありがとう
ございます」
俺の態度に上品に笑うと、抱きつきそうな距離から一歩後ろへと下がり
まるでドレスのスカートを摘むように手で持つと、セレブらしい所作でお辞儀をした
実際の所着ているのは水着なのでドレスは着ていない。ただ、そんな千鶴さんのお茶目な仕草に
俺も緊張をほぐして貰えた
「こちらこそ、先日に続いてありがとうございます。千鶴さんに頼ってばかりで
……頼りにならないプロデューサーですみません」
……緊張をほぐして貰えたことでつい弱音も出てしまう
こういうのは、担当しているアイドルを不安にさせてしまうから気をつけている事だけど
「そんな事はありません。私は貴方に担当して貰えてよかったと思っていますわ」
つい出た弱音を後悔する前に、千鶴さんは俺の言葉を否定する
じっとこちらを見つめ、視線をそらさない
それだけで嘘ではなく、本当にそう思ってもらえていると伝わってきた
「……私の前の担当プロデューサーは、優秀な方でした。のり子や歩と同じく事務所の考えで
担当していたプロデューサーを変えられ、不安だった私を立派なアイドルにしてやると言ってくれた
そして、その言葉通りに私をセレブアイドルへと育て上げてくれましたわ」
千鶴さんは昔を懐かしむようにそう語ると息を軽く吐き、視線を伏せ
「プロデューサーに言われるまま仕事をこなし、言われた通りに振る舞う。まるで人形の様でしたわ」
ぎゅっと握った自分の手を見つめ、再び俺を見つめる
「確かに、貴方はプロデューサーとしては未熟かもしれませんけれど」
「うっ、それは……」
「でも、一緒に歩いて行けると言うのは……ふふっ、楽しいですわね」
お茶目に笑うと、千鶴さんは身につけていた水着の上を脱ぐ
とても自然な流れで晒された千鶴さんの胸を、ついつい見てしまった
……だけでなく、千鶴さんは困惑する俺の手を取るとその手を自分の胸へと誘導し
気づけばとても柔らかい感触を手に感じていた
「ち、千鶴さんっ!?こ、これはちょっと……ッ」
千鶴さんの胸を反射的に揉んでしまい、ふと恋人であるのり子を思い浮かべていると
「日頃の感謝の気持ちです。それと、のり子はこのくらいで怒りませんわ」
俺の考えを読んだように微笑むと、掴んでいた手を話してくれた
「……くすっ、私の胸は気に入っていただけましたか?」
「え、あっ!?」
周りから見れば自分から手を伸ばして千鶴さんの胸を揉んでいるような状況に気づき
慌てて手を離す。慌てる俺を見て笑う千鶴さんは人形などではなく、とても生き生きとしていて
「今後ともよろしくお願いしますわね、プロデューサー」
投げキスを一つ俺へと送り、軽い足取りで控室へと帰って行った……