寝取らせマッチングアプリの相手が妻の高校の先輩だった話『上原晴香編』 作:統真
空がオレンジ色に染まった時間。
私は仕事を終わらせ駅まで歩いている。
今日は思ったより早く退勤でき、娘たちをお迎えできそう。
いつもは、今の時間帯より1時間ほど遅い退勤。
(今日の夕飯は何にしようかな…?)
歩きながら今日の夕飯を考えていた。
(穂香と綾香と買い物しなきゃね)
二人を迎えに行った後のことを考えていると。
「晴香!」
後から聞き覚えのある声が私を呼んだ。
「晴香、久しぶりだな。仕事帰りか?」
驚いた私は数秒固まって言葉が出なかった。
「は、はい。先輩もですか?」
状況を理解して言葉を発した。
「ああ。今日は珍しく早上がりできてな」
「私もいつもより早く帰れまして」
隣を歩く先輩に私は少しドキッとした。
「時間あるなら、少しカフェで話さないか?」
「そのー…」
(娘たちの迎えがあるけど…少しだけならいいかな?」
「娘たちの迎えがありますので、少しだけなら大丈夫です」
「わかった。じゃあ行くか!」
「はい」
本当は断って娘たちをすぐに迎えに行くはずなのに、先輩を優先してしまった。
(何してるんだろう…私)
私と裕樹先輩はカフェへと足を進めた。
向かい合う形で席に着いている。
先輩が私の分まで払ってくれたアイスコーヒー。
私はブラックは苦手なのでミルクだけ入れている。
先輩はそのままのブラックです。
「晴香はこの近くに勤めているのか?」
「はい。この近くの会社ですよ。先輩もですか?」
「いや。俺はここより2駅ほど離れた所だ」
「じゃあ、ここにいるのは家が近いのですか?」
私は先輩のことを聞いていた。
「いや。今日は依頼があって来たんだ」
「仕事は終わったのにですか?」
仕事終わったと、会った時に言ってたのに?
「仕事の依頼じゃない。マッチングアプリの依頼だ」
「えっ!」
驚いた私は思考が止まってしまった。
「個人情報だから深くは言えないが、年上の奥様のお相手をする」
「そ、そうですか…」
(先輩ってマッチングアプリの常連だったんだ…)
驚きがありつつも、どこか納得もした。
あのテクニックと長さがあれば女性は気持ちいと思うだろうと。
「が、がんばってくださいね」
「ああ」
少しの沈黙の後、先輩が口を開いた。
「そういえば、少し前に谷川と偶然会ったんだ」
「谷川君に!元気でしたか?」
「ああ。あいつもお父さんになっていたよ。娘が1人いて溺愛してたな」
「谷川君も結婚していたんですね。先輩は結婚しないのですか?」
「俺は結婚願望がないわけではないが、この人だという人がいないんだよ」
先輩はアイスコーヒーを口にした。
「でも、先輩にも絶対良い人に巡り合えると思いますよ!」
「晴香とか?」
「もっ、もう、冗談は止めてくださいよ。私は人妻ですよ」
苦笑いで誤魔化す。
「晴香だったら俺は結婚しても良かったと思う」
「先輩。それ以上はダメですよ」
優しく先輩を窘める。
(でも、旦那より出会うのが早かったら…)
「わるいわるい。でも、今はまだ独身を貫くつもりだ」
アイスコーヒーを飲みほした先輩は、腕時計で時間を確認をした。
「そろそろ。いかないと」
「そうですね。私も娘たちを迎えに行かないとです」
1時間以上も話していた。
二人で店の外を出ると日が沈みかけていた。
「じゃあ。俺はここで」
「はい。コーヒー有難うございました」
私は先輩の後姿を眺めていた。
(これから先輩は年上の女性と…)
この気持ちが今の私には分からなかった。
言えることは先輩が見えなくなるまで、私は先輩を見ていたことだった。